築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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地域賃貸マーケティングと中小ビルの安定ビル資産経営

築古中小ビル賃貸は難しくない

サマリー

・築古収益ビルには、建物設備等の経年劣化部分のリニューアル工事以外に、賃貸効果目的工事が必要
・いずれも、低予算高効果で行う事で利益を守る事ができる
・「高効果」はテナントに選ばれて実現する。だから地域賃貸マーケティングが必須
・地域賃貸マーケティングで、自ビルを選ぶテナント像とライバル物件を知る
・地域賃貸マ―kティングで、自ビルの賃料ポジションを見つける
・賃貸経営計画で、今後の賃貸方針と賃料収入の見込みをつける
・賃貸経営計画のメインは、アップサイドと地域賃貸効果目的工事の検討
・安定した利益を産み続けるビル資産経営は、安定ビル資産経営のサイクルで実現する
・30年安定ビル資産経営計画作成での検討が、試行錯誤の経験として実判断で生きる


コンテンツ

Ⅰ 安定ビル資産経営とは
Ⅱ 地域賃貸マーケティング
Ⅲ 築古賃貸経営
Ⅳ 分散修繕
Ⅴ 30年安定ビル経営

Ⅰ 安定ビル資産経営とは

収益ビルは、分散修繕だけでは足りません。賃貸が続かなければ、分散修繕の予算も確保できません。日本では築古賃貸は難しいと言われますが、地域賃貸マーケティングを理解すれば、さほど難しくありません。古くても手入れが良く賃料が割安であれば、選ばれます。

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1.1 築古ビル経営の問題

ビル経営は経年と共に難しくなる。が日本の常識です。具体的に何が難しくなるのでしょうか?
1.11 経年とともに賃貸が難しくなる
経年ともに賃貸が難しくなります。募集賃料を下げるように言われます。募集をしても、すぐに次のテナントが決まらず、空室が続くようになります。そうして賃料収入が減っていきます。
1.12 リフォーム工事等は高額
賃貸が難しくなると、リフォーム工事やリノベーション工事を勧められます。けれどもリフォーム工事やリノベーション工事は高額投資です。ペイができない恐れがありますから、おいそれと手を出せません。
1.13 築古ビル経営の負のサイクル
そうして、賃料収入が減ると、ビル建物設備の経年劣化等のリニューアル工事等やリフォーム工事等賃貸効果目的工事の予算捻出の判断が更に難しくなります。 必要な工事がされていないと更に、賃貸が難しくなります。この負のサイクルが続くと、ある日テナントが退去した後に次のテナントが決まらなくなります。経営が破綻します。

1.2 築古ビル経営とは

とはいえ、もちろん「物」と「数字」のリスク、負のサイクルに陥るリスクを避けて、ビル経営を維持する事は、当然できます。
1.21 築古ビルも賃貸で選ばれる
築古ビルだから、賃貸で選ばれない事はありません。古くてぼろくて管理が悪いのに賃料が高ければ、それは誰も選びません。けれども築古でも適切に手入れされて賃料が割安であれば、好んで選ぶテナントは大勢います。
1.22 問題は賃貸効果目的工事を低予算高効果でできるか
ここでも問題は、工事費用です。古くても「手入れが良い」物件であるためには、当然に建物設備等のリニューアル工事や賃貸効果目的工事が必要です。これを低予算で行い、かつ高い賃料効果を出す必要があるのです。ではどのように低予算高効果で出来るか?が、問題なのです。
1.23 効果はテナント目線で決まる
更に問題は、賃貸効果目的工事は、費用をかけると比例して効果がでる類のものではない事です。賃貸効果目的工事の結果が、単にテナントに好感を持たれるのではなく、テナントが見込みむ賃料を払って良いと考え、それも他物件より自物件を選ばなければ「高効果」は実現しません。「効果」はテナント目線で決まります。つまり自ビルを選ぶ可能性が高いテナントの分析が必要になるのです。これは地域賃貸マーケティングで行います。

1.3地域賃貸マーケティング

賃貸は、地域賃貸マーケットで決まります。だから築古ビル経営には、地域賃貸マーケティングが欠かせません。
1.31 地域賃貸マーケット
賃貸マーケティングというと難しく聞こえるかもしれませんが、賃貸で利益を得る以上、地域でどんなテナントが自ビルを選ぶか、自ビルの賃料ポジションはどの程度か、地域の賃貸の動向はどうか、くらい知っておきたい訳です。
1.32 自ビルが選ばれるベスト賃料を決められる
賃貸マーケティングがわかると、自ビルの募集賃料を自分で決められるようになります。 賃貸マーケットには波がありますが、地域賃貸マーケットの中での賃料ポジションは、他のライバル物件との比較で決まります。これが分かると、募集賃料が高すぎる、安すぎる、という事が無くなり、いつでも自ビルが選ばれるベストな賃料を決められます。
1.33 低予算高効果の賃貸効果目的工事ができる
なにより地域賃貸マーケティングができると、低予算高効果の賃貸効果目的工事ができるようになります。工事後の賃料収入を見込めるから、過剰投資リスクを回避できます。地域で自ビルを選ぶ可能性が高いテナントとライバル物件がわかるから、自ビルを選ぶ可能性が高いテナントがライバル物件より自ビルを選ぶように、賃貸効果目的工事の中身を決める事ができます。

