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マンション・中小ビルを永続資産にする30年分散修繕計画作成

住宅・マンション・中小ビルは、分散修繕で正しく延命・長寿化工事に取り組めば、低予算ずっと使用利益を産む永久資産となる。

住宅、マンション、中小ビルを永久資産化する分散修繕

住宅をマンションを中小ビルを永久資産化で、縮小時代に豊かさを手に入れようで述べた通り、 住宅、マンション、中小ビル、社会的インフラストラクチャー等は、住宅、マンション、中小ビル、社会的インフラストラクチャー等は、適切に建物の寿命を延ばす資本的支出工事を行えば、いくらでも価値ある資産として延命ができる。ただし問題は、費用だ。大資本や大手不動産屋、不動産投資であれば、ハイコストハイリスクの投資もできるが、そうではない一般の住宅、マンション、中小ビル所有者にとっては、特に難しい時代に、高リスクや高額工事は手を出すせないのは当然だ。分散修繕は、低リスクで資産を守りたい一般の建物所有者が、建物の使用を続けながら、低予算かつ低リスクかつ高効果に建物延命に必要な工事を行う方法だ。つまり単なる建物の延命ではなく、建物を負債にせずに、使用利益を産み続ける資産として、その価値を延命する方法だ。 分散修繕は、ビルの本場英欧米をはじめ世界中では、ごく当たり前の方法だ。なにしろ日本のように高度経済成長に恵まれた国はそうそうない。分散修繕は、住宅、マンション、中小ビルのみならず、全てのビルや社会的インフラストラクチャーに通用する普遍的な方法だが、ここでは特に、中小ビルを例として、その考え方を紹介する。


コンテンツ

1 建物を永続資産にする分散修繕とは
2 基本方針1自分の総工事予算
3 基本方針2何の工事が効果があるのか
4 基本方針3自分の低予算水準 準備編
5 基本方針34自分の低予算水準 検討編
6 基本方針3自分の低予算水準 個別工事編 PLUS2 何の工事が効果があるのか
7 基本方針4自分のリスク許容度
8 リスクの分散を確かめ、計画をまとめる
9 付録:自ビル100年長寿化プランの作成

1 建物を永続資産にする分散修繕とは

分散修繕は、住宅、マンション、中小ビル等建物について、単に建物を延命するのではなく、建物資産の使用利益を延命する方法だ。所有者にとって、建物は資産であり、負債になれば持ち続けられないからだ。 建物は建物躯体と建物設備機能の群の集合体だ。

だから、超高額の1度にまとめて建物設備機能群をリニューアルする方法(フルリフォーム・リノベーション・大規模改修工事・再生工事等で、まとめてリニューアルしなくても、経年劣化や機能不足の建物設備機能を個別にリニューアルし、また新規追加等を行えば、長期間でもよほど経済的な予算で、建物は延命できる。ただ、壊れたら工事式の行き当たりばったりでは、必要ない高額工事を行うリスクは高いままで、将来不安は変わらない。分散修繕は、建物所有者が自分の予算や将来の建物使用を考慮して、資本的支出工事をコントロールする方法だ。

1.1 上手な分散修繕は、建物を永久資産にする
分散修繕で、上手に低予算で無駄なく必要な資本的支出工事のみを効果的にを行えば、住宅、マンション、中小ビル等建物は、永久資産となる。その会計モデルは次の通りだ。

ちなみに賃料収入は、自用/自宅の場合は、賃貸した時の賃料を払わずに済んでいる事が収入と考える。もちろん数字だけでは、永久資産が実現しないのが、建物資産だ。ここで鍵となるのが、「資本的支出工事」をどう考えて「判断するか」なのだ。

1.2 建物は資産でなければ維持ができない。だから負債化を進行させてはいけない
建物延命で資本的支出工事のコントロールが重要な理由は、大原則として、所有者にとっては、建物は資産であり、資産でなければ維持ができないから、建物負債化の道を悪化させてはいけないからだ。ここで建物負債化とは、物の建物の経年劣化と、数字としての赤字負債の2面がある。 例えば、高額のフルリフォーム・リノベーション・大規模改修工事・再生工事が選択肢にならない理由は、物の負債化は防げても、数字の負債を作るからだ。 つまり、建物を負債化させず延命するための「資本的支出工事」は、建物アセットマネジメントの長期目線で、負債を作らないよう、
建物延命で得られると期待できる利益>>延命工事の費用
であるように、行う事が大前提だ。

1.3 分散修繕の基本系
永久資産の会計モデルを実現する分散修繕の資本的支出工事取り組みの基本系はシンプルだ。 なるべく毎年低額をBS内で内部留保し、工事予算を準備してから、資本的支出工事を極力低予算で行う。終わると次の工事予算を準備し、工事予算が準備できてから、次の資本的支出工事を極力低予算で行う。この繰り返しで、負債を作る数字リスクが高まらない。

ただ当然に、数字を優先させて、必要な工事ができなければ、やはり建物はボロになり負債化する。だからこの分散修繕の基本系は、「資本的支出工事」をよくよく考えた結果として行うものだ。うわべだけ真似をしても、上手くいかない。

