築30年以上中小ビルに欠かせない

分散修繕計画の作成

ビルが古くなると時に大きな建物設備機能更新工事が欠かせません。そこで分散修繕計画の作成は、ビルの将来を見えるかして、何の工事を行い、何の工事を断捨離し、必要工事はいつ頃いくらの予算を見込めば、安定して赤字を作らず、事故を起こさず、賃貸を継続続けることができるかを見つけます。


今後もビルを安定して赤字を作らず事故を起こさず賃貸を継続して維持するために、
  • 何の工事が必要か?何の工事は必要ないか?
  • 何の工事がいつ頃必要になるのか?
  • いくらくらいの予算準備を見込めばよいのか?

1.分散修繕計画とは?

分散修繕計画は賃貸計画と資金計画と工事計画の総合したビルの存続計画です。管理計画も含まれます。30年の分散修繕計画をお勧めしています。つまり今後30年の賃貸、管理、経営、工事の全てを見える化します。現在築30年なら築60年まで、現在築40年なら築70年までの全てです。

現在ではパソコンのエクセル等表計算ソフトを使用して、簡単に作成ができます。

1.1.分散修繕計画と長期修繕計画の違い

ところで工事の計画と聞くと、既に長期修繕計画があるから必要ないとお考えになるかもしれません。しかし長期修繕計画の通りに工事をしているでしょうか?

業者が作成する長期修繕計画は、ビルの今後の賃貸方針や資金事情が反映されていません。また建物設備の状態の変化やニーズの変化がアップデートされません。だからそのままでは使用できないのです。これに対して分散修繕計画は、賃貸計画と管理計画と資金計画と工事計画の総合したビルの存続のための計画です。

2. 分散修繕計画の作成

ここから賃貸計画と管理計画と資金計画と工事計画の作成をそれぞれ見てみます。いずれも独立したものではなく、関係し、影響を与え合っていることがわかります。それから3つの責任、4つの安全、3つの安定をどのように確認するかを、それぞれ見てみます。最後にシナリオの概念を確認します。

2.1 賃貸計画

賃貸計画は、今後の賃料収入見込みを作る計画です。賃貸の計画は、今後の地域の賃貸マーケット動向をどう読むか、とその中での物件ポジションをどうとるかで決まります。域の賃貸マーケット動向及びその中でのポジション等の分析には、賃貸マーケティングが必要です。

a.地域賃貸マーケットで将来も一定の需要は見込まれる場合

  • 地域賃貸マーケットの賃料水準の動向を分析する

地域賃貸マーケットで将来も一定の需要は見込めても、需要が減少すれば、賃料水準は低下します。地域賃貸マーケットの賃料水準の動向を読むことは難しいため、複数のパターンを考えておきます。

  • 物件のポジション動向を検討する

一般には、築年数を重ねるにつれ地域賃貸マーケットの中での自ビルポジションは下がっていきます。ただし、立地や建物特性に高い需要がある場合は、そうとは限りません。

  • 将来のシンプルビル化でどうなるか

将来の賃料水準に合ったシンプルビル化で、賃料水準が影響を受けるか受けないか、受けるならどの程度かを検討します。(ここは工事計画まで作成をした後に見直します。)

  • トイレ・給湯室やエントランスのリニューアル等

トイレ・給湯室やエントランスのリニューアル等が必要か、必要な場合どのタイミングでどのように行うことが効果的かを検討します。これにより空室想定期間やその後の賃料見込みが変わります。

賃料が上がるアップサイドは期待できない時代ですが、分散修繕計画での建物設備機能の状態及びトイレ・給湯室のリニューアル等賃貸対策工事をいつどのように行うかで、今後の賃料見込みが変わります。

b.地域賃貸マーケットの将来見込みが厳しい場合

今後の地域賃貸マーケットが厳しい場合は、改装や用途変更を考えることになります。

  • 何をトリガーに判断をするか

空室がいくつ増加したら、賃料収入がどの程度低下したら、重大判断をするかのトリガーを事前に検討しておきます。

  • 改装の検討

ビルの現在のターゲットテナントの需要は衰退だが、他のテナントタイプの需要はあり改装による参入余地がある場合、これを検討します。

  • オペレーション導入の検討

オペレーション導入とは、貸会議室、シェアオフィス、コワーキングオフィス、貸し倉庫、カプセルホテル運営等、空間使用サービス運営ビジネスを行う場合です。自分で経営する場合と、運営会社に場所を貸す場合があります。こうしたビジネスは、当たり外れが激しいため、集客力と運営力を評価して決めなければいけません。

  • 用途変更の検討

貸オフィスから賃貸マンションへ、貸オフィスからホテルへ、等の用途変更は最終手段です。用途変更後の用途で投資に見合う需要が継続的にあるか、過剰な投資を避けて効果的に需要に応えるためにどのようなあり方であるべきか、本当に費用対効果を得られるのか、十分に検討をした上で決定をします。

