築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者のための
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ビル資産維持工事の低予算低リスクを実現する分散修繕

ビルの本場ヨーロッパや世界中の中小ビル資産所有者では一般的な築古ビル維持に必要な工事取り組み法:「分散修繕」の資産観、判断力、工事リテラシーをご紹介します。

中小ビル資産の分散修繕


分散修繕は、築古ビル維持に必要な工事取り組みの方法の1つです。それもビルの本場ヨーロッパや世界中の中小ビル所有者が実践している方法です。そして築50年どころか築100年築200年それ以上でも現役で使用出来ています。 分散修繕は、ビルの経年劣化部分等のリニューアル工事を、自分の予算かつ低予算低リスクで行い、ビルを負債化させずに、その使用利益を維持続けます。使用利益が続くから、ビルをいつまででも維持して使用を続けられるのです。

ビルの本場ヨーロッパや世界中の中小ビル所有者が実践している方法だから特別難しくありません、ただ私達日本人にとっては従来存在しなかった考え方です。そしてビル資産維持は、なんとなくな理解で上手くいくほど甘くはありません。だから正確に理解する必要があります。

そこで日本人が分散修繕を取り組むために欠かせない築古ビル資産維持の「資産観」、「判断法」「工事リテラシー」について、簡単にご説明をします。

Ⅰ 資産観

まず築古ビルの資産観は重要です。築古ビルが適切に維持続ける限り資産である事は、中小ビル100年超時代:なぜ築古ビルを維持すべきか?で確かめています。ここではその事は確かめませんが、ビルの維持に必要な工事において、適切な築古ビルの資産観がなぜ重要か、を改めて確かめます。
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1.1 築古ビルの資産観

まず、分散修繕を理解する第一歩として、築古ビル維持の工事とはどういうことか、何がネックになるのかを、理解しましょう。・
1.11 ビル「物」だが、同時に「ビル資産」
ビルは「物」です。だから物が壊れれば修繕をします。これがビル「維持」です。

同時にビルは、土地「資産」の価値を実現する「資産」です。 ビル「資産」は、使用経営で利益を産むから「資産」です。利益がなくなれば「負債」になります。 だからビル「資産維持」とは、ビルを負債化させずに、使用経営の「利益を維持」する事です。

実のところ、ビル資産には3面性があります。「物」と「数字」に加えて「権利・契約」です。「権利」がなければ利益を得られません。契約で収入と支出は実現します。ただ「権利・契約」は性質が違うので、ここでは扱いません。
1.12 ビルは資産でなければ維持ができない。負債化しては無理
一般にビルは、資産でなければ維持が難しくなります。中には趣味で内装等に費用をつぎ込む方もいますが、それは他で十分な予算(資産)がある場合の贅沢で。ビルの所有が負債化すれば、長くは維持できません。だからリノベーションや大規模改修工事は難しいのです。

つまり「ビル資産維持」は、単に「物」の問題解決だけではなく、「数字」の「利益維持」も考えます。工事が高額すぎて負債化しては元も子もないからです。
1.13 築古中小ビルの3つのリスク
実際に中小ビルの維持には、次の3つのリスクがあります。「壊れたら工事」式が難しいのも、3の負のサイクルに陥るリスクが高いからです。(陥らない対策ができないからともいえます。)

1 物のリスク
ビルは建物設備や内装・外壁・防水保護等、「物」の集合ですが、各「物」が経年劣化すると、機能しなくなったり、停止や事故を起こすリスクが高まります。内装や外壁も放置をすると、美観や清潔感を失います。いずれビルの使用が難しくなります。

2 数字のリスク
ビル資産は、使用経営の利益「数字」があって、初めて資産です。しかしビルの工事に費用をかけすぎると、赤字化して「負債」に転落します。

3 負のサイクルに陥るリスク
「必要工事をしない」物のリスクも高額工事をしすぎる」数字のリスクも、すぐには影響が出ません。けれど負のサイクルに陥ります。

負のサイクルは何十年と時間をかけて進行します。人間の病気と同じで、負のサイクルが悪化してからでは、ビルの立て直しハードルがより高くなり、やがてビルが寿命になります。怖いリスクです。
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1.2 ビル維持とは違うビル資産維持

ビルをただの物と見ると、古くなるとやがて寿命になり、建替えなければいけないのは当然と思えます。けれども同じビルをビル資産として見ると、維持という選択肢が現れるのです。
1.21 ビル維持とビル資産維持の違い
「物」のビル維持は、経年劣化に対して必要な工事を行います。けれども費用を考えません。だからリノベーションや大規模改修工事といった高額ソリューションが言われます。 「ビル資産」の維持とは、ビルを使用利益を産む資産として維持する事です。つまり「物」だけではなく、負債化させずに「利益」を産むように、経年劣化に対して必要な工事を行います。
1.22 ビル資産維持の工事は、将来の「利益」を作るために行うもの。だから「将来」も考える
ビル資産維持の工事は、単に「物」と「数字」を考えればよいだけではありません。それはまだプロパティマネジメントの視線です。