1.4 資本的支出工事の考え方
資本的支出工事は、いわゆる「修繕工事」とは違う。例えば漏水箇所を補修するといった「修繕工事」は、該当建物設備機能の寿命を延ばし、全額がPLの費用として計上され、必須工事として、管理者判断でもできる。 それに対して漏水が頻発する排水管を更新して建物寿命を延ばすのが、「資本的支出工事」だ。こちらはしばしば修繕工事よりも高額になる。そもそも、排水管更新工事をするかしないか、今するかもう少し後でも構わないか、どの程度の材質にするか、ついでに他の工事もするか・・・等は、建物所有者が考えて決める事だ。管理者や専門業者がどう意見しようと、例えば所有者が古い建物にお金をかける価値がないと考えれば、工事はしない。逆にどうせなら贅沢に工事しようと決めれば、ふんだんにお金をかける。 そうした極端な例を別にすれば、通常は、「必要な工事はするが、極力無駄や過剰な費用を削減して予算を抑えたい」が妥当な方針だろう。そこで重要なのが、2つの「低予算」だ。

1.5 「資本的支出工事」の2つの「低予算」
建物アセットマネジメントとして「資本的支出工事」を考える際には、2つの「低予算」がある。

  1. 個別の「資本的支出工事」の低予算
  2. 長期の建物全体の「資本的支出工事」総額の低予算
もちろん
建物延命で得られると期待できる利益>>延命工事の費用
実現のために目指すは、長期の建物全体の「資本的支出工事」総額の低予算だ。ただこれは単純に個別の「資本的支出工事」の低予算の集合とはならない。そもそも必要ない過剰工事も含まれていたり、効果に貢献しない工事も含まる可能性があるからだ。資本的支出工事は、会計上、例え高額でも資産の部に入り、年間費用は減価償却分だけだ。しかしそれでもいくつもの資本的支出工事が重なれば、当然に予算が足りず負債が出来、また減価償却費用も大きくなる。 そもそもその効果は、将来の建物使用者が建物をどう使用するかで、何の建物設備機能がどの程度必要かが、違ってくる。またどの程度の物のリスクと数字のリスクを容認できるかも、建物所有者によって違う。 だから建物資産所有者は、個別「資本的支出工事」を決めるために、建物資産の3面性を考慮した上で、
  • 建物の全体を考える
  • 将来の結果を考える
  • 工事に優先順位をつける
が出来る必要がある。

1.6 低予算低リスクの基準はみな違う:自分なりの分散修繕の基本方針を見つけなければそして分散修繕では、建物資産所有者は個別の「資本的支出工事」を考えるにあたって、事前に自分なりの建物としての分散修繕の基本方針

1自分の総工事予算
2何の工事が必用な(効果がある)のか
3自分の低予算水準
4自分のリスク許容度
を自分で決めておかなければいけない。 分散修繕を伝統的に行ってきている英欧米や世界の他国の住宅、マンション、中小ビル等所有者達は、自然にこれらを効率良く考えている。日本はその伝統と経験はない。ただ30年分散修繕計画を作成する事で、自分で見つける事ができる。

1.7 30年分散修繕計画作成を考えるタイミング
この30年分散修繕計画作成のタイミングは、築30年築40年の、建物の建物設備機能群に経年劣化が増え、今後を考えるようになるタイミングがベストだ。最初の30年は、通常ほとんど大きな工事の必要性が無い。一方で、もし築50年前後であっても遅くない。建物の延命・長寿化の可能性を思い立った時が、作成タイミングだ。
計画作成が必用なのは最初だけである。一度方針を見つければ、通常のマンション、中小ビルならば、同じ方針で建物資産の延命・長寿化が継続できる。だから建物延命・長寿化が文化になっている英欧米をはじめ世界中のマンション、中小ビル所有者達は、わざわざ計画作成したりしていない。 いずれにしろ、この30年分散修繕計画は、管理者や工事業者等ではなく、建物資産所有者が自分で作成しなければいけない。

1.8 30年分散修繕計画の作成の意義
30年分散修繕計画作成の目的は、いつ何の工事をすべきか決める事ではなく、あくまでも、計画作成を通して試行錯誤を重ねる事で、よりベストな分散修繕の基本方針を見つける事だ。

実際の工事検討のタイミングは、計画通りにはならないが、それでも検討の試行錯誤が経験となる。計画を通して、自分なりの分散修繕の基本方針
1自分の総工事予算
2何の工事が必用な(効果がある)のか
3自分の低予算水準
4自分のリスク許容度
を自分で試行錯誤するプロセスを通して、実際の「志保典的支出工事」に欠かせない、
の視点と、
  • 建物の全体を考える
  • 将来の結果を考える
  • 工事に優先順位をつける
力を身に着ける。


1.9 30年分散修繕計画の作成
現在では、マイクロソフトエクセル等表計算ソフトで簡単に検討ができる。縦に工事項目を並べ、横に各年度の予算計画を並べる。ただ、検討には適切な自動計算計算式が欠かない。当社では、ご相談者様に検討用のシートを差し上げている。
作成には次の下準備が必用だ。
①現在建物にある建物設備機能をすべて洗い出す
②今までの資本的支出工事履歴及び大きな修繕工事履歴を確かめる
③30年後に向けた将来の建物使用者がどのように建物を使用するか
④この建物が満足して使用できているであろう将来の建物イメージ
その下準備と含めて、次から30年分散修繕計画の作成にあたって、分散修繕の基本方針をどのように考え検討するかを、考えてゆく。