2.2 管理計画

ビルの経営改善でしばしば真っ先に検討されるのが、管理費の削減です。他の管理会社に相談をすれば、前より安い見積書が出てきます。そうして管理会社をコロコロ変えて費用を削減していたら、長期的にビルが荒れた、工事が増えた、はよくあるトラブルです。

自主管理でビル所有者の目が行き届いているビルは、まだ自らも管理維持をする選択肢がありますが、そうではない場合は、建物をみてくれる管理者は、誰かしら必要です。

2.3 資金計画

資金計画の目的は、分散修繕予算の確保です。既に修繕資金の準備がある場合や他ビジネスから資金を入れられる場合はそれも参入しますが、分散修繕の基本は自立(外部資金をいれないこと)です。まず自立のモデルを作成することをお勧めします。

分散修繕予算は、2つの考え方があります。
1つは、30年分のビルの年間収支から、公租公課、所得税、借入金がある場合の借入金返済、取り分等を差し引いた残りから安定して確保できると思われる金額です。
もう一つは、30年分の必要な工事予定金額の総額です。
両者をすり合わせ、賃貸計画、工事計画を修正しながら、両方を満たす分散修繕予算を決定します。

2.4 工事計画

工事計画は、狭義の分散修繕計画です。 

分散修繕の理想は、ビルの使用維持及び賃貸維持に必要な建物設備機能の更新や新設・内装リニュアル工事等について、必要工事時期に向けて賃料収入から無理のない金額を毎年留保して予算を準備し、準備ができたら工事をする。この繰り返しです。 これを実現するために、多くの中小ビルでは、将来の減少する賃料水準に合わせた分散修繕予算に収まるように、過剰な建物設備機能を断捨離してシンプル工事に向かうことになります。

このためには、次の3つの検討が必要です。
  • 各工事の必要性及び工事内容断捨離の検討
  • 無理のない工事分散の検討
  • 将来的なシンプル工事のあり方の検討

a.各工事の必要性及び工事内容断捨離の検討

そもそも工事を行うか、行わないか、いつ頃工事が必要と判断するか、工事対象の機能性能スペックグレード等をどこまで削減できるか(工事予算の削減)を検討します。これは工事対象によって、必要に応じてネット等で調査をしたり、専門業者に意見を聞いたり、他のビル事例をみるといった準備を、時間をかけておこないます。

b.無理のない工事分散の検討

特に築35 年を過ぎると、電気、給排水、外壁、エレベータといったビルの主要インフラ建物設備の高額工事が集中しがちです。何を優先させるべきか、何は後でも構わないか、予算に応じたタイミングを検証します。実際の工事は後でも構いません。必要な時に予算とどのように工事をするかの準備できていることが重要なのです。

c.将来的なシンプル工事のあり方の検討

個別工事断捨離の結果、ビルとして将来的に賃貸ができるシンプルビルでなければ意味がありません。分散修繕計画では将来も賃貸ができるシンプルビルのあり方を描き、賃貸ができるバランス良いシンプルビルを目指します。

2.5 責任の確認

責任の確認は、次の安全の確認及び安定の確認の後に確認をします。
社会的なビルの建物所有者として、賃貸借契約の貸主として、家族親族の中でビル資産を管理する人間として、将来の不安は検討されていることを確認します。まだ不安があれば、検討を続けます。

2.6 安全の確認

 
4つの安全の確認は重要です。分散修繕計画表を縦と横のラインで確認します。
4つの安全 確認の仕方<

事故を起こさない

30年の横軸で、酷く悪化し事故リスクが高い建物設備機能状態の年がないこと

建物設備機能を維持する

30年の横軸で、酷く悪化し機能停止リスクが高い建物設備機能状態の年がないこと

賃貸を維持する

空室が出てもビルの状態が悪くリニューアル工事ができず、空室が長期化する恐れが高い年がないこと

赤字にしない

基本は収支のボトムが赤字にならないこと。時に赤字が生じても短期間で解消できること

2.7 3つの安定

中小ビルにとっては、安定は重要です。分散修繕計画30年間の賃貸賃料収入、税引後利益、分散修繕後収支の横ラインが可能な限り安定していることを確認します。

2.8 シナリオを描く

最後に分散修繕の重要な概念である「シナリオ」をご紹介します。分散修繕計画は、ビルの次の30年の物語です。いつ工事をしていつ頃退去の退去に対してどのようにリニューアル工事を行いどのように賃貸を成功させ、将来はどのようなシンプルビルになるかを語ります。という30年のビルの物語を「シナリオ」といいます。分散修繕の計画では、シナリオが一貫していることは基本中の基本です。

シナリオはいくつあっても構いません。先のことは不確定です。多くのシナリオを検討すればするほど、想定外の状況に対応できる強いビル所有・経営力を身につけることができます。


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