築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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低予算低リスク高効果で賃貸も継続の安定ビル資産経営

築古収益ビルは、分散修繕に加えて地域賃貸マーケティングで低予算低リスク高効果に工事を行い、賃貸を継続する事ができます。

サマリー



  • 築古収益ビルの安定ビル資産経営には、上の5つが欠かせない
  • 築古でも、管理が良く賃料が手ごろならテナントは入る 基本の建物維持は、低予算低リスクの分散修繕
  •   ただし収益ビルは加えて、地域賃貸マーケティングに基づく、低予算高効果が必要
  •  安定ビル資産経営のサイクルを回す事で、安定したビル資産経営が持続する
  • 30年安定ビル資産経営計画作成は必須。作成の試行錯誤が、経験として実判断で生きる


コンテンツ

Ⅰ 安定ビル資産経営とは
Ⅱ 地域賃貸マーケティング
Ⅲ 築古ビルの賃貸経営計画
Ⅳ 分散修繕
Ⅴ 30年安定ビル経営
補足 賃貸リーシングの改善

Ⅰ 安定ビル資産経営とは

分散修繕は、ビル資産所有者が自分で自ビル資産維持に必要な工事をある程度前もって判断し、準備をする事で、自分の予算かつ低予算低リスクで必要な工事を行い、自ビルを負債化させずにビルとその使用利益を維持する方法です。安定ビル資産経営は、これに加えて、地域賃貸マーケティングに基づく「低予算」「高効果」工事を行う事で、安定した賃貸経営を継続します。基本は分散修繕です。その上で安定ビル資産経営には何が必要かを、確かめましょう。

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1.1 築古ビル経営の問題

ビル経営は経年と共に難しくなる。が日本の常識です。具体的に何が難しくなるのでしょうか?
1.11 経年とともに賃料が下がり空室が長期化する
経年ともに賃料が下がります。ビルから清潔感が失われ、あちこちが古臭くなります。賃貸募集をしても、すぐに次のテナントが決まらなくなり、空室が続く事もあります。そうして賃料収入が減っていきます。
1.12 一方で工事費用は増える一方
築古ビルはただでさえ、経年劣化した建物設備機能等のリニューアル工事が必要です。加えて賃貸が難しくなると、リフォーム工事やリノベーション工事を勧められます。けれどもリフォーム工事やリノベーション工事はしばしば高額投資です。ペイができない恐れがありますから、おいそれと手を出せません。
1.13 築古ビル経営の負のサイクル
経年と共に賃料収入が減り、一方で工事支出が増えると、高額工事支出で負債化のリスクが高まります。そこで必要工事をやらなくなると、建物は劣化し賃貸がより悪化します。すると改善の費用が余計に高まります。この負のサイクルが続くと、状態の悪いビルからテナントが退去し、次のテナントが入らなくなります。空室が増えて経営が破綻します。どうやってこの破綻を避けられるのでしょうか?

1.2 築古ビルにはビル資産経営が必要

築古ビルに、賃貸経営だけでは足りません。分散修繕と一体になったビル資産経営が必要です。
1.21 築古ビルも賃貸で選ばれる
築古ビルだから、賃貸で選ばれない事はありません。古くてぼろくて管理が悪いのに賃料が高ければ、それは誰も選びません。けれども築古でも適切に手入れされて賃料が割安であれば、好んで選ぶテナントは大勢います。
1.22 問題は、いかに低予算高効果で選ばれるために必要な工事ができるか
問題は、ここでも費用です。けれどもただ費用だけではなく、低予算でいかに、テナントに選ばれる効果がある工事ができるか、が問題になるのです。 お金を出せば、いくらでも良いリフォーム工事リノベーション工事ができます。そうではなく、自ビルの利益を守れる予算の範囲内で、その後の賃貸効果が出る工事をどうできるか?を考えなければいけないのです。
1.23 ビル資産経営の4面性
ここでもまた「数字」が出てきました。分散修繕では、ビル資産の3面性:「物」と「数字」と「権利・契約」:のうち、「物と「数字」を特に考えました。ビル資産経営は、更に、「数字」の費用と「営業」の効果も加わります。つまり4面性があるのです。そして「物」と「数字」と「営業」の3つを中心に考えます。

この「営業」は実務的には不動産屋・賃貸仲介業者が行う賃貸リーシングですが、ビル資産経営者にとってはその前段階の「地域賃貸マーケティング」を意味します。

1.3 築古ビルはビル資産経営

ビル資産の4面性のうち、特に「物」と「数字」と「営業」の3つを中心に考えるのが、ビル資産経営です。これは従来の日本のビル経営では存在しなかった、けれども築古ビルの経営維持で非常に重要な概念です。
1.31 賃貸経営とビル資産経営の違い
ビルの経年劣化が問題にならない築浅ビルの間は、管理と賃貸経営で十分でした。つまり空室が出たら、不動産屋に声をかけて、新しい入居テナントを見つけてもらいます。 けれどもビルが経年を重ねると、建物設備機能の経年劣化に対するリニューアル等工事や、賃貸効果目的の内装リニューアル工事等が必要になります。これをどのように費用をかけてどう行うかで、その後のビルの賃貸(賃料収入)が全く違ってきます。 ビル資産経営は、将来もビルが一定の賃料で選ばれるように、建物設備機能の経年劣化に対するリニューアル等工事や、賃貸効果目的の内装リニューアル工事等を分散修繕行います。賃貸と分散修繕の両方を含みます。
1.32 管理とビル資産経営との違い
またビル管理とビル資産経営とも、同じではありません。視点が違います。だからビル資産経営は、管理者(会社)に任せる事ができません。

管理(プロパティマネジメント)は、年間収益最大化を目指して、賃貸や各工事に取り組みます。 年間収益最大化は重要ですが、これだけが視点だと、目先の空室解消のために安すぎる賃料で決めてしまったり、高額のリフォーム・リノベーション投資を行いがちです。そうして負のサイクルに陥ります。 これに対してビル資産経営(アセットマネジメント)は、将来も安定利益を継続して資産価値を守る事を目指して、重要な問題対応を判断します。もちろん負のサイクルは極力避けます。
1.33 ビル資産経営の会計的理解
分散修繕の対象工事は、会計上はPLの修繕ではなく、BSの資本的支出工事と説明をしました。ビル資産経営も、その通りです。そしてビル資産経営では、単に会計上の数字管理だけではなく、 BSの資本的支出工事が、PLの収益を作るものであり、その費用対効果が十分にある事も考えます。そこで鍵になるのが、地域賃貸マーケティングです。