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2 基本方針1自分の総工事予算

最初に、自分の総工事予算を考える。これは純粋に数字として考える事ができる。自分の予算が決まっている場合は、自分の予算で考え、特に決まっていない場合は、まず一般的な予算目安で考え、それからこの後の「3自分の低予算水準」で予算を削減し、総工事予算の削減も検討する。

2.1 準備: 将来⑤30年の資本的工事予算の財源を確かめる
今後30年の資本的工事予算の財源を確かめる。原則は、安定財源だ。収益ビルなら賃料収入、企業なら事業売上、個人であれば個人の定収入がその例である。既に修繕資金の準備や、臨時財源の予定がある場合は、予備費として取っておく事をお勧めする。100年200年を考えると、安定財源こそが頼りだからだ。

2.2 予算⑥30年の分散修繕工事予算を仮決めする
ここは、30年分散修繕計画作成の目的の1つである・自分の総工事予算の検討にあたる。さりげに重要だ。 まずは、総工事予算を仮決めする。(検討中にプラスマイナスもありえるため、最初は仮決めとする。) 30年総工事予算の原則は、毎年一定金額確保。 理想は、
自用ビルであれば賃貸を想定して3%‐7%
収益ビルで財源である賃料収入の5%-10%

ベースは毎年定額工事資金確保として、修繕資金の準備がある場合や、今後一時的な修繕資金確保の予定がある場合は、ボーナスの予備資金として留保しておく。

2.3 自分にとって利益を確保し無理のない予算で十分
もし財源から上記の留保が難しければ、可能な限りで十分だ。例え年間100万円確保できれば、30年で3000万円分工事ができる。工事予算が潤沢ならそれなりに、工事予算が厳しくともそれなりに、工事のやり方はある。

2.4 30年総工事予算も検討を通して、どんどん削減していく
最初の30年総工事予算は、あくまでも仮決めだ。この30年総工事予算で1つ計画が出来てもそこで終わりではなく、次は30年総工事予算そのものの削減を検討する。 どのみに工事予算は、経験が少ないと不安で多く見積りがちとなり、経験と共に思い切った削減もできるようになる。だから何度も何度も繰り返し見直し、30年総工事予算の削減に努めたい。


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3 基本方針2何の工事が効果があるのか

先に、費用対効果を出すために欠かせない、「2何の工事が効果があるのか」を先に考える。

3.1 準備:30年後に向けた将来の建物使用者をイメージする
ここは考えどころだ。今後30年のビル使用者を、具体的に想像する。例えばビル使用者は女性が多いか、男性が多いか、若年層が多いのか平均年齢が高めか・・、使用は事務所か、店舗か、事務所と一言言っても、来店型か、堅い雰囲気か、自由なスタイルを好むか・・といった具合だ。手法としてマーケティングのペルソナ手法が役に立つ。

3.2 準備: ③30年後に向けた将来の建物使用者がどのように建物を使用するか
更にその延長として、この考えた将来の建物使用者が、建物をどのように使用するか?具体的に考える。例えば、住居、オフィス等用途で異なるが、朝から夜までの一日を考える。

3.3  ④この建物が使用者が納得して使用できているであろう将来の建物イメージ
そして、更に重要な考えどころとして、そのように建物使用者が納得をして使用している自ビルが将来どのような様子か、具体的に想像する。なるべく具体的かつ細かく想像する。

例えば現状維持という場合でも、本当に何も変わらないのか、細かな使い勝手は改善されるのか、等バリエーションは多い。ここで言うのは「使用者の納得」であり、「使用者満足」ではない事に留意したい。使用者満足を求めては、いくら費用をかけても際限がない。最終的に追及をしたいのは、低予算で実現できる「使用者の納得」のボトムラインだ。

3.4 沢山考える。低予算で高納得度を追求する
将来にビル像は、1つ2つではなく、無数の可能性がある。またどのみち具体的な予算を検討している時に、何度も何度も将来ビル像を見直す事になる。将来ビル像にこうあるべきといった解はないが、よほど潤沢な予算が無い限り、目指すは低予算かつ将来建物使用者の高納得度だ。 低予算かつ将来建物使用者の高納得度のコツは、なるべく現在建物の個性、良さを生かす事だ。大金を投じた全身整形でみんな同じ顔より、個性を愛する人は多い。また色々多くの同様物件(海外事例も含めて)を見る事も、参考になる。 一方で、注意をしたいのが、改善点を他人に教えてもらおうとする事だ。「親切に」改善点を教えてくれる人は、決して予算の心配をしてくれない。他人の意見はあくまでも参考である。