1.4 安定ビル資産経営

この地域賃貸マーケティングをベースに、賃貸経営と分散修繕を組み合わせるのが、安定ビル資産経営です。
1.41 ビル経営ではなくビル資産経営
従来のビル経営は、地域賃貸マーケティングで賃貸を成功させ、ほぼ終わりでした。 けれども築古ビルは、同時に建物設備等の経年劣化部分のリニューアル等工事を分散修繕で行うって、ビルの(利益を産む)資産価値も保たなければいけません。そうしなければ、賃料収入は減少の一途です。 収益ビルを、ビルを利益を産むビル資産として維持しながら、必要な時には賃貸を成功させて、ベストな賃料収入を維持するのが、ビル資産経営です。

1.42ビル資産経営の4面性
ビル資産経営には、4面性があります。実際の問題対応の際には、全ての面を見ます。ただしここでは、30年安定ビル資産経営計画の作成を通して、権利契約を除いた、「物」「数字」「営業」の3面がどう関係し、どう一緒に検討するかを見ていきます。

1.43 安定ビル資産経営とは
一般の中小ビル資産経営者が目指すのは、安定ビル資産経営です。理想的な安定ビル資産経営は、次の通りです。

安定ビル資産経営は、安定した利益を産み続けます。とはいえ同じ利益がずっと続くという意味ではなく、もちろんテナントの退去や、賃貸マーケット相場の低迷で、賃料収入が減る事はあります。想定外の支出がある事もあります。更に経年と共に賃料収入が下落傾向になる事は、止められます。(ただしインフレで相殺できる可能性もあります。)

短期ではそうした増減があれども、長期でみれば極端に大きな支出や収入ゼロ期間といった大きなアップアンドダウンの波がないのが、「安定」ビル資産経営です。

今年は賃料収入がゼロで高額リノベーション投資を行い、来年は賃料収入が上がるけれど、10年後はまた下がるといったサーカスは、リスクを取れるプロがやる事です。

1.5 30年安定ビル資産経営計画の作成

最初は30年安定ビル資産経営計画の作成が欠かせません。賃貸は心配ないという場合でも、分散修繕の予算を見込むために必要です。また地域賃貸マーケティングに基づき、賃貸方針とアップサイド、ビルの将来も考えておきたいのです。
1.51 地域賃貸マーケティングで賃貸経営と分散修繕が繋がる
収益ビルでは、分散修繕の原資は、将来の賃料収入です。将来の賃料収入は、分散修繕の結果、テナントに見込み賃料で選ばれるビルであり続ける事で実現します。

賃貸経営と分散修繕は、収益ビルのビル資産経営では一体なのです。これを繋ぐのが、地域賃貸マーケティングです。賃貸経営と分散修繕が、どちらも地域賃貸マーケティング(から導いた賃貸方針)に基づく事で、安定ビル資産経営は継続できます。

この関係は、最初は30年安定ビル資産経営計画を作成して、確かめたいのです。
11.52 将来の賃料収入を見込める。ベストな賃料収入を選べる
30年安定ビル資産経営計画のうちの賃貸計画を作成する事で、将来の賃料収入を見込む事が出来るようになります。 現状維持・・・は、確かにベストですが、築古ビルの賃料は、そのままでは経年と共に低下します。心配はいりません。賃貸効果目的工事投資を行い、低下を食い止める(アップサイドを取る)事ができます。30年安定ビル資産経営計画を作成を通して、色々なアップサイドの可能性を試す事ができます。ベストな賃料収入を選ぶ事ができるようになります。
1.53 需要縮小時代は、将来の賃貸悪化に備えたおきたい
また、特にこれからの時代、ル30年安定ビル資産経営計画を作成すべき理由があります。

これからの日本は本格的な人口激減時代です。多くの地域で、地域賃貸マーケットの先行きが難しくなります。だから見通しを持ちたいのです。将来厳しくなりそうであれば、時にプランBプランCを準備したいのです。

こうした検討は、ビル資産経営者の視野を広げます。だから最初に30年安定ビル資産経営計画を作成すべきです。
1.54 30年安定ビル資産経営計画の作成



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築30年以上中小ビル分散修繕・安定ビル資産経営についてのご質問、その他中小ビル資産の維持・経営・所有等のご不安問題は、ビルオへお気軽にご質問下さい。ビルオは、日本で唯一の築30年以上中小ビル資産所有者、経営者、後継者のビル資産維持相談窓口です。利益と資産を守ります。一棟から十数棟ポートフォリオまで、幅広くご対応します。

Ⅱ 地域賃貸マーケティング

地域賃貸マーケティングは、安定ビル資産経営で利益を守る要です。ベストな賃料収入を実現するだけではなく、無駄のない低予算分散修繕工事で、テナントに選ばれるビルを実現するおです。 地域賃貸マーケティングには、これからご紹介する6つのポイントがあります。ビル資産経営者であれば、無意識で出来ている事も多いでしょう

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2.1 地域賃貸マーケット

地域賃貸マーケットの全体像は次の通りです。

2.11 地域賃貸マーケット(のセグメンティング)
地域賃貸マーケットとは、切り口によって様々です。例えば、渋谷、新宿、池袋といった単位の場合もあれば、東京六区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)と、城南 城北 城東 城西といった区分もあります。