ビル資産維持の工事は、ビルの「将来」利益を作るための先行投資です。「現在」の「物」の建物設備の問題を解決する事で、「将来」も使用の利益が作れるビルであり続けるために工事を行うのです。

しかも単に「将来」利益の期待だけではなく、ビル資産全体で負のサイクルに陥って「将来」に問題を高めない事も含まれます。

1.23 ビル資産維持 は低リスク長期リターン
ビル資産維持の工事は、ビルの将来をつくるための選考投資です。ただし低リスク長期リターンです。

不動産投資の対象としてのビルには、新築・購入・建替え・リノベーションや大規模改修工事等、手法があります。全て高資金高リスクで高リターンを得る手法です。

これに対してビル資産維持は、低リスク長期リターンです。なるべく低予算低リスクで、「高リスク」を避けて安定利益を維持します。

不動産投資の「高資金高リスクで高リターン」は「上手く行けば高リターンだけれど失敗すれば資産を失う」です。これは、昭和の人口激増需要激増地価右肩上がりの時代であれば、個人でも手を出せましたが、人口激減需要激減経済縮小の時代に突入をした今、難しい時代は、リスクヘッジができる大資本はともかくとして、一般の中小ビル資産所有者は、ひたすら維持が世界中の中小ビル資産所有者の鉄則です。例え高リターンではなくとも、100年200年長期リターンを続ける事で、短期高リターンをはるかに凌ぐリターンを得られます。しかも子供の代孫の代その後はリスク無しです。日本人も早くその価値に気が付きましょう。
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1.3修繕工事とは違うビル資産維持取り組み

ビルを負債化させず使用利益を産む資産として維持するビル資産維持の工事取り組みは、当然ですが通常の修繕工事とは違います。
1.31 修繕工事とビル資産維持では工事の取り組み方が違う
修繕工事とビル資産維持取り組みでは、工事の取り組み方が違います。 例えば排水管で漏水事故があれば、直ぐに修繕工事をします。エレベータ部品が壊れてエレベータが動かなくなれば、即、部品交換の修繕工事を行います。こうした修繕工事は、相見積もりで安い業者を選びます。 一方ビルの将来利益を守るビル資産維持の工事とは、そうしたトラブルが増えたため、排水管リニューアル、エレベータ・リニューアルをして問題を根本解決する工事です。または、今までなかったけれど、途中で必要になった建物設備機能を追加する工事もあります。こうした工事は、本当に必要なのか、今でなければいけないのか、どの業者がいいのか、どの程度(機能性能グレード等に)予算をかけるか、ビル資産所有者として考える事が多数あります。安い高いだけの問題ではないのです。

1.32 修繕工事と違いビル資産維持の工事はBSの資本的支出
ビルの将来を作る分散修繕対象となるビル資産維持の工事は、会計上もPLの修繕ではなく、BSの資本的支出です。そして資産に関する事は、ビル資産所有者が自分で決めなければいけないのです。

1.33工事業者が決める事とビル資産所有者が決める事は違う
とはいえ、もちろん専門知識を持たないビル資産所有者が、工事見積の内容を判断したり、工事業者に指示が出来る訳がありません。工事の事は専門家/専門業者が決めます。(簡単な内装工事程度なら出来ますが)ビル資産所有者が判断する事は、工事業者が決める事とは違います。下手に工事業者が決めるべき事に横から口出しをしていては、工事業者に嫌われます。二度と良い仕事をしてもらえなくなります。気を付けましょう。

1.34実際のビル資産維持工事取り組みは、専門業者とビル資産所有者の共同プロジェクト
ビル資産維持工事において、工事業者が決める事とビル資産所有者が判断する事が違う通り、ビル資産維持工事は、専門家・専門業者とビル資産所有者との共同プロジェクトです。両方が決めるべき事を決めて、よく話し合いをしてすり合わせる事で、上手に低予算の工事を成功させる事ができます。(こうした手間を取りたくないならば、相応に超高額な費用を支払って建設業者お任せリノベーションや大規模改修工事をしなければいけません。)

専門家・専門業者は、ビル資産所有者がビル資産維持工事の方針を決めていると、方針に沿った合理的な工事提案ができます。けれどもビル資産所有者も、そもそも専門家・専門業者のアドバイスがなければ、ビル資産維持工事の方針を決められない訳です。低予算で工事を行うためには、専門家・専門業者に過剰なサービス負担をかけない配慮も必要です。
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中小ビルは負債化させずに100年超維持時代へ。築30年以上中小ビル資産所有者、経営者、後継者の方向け、築古ビル維持のご相談はビルオへ、御質問。お問合せ、お気軽にどうぞ。、一棟ご所有者から、10数棟ポートフォリオそれ以上、幅広く対応できます。最初のお話は無料です。地方自治体他団体様向け街の築古ビル維持支援のセミナー・講習会も開催します。

Ⅱ 判断力

どの工事は必須か、どの工事は省く事ができるか。必要工事はいつ頃行うべきか。どう工事予算を削減できるのか。ビル資産維持に必要な工事の判断には、ちゃんと考え方があります。
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2.1. 分散修繕