3.5 低予算将来ビル像の例
特に低予算を追求するのであれば、次のテーマは基本だ。

■シンプルビル
シンプルビル化は、 徹底的な工事対象削減+建物機能性能グレードの低減だ。欧州はシンプルな築古ビルが多いが、シンプルならではの趣がある。


■個性化ビル
これは、建物の建物設備機能にメリハリを付けたり、建物外観や内部に強い特徴を持たせ、築古ならではの個性を作る方法だ。ただし自信と確信が必用だ。


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4 基本方針3自分の低予算水準 準備編

ここから、具体的な自分の建物の資本的支出工事について「3自分の低予算水準」を考えるが、最初はまず準備の準備として、現在の建物にある建物設備機能を洗い出し、過去の修繕履歴を調べ、非常に重要なプロセスである、工事の優先順位付けを考える。建物設備機能に慣れていない人は、管理者や各専門工事業者、ビルオ等の助言が必用だろう。ただし、検討して決めるのは自分という建物アセットマネジメントの立場を忘れてはいけない。長期修繕計画や工事履歴記録が存在している場合は話が早いが、そうではない場合、確認や調査に多少時間がかかるところだ。

4.1 準備 現在①現在建物にある建物設備機能をすべて洗い出す
まず準備の準備として、現在時点での建物設備機能をもれなく把握する。ただし細部までは必要ない。長期修繕計画表があれば、その主項目を拾う程度で十分。竣工図は参考になるが、情報が細かく、竣工図と現在が違っている事もあるため、最後は必ず目視で確認をする。


4.2 準備 過去②今までの資本的支出工事履歴及び大きな修繕工事履歴を確かめる
また②建物の過去の資本的支出工事や重大工事履歴も、わかる範囲で確認する。必要なのは、何の工事をしたか?のみで十分。費用等は必要ない。 工事履歴があれば一番簡単だが、無い場合は過去の確定申告での資本支出工事又は高額修繕費支出を確認する。ない場合は、過去を知っている人の記憶をたどる。

4.3 工事対象候補の洗い出しと優先順位付けする
ここから準備の本番だ。ここで工事対象候補の見落としや、必須にもかかわらず低優先順位付けがあれば、結局分散修繕は実現しない事になる。このプロセスでは各工事候補の見積書や提案書は必要ないが、必要に応じて管理者や工事業者の意見を聞く事はお勧めする。ここでは専門知識がない人でも取り組みやすいやり方を、手順を追って説明する。

4.4 洗い出した自ビル建物設備機能を30年分散修繕計画表に記入し、状態で色付けする
まず4.1 現在①現在建物にある建物設備機能をすべて洗い出すで洗い出した現在の建物設備機能や内装外壁等のリストを、30年分散修繕計画表の縦蘭に記入していく。ちなみに、4つに分類をしておくと、後から検討しやすい。そして現時点の想定状態で色分けをする。調査は必要なく、一般的な実耐用年数を基に、過去の工事履歴も参考にして、せいぜい建物管理者に聞けば十分だ。色分け例は次の通りだ。
無色:実耐用年数内
黄色:実耐用年数を過ぎている
赤:明らかな問題がわかっていて早期にリニューアル等資本的支出工事が必要な対象
青:旧耐震基準建築建物等で耐震問題がある場合


4.5 今後30年で赤になる可能性がある建物設備機能をオレンジにする
先につけた赤色は、現在明らかに対応が必要な問題だが、30年の時間軸の間にリニューアル等の資本的支出工事が必要になる対象には、その時期から背景をオレンジにする。特に工事サイクルが20年未満で複数回必要となる工事対象に留意をする。


4.6 今後30年で新しく追加したい建物設備機能をリストする
次に3.3 ④この建物が使用者が納得して使用できているであろう将来の建物イメージまたはそのバリエーションでイメージした現在ビルの30年後実現に必要な新規追加したい建物設備機能があれば、それも追加する。どうせ後で落とせるから、気になるものは遠慮なく追加する。


4.7 今後30年で廃止できる建物設備機能を考える
それから、3.2 ③30年後に向けた将来の建物使用者がどのように建物を使用するかで想像して、イメージした現在ビルの30年後には使用しなくなる建物設備機能を廃止候補として、グレーに色を付ける。これにはソリューションの変化も含まれる。

4.8 工事対象候補に優先順位をつける
さらに、赤若しくはオレンジの資本的支出工事候補に、優先順位を付ける。3分類(絶対必要/なるべく必用/できれば)程度で十分だ。分類の基準は、将来ビルにとっての必要性である。後で見直すから、最初から精緻に考えずとも構わない。

4.9 リニューアル/新規追加工事対象について、具体工事名を挙げ、工事予算目安も調べておく
工事対象候補の優先順位が高いものについて、必要となる具体工事名を調べる。ここでは、建物管理者や専門工事業者に意見を求める事もあるかもしれない。(見積書は不要。)
そして各工事の予算目安も調べる。インターネット検索でかなり情報収集ができるが、わからなければ、ビル管理者や工事業者に参考費用幅をさらりと聞く。(調査や見積書は不要だ。)
各工事予算目安には幅がある。だから各工事予算は、例えば200万円~400万円といった費用幅として把握する。


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5 基本方針3自分の低予算水準 検討編

さてここからが、自分の建物の低予算の水準 を見つけるための山場だ。どのくらいの自分の低予算水準であれば、自分の建物が永久資産になるのか、建物使用者の納得度は保ったまま、もっと工事予算を削減できないか、低予算でももっと建物使用者の納得度を上げられないか、検討をする。