1.4 地域賃貸マーケティング

築古ビルでは、地域賃貸マーケティングが必須です。賃貸マーケティングとは、地域の賃貸相場やどんなテナントが自ビルを選ぶか、ライバル物件はどこか、等を把握する事です。無意識のうちに出来ている方も少なくありません。地域賃貸マーケティングを理解すると、次のメリットを得られます。
1.41 客観的に選ばれる募集賃料を付ける事ができる
空室が出た際の次の募集賃料付けについて、「前と同じ」は自ビルの理屈です。都度地域賃貸マーケティングで地域の賃料相場の様子やライバル物件の動向を把握する事で、客観的に選ばれる募集賃料を付ける事ができます。また更には、募集条件の工夫等の賃貸リーシングテクニックを、より効果的に使えるようになります。
1.42 ターゲットテナントを理解して低予算高効果な工事ができる
地域賃貸マーケティングで、自ビルを選ぶ可能性が高いターゲットテナントの理解が深まると、賃貸効果目的工事を、より低予算かつ高効果で出来るようになります。具体的にターゲットテナントの選好性や拘りが分かる事で、お金をかけずとも、ターゲットテナントに選ばれる物件に出来るのです。
1.43 より本質的な方向転換も出来るようになる
また地域賃貸マーケティングを継続的に行っていると、地域賃貸マーケットの動向も読めるようになります。積極的に薦めるものではありませんが、人口減少の縮小社会で、主要企業・会社の移転や主要産業の衰退といった先行きの厳しさが予測される場合に、そうなってから慌てて途方に暮れるのではなく、前もってじっくりと対策を考える事ができます。

1.4 目指すのは安定ビル資産経営

地域賃貸マーケティングをベースに賃貸経営と分散修繕が融合するビル資産経営。目指すのは安定です。
1.41 ビル資産経営
ビル資産経営は、地域賃貸マーケティングで将来の実現可能な賃料収入を見込み、そこから無理のない分散修繕工事予算を確保します。そして必要なタイミングで、地域賃貸マーケティングで「低費用」「低リスク」「高効果」に、ビルが一定賃料水準で選ばれる状態を維持できるために必要な工事を行います。結果、目指す賃料収入を維持する事で、安定利益を維持します。

1.42 目指すは「安定」ビル資産経営
一般の中小ビル資産所有者にとって、更に重要なのが、「安定利益」継続を目指す事です。といっても全く同じ利益を維持するという事ではありません。大きな変動は極力避ける。と言う事です。時に多少の変動があっても、安定に戻る事を目指します。

変動は「不安」です。投資の世界では、ボラティリティと言い警戒されます。例えが高額リノベーション工事投資をしても、想定通りの賃料収入が得られる保証はありません。高リスクです。

安定は「安心」です。安定はある程度は惰性でも維持できます。そしてビル資産経営は、テナント満室の間は安定賃料収入が続き、安定を維持しやすい事が特徴です。このせっかくの特性を生かさない手はありません。
1.43 安定ビル資産経営のサイクル
また地域賃貸マーケティングを継続的に行っていると、地域賃貸マーケットの動向も読めるようになります。積極的に薦めるものではありませんが、人口減少の縮小社会にも関わらず相変わらずの再開発ラッシュで、その先が見えにくくなっています。主要企業・会社の移転や主要産業の衰退といった先行きの厳しさが予測される場合に、そうなってから慌てて途方に暮れるのではなく、前もってじっくりと対策を考える事ができます。

1.5 30年安定ビル資産経営計画の作成

賃貸や工事の場面で、こうした築古ビル資産経営の判断を適切に行い、安定ビル資産経営を継続するために必要なビル資産経営の判断力は、やはり30年安定ビル資産経営計画を作成する事で、身に着ける事ができます。
1.51 維持したいのは「安定」
中小ビルのビル資産経営は、極力安定を目指します。安定としっても、ずっと同一利益を維持する事は不可能ですが、ある時は収入が0で次の年は巨額投資でマイナス、その次は年は賃料収入沢山・・・といったアップアンドダウンは、何かが狂うと資産を失います。金融でも変動はボラティリティと呼ばれて嫌われるように、変動はそれ自体がリスクです。 一般の中小ビル資産所有者は、得に難しい時代には、変動を避けて「安定」を目指さなければいけません。これは実際には、「安定」ビル資産経営のサイクルを回し続ける事で、実現します。時には悪化の時期もありますが、落ち着いて安定安定回復を目指します。
1.52 安定ビル資産経営判断に必要なこと
分散修繕での低予算低リスクでのビル資産維持に必要な工事判断には、次の3つが必要でした。

  1. 自ビルに必要な工事の全体を把握できる
  2. 工事判断の結果の、将来ビルとその過程を想像できる
  3. 工事に優先順位を付けられる

分散修繕での低予算低リスクでのビル資産維持に必要な工事判断には、次の3つが必要でした。 更に高効果も求める安定ビル資産経営では、更に次の3つが必要になります。

  1. 地域賃貸マーケティングに基づいて低予算高効果な賃貸効果目的工事がわかる
  2. 現実的な将来賃料を見込む事ができる
  3. 賃貸経営と分散修繕を一体で考える事ができる

1.53 30年安定ビル資産経営計画の作成は欠かせない
分散修繕同様に、これら安定ビル資産経営判断力を身に着けるためには、30年安定ビル資産経営計画作成が欠かせません。そこでここから30年安定ビル資産経営計画作成を通して、以下の潤にご説明をしていきます。
  • 地域賃貸マーケティング
  • 賃貸経営計画
  • 分散修繕計画
  • 「安定」ビル資産経営のサイクル



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Ⅱ 地域賃貸マーケティング

地域賃貸マーケティングでは、これからご紹介する6つを理解します。ビル資産経営者であれば、感覚的に出来ている事も多いでしょう。改めて整理をして見直しましょう。

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2.1 地域賃貸マーケット

地域賃貸マーケットの全体像は次の通りです。

2.11 地域賃貸マーケット(のセグメンティング)
知りたいのは、自ビルにとっての地域賃貸マーケットです。自ビルにとっての地域賃貸マーケットは、ライバル物件が存在する範囲です。

一般的に不動産屋が名づける切り口には、例えば、渋谷、新宿、池袋といった単位の場合もあれば、東京六区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)と、城南 城北 城東 城西といった区分もあります。

中小ビルの場合、逆にもっとローカルな場合も少なくありません。例えば渋谷という一つの地域を取っても、恵比寿原宿を含む渋谷地域の場合もあれば、渋谷駅に限定の場合、更に道玄坂付近/宮益坂付近、駅前繁華街や少し駅から離れたブランド地域といったより限定した切り口もあります。当然ですが地域賃貸マーケットの把握が適切である程、様々な検討の精度が上がります。

2.12 自物件の特徴
自物件の特徴とは、賃貸マーケットでの自物件の情報です。良し悪しはありません。全て自ビルの個性です。 この自物件の特徴には、固有の特徴(変えられない特徴)と変えられる特徴があります。

経年によってテナントが物件に求める条件は変わってきますから、時に変えられる特養を選ばれる状態に保つ事でテナントに選ばれ続けます。
2.13 自物件を選ぶターゲットテナント
地域賃貸マーケティングで最も重要かつ永遠の課題が、「自物件(の特徴)を選ぶターゲットテナント」を見つけて、理解する事です。