または、渋谷という一つの地域を取っても、駅の西側と東側で別れたり、駅前繁華街や特定地域が限定される事もあります。

一棟のビルにとって、把握したい地域賃貸マーケットは、後に説明する自ビルのライバル物件が存在する範囲です。自ビルの地域賃貸マーケットの理解は、広すぎない事が重要です。広すぎるるほど、地域賃貸マーケットの動きを把握しづらくなるからです。
2.12 自物件の特徴
自物件の特徴とは、賃貸マーケットでの自物件の情報です。良し悪しはありません。全て自ビルの個性です。

ただしこの自物件の特徴には、固有の特徴(変えられない特徴)と変えられる特徴があります。

経年によってテナントが物件に求める条件は変わってきますから、時に変えられる特養に変化を加えながら、テナントに選ばれ続けます。
2.13 自物件を選ぶターゲットテナント
地域賃貸マーケティングで最も重要かつ永遠の課題が、「自物件(の特徴)を選ぶターゲットテナント」を見つけて、理解する事です。

テナントは、事業規模や事業タイプに適した「条件」をつけて物件を探します。 例えば
  • 貸室の床面積は、部屋を使用する従業員数や事業規模と関係します
  • また立地条件やビルグレードも、事業のタイプと関係します
  • 来客型ビジネスは、駅に近い繁華街や主要通り沿いを好みます。逆に裏通りの静かな環境を好む会社も少なくありません。女性が主の会社に好まれやすいビルと、男性が主の会社に選ばれるビルとは、雰囲気が違います。といった具合です


知りたいのは、どのような条件で部屋を探しているテナントが、自ビルの特徴を選ぶ可能性が高いのか、です。そしてそれはどうしてなのか、ターゲットテナントを理解したいのです。 ちなみに1棟のビルで、ターゲットテナントは1タイプだけではなく、多数あります。沢山見つけられる程、より賃貸がやりやすくなります。
2.14 自物件のライバル物件
自物件のライバル物件とは、自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントが、物件探しの時に他に比較検討をするビルです。貸床面積や立地条件をはじめ物件特徴が似通っているビルが該当します。
特に築古ビルでは、地域賃貸マーケットの中で比較検討されるライバル物件、つまり自ビルと条件が似たビルは、ある程度決まっています。

自ビル物件の募集賃料は、ライバル物件との比較で決まりますから、ライバル物件を知っておくことは重要です。また賃貸効果目的工事をする場合にも、ライバル物件を研究すると、より無駄なく効果的に出来るようになります。
2.15 自物件のポジショニング
自物件のポジショニングとは、自物件の賃料の事です。自ビル物件の募集賃料は、地域賃貸マーケットの水準とその中での他のライバル物件との比較できまります。他のライバル物件との比較による自ビルの賃料ポジションが、自物件のポジショニングです。
自物件のポジショニングが重要な理由は、自力でアップが可能だからです。 ベースとなる地域賃貸マーケットの相場は、社会経済の動向や、地域の興隆衰退で常に上下しています。ただリーマンショック後の低迷期を思い出せばわかりますが、個人では買えられません。それに対して自物件のポジショニングは、経年と共に下がりますが、賃貸効果目的工事投資等でアップする事ができます。
2.16 地域賃貸マーケットの動向を読む
現在の地域賃貸マーケットが見えてきたら、将来の動向を読む訓練も始めます。

賃貸マーケットは、様々な社会経済事情の影響を強く受けます。
  • 社会経済環境による影響(例えばリーマンショック後や、特定産業の衰退)
  • 地域の今後の人口減少が激しい
  • 近隣で再開発等があり人の流れが変わる
  • 学校や企業等の移転が予測されている
  • ターゲットテナントの事業環境の変化
時に厳しい状況が予測される時には、何らかの対策を練る必要があります。
時に厳しい状況が予測される時には、何らかの対策を練る必要があります。先の先まで様々なケースを想定して、利益と資産を守るための手立てを考えておくのが、ビル資産経営者の在り方です。

将来の動向を読むには、ある程度経験が必要です。トライアンドエラーを繰り返す事で、視野が広がり、精度が上がってきます。

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Ⅲ 築古ビルの賃貸経営:賃貸方針

実際の賃貸は、出たところ勝負です。テナントはいつ退去するかわかりません。賃貸マーケットの相場は常に変わります。 それでも賃貸計画を作成する理由は、将来の賃料収入見込みを立てたいのです。そうでなければ、分散修繕の予算が決められません。また将来大きな環境悪化が予定される場合も、対応を考えなければいけません。

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3.1 ビル賃貸経営の全体像

最初に賃貸経営の全体像を理解しておきましょう。賃貸経営としての賃貸方針が、その後の賃料収入を作ります。だから築古ビル資産経営では、賃貸方針が肝です。
3.11 賃貸経営の全体像
ベストな賃料収入を維持続ける賃貸経営は、
賃貸方針 (賃料収入を計画して物件を準備する)
賃貸リーシング (賃料収入を実現する)
賃貸管理 (賃料収入を守る) の3つから成ります。
3.12 賃貸方針とは
賃貸方針が重要な理由は、ここに問題があると、ベストな賃料収入を得られないからです。テナントを見つけるのは賃貸リーシングですが、その前に選ばれる賃料で募集をしなければいけません。目指す賃料で選ばれるよう、賃貸効果目的工事を行う事もあります。
3.13 賃貸効果目的工事は先行投資
ビル資産経営としては、ペイできる予算で賃貸効果目的工事を行い、ベストな賃料収入を実現して。利益を確保します。