5.1 自分の低予算水準とはどういうことか
最初に、自分の低予算水準とはどういうことかを、復習しよう。 この低予算水準とは、建物アセットマネジメントとしての建物を延命する「資本的支出工事」の低予算だから、修繕工事のように単純に支払い金額を抑える話ではない。 この低予算水準とは、長期的な合計(つまり計画上は30年の合計)で
無理のない予算かつ
該当資本的支出工事が作る効果ー該当資本的支出工事の費用=ベスト
かつリスクもさほど高めない
資本的支出工事の水準
だ。通常の建物は、資本的支出工事で作れる効果などしれている。せいぜい経年劣化で減りゆく使用利益の減少を緩やかににするか、食い止めるかといった程度だ。だからいかにそれを低予算水準で実現できるかが問題になる。そもそもどの「低予算」の水準も、資産所有者の考え方次第だ。だから「こうあるべき」という正解はない。自分で、自分の「低予算水準」を見つけなけばいけない。

5.2 30年分散修繕計画検討のイメージ
そこで手始めに、まず仮決めした30年の総工事予算でその予算配分を考える。最初はそれでも、予算不足を感じるのが、普通だ。

ここで、30年の目盛りがある箱とイメージしてみよう。この箱に、各予定工事のブロックを入れると考える。すると自然に、工事が重ならず、分散修繕の基本系になる。 ブロックの長さは予算額を示す。検討したいのは、

  • 何のブロックを入れるか
  • 各ブロックをどの程度の長さにするか
  • 各ブロックをどの位置に入れるか
だ。

最初は、4.8 工事対象候補に優先順位をつける で優先順位が高いものから、4.9 リニューアル/新規追加工事対象について、具体工事名を挙げ、工事予算目安も調べておくで調べて目安予算のうち任意の予算で、30年分散修繕計画の箱に収めてみよう。 どこまで収まるか、それから必ず、30年後の建物の状態が、3.3  ④この建物が使用者が納得して使用できているであろう将来の建物イメージで確かめた建物イメージと合うか、確かめる。

5.3 予算削減を検討する
仮予算でも最初は予算が厳しく思えるのが、普通だ。そこで工事予算削減を検討する。まず基本ルールは、「3.3  ④この建物が使用者が納得して使用できているであろう将来の建物イメージ」で考えた将来建物の実現を目指す事だ。

実際の工事予算削減には3つの方法がある。それぞれ意味が異なる。
①何の工事をする/しない の「しない」を増やす 将来ビル像がシンプルになる
②どの程度の機能性能グレードを維持するか?の水準を下げていく どの程度が納得の最低ラインかを見つける
③どの程度の問題(トリガー)で、寿命にするか?の時期を後ろ倒しにする リスクの許容範囲を見つける
なるべく建物全体で統一方針が望ましいが、個別建物設備機能で変わる事ももちろん個性だ。 このうち②と③は、「5 工事サイクルとは」 「6 共通する各工事予算の削減ポイント」でより詳しく考える。①何の工事をする/しない については、これも2つの考え方がある事に留意する。 30年で工事をしないとは、2つの考えがある。
  1.     対象建物設備機能をより長く使う事にして、リニューアル検討時期を30年より後ろ倒しにする。
  2.   該当建物設備機能の優先順位を下げ、廃止に変更する。
それぞれの工事費用削減では、それにより何が変わるか変わらないかを、意識し、変わる場合は変更点に戻って、変更をする。

5.4 予算削減を検討のサイクル
予算削減は、以下の予算削減サイクルを回し、削減する。

工事予算削減では、工事予算を削減すると必ず、30年分散修繕計画全体を見て、
  • 30年の間にひどく状態が悪くなる建物設備機能はないか
  • 30年後の建物は、将来の建物使用者が納得して使用する建物になっているか
を確かめる事だ。面倒だがこのプロセスで手を抜かない事で、
  • 建物の全体を考える
  • 将来の結果を考える
  • 工事に優先順位をつける
を身に着け、実際の場面での建物延命工事判断力が高まる。

5.5 同じ将来ビルの納得度でも、30年総工事予算を削減できる
30年分散修繕計画上の工事予算削減は、費用もリスクもかからず、沢山検討すべきだが、必ず取り組むべき検討テーマが2つあり。 まず、同じ将来ビルの納得度で、30年総工事予算をどれだけ削減できるかだ。このテーマを追求する事で、工事予算の無駄や過剰を排除でき、より低予算かつ高効果の資本的支出工事が出来るようになる。

5.6 同じ30年総工事予算でも、予算配分によって将来のビル像が違う
もう1つの検討テーマが、同じ低予算の30年総工事予算であっても、工事の取り組み方によって、将来のビル像が異なるが、そのバリエーションを検討する事だ。それにより、今まで思ってもみなかった、現在建物の在り方、永久資産としての将来像が、見えてくる。


5.7 工事一時金の投入
既に準備している工事一時金がある場合や臨時財源がある場合、もちろん工事一時金を投入して予算を増やす手段がある。原則としては工事一時金無しでやりたいが、得に築40年前後で今まであまり工事をしてきていない場合など、必要工事時期が重なりがちで、工事一時金は役に立つ。