テナントは、事業規模や事業タイプに適した「条件」をつけて物件を探します。 例えば
  • 貸室の床面積は、部屋を使用する従業員数や事業規模と関係します
  • また立地条件やビルグレードも、事業のタイプと関係します
  • 来客型ビジネスは、駅に近い繁華街や主要通り沿いを好みます。逆に裏通りの静かな環境を好む会社も少なくありません。女性が主の会社に好まれやすいビルと、男性が主の会社に選ばれるビルとは、雰囲気が違います。といった具合です


知りたいのは、どのような条件で部屋を探しているテナントが、自ビルの特徴を選ぶ可能性が高いのか、です。そしてそれはどうしてなのか、ターゲットテナントの選好性を理解したいのです。 ちなみに1棟のビルで、ターゲットテナントは1タイプだけではなく、多数あります。沢山見つけられる程、より賃貸がやりやすくなります。
2.14 自物件のライバル物件
自物件のライバル物件とは、自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントが、物件探しの時に他に比較検討をするビルです。貸床面積や立地条件をはじめ物件特徴が似通っているビルが該当します。
特に築古ビルでは、地域賃貸マーケットの中で比較検討されるライバル物件、つまり自ビルと条件が似たビルは、ある程度決まっています。

自ビル物件の募集賃料は、ライバル物件との比較で決まりますから、ライバル物件を知っておくことは重要です。また賃貸効果目的工事をする場合にも、ライバル物件を研究すると、より無駄なく効果的に出来るようになります。
2.15 自物件のポジショニング
自物件のポジショニングとは、自物件の賃料の事です。自ビル物件の募集賃料は、地域賃貸マーケットの水準とその中での他のライバル物件との比較できまります。他のライバル物件との比較による自ビルの賃料ポジションが、自物件のポジショニングです。
自物件のポジショニングが重要な理由は、ポジションはビル資産経営次第で上下するからです

ベースとなる地域賃貸マーケットの相場は、社会経済の動向や、地域の興隆衰退で常に上下しています。ただリーマンショック後の低迷期のような場面では、個人で対抗できるようなものではありません。一方自物件のポジショニングは、経年と共に下がりますが、賃貸効果目的工事投資等でアップする事ができます。つまり個人で変えられるのです。
2.16 地域賃貸マーケットの動向を読む
現在の地域賃貸マーケットが見えてきたら、将来の動向を読む訓練も始めます。

賃貸マーケットは、様々な社会経済事情の影響を強く受けます。
  • 社会経済環境による影響(例えばリーマンショック後や、特定産業の衰退)
  • 地域の今後の人口減少が激しい
  • 近隣で再開発等があり人の流れが変わる
  • 学校や企業等の移転が予測されている
  • ターゲットテナントの事業環境の変化
時に厳しい状況が予測される時には、何らかの対策を練る必要があります。
時に厳しい状況が予測される時には、何らかの対策を練る必要があります。先の先まで様々なケースを想定して、利益と資産を守るための手立てを考えておくのが、ビル資産経営者の在り方です。

将来の動向を読むには、ある程度経験が必要です。トライアンドエラーを繰り返す事で、視野が広がり、精度が上がってきます。

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Ⅲ 築古ビルの賃貸経営計画

うちは賃貸は問題ない。どうせ賃貸は出たところ勝負だから、賃貸経営計画など立てても無駄だと思われるかもしれません。けれど、築古ビルでは、賃貸効果目的工事や分散修繕の予算を決めるために、ある程度将来の賃料収入見込みが必要です。この将来の賃料収入見込みも、途中でどう賃貸効果目的工事等を行うかで違ってきます。

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3.1 ビル賃貸経営の全体像

最初に賃貸経営の全体像を理解しておきましょう。賃料を作るのは、賃貸リーシングですが、ベスト賃料で成功するには、準備があってです。賃貸管理で、安定賃料収入を維持します。
3.11 賃貸経営の全体像
賃貸経営は、
賃貸方針 (賃料収入を計画して物件を準備する)
賃貸リーシング (賃料収入を実現する)
賃貸管理 (賃料収入を守る) の3つから成ります。
3.12 賃貸経営計画は、賃貸方針を見つけるため
築浅ビルの間は、賃貸リーシングと賃貸管理だけで十分ですが、ビルが築古になると、賃貸方針が非常に重要になります。ここで考えがないと、不動産屋に言われるままに募集賃料を下げ続けたり、高額のリノベーション投資をしてしまう訳です。

その賃貸方針の究極の目的は、ベストな賃料収入を見つける事です。 ベストな賃料収入維持こそが、ベストな安定ビル資産経営を実現するからです。そのために次の3つを考えます。
では、そもそもどうしてベストな賃料収入を見つける事が、賃貸経営計画が必要かといえば、それは「賃料」がどうやって決まるか?の成り立ちと関係しています。
3.13 賃料はどのように決まるのか
自ビル貸室の賃料がどのように決まるか、ご存じでしょうか?

賃料は、2つの要素で決まります。それぞれ具体的にどうみるかは、次で見ますが、先に概要を把握しておきましょう。

1つは、地域賃貸マーケットの相場です。
もう1つは、地域賃貸マーケット内での自ビルのポジションです。

地域賃貸マーケットの相場は、社会経済動向により変動しています。この相場変動は変えられません。例えばリーマンショック後の賃貸低迷時には、どうやっても賃貸が難しかった通りです。

一方で、地域賃貸マーケット内での自ビルのポジションは、他のライバルビルとの関係で決まります。これは、リフォーム等の賃貸効果目的工事で多少は上げる事ができます。(もしくは下落を食い止める事ができます。)築古ビル資産経営は、ここに取り組みます。

ただ単純ではありません。従前のテナントは従前の地域賃貸マーケット相場従前の賃貸ポジションの賃料で決まってい0ます。そのテナントが退去した後、新しい妥当な賃料は、その時の相場、その時の賃貸ポジションです。例えばそれが地域賃貸マーケット相場の悪い時期であれば、いくら頑張っても従前賃料は難しくなります。一方でその時の地域賃貸マーケット相場が良ければ、実際には賃料ポジションが下がっていても、より高い賃料も可能なのです。だから
賃料ポジションの上下は、実際の賃料増減とは、必ずしもリンクしないのです。

この賃料設定の性質は、もう少し丁寧に見て見ましょう。

3.2 30年賃貸経営計画として賃貸方針を検討する
築古ビルの賃貸方針は、30年安定ビル資産経営計画の一部である30年賃貸経営計画として検討をします。
3.21 地域賃貸マーケットの動向
賃貸経営を考える際は、まず、地域賃貸マーケットの現状把握と、将来動向の予測から入ります。