分散修繕は、このビル資産維持工事の判断の方法の1つです。そしてビルの本場ヨーロッパを始め世界中の中小ビル資産所有者達が実践をしている、事実上中小ビル維持のスタンダードです。
2.11 分散修繕によるビル資産維持工事の判断
分散修繕の特徴は、ビル資産所有者が自分で考えて決める事で、
ビルの使用を継続しながら、
・自分の予算計画に合わせて
・低予算
・低リスク
でビルの経年劣化部分等のリニューアル等工事を行う事です。
2.12 分散修繕のビル資産工事判断に必要な事
分散修繕で、自分の予算内かつ低予算低リスクでビル資産維持工事を、ビル資産所有者が自分で考えて決められるためには、
  1. 自ビルに必要な工事の全体を把握できる
  2. 工事判断の結果の、将来ビルとその過程を想像できる
  3. 工事に優先順位を付けられる
力が必要です。 ヨーロッパや他国の中小ビル資産所有者達は、歴史的経験から、自然にそうした考えと力が身についていて、日ごろから自ビルの維持の予算と方針を考えて、準備をしている訳です。私達日本人には、そうしたビル資産工事取り組み方針を決める経験が今までありません。昔はこうした判断ができるまでに、長い経験で勘を養う必要があると考えられてきました。けれども、現在では私達日本の中小ビル資産所有者も、30年分散修繕工事計画を作成する事で、短期間で分散修繕のビル資産工事判断力が出来るようになります。
2.13 最初は30年分散修繕計画の作成が必要
日本人が分散修繕のビル資産工事判断がが出来るようになるために、最初は30年分散修繕計画の作成が必要です。 30年分散修繕計画は工事の実施計画ではありません。作成のために見積書を取る必要もありません。ただ手持ちの総工事予算で、いつ何の工事をどの程度行うと、より具合がよいか、事前に試行錯誤して考えておきたいのです。 計画作成での試行錯誤が経験となって、実際のビル資産維持工事検討の場面で、考えるべき事を全て考えられます。負のサイクルに陥るリスクを激減できます。現在のビルを、価値ある資産として維持できる可能性が高まります。

30年分散修繕計画の作成は、実際には次の3ステップがあります。
  1. 準備として考える事を考える
  2. 総工事予算と何の工事に予算を配分するかを決める
  3. リスクを分散させる
これらを1つ1つ順を追って見ていきます。

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2.1. ビル資産所有者が考える事

30年分散修繕計画の作成にあたって、エクセルに向かう前に、まず3つほど、考えておくべき事があります。考えるべき事を考えておく事で、自分の予算かつ低予算の分散修繕が実現できるようになるのです。

分散修繕計画を作成する前にビル資産所有者が考えておくのは、次の3つです。

1つは、ビル維持工事予算の財源
1つは、今後のビル使用者
そしてもう1つは、30年後の自ビル使用者が使用している自ビルの様子

2.21 ビル維持工事予算の財源を考える
今後30年のビル資産維持工事の財源を考えます。財源がなければ、どうやっても工事ができませんから、これは大切です。借入は最終手段として極力避けましょう。

望ましいのは、安定財源です。つまり収益ビルなら賃料収入、企業なら事業売上、個人であれば個人手雲集です。既に修繕資金の準備や、臨時財源の予定がある場合でも、安定財源は考えておきます。 100年の維持を考えれば、準備金はいずれ尽きます。他に使用する用が出来るかもしれません。安定財源は、長期的に安定して確保できる分散修繕工事予算目線を考える際の目安になります。
2.22 今後のビル使用者を想像する
次に、今後30年のビル使用者を、具体的に想像します。

30年後のビル使用者がどんな状態の自ビルを使用しているか、具体的に想像します。分散修繕が目指すのは、単なる現在ビルの維持ではなく、将来のビル使用者が使用するビルを作る事だからです。ここを具体的に細部まで想像する事で、将来のビル使用者にとって重要かどうかの観点で、工事に優先順位をつけて、優先順位の低い工事を削減する事ができるようになるのです。

例えばビル使用者は女性が多いか、男性が多いか、若年層が多いのか平均年齢が高めか・・、使用は事務所か、店舗か、事務所と一言言っても、来店型か、堅い雰囲気か、自由なスタイルを好むか・・手法としてマーケティングのペルソナ手法が役に立ちます。インターネットで検索をするとサンプルが多数出てきますから、ぜひ参考にして作ってみてください。
2.23 30年後の自ビル使用者が使用している自ビルの様子
もう一つ、今後のビル使用者を想像したら、同時に今後のビル使用者が使用している自ビルの姿についても、想像してみます。こちらは、可能性は無限大です。だからずっと常に考え続ける永遠のテーマです。

細部の内装工事等を想像する事は不可能ですが、例えば常に新しく綺麗な状態なのか、古いけれども手入れは良い状態なのか、相当に古さを感じさせる状態なのか?現状と同じ雰囲気か、何かガラリと変わるのか? 建物機能も現状維持なのか、古い建物だから多少のトラブルは仕方がないと考えて使用されるのか、時代に合わせた新しい機能性能が加わるのか?