5.8 沢山検討し、多くの選択肢を作る事
結局、決めるとは選ぶ事。だから沢山検討し、多くの選択肢を作る事だ。その比較検討が経験として、実際の工事取り組みの場面で必ず生きる。


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6 基本方針3自分の低予算水準 個別工事編 akka 2 何の工事が効果があるのか

各建物設備機能(例えば電気、給排水、外壁塗装、エレベータ、消防設備、内装等)等の固有検討ポイントは別途検討では、各建物設備機能固有の論点もあるが、ここでは扱わずに、共通の予算削減ポイントのみを考える。各各建物設備機能リニューアル等工事で、どこまで低予算が可能かを考える事は、同時に、どこまでの機能性能に将来建物使用者にとっての、費用対効果があるのか、を考える事でもある。だからここは同時に、2 何の工事が効果があるのか を考える事でもある。

6.1 共通する各工事予算の削減ポイント
専門知識を持たない建物資産所有者の視点では、各建物設備機能リニューアル等資本的支出工事の、工事予算削減ポイントは、次の通りとなる。

原則として建物全体で方針を統一したいが、メリハリをつける事も建物の個性になる。

6.2 ソリューションの選択
1つの問題対応にソリューションはいくつもある。工事業者の考えも重要だが、高額なもの、安価な方法、高性能なもの、どの程度が自ビルにふさわしいかは、ビル資産所有者が自分で決める事だ。一般に、過剰なほど営業熱心な傾向があるだけに、自分で考えたい。

6.3 工事業者のサービス水準
誰も教えてくれないけれど、工事費用インパクトが大きいのが、相談をする業者のサービス水準だ、これは腕の良し悪しとは違う。

高レベルのサービスやマネジメントには、その分高額費用を請求されて当然だという事だ。 サービスやマネジメントの良さは、「安心」でありお高い。安い業者に、高サービスを求める事は、「業者いじめ」と言う。 実際、建設業者に相談をすれば、実績あるプロが工事内容を考え、プロが工事を監督し、手厚い説明とサポートで安心だ。だが30%の工事監理費その他多くの中間費が発生する。一方でDIYなら材料費だけ。直接職人に指示できれば、+人足代で済む。もちろん誰でもDIYが出来る訳ではなく、職人に指示できるだけの知識がある訳でもなく、専門に任せる方が、工事は確実だ。ただ自分はどの水準の工事後湯者に依頼するかは、予算と自分の実力を考慮して、自分で決める事だ。

6.4 ④機能性能グレードを決める
ここも予算への影響が大きく、「ケチ」の腕の見せ所だ。

工事に際し、どのように工事をすべきかは工事業者が決める事だが、その仕上がりの機能性能グレードをどの程度必要と考えるかは、工事発注側の判断となる。例えばエレベータ更新1つ取っても、せっかくだからと、震災時制御やバリアフリーやテレビモニターやらを付ければ、相応に金額が嵩む。空調にしろ消防設備にしろ、付加価値を付ければ費用が嵩む。内装工事も、高級素材やデザイナーズ内装にすれば、費用は天井無しだ。

機能性能グレードは工事業者に相談をすると、後から足りないと文句を言われないために、余裕を持った提案になりがちだ。この程度で十分。はビル所有者側が決める事。日本の建物は設備機能グレード過剰が多いから、ここは予算の削減しどころが沢山ある。

6.5 ⑤素材等(耐久性等)を決める
素材や耐久性も、費用インパクトがある。「どうせ工事をするなら長く使えるものを・・」は合理的に聞こえるが、 そのために他の必要工事が出来なくなっては、元も子もない。例えば屋上防水工事も、保証期間が5年、10年、20年と伸びると、相応に費用が増額する。

6.6 ⑥工事範囲
工事範囲も、予算削減ポイントとなる。日本では「どうせ工事をするならまとめて行った方が、共通費が節約できる」という考えがあるが、実際は逆だ。中間費が増え、また使える部分もスクラップにする無駄で高額となる。 例えばあるフロアで漏水事故が頻発し、排水管をリニューアルするとする。ついでだから全フロアという考えもある。ただ他フロアはまだ100年使用できるかもしれない。そもそも、建物全体での総工事予算に余裕があるかどうかで決まる。工事範囲を狭める事は、工事予算削減ではよくある方法だ。

6.7 耐震対策について
旧耐震基準建築建物については、全てに耐震性が無い訳ではない。数百年に一度の大震災の激震地に当たり、かつ倒壊するリスクは、地域と立地と地盤で大きく異なる。もし耐震性に不安がある場合でも、多くは部分耐震補強で済む。旧耐震基準建築で、耐震対策が必用かは、個別判断による。しかし耐震診断は信頼性が低い事に留意しておきたい。古い手書きの構造計算書など誰も読めず、推測が多くなる。そのため同じ建物で複数の耐震診断を受けると、全く違う結果が出る事が珍しくない。ここも他者に依存zンするのではなく、自建物をよく見て考えるべきところだ。