ところが、賃貸甲岡目的工事は先行投資だから、投資失敗のリスクがt根にあります。 賃貸方針をしっかり考える事で、賃貸効果目的工事がペイできないリスクを極力回避します。

3.2 賃貸方針を決める

30年安定ビル資産経営計画では、賃貸方針を決めます。選びたいのは、もちろん将来も安定した一定水準の賃料収入が続く賃貸方針です。
3.21 現在の用途で将来も大丈夫か?
ところで通常は変わりませんが、人口縮小の時代です。現在の用途や賃貸マーケットが30年後も安泰かどうか、確かめておきましょう。

ここで問題がある場合は、この先XXXで見て見ます。
3.22 ターゲットテナントも大丈夫か?
自ビルのターゲットテナントが、今後30年一定の需要があるだろうかも、確かめます。縮小の時代は、業界や業種の縮小もあり得ます。たとえば縮小が見込まれる場合は、乗り換えるターゲットテナントを見つけなければいけません。

ターゲットテナントは、実際のリーシングの時に決めればよいとも言えますが、ターゲットテナントを特定しておくと、よりターゲットテナントに効果がある賃貸効果目的工事を低予算で考えられるようになります。
3.23 将来の自ビルの賃貸ポジションとアップサイド
30年賃貸計画の賃貸計画では、たとえ現在満室でも、テナント入居期間を想定して、(テナントサイクルといいます。)想定テナント入居期間後に退去して、次のテナントが入ると想定します。

問題が、想定テナント入居期間後の将来に、いくらの賃料収入を見込むか?です。 賃貸マーケット全体の相場は予測できませんが、地域賃貸マーケットの中でのライバル物件と比較した賃料相場を考えれば、現状維持できるか、少し下がるか、大きく下がるか、想定する事ができます。

一方築古物件は、リフォーム等賃貸効果目的工事投資をして、下落した賃料をアップするという札があります。例え賃料現状維持であっても、下落想定に対してアップであれば、それはアップサイドといいます。
3.24 アップサイドの札をどう切るかが賃貸経営の要
将来の賃料収入見込みは、このアップサイドの札をどう使うかで違ってきます。だからこれも賃貸方針の一部です。

賃貸効果目的工事の予算が底なしなら別ですが、安定ビル資産経営としては、過剰に賃貸効果目的工事投資を繰り返しては、利益が残りません。 利益が残るように、分散修繕の一部として、賃貸効果目的工事の予算をコントロールしなければいけません。それ以上に重要なのが、賃貸効果目的工事は、費用をかければ比例して賃料収入が上がるものではなく、費用を賭けようがかけまいが、テナントが「アップサイドの賃料を払って良い」と思う事をすれば、アップサイドが実現します
だから、一度くらいはアップサイドの可能性を広く考えておきたいのです。

3.3 賃貸効果目的工事

築古賃貸経営の花形?が、賃貸効果目的工事です。創意工夫で結果を出せる一方で、過剰投資リスクも高いところだから、高効果を出す考え方とリスク回避の考え方が重要です。
3.31 賃貸効果目的工事の例
リフォーム/リノベーション工事は、高額です。実際に賃貸効果目的工事は、例えば次のような対象があります。予算を削減するには、個別に考えて分散修繕として予算を削減します。
3.32 賃貸効果目的工事における3つの数字上限
賃貸効果目的工事の予算は「分散修繕」に入ります。ただ、賃料収入に対する費用対効果も必須です。ここを間違うと負のサイクルに陥ります。だから実際には、次の3つの「数字」の予算上限を守ります。
3.32-1アップサイド賃料の上限
賃貸効果目的工事で工事をしなかった場合と比べて賃料をアップするにも、そのアップ幅は地域賃貸マーケットの中で上限があります。築古中小ビルがどんなに頑張っても、新築Aクラスビルの賃料水準は無理でしょう。 現実にアップサイドの上限がどの程度かは、賃貸効果目的工事を検討する前に、地域賃貸マーケティングでわかります。必ず調べておきます。それだけでリフォーム業者等の営業に乗せられなくなります。
3.32-2 分散修繕工事の予算上限
分散修繕工事予算として、賃貸効果目的工事の予算の上限を決める事は、長期的なビル資産経営維持に欠かせません。 賃貸効果目的工事の予算も、30年分散修繕工事予算から賄われます。空室長期化が嫌だからと、賃貸効果目的工事に予算を使いすぎてビル資産の維持に必要な工事ができず、事故が多発してテナントが出ていってしまっては、元も子もありません。

賃貸効果目的工事は、いつ現在テナントが退去して必要になるか予測ができませんから、早めに予算を確保しておきます。また賃貸効果目的工事は、部屋毎に必要な工事は部屋の数、トイレ・給湯室はフロアの数、必要になる事にも留意します。
3.32-3 費用回収期間
費用回収期間は、自ビルの利益を守るために重要な数字です。 例えばテナントが10年程度で入れ替わるビルで、入替りの都度必要な工事で費用回収期間が10年を超しては、実質費用回収が出来ないのです。早期退去のリスクがありますから、5年でも不安です。 ただし効果見込み期間が数十年と長い場合は、多少長くても許容範囲です。 費用回収期間は、最後は自分で決めるものですが、長い程自分の利益が無くなると理解しておきます。