地域賃貸マーケットは常に変動しています。相場の上下もあれば、拡大縮小もあります。賃料ポジションを考える前に、相場が悪ければやり過ごす事を考えなければいけません。マーケットが大きく縮小傾向にあれば、より本質的な対策が必要になります。それは3.5 用途や賃貸マーケットの先行きが難しい場合でご紹介します。 次に述べるアップサイドを取るかどうかの判断も、地域賃貸マーケット相場を考慮します。というのは、地域賃貸マーケットの相場が低迷をしている場合や、賃貸ポジションが前から比べて大きく落ち込んでいる場合、アップサイドを取るために賃貸効果目的工事費用を投下しても、賃料収入は上がらないどころか、下がる事もあるからです。長い目で見てそれでも必要か、を考える事になります。
地域賃貸マーケットの現状把握は、現在の募集物件相場を調べればわかります。主要都市部であれば、大手リーシング会社が賃貸マーケットレポートを出していますが、相場がAクラス以上ビルに偏りがちです。街の相場がどうかは、付き合いがある不動産屋達と世間話をすればわかります。

地域賃貸マーケットの将来動向も、自分で経験を重ねたり、やはり付き合いがある不動産屋達と世間話を重ねているうちに、見えるようになります。主力企業や学校の移転、主力産業の衰退等でどうしても今後厳しくなるといった場合、時に思い切った策も必要になります。
3.22 自ビル賃貸ポジションを検討する
さて、ベースの地域賃貸マーケット相場は動かせませんが、幅がある地域賃貸マーケット相場の中で、賃貸効果目的工事の費用投資を加えて、ライバル物件よりポジションを上げる事は可能です。これをアップサイドといいます。

ここでは、まず現在の賃貸ポジションを確かめる事と、次にポジションをどれだけ上げるかアップサイドを決める事の二つがあります。

現在の賃貸ポジションは、他の現在賃貸募集中ライバル物件の募集賃料との比較で、だいたいわかります。潜在的にポジションをどれだけ上げる事が可能かも、どの程度の賃料帯のライバル物件相手なら、自ビルが勝てるだろうか、を想像する事で、なんとなくわかります。

この賃料ポジションは、何もしなければ、ビルの経年劣化と共に、下落をしていきます。そのままビルに必要な工事を行わなければ、いずれビルは使用できなくなり、賃貸価値を失います。だから築古ビルは遅かれ早かれ、どこかで内装のリニューアル等の投資をして、アップサイドを取る事を考えなければいけなくなる訳です。

ところがこのアップサイドを取るための賃貸効果目的工事も、費用を投下すれば効果が出る類のものではありません。また、工事予算は分散修繕の総工事予算の一部です。そもそも、アップサイドの実現は、少し内装を綺麗にすれば良いというものではなく、分散修繕工事で維持しているビル全体が、アップサイドの賃料ポジションに相応しいかどうかが、問題になります。つまり建物全部を考慮しなければいけません。だから、築古ビルの賃貸方針は、30年安定ビル資産経営計画の一部である30年賃貸経営計画とて考えなければいけない訳です。
3.23 30年安定ビル資産経営計画の賃貸経営計画作成
実際の30年安定ビル資産経営計画の作成では、各部屋のテナントサイクル(テナントの入居期間)を想定します。そしてテナント退去予測時点(テナントサイクルの終わり)で、 次を検討します。

  1. 現状維持ができる
  2. 賃料ポジションが下がる
  3. 手を加えて1または2より賃料を上げる(必ずしも賃料アップとは限らない。)

3)は、必ずしも賃料アップとは限りません。地域賃貸マーケット相場が悪い事もあれば、10年20年長く入居したテナントが退去をすると、賃貸ポジションが大きく下落をしていて、どうやっても賃料が下がる事があります。

この1)~3)は、次の3つを色々検討しながら、良いと思われる方針を選択していく事になります。 地域賃貸マーケティングを行い、

  • 地域賃貸マーケット相場動向を推測する
  • 現在と将来の自物件の賃貸ポジションを検討する
  • アップサイドを取る場合の、予算上限と何が効果がるかを、検討する

このアップサイドの検討について、次で見て見ます。

3.3 築古賃貸経営の要:アップサイド
築古ビルの安定ビル試案経営の継続は、結局このアップサイドを低予算高効果を実現する事で、実現できます。これが出来れば、ビルの築年数は問題ではなくなります。一方でいくら賃貸効果目的工事費用を投資しても、アップサイドの効果が出なければ、負のサイクル一直線のリスクがあります。だからアップサイドについて、自分なりの一家言が持てるぐらいに、深く理解が必要です。
3.31 自ビルのアップサイドをどう考えるか
本来1)で何も手を加えずとも現状賃料が維持できれば良いのですが、(たまにそうしたビルもありますが、)地域賃貸マーケット相場の変動を抜きにして、ビルが築年数を重ねるにつれ、難しくなっていくのが現実です。

そこで、賃貸効果目的工事投資を行って、自ビルの賃料ポジションを上げる訳です。繰り返しですが、これをアップサイドといいます。

アップサイドの検討は、30年安定ビル資産経営計画の作成でも、実際の判断の場面でも、

地域賃貸マーケティングを行い、
  • 地域賃貸マーケット相場動向を推測する
  • 現在と将来の自物件の賃貸ポジションを検討する
  • アップサイドを取る場合の、予算上限と何が効果がるかを、検討する

結果です。

ここでアップサイドを取ると決めても、むやみにリフォーム工事やリノベーション工事を行えば、負のサイクルに陥るリスクは高いままです。アップサイドを取るためには、賃貸効果目的工事について、

  • 数字のリスクを高めない予算目線
  • 営業として何が効果があるかの理解
  • 工事後のアップサイド賃料目線

それぞれを、検討している必要があります。逆に検討なしには、決めるべきではありません。
3.32 最高のアップサイドが高利益とは限らない
・工事後のアップサイド賃料目線
を色々考える必要がある理由は、単純に最高のアップサイドを目指せば高利益とは限らないからです。それは、賃貸経営だけを見て、賃料収入は大きい方が良いではないではないかと考え、(そう営業を受け)高額リノベーションや高額リフォームで負債化する例が後を絶たない通りです。

アップサイドの工事は多くの場合先行投資です。だから想定通りに賃料収入を得られず利益が減るどころか負債化する数字のリスクが常にあります。リスクを過剰に恐れず、利益を守るためには、「費用対効果」でアップサイドを選びます。例えば次のABC案では、B案です。B案の中から、一番費用対効果が高く実現確度が高い案を選びます

A案 最高の賃料収入効果:巨額のリノベーション費用投資
B案 控えめな賃料収入効果:分散修繕で確保できる賃貸効果目的工事費用
C案 賃料収入効果無し:賃貸効果目的工事費用

賃貸効果目的工事は、分散修繕の一部です。そして分散修繕同様、ビル資産維持の工事の目的は、ビルを負債化させない事です。だから賃貸効果目的工事は、賃貸経営として賃料収入を最大化させる事(ではなく、分散修繕を含めた安定ビル資産経営として、長く安定利益を守れる期待が高い案を選ばなければいけい訳です。
3.33 問題はアップサイドの「効果」をどう作れるのか
数字の検討や分析は、手間をとれば答えがでますが、正解がない永遠の課題が、
・営業として何が効果があるかの理解
です。