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7 基本方針4自分のリスク許容度

先に、 5 3自分の低予算水準 検討編において、5.3 予算削減を検討する
③どの程度の問題(トリガー)で、寿命にするか?の時期を後ろ倒しにする →リスクの許容範囲を見つける
を考える事を後回しにしたが、ここでそれを考える。つまり、工事時期を決めるとは、自分のリスク許容度を決めるこという事だ。そしてこれを考えるにあたっては、各建物設備機能が経年劣化し、リニューアル等工事が必用になる時期を、工事サイクルとして考える。なぜならば、永久資産としての建物では、リニューアル工事は1度工事をすれば永遠ではなく、何度も必要となるサイクルと考えられるからである。そして長期費用の観点から、このサイクル意識が非常に重要となる。

7.1 工事サイクルとは
建物設備機能が固有のタイムスパンで経年劣化する。そして建物を100年200年使用する事を考えると、建物設備機能の経年劣化は何度も繰り返される工事サイクルだ。この工事サイクルを決めるとは、自分のリスク許容度を決める事だ。工事サイクルは短すぎても長すぎても、リスクが高まる。

7.2 工事サイクルの数字と物のリスクの関係
工事サイクルは、長期の総工事予算に非常に関係する。 例えばエレベータの例は次の通りだ。

工事サイクルは、短いと長期総額が大きくなり、長いと長期総額が節約できる。ところが工事サイクルが長いと、物の(事故・トラブル)リスクも比例して高まる。だから、どの程度のリスクで、寿命とするかは、所有者が考える事となる。

7.3 工事サイクルは、具体的なトリガーと結びつく
工事サイクルは数字ですが、具体的にどのような状態をトリガーとして考えるかの問題です。各建物設備機能によって、特徴的な問題は異なりますが、一般的な表現では次の通りとなる。

  • 法定寿命
  • 実寿命
  • トラブルが1回発生したら
  • トラブルが数回発生したら
  • トラブルが頻発するようになったら
  • トラブルの規模が重大になったら
  • もうこれ以上は限界と言われるようになったら
  • もうこれ以上は限界と何度も言われるようになったら
  • 深刻なトラブルが頻発するようになったら
つまり各対象建物設備機能毎に、どのような状態を、リニューアルのトリガーと考えるか、を考えなければいけない。

7.4 工事サイクルを検討する
工事サイクルは、30年分散修繕計画作成上では、短めにしてみたり、長めにしてみたり、検討は簡単である。問題はその時に、数字合わせではなく、各建物設備機能のトリガー状態を考え、建物使用者がどこまでのトラブルを、容認できるかを、考える事である。 古い建物だから多少のトラブルは容認されると考える考え方もあれば、古いが高級建物だからトラブルはご法度という考え方もある。30年総工事予算の予算配分として、綱引きになりやすいのは、建物設備機能にお金をかけるか、リスクを高めない事を優先させるかだ。

7.5 工事サイクルを決める事は自分のリスク許容度を決める事
工事サイクルを決める事は自分のリスク許容度を決める事だから、経験が十分でないうちは、リスク許容度を決める事は勇気がいる。 ただ、30年分散修繕計画は、その通りにすべき計画ではなく、自分の所有する建物が永久資産にするために、必要な総工事予算と工事の目途をつけておくための、試行錯誤が目的だ。だからとりあえずリスク許容度を決めて、気になるのであれば、いくつものリスク許容度での30年分散修繕計画を作成して、比較検討をすればよい。 どのみち経験が少ないとリスクが過剰に不安に感じられ、経験とともに上手に付き合えるようになる。

7.6 31年目に工事が集中しないように
最後に一つ注意をしておくと、30年の総工事予算負担を軽くするために、無暗に工事サイクルを引き延ばし、31年以降に工事が集中してしまう事は避けなければいけない。これは一番手っ取り早いが、意味がない。工事サイクル検討では、30年以降も考慮する。


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8 リスクの分散を確かめ、計画をまとめる

ここまでで、30年分散修繕計画の作成を通して、自分の分散修繕の基本方針
1自分の総工事予算
2何の工事が効果があるのか
3自分の低予算水準
4自分のリスク許容度
を例え仮であっても、決めたら後は、仕上げに、リスクの分散を確かめ、必要に応じてリスクを調整する。このリスクの分散は、分散修繕の名前の由来だけに絶対に欠かせない。そして30年分散修繕計画が出来上がる。

8.1 最終の物リスク確認を行う
分散修繕の基本形で、数字のリスクは高まっていないが、物のリスクは別である。 30年の間に物のリスクが高まるところがないかは、全ての建物設備機能について、 30 年間の状態を確かめる。

確認の例として、4.4洗い出した自ビル建物設備機能を状態で色分けするで使用した色分けルールを、30年間にわたり、状態を推測して、適用する方法が分かりやすい。
無色:工事サイクル内
黄色:工事サイクルを過ぎた
赤:リニューアルトリガー状態を超えている
時々赤があるのは仕方がないとして、黄色と赤が何年も続いたり数が増えたりする所があれば、見直すべきである。

8.2 31年目以降も、低予算低リスクである事を確かめる
工事サイクルの検討でも留意したが、30年の分散修繕計画は理想的な低予算だが、31年目以降に工事が集中していては意味がない。30年以降の5年10年で、工事サイクルが集中する事がないかどうか、確認をする。