計算方法は次の通りです。
3.33 費用対効果は比較検討で使う
賃貸効果目的工事で使われる数字として、もう一つ費用対効果があります。リフォーム業者等の営業で、費用対効果が高いですよと言われる場合もありますが、しょせんん「効果」は想定だから、費用対効果の数字単体ではあまり意味がありません。

費用田効果の数字は、複数案を比較検討する時には使えます。 「効果」の実現度が高く、かつ費用対効果が高い案 を選ぶのです。ビル資産経営で、決める、とは複数の選択肢から選択をする事です。賃貸効果目的工事を検討する時も、必ず複数案を比較検討して、「効果」の実現度が高く、かつ費用対効果が高い案を選択します
3.34-1 費用対効果の計算
費用対効果の計算は次の通りです。
3.34 何が(低予算で)効果があるのか?
問題はこれです。30年安定ビル資産経営計画の作成時点で、10年後20年後の工事内容を決める必要はありませんがこれは10年20年ずっと考えておきたいテーマです。特に「低予算」がつくと、尚更です。

何が効果があるかは、「物」と「営業」の世界です。「数字」は関係ありません。

何が効果があるかは、ピータードラッカーの名言の1つ、「強みの上に築け」 が全くその通りです。実際、
  • ターゲットテナントに選ばれる自物件の強みの理解
  • ターゲットテナントの選好性の理解
  • 他のライバル物件との比較検討
をします。ターゲットテナントの選好性は、しばしば色や仕上り、些細な工夫やセンスといった、投下費用とは関係ない細部にあります。「神は細部に宿る」です。洞察を深めるためには、ターゲットテナントの理解はもちろんのこと、ターゲットテナントが選ぶ他のライバル物件の研究も欠かせません。
3.35 沢山検討する
現在のビルとほとんど変えない、も手です。無難に綺麗にする手もあれば、他のビルにない個性を作って攻める手もあります。その仕上がりによって、また次の賃料アップサイドも違ってきます。30年安定ビル試案経営計画の作成を通して、色々考えてみる事をお勧めします。沢山考える程、良いアイデアが浮かぶ可能性が高まります。

3.4 用途や賃貸マーケットの先行きが難しい場合

先に、3.21 現在の用途で将来も大丈夫か?で、現在の地域賃貸マーケットの将来を考えましたが、時に現在の用途の地域賃貸マーケットが消滅もしくは激減して、明らかに将来も大丈夫ではないと予測される場合もあります。学校や大きな会社・スーパー・工場が移転する・・と言った例です。そうした場合に、他の用途等を検討する際のヒントを簡単に述べておきます。(縮小日本では、AがだめならBといった単純な事はまずありません。)
3.41 貸会議室・シェアオフィス・貸倉庫等)
こうした空間ビジネスを入れる事をオペレーション導入といいます。(空間を)オペレーション(する)ビジネスが成功するかどうかは、ビジネス運営者(オペレーター)の手腕で決まります。立地や物件は関係ありません。そして長く生き残るのはわずかです。 一時は空室対策の切り札としてもてはやされ、営業も盛んです。自分に広告宣伝集客力と運営力があるか、さもなければ能力が高いオペレーターと組む事ができる場合だけ、手を出す事ができます。
3.42 用途変更
オフィスがダメだから居住用に変更する。ホテルに変更する。といったソリューションも時々聞きます。用途変更は最終手段です。相応の改装投資をペイするのは簡単ではありません。 また例えばオフィスから住居、ホテルへといった場合、マーケットが変わるだけではなく、建物にかかる建築基準法の適用も変わります。住居やホテルはオフィスとは比べ物にならない程水使用量が増え、給排水管の問題も増加します。そうした新天地の特徴も十分に考慮します。
3.43 それも見当たらない場合
人口縮小時代には、色々検討をしてもどれも思わしくない、という場合が少なくないでしょう。どうすれば良いのか?

安易にダメだと結論して思考停止しない事です。想定したより状況が悪くない場合もあるし、想定していなかった新規流入がある場合もあります。地域賃貸マーケットが消滅するような事態なら、地域全体で街おこし/街の再生を話し合うべきです。(需要が激減する時代に大型再開発依存は、すべきではありません。将来に負債となります。)

補足 賃貸リーシングの改善

30年安定ビル資産経営の作成からは外れますが、実際の賃料収入実現に欠かせない、賃貸リーシングの改善を簡単にご紹介しておきます。賃貸リーシングが不安でも、賃貸計画を弱気に見込む事はありません。

補足1.1 募集賃料の設定
入居テナントから退去予告があり、次のテナントリーシングが必要になる都度、地域賃貸マーケティングで地域賃貸マーケットの現在の賃料相場と自ビルの賃料ポジションを確かめます。