そもそもアップサイドの「効果」とは、費用をかければ比例して「効果」がでるものではありません。では何をすれば「効果」があるのか、は一棟一棟のビルの特徴とターゲットテナント、地域賃貸マーケットの特徴、目指す賃料ポジションによって異なります。だから自ビルで見つけるしかありません。

ここで安易にリフォーム業者に解を求めると、高額投資です。けれどもここがわかるようになると、「低予算高効果」が実現します。より少ない賃貸効果目的工事投資で、高いアップサイドを取れるようになるのです。

だからアップサイドをどれだけ取れるかは、この「営業として何が効果があるかの理解」次第で違ってきます。この「営業として何が効果があるかの理解」そのものは、何ら費用がかかるものではありません。正しい考え方を学ぶだけで「効果」が上がるのだから、学ばなければ損というものでしょう。(それも無意識で出来ている人も多いかと思います。)具体的に、この賃貸効果目的工事をどう考えるか、より詳しく見て見ましょう。

3.4 賃貸効果目的工事

賃貸効果目的工事は、「何が効果があるのか」が問題です。それから予算に3つの上限があります。また「費用対効果」の使い方も正しい理解が重要です。
3.41 賃貸効果目的工事の例
リフォーム/リノベーション工事は、高額です。実際に賃貸効果目的工事は、例えば次のような対象があります。予算を削減するには、個別に考えて分散修繕として予算を削減します。
3.42 何が(低予算で)効果があるのか?
で、何が(低予算で)効果があるのか?これが簡単にわかれば 、苦労はしないところです。 築古ビル資産の経営者にとって、これは管理会社等と継続的に話し合うべき課題です。

30年安定ビル資産経営計画の作成時点で、10年後20年後の工事内容を決める必要はありませんが、ある程度目途がなければ、予算も効果も見込めません。

何が効果があるかは、ピータードラッカーの名言の1つ、「強みの上に築け」 が全くその通りです。実際、
  • ターゲットテナントに選ばれる自物件の強みの理解
  • ターゲットテナントの選好性の理解
  • 他のライバル物件との比較検討

を深めて、ターゲットテナントの目線でインスピレーションを磨くしかありません。(ターゲットテナントに聞いても、彼らも言語化できるとは限りません。また彼らはビル資産所有者の経済合理性を考える責任もありません。)

ターゲットテナントの選好性は、ターゲットテナントの価値観に基づきます。現在であれば省エネや、極力SDGsに拘る人も多いでしょう。ただ中小ビルの場合、しばしば数百万円の豪華内装より、色や仕上り、些細な工夫やセンスといった、投下費用とは関係ない細部で評価される事が少なくありません。「神は細部に宿る」という通りです。古臭くても、逆に自由な雰囲気が評価される事もあります。更には、例えば共用部に12月はクリスマスツリー、正月前には正月飾りといった季節を演出するだけでも、評価される事もあります。

また同時に、ライバル物件がどうして選ばれているのか、の研究もお薦めします。ライバル物件を理解すると、ライバル物件より選ばれるために、「この程度で良い」がわかってきます。過剰投資のリスクが無くなります。
3.43 賃貸効果目的工事における3つの数字上限
賃貸効果目的工事の予算は「分散修繕」に入ります。ただ、賃料収入に対する費用対効果も必須です。ここを間違うと負のサイクルに陥ります。だから実際には、次の3つの「数字」の予算上限を守ります。
3.43-1アップサイド賃料の上限
賃貸効果目的工事で工事をしなかった場合と比べて賃料をアップするにも、そのアップ幅は地域賃貸マーケットの中で上限があります。築古中小ビルがどんなに頑張っても、新築Aクラスビルの賃料水準は無理でしょう。 現実にアップサイドの上限がどの程度かは、賃貸効果目的工事を検討する前に、地域賃貸マーケティングでわかります。必ず調べておきます。それだけでリフォーム業者等の営業に乗せられなくなります。
3.43-2 分散修繕工事の予算上限
分散修繕工事予算として、賃貸効果目的工事の予算の上限を決める事は、長期的なビル資産経営維持に欠かせません。 賃貸効果目的工事の予算も、30年分散修繕工事予算から賄われます。空室長期化が嫌だからと、賃貸効果目的工事に予算を使いすぎてビル資産の維持に必要な工事ができず、事故が多発してテナントが出ていってしまっては、元も子もありません。

賃貸効果目的工事は、いつ現在テナントが退去して必要になるか予測ができませんから、早めに予算を確保しておきます。また賃貸効果目的工事は、部屋毎に必要な工事は部屋の数、トイレ・給湯室はフロアの数、必要になる事にも留意します。
3.43-3 費用回収期間
費用回収期間は、自ビルの利益を守るために重要な数字です。 例えばテナントが10年程度で入れ替わるビルで、入替りの都度必要な工事で費用回収期間が10年を超しては、実質費用回収が出来ないのです。早期退去のリスクがありますから、5年でも不安です。 ただし効果見込み期間が数十年と長い場合は、多少長くても許容範囲です。 費用回収期間は、最後は自分で決めるものですが、長い程自分の利益が無くなると理解しておきます。

計算方法は次の通りです。
3.44 賃貸効果目的工事の検討(費用対効果)
先に3.32 最高のアップサイドが高利益とは限らないで、賃貸効果目的工事は、「費用対効果」の高い案を選ばなければいけない事を強調しました。

この費用対効果についても留意が必要です。というのは、リフォーム業者等の営業でもしばしば使われますが、しょせん「効果」は想定です。だから単体では余り意味がないのです。

費用田効果の数字は、複数案を比較検討で使います。決める、とは複数の選択肢から選択をする事です。私達は、いくつかの賃貸効果目的工事「案」の中から、

「低予算」かつ「効果」が高く更に実現度が高い

を選ぶことが、実質「決める」事になります。

とはいえ、3.32 何が(低予算で)効果があるのか?の理解は年月とともに深まり変わってきて当然ですから、特に計画段階では、「決める」案は決定案はなく、せいぜいゆるやかな仮決めです。また良い案を思いついたら、その都度検討をしなおします。

3.44-1 費用対効果の計算
費用対効果の計算は次の通りです。
3.45 沢山検討する
例えば現在のビルでほとんど変えなくても十分、と判断できる場合でも、色々な可能性を考えるだけなら、費用はかかりません。何を手を入れなかった場合に、30年後どこまで賃料が下がるか、もしくは他のビルにない個性を作ってみると、どの程度の賃料を狙えるか、分散修繕と合わせて30年安定ビル試案経営計画として、色々考えてみる事をお勧めします。その試行錯誤が後で経験として、生きます。