もちろん自分の予算は念頭におきます。潤沢な予算があれば潤沢な予算に合わせ、予算が厳しければ厳しいなりに、自ビルの様子を想像できるでしょう。

自分の予算でどのようなビルでいられるか、検討してみなければわからないところもありますから、次章を検討しながら、検討をしてみて、改めて立ち返って自ビルの在り方を想像します。同時に、次章の工事計画は、ここで想像する将来のビル像を作る事でもあります。だから何度も繰り返し、見直します。また他ビル等を見て、突然アイデアが湧く事もあるでしょう。そうしてアイデアを常にアップデートしていきます。

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2.3 自分の予算かつ低予算で自ビルに何の工事が必要か

自分で自分の予算で自ビルに何の工事が必要か・・・これは簡単な答えがない問題です。
  • まず自ビルに必用な工事を全て把握できるか
  • 次にどうやって次の30年内に工事が必要か、先延ばしにできるかを判断するのか
  • そして個別工事の工事予算をどう削減するのか
でビルの将来が全く違ってくるからです。そこでこれらをもう少し丁寧に見ていきます。
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2.3-1 30年分散修繕計画で必要工事を決めるための全体像

30年分散修繕計画は、全てではありませんが数字面では、30年総工事予算の配分計画です。リスクの事はこの後で見る事にして、まず自分の総工事予算かつ低予算で何の工事が必要かを考えます。

2.3-11 自ビル建物設備の全てにリニューアルが必要な訳ではない
築古ビルだからといって、自ビルの建物設備機能の全てにリニューアルが必要な訳ではありません。だから中小ビルにはリノベーションや大規模改修工事のような(内部全てのスクラップアンドビルド)大型工事は必要ないわけです。ただするど、何の建物設備機能はいつ頃リニューアルが必要か、を自分で決める事が問題になる訳です。

極力工事を避ける事で工事予算を削減する事もできますが、私達が目指したいのは、発展途上国のスラム街のスラム廃墟ではなく、ヨーロッパ型の古くても適切に手入れされている趣ある街のビルのはずです。その鍵が、低予算でも「必要工事」が判断できる事なのです。
2.3-12 何の工事ができるかは、各工事にいくら予算を配分できるか等でも違う
この総工事予算をどう各工事に配分するかを、事前に30年分散修繕計画の作成を通して検討をしたい理由は、
  • より低予算を追求したい
  • 各工事にいくら予算を配分するかで、出来る工事が違ってくる
  • 各工事をいつ頃必要かと考える事でも、対象工事が違ってくる
からです。そしてその結果ビルの将来が全く違ってくるからです。そこでこれらをもう少し丁寧に見ていきます。

2.3-13 自ビルの30年総工事予算を決める
理想的な30年総工事予算は、毎年一定金額確保です。

特にアイデアが無ければ、最初は収益ビルであれば財源である賃料収入の5%前後~10%を目安にします。((当然、収益規模とビルの状態によって異なります。)事業用ビルや自用ビルでも、賃貸を想定して、同様水準をベースラインに考えます。


財源確保が難しい場合は、もちろんより低予算でも構いません。また工事が集中する時期に予算を挙げて、他は下げる事もできます。この後に実際に計画を作成してみて、余裕があればもちろんより削減もできます。
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2.3-2 自ビルに何の工事が必要か

さて、ここから重要な「自ビルに何の工事が必要か」です。これは同時に、何の工事は優先順位が低いか、と一体です。実際には更に、次の2.5工事必要/まだ必要ではない 判断 2.6各工事の予算を削減 とも一体で考えます。
2.3-21 自ビルで潜在的に必要な工事対象を洗い出す
自ビル維持に必要な工事の対象は、潜在的には躯体以外の自ビル建物設備機能の全てです。

長期修繕計画があれば、その主要項目を抜き出します。ない場合は、管理会社等と確かめましょう。普通の中小ビルではそう数多くはありません。
2.3-22 実際に何の工事が必要なのか
ただもちろん、全て工事が必要な訳ではありません。分散修繕の検討においては、自ビル維持に必要な工事の対象は、次のように分類します。(この分類が、既にビル資産所有者が決める事なのです。)


2.3-23 工事におおまかな優先順位をつける 
洗い出したビル資産維持工事対象をカテゴリー分けして、優先順位をつけます。といっても3段階くらいに分類すれば十分です。その時に、工事の性質も次の4カテゴリーに分けておくと、実際の優先順位付けの時に検討しやすくなります。


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2.3-3 工事必要/まだ必要ではない 判断

自ビルで今後30年で何の工事が必要か、の判断においおて、何が工事が必要で何がまだ工事が必要ではないか、の分類は非常にキモです。どう判断するのでしょうか?
2.3-31 どうやって工事費用目安を調べるのか
ところで、各工事の費用目安は、どう見つければよいのか?