上級者の場合、加えて
  • 地域賃貸マーケットの相場が上昇気味なら強気の募集賃料をつける
  • 相場は弱いけれど、資金や礼金、フリーレント等の条件を使って、賃料水準を守る
補足1.2 賃貸リーシングの改善
賃貸リーシングは次の仕組みです。

要は自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントに、自ビルの物件情報を(魅力的)に知ってもらいたいのです。テナントはテナントで、物件探し手段があります。 賃貸リーシングはやってみなければわからないところがあるので、最初から期待通りの内覧があり即入居申込書が入る事は滅多にありません。2週間ほど状況を見て、手ごたえがなければ早いペースでPDCAサイクルを回します。内覧が増え、手ごたえが現れ、入居申し込みが入ります。

通常元付不動産屋(PM会社の事もあります)は、営業パートナーです。リーシング中は、2週間に一度は打ち合わせをします。どうも上手く行かない場合は、ここの対策も考えます。
補足1.3 元受け不動産屋との付き合いスタイル
現実には、付き合いの長い不動産屋が高齢や得意分野の変化、代替わり等で動きが弱くなったために、空室が長期化していたり安い賃料で決めざるを得ない残念なビルが少なくないのが現実です。

そうした場合、元付不動産屋の変更を考える事になります。


1 A社からB社に変える。これは一番楽です。付き合う相手が変わるだけで今までと同じです。ただし、今まで付き合いがなく相手の実力や相性が分からないまま、1社に賭けるのはリスクもあります。
2 複数社に元受けとして声をかける方法もあります。こちらは可能性が高まります。けれども、情報や管理の手間が級数的に増えます。
3 少なくないのが、リーシング力に不満はあるけれど、現在入居テナントの入居管理をしてくれているし、賃貸契約書の文言が変わるのも嫌だから、そこは変えたくないと言う場合です。その場合は元受け不動産屋は今までのままで、貸主が自分で客付け不動産屋に営業にまわります。自物件資料を持っていって、お願いしますと言って回る訳です。客付け不動産屋も、顔を知っているとより力を入れて営業をしてくれるようになります。手ぶらではお願いしづらければ、広告宣伝費1ヶ月を手土産にします。

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Ⅳ 収益ビル資産の分散修繕

収益ビル資産の分散修繕計画の考え方は、30年分散修繕計画の作成でご紹介しています。全体の理解はこちらをご参照下さい。ここでは収益ビルで留意すべき点についてのみ、言及をします。

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4.1 収益ビルの分散修繕計画作成の流れ

分散修繕計画の作成の流れは30年分散修繕計画の作成の通りです。ただ収益ビル特有の留意点がいくつかあります。

4.11 見込み賃料でテナントに選ばれるビルを維持する
収益ビルの分散修繕の目的は、ビルを見込み賃料でテナントに選ばれるビルとして維持する事です。そうしてテナントに選ばれ続ける事で、賃料収入を得て利益が永続できます。
4.12 収益ビルの分散修繕計画の作成に必要なこと
ビル資産所有者は、収益ビルの分散修繕にあたっても、
1.自ビルに必要な工事の全体を把握できる
2.工事判断の結果の将来のビルを想像できる
3.工事に優先順位を付けられる
必用があります。また相談相手も必要です。 加えて収益ビルの分散修繕では、
4 地域賃貸マーケティングでターゲットテナントを想像できる
5 賃貸方針がある も必要です。5は、30 年安定ビル資産経営計画を作成をしながら見つけます。
4.13 地域賃貸マーケティング及び賃貸計画と一体
収益ビルの分散修繕計画は、賃貸計画と一体です。 賃貸計画で見込んだテナント入れ替わりにアップサイドを取るタイミングで、賃貸効果目的工事の予算が入ります。しかも金額は、アップサイドに対してペイできる予算内です。「数字」だけではなく、「物」として何の工事をすべきか、は地域賃貸マーケットの分析次第です。

4.2 収益ビルの分散修繕計画で考える事

収益ビルの分散修繕計画作成に当たって考えるべき事は、賃貸方針に基づきます。
4.21 分散修繕工事の財源
分散修繕工事の財源は、賃貸方針で想定をした賃料収入です。

そこから実際に分散修繕に取り分けるのは、5%~10%です。とはいえ管理費用、公租公課、所得税、借入金があればその返済も引かれます。そこから自分の利益を確保します。

収益ビルでは、分散修繕の工事が将来の賃料収入を作りますが、ここで実賃料が想定賃料を大きく下回ると、投資過剰となり、負のサイクルに陥るリスクが高まります。かといって投資過小でも、収益機会を失います。+ここは繰り返し思考錯誤をして、実現性の30年の賃料収入水準を決めます。

4.22 今後誰がどのようにビルを使うか?
収益ビルの使用者は、テナントです。地域賃貸マーケティングで、絞ったターゲットテナントの、事業だけではなく、選好性や拘り、彼らが自ビルを選ぶ理由の理解に努め、そこから自物件の何が評価されているのか、どこをどう改善すれば、より選ばれるようになるのか?考察を深めます。ビルオはこうした話し合いからアイデアを引き出す事を得意としています。
4.23 30年後の自ビル使用者が使用している自ビルの様子
ここで描くのは、地域賃貸マーケットの中でターゲットテナントに選ばれる自ビルです。見た目だけではなく、建物設備機能も含めたビル全体のグレード感が、想定賃料で選ばれる水準にあるかどうかを、丁寧に考えます。

ここで潤沢な予算があれば、リノベーション工事や改装工事で新築に負けないビルとなりますが、30年安定ビル資産経営が目指すのは、なるべく低予算投資でベスト賃料で選ばれるビルです。 経験がないと、賃貸が不安でついあれもこれも「盛り」たくなります。経験を積むと、「この程度で十分」という引き算ができるようになります。安定ビル資産経営で十分に利益を残すにはこの「引き算」が欠かせません。けれども経験が十分ではなくても心配いりません。ライバル物件を研究する事で、ライバル物件より選ばれる自ビルの在り方を、描きやすくなります。

4.3 収益ビルでは何の工事が必要か?