3.5 用途や賃貸マーケットの先行きが難しい場合

先に、3.21 現在の用途で将来も大丈夫か?で、現在の地域賃貸マーケットの将来を考えましたが、時に現在の用途の地域賃貸マーケットが消滅もしくは激減して、明らかに将来も大丈夫ではないと予測される場合もあります。学校や大きな会社・スーパー・工場が移転する・・と言った例です。そうした場合に、他の用途等を検討する際のヒントを簡単に述べておきます。(縮小日本では、AがだめならBといった単純な事はまずありません。)
3.51 貸会議室・シェアオフィス・貸倉庫等
こうした空間ビジネスを入れる事をオペレーション導入といいます。(空間を)オペレーション(する)ビジネスが成功するかどうかは、ビジネス運営者(オペレーター)の手腕で決まります。立地や物件は関係ありません。そして長く生き残るのはわずかです。 一時は空室対策の切り札としてもてはやされ、営業も盛んです。自分に広告宣伝集客力と運営力があるか、さもなければ能力が高いオペレーターと組む事ができる場合だけ、手を出す事ができます。
3.52 用途変更
オフィスがダメだから居住用に変更する。ホテルに変更する。といったソリューションもあります。用途変更は最終手段です。相応の改装投資をペイするためには、長期の需要見込みが必要です。 また例えばオフィスから住居、ホテルへといった場合、マーケットが変わるだけではなく、建物にかかる建築基準法の適用も変わります。住居やホテルはオフィスとは比べ物にならない程水使用量が増え、給排水管の問題も増加します。そうした新天地の特徴も十分に考慮しま
3.53 それも見当たらない場合
人口縮小時代には、色々検討をしてもどれも思わしくない、という場合が少なくないでしょう。どうすれば良いのか?

安易にダメだと結論して思考停止しない事です。想定したより状況が悪くない場合もあるし、想定していなかった新規流入がある場合もあります。地域賃貸マーケットが消滅するような事態なら、地域全体で街おこし/街の再生を話し合うべきです。(需要が激減する時代に大型再開発依存は、すべきではありません。将来に負債となります。)

補足 賃貸リーシングの改善

ご参考までに、賃貸計画で計画をした賃料収入を実現するための、賃貸リーシングの改善を、最後の補足でご紹介しています。

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Ⅳ 収益ビル資産の分散修繕

築古中小ビルの分散修繕の考え方は、30年分散修繕計画の作成ででご紹介しています。全体の理解はこちらをご参照下さい。ここでは、30年分散修繕計画の作成でを既に読まれている事を前提に、収益ビルに絞った留意点をご説明します。

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4.1 収益ビルの分散修繕計画作成

分散修繕計画作成のプロセスは、30年分散修繕計画の作成と同じです。

4.11 収益ビルの分散修繕計画作成
30年安定ビル資産経営計画の中での分散修繕計画の作成で考えるべき事は、ほぼ賃貸経営計画で考えています。
分散修繕の工事財源:将来に渡る賃料収入
将来のビル使用者:自ビルのターゲットテナント
将来の自ビルの在り方:3.32 何が(低予算で)効果があるのか?で考えた事をを含めて将来の予定賃料ポジションでターゲットテナントに選ばれる自ビル
4.12収益ビルの分散修繕の工事予算目安
収益ビルの分散修繕では、賃料収入の5%~10%が分散修繕工事予算の目安です。もちろん収益規模やビル状態によって変わります。重要工事が必要な時期だけ、多めに確保をする事もあり得ます。

留意をすべきは、例えば良い時代に入居した長期入居テナントが多く、現在の賃料水準が相当に高い場合です。賃料が高いテナントが退去をすると、賃料収入減少が見込まれますから、賃料収入の下落を見込んで、分散修繕工事予算を設定します。また現在長期空室がある場合、将来的に満室を見込むか、ある程度空室がある事を前提にするかは、地域賃貸マーケットの状況を考慮して決めます。
4.13 収益ビルの分散修繕工事の対象
収益ビルの分散修繕工事の対象は、大きく2種類があります。

  • ビルの経年劣化部分のリニューアル等必要な工事
  • 賃貸効果目的工事



各工事への予算配分を考える前に、まずこの2つへの予算配分を考えます。ただし留意すべきは、厳密にそれぞれが分かれる訳ではない事です。例えばビルの経年劣化部分のリニューアル等必要な工事に、賃貸効果目的を考えた機能性能グレードが必要といった具合です。

4.2 収益ビル分散修繕での工事予算削減

収益ビルでは、全ての経年劣化した建物設備機能等のリニューアル工事及び賃貸効果目的工事で、工事の判断及び各工事予算の削減を経営者側の予算の都合だけでは決められません。トータルで常に、将来維持したい賃貸ポジションで選ばれるビルであり続ける事を意識しなければいけないのです。
4.21 工事サイクル・建物設備機能の程度は、賃貸ポジションの考慮が必要
収益ビルでは、工事サイクルや建物設備機能の程度は、経営者側の懐事情だけではなく、地域賃貸マーケット内で将来維持したい賃貸ポジションでも決まります。

例えば高い賃料を維持したけれど、相応の「トラブルの無さ」「建物設備機能」を求められる訳です。どの程度求められるかは、ライバル物件との比較で決まります。 一方で低めの賃料ポジションであれば、多少は「賃料が安いのだから仕方がない」として容認してもらえます。ただどの程度容認してもらえるかは、ターゲットテナントに寄ります。

テナントが「古いビルの欠点だ」と思う事があった時に、地域賃貸マーケット内に同水準賃料でより良い物件があれば、そちらに移転されるリスクがあります。でも「欠点もあるけれど、他のビルにない良い点があるからこの賃料はお得だ」と思われれば、そのビルは常に選ばれるのです。
4.22 工事(内容)削減は、「効果」の観点からも
収益ビルでは、賃貸効果目的工事だけではなく、ビルの経年劣化部分のリニューアル等必要な工事でも、「当然に」費用対(あとの賃料収入)効果を考えます。

だから、(あとの賃料収入)効果が低い、は工事予算削減の合理的な理由です。目指すは、全ての分散修繕の対象工事で、「低予算高効果」です。
4.23 賃貸効果目的工事予算配分の留意点
将来の賃貸効果目的工事は、内容をあまり早く決めても仕方がありませんから、予算だけ確保をしておきます。

賃貸効果目的工事は、数に注意をします。

例えば1部屋の内装リフォームに費用をかけすぎると、他の部屋の予算がなくなります。(ただし、分散修繕工事の予算削減及び調整方法である分割として、必ずしも30年内に全てに賃貸効果目的工事を行う必要があるとは限りません。分割して予算を調整する事ができます。)

また賃貸効果目的工事は、内装工事等、DIYでできる分野も少なくありません。現在ではyoutube等でプロの手法が無料で学べます。高い賃料ポジションを狙わない築古中小ビルは、DIYも十分に選択肢です。

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Ⅴ 安定ビル資産経営

30年分散修繕計画の作成で、仕上げにリスクの分散を行ったのと同じく、30年安定ビル資産経営では、最後に安定維持を確認します。「安定」こそが、リスクの回避だからです。