8.3 問題があれば、何度でも計画を見直す
問題があれば、5 3自分の低予算水準 検討編に戻って、問題d解消を検討する。 例えば工事が集中しがちの時期に効果的な方法は、

  • 工事範囲を狭める
  • 耐用年数を短くする
といった手法だ。合理的に考えれば、一定工事範囲かつ耐用年数が長い方が、工事費用の無駄は無い。という場合でも、予算の都合がつかずに物のリスクを高め過ぎるよりは、多少の範囲であれば、 工事範囲を狭めたり耐用年数を短くする事で、早くに再工事が必用となり、長期的な工事予算を多少増やす事になったとしても、今の物のリスクが許容範囲を超えるのであれば、今のリスク解決を優先すべきである。もちろん両者とも程度の問題があり、それは30年分散修繕計画で、検討する事になる。

8.4 30年分散修繕計画の出来上がり
数字と物のリスクの分散を確かめ、自ビル資産を永久資産にする30年分散修繕計画が1つ出来上がった。 もちろん1つ作成で出来上がりではなく、いくつもバリエーションを作成しておきたい。


8.5 築40年~50年代で最初の山が過ぎたら後は自然にリスクは分散される
もし、30年分散修繕計画で予算削減に苦労したとしても、将来を悲観する必要はない。山場を過ぎると、各重要工事サイクルが自然に分散され、余裕が出来る。すると後はもう計画も必要ない。 工事の必要が出来た場合でも、

  • 1自分の総工事予算
    2何の工事が効果があるのか
    3自分の低予算水準
    4自分のリスク許容度 目線を持っているから、建物全体に目を配り、工事の優先順位と将来の結果を考え、低予算高効果低リスクの対応ができるようになっている。

    9 付録:自ビル100年長寿化プランの作成

    30年分散修繕計画作成の後に、30年分散修繕計画だけでも構わないが、出来れば作っておきたいのが100年長寿化プランだ。30年分散修繕プランは、長い建物サイクルの30年を切り取り、


    • 1自分の総工事予算
      2何の工事が効果があるのか
      3自分の低予算水準
      4自分のリスク許容度 を見つけるために、作成をした。100年長寿化プランは、この方針に基づく100年の延命・長寿化の見通しを持つものである。

      9.1 ビル100年長寿化プランとは
      ビル100年長寿化プランは、文字通り100年の建物延命に必要な資本的支出工事計画だ。もちろん100年後の事を正確に考えても仕方が無く、10年単位程度で、何の工事が必要になると考えられるかをわかるようにしておく。

      9.2 ビル100年長寿化プランの作成
      作成の際には、30年分散修繕計画で対象外だった建物設備機能にも、予算を割り当てる。 工事サイクルを見て、2回目3回目が必用な工事対象は、2回目3回目を予定する。

      9.3自ビル100年長寿化プランの例



      9.4 ビル100年長寿化プランの使い方
      築60年を超すと、自然に工事は分散されてくるが、それでも集中する時期がある場合は、
      • 重要工事を早めに行う
      • 工事の規模を小さくする
      • 臨時予算を準備する
      等の対応方針を前もって考えておくことができる。

      9.5 ビル100年長寿化プランは次世代への建物引継ぎメッセージ
      そして100年とは、次世代への引継ぎを含める。100年長寿化プランは、建物の将来についての考え方及び永久資産としての価値を後継者と話し合う材料となる。例え十分な話が出来ていなくとも、100年長寿化プランは、建物資産引き継ぎのメッセージとなる。 後継者が建物を全く知らず、相続をした後継者が、建設業者の言うリフォーム・リノベーション費用の高額さに驚いて、即売却してしまうような、残念な事態が無くなる。


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注意:資本的支出工事で相見積もりは厳禁

分散修繕の資本的支出工事では、相見積りは厳禁だ。目先の費用をケチって、良い仕事をしてもらえないリスクを高める。

公共工事の相見積もりは、役所が工事仕様書を作成し、一番安い業者を選んだ事を議会で説明するために行うが、談合等問題が多い事はご存じの通り。しかし一般に流通している相見積もりでは、建物所有者側は工事仕様書を考えない。誰がやっても結果は同じの金額が小さな小修繕工事であれば、安い業者を選んでよいが、資本的支出工事のように、一緒に考える工事で、相見積もりをして値段で選べば、安かろう悪かろうは当然。業者も相見積もりをするような発注主の工事に、必要以上に頭を使って考えたりしない。特に最悪が、A社の提案と見積をB社に見せて、もっと安くできないかと聞くケースだ。これはA社ノウハウの盗難漏洩以外の何物でもない。

専門家に考えてもらう事は無料ではない。相手の手間、時間、貴重な知恵は、無料ではない。事を肝に銘じなければ、長く良い仕事をしてもらう事はできない。分散修繕では、一緒に合理的な工事予算削減を考えてもらう必要があるから、なおさら適正利益分は支払わなければフェアではない。

相見積もりの背景にあるのは、「ぼったくられるのではないか」という業者不信だが、それはコミュニケーションで解消しなければいけない。そのためにも30年分散修繕計画を考えて、自分の方針を持つ事が重要なのだ。ともかく資本的支出工事で相見積は絶対に厳禁と心すべし。

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