収益ビルの分散修繕計画では、対象工事が2種類に増えます。
4.31 収益ビルの分散修繕の対象は2種類
収益ビルの分散修繕計画では、対象工事が2種類あります。

- ビル資産の使用維持に必要な工事
- 賃貸効果目的工事

賃貸効果目的工事は、数に注意をします。例えば1部屋の内装リフォームに費用をかけすぎて、他の部屋の予算がなくなると、非常に困った事になります。

4.32 厳密に分かれる訳ではない
ビル資産の使用維持に必要な工事と賃貸効果目的工事は、それぞれ別の工事に分かれるとは限らず、しばしば複合的です。例えばビル資産の使用維持に必要な工事に、賃貸効果目的を考えた機能性能グレードが必要といった具合です。

4.33工事サイクルはビルグレードを考慮
収益ビルの工事サイクルは、ビルの賃貸ポジションで期待されるレベルを考慮します。

賃料が割安ならば、多少工事サイクルが長めで時々停電や漏水といったトラブルがあっても、大目に見てもらえるでしょう。賃貸ポジションが高ければ、高いビル管理を要求されます。

テナントに迷惑はかけられない/費用を節約したい、といった「経営者の気持ち」で決められる傾向がありますが、地域賃貸マーケティングで適正水準を分析して決める事で、無駄がなく費用を節約できます。

4.4 収益ビルではどう経済的に工事をするか?

収益ビルでも、どう経済的に工事をするか?の考え方は、30年分散修繕計画の作成と同じです。特に賃貸効果目的工事は、予算削減が多くあります。

4.31グレードや機能性能水準はビルの使用と賃貸ポジションを考慮
各建物設備や内装等のグレードや機能性能の水準も、収益ビルでは、将来のビルテナントで決まると同時に、アップサイドでどの程度の賃料ポジションを狙うかで、決まります。

地域賃貸マーケットでの賃料ポジションが高いほど、テナントの要求も高まります。割安ビルであれば、鍵だけで許されても、賃料ポジションが高いオフィスビルは、機械警備を要求されるといった具合です。だから30年安定ビル資産経営計画を作成して、具合の良い水準を見つけたいのです。

将来賃料が上がるなら機能性能グレードに費用をかけてもよいかというと、将来の賃料収入は「見込み」です。実現しないリスクも当然にあります。だからいくつかのケースを想定して慎重な検討が必要なのです。
4.32 賃貸効果目的工事は工事業者選びに注意
賃貸効果目的工事の注意点は2つあります。
まず数です。実は数が多いので、1部屋に精いっぱい予算配分をすると、他の部屋で困ります。
次に、工事業者選びの幅が広い事にも注意が必要です。
いわゆる内装リフォーム業者は、星の数ほどあります。高級内装やデザイナーズ内装等、費用はその気になれば天井無しです。ただ一方で、内装工事は何をすればよいかわかっていれば、自分でDIYも可能です。今は例えばyoutubeでもDIY講座ビデオが多数あります。職人に指示する事もできます。ここはリフォーム業者頼りではなく、何が効果があるかを、自分で考えるところなのです。
4.33 DIYや思い切った削減を恐れない
収益ビルの分散修繕工事が実現する現在ビルの将来像は、結局テナントが見込み賃料で選んでくれるかどうかが、全てです。

一般的や普通でなくても、テナントに選ばれ利益が残れば十分なのです。だから予算削減が必要であれば、DIYや思い切った削減の選択肢もあります。例えば以前に見て関心をしたのが、繁華街の雑居ビルで、上層階で漏水事故が続いたため、上層階のトイレと給排水を全て廃止しました。上層階のテナントは、1階のトイレを使用します。でも賃料が割安だから、テナントは入っています。

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Ⅴ 安定ビル資産経営

ここまで見てきた30年賃貸計画と30年分散修繕計画を合わせて、30年安定ビル資産経営計画を作成します。といってもただ重ねるのではなく、「安定」を確かめて、必要に応じてリスクが分散できるように、調整します。

5.1 安定ビル資産経営とは

ビル資産経営は、「安定」を目指します。「安定」は、「低リスク」だからです。数字だけではなく、物と営業面の全てに「安定」を求めます。

5.11 安定ビル資産経営とは
安定ビル資産経営とは、 ・事故を起こさず 
・賃貸を継続   
・負債を作らず  
・利益を維持する 
4つが満たされた状態です


5.12 ビル資産経営の4面性から見た安定ビル資産経営
これをビル資産経営の4面性で見ると、
4面性安定ビル資産経営ビル資産経営での内容
物の面事故を起こさずビルの経年劣化部分のリニューアル等工事を行う
営業面賃貸を継続地域賃貸マーケティングで賃貸方針+物のビルに賃貸効果目的工事を行う
数字:BS 負債を作らない計画的に分散修繕に取り組む
数字:PL利益を維持する地域賃貸マーケティングで、低費用高効果の工事内容を精査
ここには出てきませんが、所有の「権利」はもちろんある事が前提です。

