1 マーケティング賃貸の全体像
マーケティング賃貸の全体像です。賃貸マーケットがわかるようになると、賃貸効率が劇的に上がると同時に、共用部リニューアル等賃貸対策工事も少ない費用で劇的に効果があがります。
2 地域賃貸マーケットの理解
地域賃貸マーケットは、5つのワードで理解します。それぞれ簡潔に説明します。
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地域賃貸マーケット
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自物件特徴
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ポジショニング
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ターゲットテナント
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ライバル物件
2.1.地域賃貸マーケットとは
地域賃貸マーケットといっても、地域をどう切り取るか、物件タイプは事務所、店舗、居住用等の全てを含めるのか、切り取り方は人それぞれです。なるべく自物件を選ぶテナント目線で考えます。新築高層ビルに入居するテナントは、中小ビルに興味はありません。
地域賃貸マーケットの考え方は人それぞれ意見があります。地域賃貸マーケットの感覚を身につけるには、意識的に多くの不動産屋と地域賃貸の様子と今後について話し合うことが一番です。特に今後の動向について、自分の見解・意見を根拠立てて説明できることが重要です。
2.2.自物件特徴
マーケティング賃貸での自物件特徴とは、テナント目線で見た物件選びでチェックする特徴です。ビル所有者のこだわりではありません。
基本特徴は、立地、部屋の広さ、形状、ビルグレードです。そこに様々な付加価値が加わります。トイレ・給湯室の様子、エレベーター、セキュリティ、空調、駐車場有無、賃料、エントランス等見た目の印象、近隣環境・・・・
ちなみに基本特徴は、変えられない条件です。付加価値の方は、変わる条件/変えられる条件です。
自物件特徴の理解は、この後のポジショニング、ターゲットテナント、ライバル物件を見つけるために必須です。なお注意したいのは、築年数は入っていないことです。問題は築年数ではなく、どのようにビルの手入れをしているか、だからです。
2.3.ポジショニング
ポジショニングは、地域賃貸マーケットの賃料幅の中での、自物件の賃料ポジションです。
ポジショニングがわかると、ビル所有者も自ビルの募集賃料目線がわかります。また今後の賃料収入の予測もできるようになります。ポジショニングは、賃貸マーケットでの人気コンテストを表します。ポジショニングは、次のターゲットテナントとライバル物件がわかるようになると、より、わかるようになります。
2.4.ターゲットテナント
ターゲットテナントとは、自物件の特徴を選んでくれるテナントタイプのことです。ビル所有者なら気がついていることですが、自ビルに入居するテナントタイプは、一定の傾向があります。
一般にターゲットテナントは、主要通り沿いであれば、アクセスと視認性を求める会社が多いです。裏通りであれば、静かで落ち着いた環境を重視する会社が多くなります。部屋の広さと形で、社員数も決まります。自ビルの賃貸特徴を一つ一つ確認することで、自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントが見えてきます。
またターゲットテナントは1タイプとは限りません。より自物件が選ぶ可能性が高いターゲットテナントは、常に追求して損はありません。
2.5.ライバル物件
ライバル物件は、自ビルのターゲットテナントが他に比較検討する可能性が高い、自ビルと同様の賃貸特徴を持つ他ビルのことです。ライバル物件がわかると、賃貸リーシングや賃貸対策のリニューアルが効率よくできるようになります。
ライバル物件より少し勝てばよいのです。具体的な作戦や対策が決められるようになります。
3.賃貸リーシング
マーケティング賃貸は、ターゲットテナントに的を絞ってリーシングを組み立てます。多くのビルは賃貸リーシングの営業を自らは行いませんが、賃貸リーシングの流れ全体を理解すると、客観的にリーシングがうまくいかない理由を見つけることができます。修正を繰り返すことで効率よく問合せを増やし、内覧テナント数を増やし、入居申込書が入り賃貸借契約締結へと結びつけます。
3.1.元付不動産屋選び