見積書は必要ありません。正確な数字は必要ありません。どうせ変わってきます。

大まかな目安は、現在ではインターネット検索が第一手段で、かなりの情報は手に入ります。例えばキュービクル、更新とサーチすれば目線は出てきます。ただわかりにくい分野は、管理者や工事業者に意見を聞きます。 ただ現在はインフレ基調にありますから、多少保守的(現在の目安金額+α)で見ておく事をお薦めします。

意見を聞く時の注意は、見積書を貰わない事です。あくまでもざっくり聞く事です。なるべく相手に負担をかけない事を心がけましょう。ましてや、相見積もりは厳禁です。
2.3-32 ②工事サイクル 
工事サイクルは、ビルを100年超長く維持するために、非常に重要な概念です。ビルを100年超長く維持する場合、工事は全てサイクルと考えます。つまり1回行ったら終わりではなく、将来何度も必要になるのです。

当然ですが、リニューアルのような工事は、「物」の事故リスクと深く関係します。リニューアル工事を早め早めに行えば「物」の事故のリスクは高まりません。けれども長期間でみると総額が相当に高まります。一方でリニューアル工事を引き延ばせば、工事費用は節約できますが、「物」の事故リスクは高まります。エレベータの例は次の通りです。


2.3-33 工事は早すぎず、遅すぎず
管理会社や工事業者は、なるべく「早め」の対応を希望するのが普通です。そのほうが物「トラブル」のリスクが無いからです。何か事故があれば、対応に苦労するのは彼らです。 一方でビル所有者にとって、「工事の先延ばし」一番手っ取り早い工事予算削減と判断を避けるためのテクニックです。

今後分散修繕で低予算低リスクでビルを維持するためには、自分で工事判断のタイミングを決める事は非常に重要です。(例えば後2回小さなトラブルが発生したら・・・でも構いません。)

32.3-4 各工事の予算削減

実際に各工事に配分工事予算をどう決めればよいのか?
各建物設備機能や内装等工事固有の、予算削減の考え方については、後でご紹介をします。見積書も必要ありません。ここではまず、全体方針として、ビル資産所有者が決めるべき工事予算削減ポイントをのご説明します。 ビル資産維持の工事の予算は、取り組み方次第で松竹梅があります。その違いがどこで出来るのか?さそれを理解しましょう。
2.3-41 各工事予算削減ポイント
自ビル工事予算削減方針としての、各工事予算の削減ポイントは次の通りです。
④工事業者のサービス水準
⑤機能性能グレード
⑦工事範囲
⑥素材等(耐久性等)
2.3-42 ③ 工事業者のサービス水準
誰も教えてくれないけれど、工事費用インパクトが大きいのが、相談をする業者のサービス水準です。腕の良し悪しと言う話ではありません。サービスやマネジメントが良い工事業者は、その分費用が嵩んで当然だという事です。

「サービスやマネジメントの良さ」=工事の「安心」です。「安心」は高額なのです。

建設業者に相談をすれば、実績あるプロが工事内容を考え、プロが工事を監督し、手厚い説明とサポートがあり安心だけれど、工事総額の30%の工事監理費その他多くの管理費が発生して超高額です。自分でDIYで工事をすれば材料費だけ、または職人に指示すれば、+人足代で済みます・ただ 工事内容を決めて材料を選び施工まで全てが自己責任です。費用水準が低い業者に、過剰サービスを求めるのは、「業者いじめ」と言います。わからない設備工事を無理にDIYしても、更なるトラブルを引き起こすリスクが高まります。各工事で、自分がどの程度業者の「サービスやマネジメント」を必要とするかは、ビル資産所有者が決める事です。


こうした業者のサービス水準は、工事業者のHPを見たり実際に話を聞いて、確かめます。
2.3-43 ⑤機能性能グレードを決める
ここも予算への影響が大きいところです。この削減は「ケチ」の腕の見せ所でしょう。

工事に際し、どのように工事をすべきかは工事業者が決める事ですが、その仕上がりの機能性能グレードをどの程度求めるかは、ビル資産所有者が決め事です。例えばエレベータ更新でも、せっかくだからと内装のグレードアップや、震災時制御やらテレビモニターやらを付けると、相応に金額が嵩みます。空調にしろ消防設備にしろ、付加価値を付ければ費用が嵩みます。内装工事も、高級やデザインを追求すれば、費用は天井無しです。


もちろん、将来のビル使用者が必要とする機能性能グレードは維持しなければいけませんが、日本のビルは設備機能グレード過剰が多いので、ここは予算の削減しどころが沢山あります。
2.3-44 ⑥素材等(耐久性等)を決める
素材、時に工法についても、同様です。「どうせ工事をするなら長く使えるものを・・」は合理的ですが、信頼性や長持ちは、比例して高額です。例えば。屋上防水工事も、保障期間が5年、10年、20年で比例して費用が増額します。