5.1 安定ビル資産経営とは

ビル資産経営が目指すのは、「安定」です。「数字」「物」「営業」面の全てで「安定」を求めます。

5.11 安定ビル資産経営とは
安定ビル資産経営とは、
・事故を起こさず 
・賃貸を継続   
・負債を作らず  
・利益を維持する 

4つが満たされた状態です


5.12 ビル資産経営の4面性から見た安定ビル資産経営
これをビル資産経営の4面性で見ると、
4面性安定ビル資産経営ビル資産経営での内容
物の面事故を起こさずビルの経年劣化部分のリニューアル等工事を行う
営業面賃貸を継続地域賃貸マーケティングで賃貸方針+物のビルに賃貸効果目的工事を行う
数字:BS 負債を作らない計画的に分散修繕に取り組む
数字:PL利益を維持する地域賃貸マーケティングで、低費用高効果の工事内容を精査
ここには出てきませんが、所有の「権利」はもちろんある事が前提です。

5.13 安定ビル資産経営のサイクル
この安定ビル資産経営は、安定ビル資産経営のサイクルで維持できます。

一度安定ビル資産経営のサイクルを作ると、サイクルの力で比較的楽に安定ビル資産経営を維持できるようになります。だから最初に30年安定ビル資産経営計画を作成して自ビルのベストな安定ビル資産経営サイクルを見つけておくと、後は楽にビルを維持できるのです。

5.2 安定ビル資産経営のストーリーを確かめる
この「安定ビル資産経営」のサイクルは、ストーリーとして確かめる事ができます。「数字」のストーリーと「」営業のストーリーと「物」のストーリーのいずれでも、破綻が無い事を確かめます。もしどこかに破綻があれば・・・破綻がなくなるまで、何度でも計画を見直します。

5.21 安定ビル資産経営:数字のストーリー
30年安定ビル資産経営計画の数字のストーリーは、最も確かめやすいものです。基本は分散修繕と同じです。 賃料収入から経費や公租公課や税金等を支払い、一定の安定利益を維持した上で、分散修繕工事の予算を確保。その予算で「予算が準備できたら工事」式で適時必要な工事を行い、将来に想定する賃料ポジション水準の賃料収入を維持できる。

5.22 安定ビル資産経営:物のストーリー
30年安定ビル資産経営計画の「物」のストーリーは、現在のビル状態(外壁、各建物設備、内装等)から、年月による経年劣化を想像します。年々の建物設備機能全体の状態を見て、ビルに酷く経年劣化する部分がない事を確かめます。分散修繕計画で決めた各工事サイクルの時点で、リニューアル工事を行い、(建物設備機能のグレードや寿命等、工事範囲等の条件に合わせて)該当部分がリニューアルします。 分散修繕でも確かめた通り、適切に分散修繕されている築古ビルは、建物設備機能や内装外壁等、新しい部分と古い部分が混在していますが、全体では一定の水準を保っています。

5.23 安定ビル資産経営:営業のストーリー
3.23 30年安定ビル資産経営計画の賃貸経営計画作成で検討をした各部屋のテナントサイクル(テナントの入居期間)の終了時に、テナントリーシングが必要になると想定をします。その時点での地域賃貸マーケットの相場及び自ビルが目指す賃貸ポジションを確認し、その時点でのビルの状態が目指す賃貸ポジションで選ばれるものであるかどうか、ライバル物件とも比較検討をして、確かめます。 アップサイドを取る場合には、分散修繕計画の該当年に3つの予算上限内で賃貸効果目的工事予算がある事を確かめます。得にアップサイドを取る場合は、建物全体の状態が、アップサイド後の賃貸ポジションで選ばれる状態であるかどうか、丁寧に検証をします。

5.3 30年安定ビル資産経営計画の作成

実際の検討は、マイクロソフトエクセルで30年安定ビル資産経営計画の作成を通して、試行錯誤を繰り返します。

5.31 30年安定ビル資産経営計画表の作成
30年ビル資産経営計画は、

賃貸経営計画
(管理計画)
(資金計画)
分散修繕計画
を一体に統合

したものです。 賃貸経営計画~(資金計画)までは、損益計算書(PL)と同じです。残る利益から更に分散修繕予算を確保して、その下に分散修繕計画があります。

5.32 シミュレーションが出来る計算式の入れ込みがミソ
30年ビル資産経営計画作成の意義は、無難な利益数字を作る事ではなく、30年のシミュレーションを通して様々な安定ビル資産経営のストーリーを検討し、より良いストーリーを選択してゆく事にあります。そしてシミュレーションでのトライアンドエラーが経験となり、実際の判断場面で安定ビル資産経営が難しくなるような、判断ミスのリスクが低くなります。

だから、30年安定ビル資産経営計画は、単なる数字の表作りではなく、シミュレーションができるように数式の入れ込みがある事が重要です。(それがなければ、都度多くの計算をしなければいけなくなります。)ビルオでご相談を頂きますと、計算式の入った30年ビル資産経営計画表のひな型をご提供しています。

5.33 沢山検討、繰り返し見直し、再作成をする
既に賃貸経営計画の作成でも分散修繕計画の作成でも安定ビル資産経営計画の確認でも強調してきた通り、沢山のパターン検討が必要です。 例え将来の地域賃貸マーケット先行きを、3つに絞り、また賃料ポジションを、プランA、プランB、プランCの3パターンに絞れば、それだけで9パターンです。そこに各賃貸ポジション毎に3パターンの 賃貸効果目的工事を検討すれば、3x3x3=27パターンを検討する事になります。

いくつかは省く事ができても、他に用途変更や他の可能性も検討したくなるかもしれません。

将来の事はわかりませんが、そうして検討の経験値を積んでおく事で、実際の賃貸や工事のビル資産経営判断の場面でも、「わからない事で頭が真っ白」にはなりません。

現在の中小ビルは、必要な工事を行ずもしくは経営を間違えば、負債化、産業廃棄物ですが、適切に分散修繕を行い安定ビル資産経営が出来ていれば、まだ無限の利益を積み上げるポテンシャルがある特別な資産です。この資産価値は、これからの将来、難しい時代に生きる、子供や孫やその先の代まで受け継ぐ事ができるのです。

安定ビル資産経営サイクルの軌道に乗れば、後はそう難しい事はありません。日本の築古収益ビル経営者の方は、是非安定ビル資産経営を学びましょう。

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補足 賃貸リーシングの改善

30年安定ビル資産経営の作成からは外れますが、これを実現するために欠かせない、実際の賃料収入実現に欠かせない、賃貸リーシングの改善を簡単にご紹介しておきます。賃貸リーシングの改善力が身につくと、賃貸計画でより弱気にならずに、自ビルの賃貸ポジションに確信を持てるようになります。

補足.1 募集賃料の決定
まず入居テナントから退去予告が出ると、次のリーシングに向けて、自ビルの募集賃料を決めなければいけません。
補足.11 地域賃貸マーケティングで現在賃料ポジションを決める
地域賃貸マーケティングで、現在の地域賃貸マーケットの状況(活況か低調か)(相場は高めか低めか)を確かめて、自ビルの賃貸ポジションを確かめます。もちろんアップサイドの検証もするでしょう。
補足.12 アップサイドを取る場合はアップサイドを決める
アップサイドを取る場合は、テナント退去後に遅滞なく必要な工事ができるように、内容及び工事業者の選定(DIYや職人への依頼も含む)等準備を進めると同時に、アップサイドでどの程度の賃料ポジションが実現できるか、しっかり検証して、アップサイドでの募集賃料を決めます。
補足.13 募集賃料と募集条件を決める
賃貸開始にあたっては、募集賃料と募集条件を決めます。

