シンプル工事で費用削減効果は、業者がどうするか決める工事ほど威力を発揮します。
せっかくの業者との信頼関係を破壊し、二度と提案をしてもらえなくなります。内容がわからない見積書で相見積りをしても、安かろう悪かろうにしかなりません。特に「ベストな工事」を考えて欲しい工事で相見積りは厳禁です。
良心的な工事業者は、既にギリギリだから出精値引きはできませんと言います。出精値引きをする業者は、その分の利益を最初から上乗せしており、お得感を出すために出精値引きを加えています。ごまかされないでください。
これら過剰のほとんどは、業者が儲けるためというより、コミュニケーション不足が原因です。というのはビル所有者は古いビルだから経済的に工事をしたいと考えていても、業者は間違いのない高レベル工事を求められていると考えるためなのです。
建設業者や管理業者に依頼すると経験ある彼らが適切な業者を選び、工事全体進行を管理するので、楽です。しかし分散修繕で単体設備の更新工事に総額30%のフィーを払ってまで必要でしょうか?一般的な工事力があれば必要ありません。
念のため工事は、現在は問題ないけれど、今後劣化のリスクがあるからついでに「念のために」工事をしておく工事です。リスクの程度を精査するべきです。
想定外のリスクが多い建物設備機機能更新工事では、一定の問題予防は必要です。ただし念のための念のため、100年安全のため、が本当に必要かどうかは、他の必要工事予算が十分にあるかどうかの考慮も必要です。
赤字を作らない分散修繕では、ここで「前と同じ」「せっかくだから最新最高のもの」はNGです。分散修繕は、分散修繕計画で目指す将来の賃料水準に合わせた機能性能スペックグレード水準で工事をします。
良い業者が見つからない、良い業者がわからない、全て準備不足です。準備の第一はまず分散修繕計画を作成し、30年後のシンプルビルが見えることです。そこにテナント配慮等の工事要件が加わります。
一般的な要件準備の一例です。他に考慮して欲しい情報があればそれも準備します。
分散修繕計画 |
30年後のシンプルビル像は、具体的な安全対策水準及び機能性能スペックグレード水準を決めるために必須情報です。 |
予算 |
分散修繕計画の予算目線も、安全対策水準及び機能性能スペックグレード水準を決めるための必須情報です。そして予算目線が難しい場合には、分散修繕計画を見直さなければいけません。 |
該当設備図・ビルの竣工図 |
竣工図はデータ化してしまいましょう。紙の竣工図を何度も業者とやりとりをしていると、ボロボロになります。 |
該当設備機能の過去のトラブル履歴・工事履歴 |
該当設備機能の過去のトラブル履歴・工事履歴をわかりやすく整理します。工事履歴と工事完了報告書がある場合、それもデータ化して上記図面に追加します。 |
今後の賃貸方針 |
今後の賃貸方針及び要求される機能性能ビルグレードは、個別工事の機能性能スペックグレード水準を決めるために必須の情報です。 |
現在テナントへの配慮 |
工事に際して現在テナントにどのような配慮が必要かは賃貸管理側で準備します。 |
分類 | 基本インフラ |
保守対象 |
付加価値 |
内装等 |
対象例 | 給排水・電気・外壁補修等 |
消防設備・エレベータ・キュービクル・機械式駐車場等 |
空調・セキュリティー・災害対策等 |
室内内装、トイレ給湯室、エントランス改装等 |
特徴 | 基本インフラ工事は、どこをどうすべきか素人は判断ができません。それだけに問題解決力がある専門業者を選び、十分に相談をすることが欠かせません。準備はもとより全てのステップが重要です。 | エレベータ等定期保守対象設備のリニューアルは、本体機能性能スペックグレードの断捨離のみならず、その後数十年の保守契約内容の見直しです。これにより大きく費用節約ができます。 | 付加価値系は業者選びイコール製品選びです。一般にインターネット上でも情報が多いため、情報収集をしっかりおこない、将来シンプルビルにあった製品を選びます。 | 賃貸目的で行う内装工事等は、マーケティング賃貸の手法で行います。ターゲットテナントありきです。DIYや内装工事業者もありです。 |