長期総額の観点から見れば、長持ちする方が合理的とはいえ、寿命を優先させて直近で必要とする他の重要工事予算が厳しくなれば意味がありませんから、予算調整で「余裕があれば、の選択肢」になります。
2.3-45 ⑦工事範囲を決める
工事範囲も、素材と同様です。日本では、「どうせ工事をするならまとめて行った方が、共通費が節約できる」と言われがちですが、実はそうとは限りません。 例えば1フロアで漏水事故が頻発するから排水管を更新する時に、ついでだから全フロアを更新するのは、合理的に聞こえますが、他フロアは漏水事故もなく後100年使用できるかもしれません。工事規模が大きくなると、不随する中間費も増額します。まとめて工事は隠れ費用も増え、必ずしも経済効果があるとは言えません。後が楽な事は確かです。ただ工事予算が厳しい場合、本当に必要な範囲だけを、小さく行う方が、その時には低予算かつ他の工事に予算を回せて、合理的です。
2.3-5 全体の工事予算を削減する
次に進む前に、全体としての工事予算削減を十二分に考えておきましょう。
2.3-51 自分の予算で収まるまで何度も見直す
ある程度必要工事を決めて工事予算を割り振ってみると、自分の総工事予算では足りない!とショックを受ける事は、ごく普通です。そこからより、工事対象の削減や工事サイクルの見直し、工事予算の削減を考え、自分の工事予算で収まるまで、工事予算を削減していきます。例え自分の工事予算に収まっても、更に工事予算の削減を考えて損はないでしょう。
2.3-52 30年後のビル像そのものを見直す
見直しでは、30年後のビル像そのものも、見直します。 古いビルでは、現状維持だけではなく、(見た目だけではなく建物機能の)シンプル化や個性化も可能です。後者の例では、漏水事故の多い上層階の給排水を止めてしまう例などもあります。下層階で使えれば構わない訳です。
2.3-53 シンプルな古いビルの美を再認識
築古ビルはシンプルビルが、世界中でも一般的です。経年を経たビルは、それだけで独特の趣の美があります。シンプルで居心地が良いビル・・・の例として、ヨーロッパの普通の街の普通の中小ビル(の見た目だけではなく内側も)など色々見ておくと参考になります。

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2.4 リスクの分散

自分の予算かつ低予算で自ビルの資産維持に必用な工事をだいたい決めたら、そこで終わりではなく、まだ最後にリスクの分散を確かめる事が残っています。リスクの分散は、「分散修繕」の名称の由来である通り、非常に重要です。
2.41 リスクの分散で、リスクを高めない 
リスクの分散とは、リスクを高めない事です。リスクとその対応を分散する事で、「物のリスク」「数字のリスク」「将来負のサイクルのリスク」の3つを高めないのです。 実際のビルの経年劣化部分のリニューアル工事等は、必要なタイミングで行います。ただそこで「リスク」意識があるかどうかが、「壊れたら工事式」との決定的な違いなのです。

2.42 「数字」のリスクを高めない:理想の低リスク分散修繕
分散修繕で数字のリスクを高めないビル資産維持工事取り組みは、最初に紹介をした通りです。

つまり「予算を準備して工事をする」「工事が終わると次の工事の予算を準備して工事をする」の繰り返しです。これを続けている限り、「数字」は赤字予算になりません。けれども「物」のリスクはまた別です。ここで数字を優先して工事ができず事故が起これば、元も子もありません。そこで「物」のリスクも徹底的に確かめます。
2.43 「物」のリスクを高めない
「物」のリスクの確認は、30年分散修繕計画の表で、各建物設備内装等について、横に30年辿って、経年数からその状態を想像し、酷く悪化するところがないかどうかを、確認します。 例えば、
  • 重要工事の予定が、同じ時期に重ねる
  • 重要工事の必要時期に、必要予算が準備できない


といった場合、単純に工事サイクルを引き延ばして後延ばしにしていると、明らかに「物」リスクが高まります。ではどうすればよいのでしょうか?

例えば、次のような「物」のリスクを低減させる調整を行います。
  • 重要な工事を早めに行う
  • 重要度の低い工事を少し後ろ倒しにする
  • 重なる時期の工事規模を更に分割する
  • 重なる時期の工事予算をもっと削減する
2.44 分散修繕が出来ている築古中小ビルのイメージ
理想的にビル資産維持工事を分散して低予算かつ低リスクでビル資産維持が出来ている築古中小ビルは、次のような状態です。

一棟のビルの中に、古い設備や内装外壁と新しい設備や内装外壁とが、混在しています。多少不便なところや経年を感じるところがあっても、最新機能設備は揃っていなくても、酷く悪い状態はなく、必要最小限の機能性能や美観清潔感はあって、見た目も居心地も悪くありません。

こうした状態が「当たり前」になると、一次的に「物」のリスクや「数字」のリスクが高まる事があっても、酷く悪くなる前に低リスクな「当たり前」状態に向かい、リスクを軽減して、「当たり前」の低リスク状態を取り戻します。

そうして気が付いたらビルは100年を過ぎているでしょう。そしてビルを酷く老朽化させない事で、経年の趣が加わります。そうしたビルが建ち並ぶ日本の街は、アジアのスラム街ではなく、古くても趣あるヨーロッパの古い街並みになります。そして街が劣化しないから、自ビルの価値も生き続けます。これを実現するのが、分散修繕です。