5.13 安定ビル資産経営のサイクル
この安定ビル資産経営は、安定ビル資産経営のサイクルで維持できます。

一度安定ビル資産経営のサイクルを作ると、サイクルの力で比較的楽に安定ビル資産経営を維持できるようになります。だから最初に30年安定ビル資産経営計画を作成して自ビルのベストな安定ビル資産経営サイクルを見つけておくと、後は楽にビルを維持できるのです。

5.2 安定ビル資産経営のストーリー
この「安定ビル資産経営」のサイクルは、ストーリーとして確かめられます。「数字」のストーリーと「」営業のストーリーと「物」のストーリーがあります。それぞれが密接に関係します。

5.21 安定ビル資産経営:数字のストーリー
30年安定ビル資産経営計画の数字のストーリーは、最も確かめやすいものです。基本は分散修繕と同じです。

賃料収入から経費や公租公課や税金等を支払い、一定の安定利益を維持した上で、工事予算を準備し工事をする、また工事予算を準備し工事をする、の繰り返しです。ただ将来の安定した数字を作るのは、「営業」のストーリーと、「物」のストーリーです。だから両者の裏付けが非常に重要です。

5.23 安定ビル資産経営:営業のストーリー
賃貸経営のストーリーは、賃貸経営計画として既に考えましたが、改めて確かめます。

テナントは、回転サイクル毎に退去します。その次に入居するテナントの賃料は、地域賃貸マーケット内でのその時の自物件の賃貸ポジションです。どこかで賃貸効果目的工事投資を行って、アップサイドを取ります。そうして賃料収入が大きく下がる事を避け、賃料収入の安定を守ります。 ただ将来を実現するためには、「物」のビルがアップサイドの賃料で選ばれるだけの状態でなければいけません。「数字」も、必要な賃貸効果目的工事等に費用を投資して、利益を守れなければいけません。だから、「営業」のストーリーは、「物」のストーリーと「数字」のストーリーの裏付けが必要です。

5.22 安定ビル資産経営:物のストーリー
収益ビルの「物」のストーリーは、建物設備機能の状態を、基本は、想定している賃料ポジションで選ばれる水準で安定して維持します。入居テナントの満足度に関わるからです。賃貸リーシングでアップサイドを取るタイミングで、賃貸効果目的工事投資を行います。 この分散修繕工事予算の原資は、将来の賃料収入だから、「数字」と「営業」のストーリーが見込み通りでなければ、将来の賃料収入は減少して、利益が損なわれます。だから「物」のストーリーも、それ自体「数字」のストーリーと「営業」のlストーリーの裏付けが必要です。

この「安定ビル資産経営」が続く状態である事は、ストーリーとして確かめます。ストーリーが破綻していたり、実現可能性が感じられなかったら。まだまだ見直しが必要という事です。全体としての安定ビル資産経営サイクルと、数字のストーリー、物と営業のストーリーの3つのストーリーで確かめます。

5.3 30年安定ビル資産経営計画の作成

実際の検討は、マイクロソフトエクセルで30年安定ビル資産経営計画の作成を通して、試行錯誤を繰り返しながら行います。

5.31 30年安定ビル資産経営計画表の作成
30年ビル資産経営計画は、

賃貸経営計画
(管理計画)
(資金計画)
分散修繕計画
を一体に統合

したものです。 賃貸経営計画~(資金計画)までは、損益計算書(PL)と同じです。残る利益から更に分散修繕予算を確保して、その下に分散修繕計画があります。

5.32 30年安定ビル資産経営計画表の検討
30年分散修繕計画以上に、30年安定ビル資産経営計画の作成は、シミュレーションが重要です。十分にシミュレーションをしてトライアンドエラー経験を積み、実判断でリスクを避けられるようになる事こそが、30年分散修繕計画作成の目的です。

30年安定ビル資産経営計画表は、シミュレーションができるように、計算式の入れ込みが欠かせません。

ビルオでご相談を頂きますと、計算式の入った30年ビル資産経営計画表のひな型をご提供しています。

5.33 沢山検討、繰り返し見直し、再作成する
30年安定ビル資産経営計画表の最初の作成は、数字合わせで精いっぱいでしょう。最初は誰でもそうです。けれども自分でビルの状態や賃貸を考えながら、この場合はどうなるか?こちらの場合はどうか?と数字の検討を繰り返すうちに、だんだん地域賃貸マーケットやビルの状態や将来のビルの在り方等が見えてきます。 そうして考える経験を積む事で、実際の賃貸や工事のビル資産経営判断の場面でも、大きなリスクを避けらえっるようになります。自然に安定ビル資産経営が維持できるように判断ができるようになります。 安定ビル資産経営サイクルの軌道に乗れば、後はそう難しい事はありません。50年でも100年でも200年でも、安定したビル資産経営を継続して、利益を積み上げる事ができます。

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