元付不動産屋は1業者である必要はありません。ただ管理上一業者が楽なのも事実です。元付不動産屋は賃貸リーシングの都度評価をすべきです。
年お世話になっているという理由で、長年付き合いのある不動産屋にお任せが少なくありませんが、馴れ合いや古い不動産屋がトレンド変化の激しい賃貸営業の最新トレンドについていけていないために、適切な賃貸営業ができず空室が続いている物件は、驚くほど多くあります。
それでも元付不動産屋を変えたくない場合は、他不動産屋にインセンティブを出して直接依頼する方法も広く採用されています。
3.2.自物件紹介の文章・写真ブラッシュアップ
意外に見落とされていますが、不動産屋が作成する物件紹介を確認して、ブラッシュアップを要求すべきです。
なにしろこうした情報を目にしたターゲットテナントが、自物件を候補に入れてくれるかどうかで、その後が決まるのです。ネット等で検索をしてライバル物件と比較してどう見えるかも確認することをお勧めします。
3.3.確度が高い媒体に自物件情報を周知する
ターゲットテナントが使う可能性が高い媒体を分析し、そこに必ず物件情報を掲載することは、マーケティング賃貸のリーシングの要です。ここを間違うと、どんなに頑張ってもターゲットテナントは自物件情報を見つけられず、内覧も成約もありません。
不動産屋は、よほどでない限り全ての媒体に周知するような手間と費用をかけられません。だからこそターゲットテナントが使う可能性が高い媒体を選ぶことが重要なのです。
3.4.反応を確かめ修正をする
内周知して数週間しても反応がなければ、問合せはあっても内覧に繋がらなければ、不動産屋と一緒に1箇所1箇所問題があるかを検証して修正をします。
3.5.内覧者から情報を収集する
内覧者が決まったら、1. 内覧準備をブラッシュアップします 2.不動産屋が内覧者から情報や乾燥をヒアリングするよう手配をします。特に内覧者からのヒアリング情報は、選ばれなかった場合の次の修正のヒントになります。
3.6.条件交渉を制する
内覧者が入居申込み条件として条件交渉が入ったら、あと一歩です。何らか譲歩を見せつつ、自ビルの利益を守るテクニックが必要です。
交渉代理人の元付不動産屋を選ぶ際にも、条件交渉テクニックのレベルが高い不動産業者ほど、ビルとしてより高い収益が確保できることは言うまでもありません。
補足 賃貸借契約書も大切に
築古ビルでは、事務所・店舗の賃貸借契約書で自ビルの利益を守ることも重要です。住居と違い事務所・店舗の賃貸借契約書はBtoBとして合意で多くが決まります。
一般にテナン側の利益と権利が言われることが多い貸借契約書ですが、貸主にも自ビルの利益を守る権利があります。「強い」賃貸借契約書を書けることも、元付不動産屋選びでの重要ポイントです。
4.マーケティング賃貸のリニューアル工事等
マーケティング賃貸がわかるようになると、どこか綺麗にして賃貸効果をあげたいと考える時も、最小の費用で確実な効果を作ることができるようになります。またより大きな改装や用途変更を考える時も同様です。
4.1.賃貸効果を上げるトイレ等のリニューアル
賃料アップは無理にしろ、賃貸で賃料が下がらないよう、決まりやすくするよう、トイレ・給湯室・エントランス等共用部、貸室内装等のリニューアルを考える場合、どこの対象を行うか、どのような仕上がりにするか、全てはターゲットテナントの目線で決めます。ビル所有者の好みでも建築士の作品でもありません。
どこに手を入れるかは、ターゲットテナントが、どこを重視するかでが決まります。
仕上がりはどうするかは、ターゲットテナントが、どのようなテイスト・機能を好むかで決まります。
同時にライバル物件も見ておくと、「どの程度」でライバル物件より勝てるかがわかります。こうした分析ができていると、効果がでます。またどうすればよいか見つけられると、工事の方法も3通りから選ぶことができるようになります。
またターゲットテナントに選ばれるためどのようにすべきかが推測できるため、工事方法の選択肢が広がり、効果をそのままに費用を劇的に節約できるようになります。
4.2.改装・用途変更
改装・用途変更といった大掛かりな工事も同様です。改装は、ターゲットテナントの変更です。用途変更は賃貸マーケットの変更です。
それぞれ変更先の今後の動向を十分に検討した上で、変更先に選ばれることを意識して、どのように変更するかを決めます。
ビルオを使用してマーケティング賃貸を手に入れる
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