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2.5 30分散修繕計画の作成

ここまでの検討を、マイクロソフトエクセル等表計算ソフトを使用した30年分散修繕計画の作成を通して行います。最後に作成にあたっての留意点を述べておきます。
2.51 30分散修繕計画作成のコツは計算式の入れ込み
30年分散修繕計画表に決まったフォーマットはありませんが、1年から30年後まで、毎年の留保予算とその累計、工事使用金額と使用後の残額累計が分かるようにします。

コツが、計算式の入れ込みです。ストレスなく検討をするためには、例えは一つ工事予定の数字を入れると、関係する全ての数字に反映されるようにしておきたいのです。当社ではご相談者様に、30年分散修繕計画表のひな型をご提供しています。

2.52 沢山作成する
適切に数式を入れ込んだ30年分散修繕計画表のフォーマットが1つあると、後はいくらでもコピーをして、無制限に、思いつくままに様々なアイデアで計画を作成して、比較検討ができるようになります。正しい間違いは問題ではありません。そうしてアイデアを30年分散修繕計画表という目で見える形で表現し、それを比較検討続ける事が、経験値として、実際の工事検討の場面で生きるようになります。

「決断する」とは「選択する」です。多くの30年分散修繕工事計画のモデルを作成する事で、より多くの選択肢を持つ事ができます。そしてより多くの選択肢を持つ事で、より望ましい「判断」=選択ができるようになります。
2.53 いずれ計画なしでも自然に分散修繕ができるようになる
分散修繕が出来ている築古中小ビルは、それほどリスクが高まる事はありません。 築40年~築50年過ぎであまり工事をしてきていない場合、。外壁やエレベータ更新等や、漏水排水管の更新等といった、高額重要工事が集中しがちになるため、色々考える事になりますが、山場を越えれば、後はそうリスクは高まらなくなります。

そしてだいたい自ビル維持のために毎年準備しておく予算感が掴めるようになれば、後は計画なしでも、自然に考えるべき事を考えて、将来もリスクを高めない分散修繕のビル資産維持工事判断ができるようになります。

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中小ビルは負債化させずに100年超維持時代へ。築30年以上中小ビル資産所有者、経営者、後継者の方向け、築古ビル維持のご相談はビルオへ、御質問。お問合せ、お気軽にどうぞ。、一棟ご所有者から、10数棟ポートフォリオそれ以上、幅広く対応できます。最初のお話は無料です。地方自治体他団体様向け街の築古ビル維持支援のセミナー・講習会も開催します。

Ⅲ 分散修繕工事の工事リテラシー

建設業者や管理会社に全てお任せで全て采配してくれるリノベーション工事や大規模改修工事といった建設業者ソリューションと違い、分散修繕で経済的に行う建物設備機能リニューアル等工事では、工事を相談し依頼するビル資産所有者側にも、多少の工事マナーが必要です。重要な点をいくつかご紹介します。
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3.1 実際のビル資産維持工事検討の流れ
実際のビル資産維持工事のような重要工事検討の流れは、次の通りです。

ビル資産所有者は、工事の必要性を認識すると、30年分散修繕計画をもとに、他の工事との優先順位で物のリスクや数字のリスクを高めないように、他の工事予定を調整し、また工事予算の目途を立てます。ただ実際の工事費用はその時々で決まりますから、ビルとしての工事予算を優先させて工事内容を更に削減するか、予算をやりくりして工事を行うか、話し合う事になります。
3.2 重要工事業者は安いだけでは選べない
修繕工事とは違う、資本的支出工事に該当するビルの維持に必要な経年劣化部分のリニューアル等工事については、「安い」だけでは選べない事は既にご説明をした通りです。 また工事業者のサービス水準によっても、かかる費用が大きく違ってくるため、自ビルに合ったサービス水準の工事業者を選ぶ事も、工事予算削減の重要テクニックである事も、既にご説明をしました。

自分の分散修繕計画での目線に合わせた「工事業者のサービス水準」は、最初のフィルターになります。そしてこのフィルターを決めて守るのは、ビル資産所有者側の責任です。 費用を削減しながら、30%の工事監理費等を取る高額な建設業者のプロジェクトと同じ水準の、細かな説明資料の作成や気配り配慮を求めてはいけないのです。
3.3 分散修繕対象のビル資産維持工事で相見積もりは厳禁
軽微な修繕工事と違って、分散修繕対象のビル資産維持工事で素人の相見積もりは厳禁です。 相見積もりは、公共工事のように役所が工事仕様書を作成して、後はその通りに工事をするために極力安い業者を選ぶための手法です。

けれども一般の私達は、工事仕様書など作成できません。ただそのためのコンサルタントに費用を支払わなくても、中小ビルの分散修繕の工事程度なら、工事業者と相談をしながら決める事ができます。 ただ工事業者にどう工事をしたらよいか、考えて貰う手間と時間をかけさせます。そこでAという工事業者に一生けん命アイデアを考えてもらっても、相見積りと称してその見積書をB社に見せれば。それはA社のアイデアとノウハウの流出です。B社はアイデアを考える手間時間も必要ないのだから、より安い見積書を出す事ができます。

また相見積もりの背景には、「ぼったくられるのではないか不振」「相手を損させても自分だけは損したくない」という、業者不信の考え方があります。これでは業者と良いチームを築く事はできません。そしてA社もB社もあなたをその程度とみなし、二度と考えようとしなくなります。