募集賃料は、基本は、賃貸ポジションの賃料です。ただ一般に、早く入居者を入れたい場合は低めに、マーケットが活況の場合には、少し高めにつけます。

同時に、募集条件も決めます。募集条件は、(敷金、礼金、更新料)ですが、時にフリーレントや段階賃料、A工事といったテナントへのサービスも含まれます。こうした募集条件は、だいたい決まっているビルがほとんどですが、中上級者はここで勝負をします。

つまり、「初期費用」と呼ばれる総額を下げる事で、賃料水準を高めで守るのです。

こうした戦略検討は、元受け不動産屋/管理会社/賃貸リーシング業者と相談をして、共同で決定します。つまりこうした相談ができる元受け不動産屋/管理会社/賃貸リーシング業者との付き合いが望ましいのです。相談をして決定すると同時に、実現のコミットメントも貰います.

補足.2 賃貸リーシングの強化と改善
準備が出来たら、賃貸リーシングです。実際のリーシングの営業活動は「元受け」不動産屋・賃貸仲介業者が行います。ただ、ビル資産経営者も一緒に戦略
補足.21 賃貸リーシングの全体の流れ
築浅で、元受け不動産屋や管理会社に空室が出る事を伝えると、すぐに次のテナントを連れてきてくれた間は問題ありませんでしたが、空室長期化不安や、賃料下落不安が出てくるようになると、賃貸リーシングの強化と改善策が時に必要になります。
補足.22 賃貸リーシングの全体像
賃貸リーシングの全体像は次の通りです。

自ビルの物件情報が、自ビルを選ぶ可能性が高いターゲットテナントに魅力的に届き、ターゲットテナントが内覧しても良いと思ってくれる事が、リーシングの第一歩です。
補足.23 賃貸リーシングの改善
賃貸リーシングの改善ポイントは次の通りです。元受け不動産屋とPDCAサイクルを回しながら、各ポイントを次の順番で改善していきます。

① ターゲットテナントがどのような媒体で物件を探すか検討する
② ターゲットテナントが探す媒体の中でどこに営業アピールするか見直す
③ 自物件のアピール文句・写真を見直す
④ ターゲットテナント像を見直す
⑤ 元受け不動産屋/賃貸仲介業者を見直す


このうち①と⑤については、この先で改めて見て見ます。 こうした対策を一通り行っても、効果の期待がない場合は、次に戻ります。


A 募集賃料・募集条件を見直す
B 賃貸効果目的工事を加える


いずれも利益が減少しますから、最終手段です。募集賃料や募集条件を下げるのは、既に情報が出回っていますから、その後に情報周知の徹底が必要になります。 そうした混乱を避ける手段として、期間限定オファーにする場合もあります。
補足.24 インターネット上の自物件紹介の改善
現在では、事業用物件のテナントもインターネットで物件探しが珍しくありません。例えオフィス仲介業者から紹介を受けても、インターネット検索ででも物件を確認する事が普通です。

インターネット上での物件掲載は、インターネット物件検索サイトと不動産屋が自社HPで紹介する場合があります。通常インターネット物件検索サイトは、SEO対策がされていて、インターネット検索で上位にきがちです。

ビル資産経営者であれば、自物件をエゴサーチしてみましょう。検索サイトに出てくる自物件の紹介文や紹介写真が、もっと良くできると思えば、遠慮なくコンタクトをして、改善を要望しましょう。オーナーからのコンタクトは、通常喜ばれます。たったそれだけの事で、自物件の印象が上がるのだから、やらない手はありません。
補足.25 元受け不動産屋との付き合いスタイル
賃貸リーシング改善の時に、ありがちなネックが、付き合いの長い元受け不動産屋が、高齢や得意分野の変化、代替わりで、あまり協力をしてくれない・・問題です。そのために空室が長期化していたり安い賃料で決めざるを得ない残念なビルが少なくないのが現実です。

そうした場合、元付不動産屋の変更や対応策を考える事になります。

1 A社からB社に変える。これは一番楽です。付き合う相手が変わるだけで今までと同じです。ただし、今まで付き合いがなく相手の実力や相性が分からないまま、1社に賭けるのはリスクもあります。 2 複数社に元受けとして声をかける方法もあります。こちらは可能性が高まります。けれども、情報や管理の手間が級数的に増えます。 3 少なくないのが、リーシング力に不満はあるけれど、現在入居テナントの入居管理をしてくれているし、様々な関係から、「変えるのは難しい」という場合です。その場合は元受け不動産屋は今までのままで、貸主が自分で客付け不動産屋に営業をします。 これと思う客付け側不動産屋に、自物件資料を持って行って、紹介をお願いしますと言って回る訳です。客付け不動産屋も、顔を知っているとより力を入れて営業をしてくれるようになります。手ぶらではお願いしづらければ、広告宣伝費1ヶ月を手土産にします。 要は自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントに、自ビルの物件情報を(魅力的)に知ってもらいたいのです。テナントはテナントで、物件探し手段があります。 賃貸リーシングはやってみなければわからないところがあるので、最初から期待通りの内覧があり即入居申込書が入る事は滅多にありません。2週間ほど状況を見て、手ごたえがなければ早いペースでPDCAサイクルを回します。内覧が増え、手ごたえが現れ、入居申し込みが入ります。

通常元付不動産屋(PM会社の事もあります)は、営業パートナーです。リーシング中は、2週間に一度は打ち合わせをします。どうも上手く行かない場合は、ここの対策も考えます。
補足1.3 元受け不動産屋との付き合いスタイル
現実には、付き合いの長い不動産屋が高齢や得意分野の変化、代替わり等で動きが弱くなったために、空室が長期化していたり安い賃料で決めざるを得ない残念なビルが少なくないのが現実です。

そうした場合、元付不動産屋の変更を考える事になります。
1 A社からB社に変える。これは一番楽です。付き合う相手が変わるだけで今までと同じです。ただし、今まで付き合いがなく相手の実力や相性が分からないまま、1社に賭けるのはリスクもあります。
2 複数社に元受けとして声をかける方法もあります。こちらは可能性が高まります。けれども、情報や管理の手間が級数的に増えます。
3 少なくないのが、リーシング力に不満はあるけれど、現在入居テナントの入居管理をしてくれているし、賃貸契約書の文言が変わるのも嫌だから、そこは変えたくないと言う場合です。その場合は元受け不動産屋は今までのままで、貸主が自分で客付け不動産屋に営業にまわります。自物件資料を持っていって、お願いしますと言って回る訳です。客付け不動産屋も、顔を知っているとより力を入れて営業をしてくれるようになります。手ぶらではお願いしづらければ、広告宣伝費1ヶ月を手土産にします。

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