経済的に良い仕事をしてもらう事を望むなら、だからこそ、「相見積もり」は厳禁です。
3.4 実際の工事取り組みは専門業者とのチームワーク
ビル資産所有者と専門の工事業者が良いチームワークを組んで一緒に考え工事に取り組む事は、実は最も経済的かつ確実に良い工事ができる方法です。

つまり専門工事業者を探すにあたって、「相談しやすさや話のしやすさ」といった人間的相性は、2番目のフィルターになります。人の相性やチームワークの在り方は人それぞれだから、ここに決まりはありませんが、営業担当者は調子よくあれこれ言ってくれたけれど、実際に工事が始まったら全く違った・・という事はしばしばありますから、営業担当者がフロントに出てくる場合は、早くから工事責任者や工事担当者と話をさせてもらい、相性を見ます。
3.5 契約から工事完了から保証まで
ある程度工事内容がかたまり見積書ができると、後は契約ー工事ー工事終了後へと進みます。


工事進行の流れは、工事業者に任す事ができますが、それぞれのステージで、受け身ではなくビル資産所有者が自分で確かめる事を確かめ、 やるべき事を行う事で、支払い対価に見合う自らの権利を守り、工事を成功させる事ができるという訳です。

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補足 主要ビル資産維持工事の取り組みヒント

ここで主要ビル資産の維持工事取組を勘がる際のヒントを大まかにご紹介します。実際の判断は個別の事情できまります。あくまでもご参考です。
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4.1 電気設備・幹線
  キュービクルあるビルでは、電気主任技術者の助言を聞きます。ただキュービルのリニューアルといって、中の設備の必要部分だけを交換する場合と、箱ごとリニューアルする場合があります。もちろん後者の方が費用がかかります。近年電気使用量が増えているので、その対応が必要な場合もあります。

電気幹線は、これも電気技術主任者の助言があった場合ですが、増えた電気使用量に合わせて電気幹線も交換する場合もあります。

部屋の照明器具やコンセントは内装リニューアルの際に、変えていると思いますが、あまり古いままの箇所があれば、どこかで交換します。

忘れやすいのが、収益ビルの子メータですが、法律上は、10年に1回交換です
4.2 給排水管・設備
  排水管漏水はよくあるトラブルです。ただ昔の鋳鉄管の場合や、ジョイント部分に鋳鉄管が使われている場合、錆リスクがあります。ただ水使用量が多い住居・飲食ビルに比べて、水使用量が少ないオフィスビルは、そうそうありません。そう酷くない場合は、ライニング工事で対応ができます。

給水管は通常交換する必要はありませんが、給水が屋上高置タンク式の場合、現在は直結増圧式が推奨されていますから、タンク老朽化と共に、タンクを撤去して、直結増圧式に変更する例は多くあります。この時に給水菅の耐圧に心配があると、給水管を更新する事になります。 パイプスペースのアクセスが悪かったり、フロアごとにコンクリートで遮断されている場合は、新規パイプを建物の外側に設置します。よくある話です。
4.3 外壁
  外壁は、マンションも含めて大規模修繕工事業者は数多くありますが、高額になりがちな一方で、サービスや考え方が千差万別で業者を選ぶのが難しい領域です。

外壁修繕工事には3つの目的があります。ビル資産所有者自身が、まずどこに力を入れたいのか、どの程度のサービス水準を期待したいのか、足場をかけたついでに他の工事もやりたいのか、自分で決めなければ良い工事業者を決められません。


中小ビルの場合、市街地の防火地域の耐火建物として実質建蔽率の制限がなく、隣ビルと隣接している場合、外壁修繕工事は前面だけで十分な場合がほとんどです。見た目だけが問題であれば、通行人の目線に入る1F2Fだけでも十分です。 外壁タイルが古く補修タイルが手に入らず、全交換の予算もない場合は、タイルの上から塗装する手法もあります。

屋上の防水塗装は、より短い頻度で行っている事でしょう。近年防水工法によって、10年や15年20年等がありますから、予算と相談をして選びます。防水工事は必ず保証があります。保証内容をしっかり確かめます。
4.4 エレベータ
  エレベータは、エレベータ保守会社が交換の助言をします。だいたい築30年を過ぎると交換を言われますが、50年以上使用しているエレベータも少なくありません。40年程度で保守部品保管期限が過ぎたという手紙をもらう事がありますが、部品はあるものです。(他の交換エレベータから取った部品が保管されています。) 古いエレベータでは、基準不適格が指摘される場合がありますが、これは違法ではありません。

エレベータ交換は、基盤交換か、かごも含めた全交換か、メーカー系エレベータ会社か、独立系エレベータ会社かで、費用が大きく変わります。またその後の保守費用も、POGかフルメンかで違います。 更に、付加価値設備をどの程度つけるかでも、費用が大きく変わります。バリアフリー対応や、地震時に近い階で自動停止といった機能、かご内モニターをつけると、当然に費用が嵩みます。どれを選択するかは、分散修繕として自分の頭で考える事です。




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