日本の中小ビルも100年維持できる

分散修繕とは

ビルは100年以上使えます。欧州や世界の中小ビル所有者は分散修繕で安定してビルを100年以上長く維持します。日本の中小ビルももちろん分散修繕で築50年の壁を超えて100年以上維持できます。




1.日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕とは | 1.1.中小ビルを長く維持するために何が必要か? | 1.2.ビル所有者の3つの責任 | 1.3.中小ビル維持の4つの安全 | 1.4.中小ビル維持に欠かせない3つの安定 | 2.従来の日本のソリューションは何が問題だったか? | 3. 分散修繕ではどのように責任と安全と安定を維持できるのか? | 3.1.理想の分散修繕のあり方 | 3.2.減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルになる | 3.3.シンプルビルにゆっくり向かう | 3.4.自立した分散修繕の輪を回す | 4. 分散修繕に取り組む | 補足1:そもそも築30年超ビルには何の工事が必要なのか? | 補足2:日本は地震国だからビルを長く持てないのか? |
ビルは100年以上使えます。日本の中小ビルも、築30年を過ぎたら分散修繕でゆっくりシンプルビルに向かえば

築50年の壁を越えて築100年超維持できます。その理由をこれから見ていきます。



1.日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕とは


ご存知の通り、欧米や世界の鉄筋コンクリート造中小ビルは築50年築100年でも問題なく現役です。鉄筋コンクリート造ではありませんが、欧州の街の旧市街の中世の趣を残す築数100年ビルに憧れる人も多いでしょう。その多くが分散修繕で維持されています。

リノベーションは大資本や不動産投資家の手法です。一般の中小ビル所有者は、時代や社会経済の波を乗り越え、分散修繕で世代を超えて数世代でも安定維持を続けています。その分散修繕とは、どのようなものなのでしょうか?


ところでこれから分散修繕をご紹介するにあたり、先に強調しておきたいことがあります。それは分散修繕はハードの問題解決テクニックだけではないということです。分散修繕は、ソフトの問題を解決できます。その結果として、ビルの建物と建物設備というハードを維持できるのです。


1.1.中小ビルを長く維持するために何が必要か?

 
中小ビルを長く維持するためには、中小ビルを長く維持するために何が必要か?がわからなければ話になりません。

大資本や不動産投資家は別として、一般の中小ビル所有者が古いビルを維持するためには、次の3つが必要です。

 


安全と安定を維持できること。そしてビル所有者としての責任を一定水準保てること。

より具体的には3つの責任、4つの安全、3つの安定が必要です。


1.2.ビル所有者の3つの責任

ビル所有者には3つの責任があります。

なぜ建物設備が老朽化したら、更新工事が必要なのか?なぜ排水管の漏水が続くと放置ができないのか?なぜ外壁が経年劣化で剥離しそうになったら放置できないのか?それは事故を起こして誰かを傷つけてはいけないからです。また設備停止等でテナントのビジネスに損害を与えるわけにはいかないからです。そしてビル所有者は、ビルを適切に経営してビルを価値ある収益資産として維持する責任もあります。赤字を垂れ流す負債にしては、家族に対する責任が果たせません。当然とお考えと思いますが、ビルの築年数に関わらず、この3つの責任を保てることはビル所有の必須条件です。


1.3.中小ビル維持の4つの安全

建物が安全であることは当然ですが、ビル所有者がビル建物を維持続けるためには、より広義に次の4つに対する安全を常に考える必要があります。

短期的に空室が増加したり、建物設備の不調が続いたり、赤字になったりすることはあるでしょう。時に避けられない不慮の事故もあるかもしれません。そこで早期に4つの安全が回復できればビル所有を続けられますが、今後4つの安全が見込めなければ、ビル所有者としての責任を果たせると思えなくなります。これ以上ビルの維持は難しく感じてしまいます。


1.4.中小ビル維持に欠かせない3つの安定

中小ビルにとってもう一つ欠かせないのが、安定です。

安定は築浅では問題ありません。しかし築40年をすぎると難しくなってきます。またビルを多数所有していたり他に収益が高い事業があったりして、経営悪化時でも資金補填ができる場合はそう問題になりません。リノベーション投資もできます。けれども自ビルの収益でビルを維持している中小ビルにとっては、「安定」は欠かせない条件です。 なにしろ去年は十分な賃料収入があったけれど、今年は大赤字、来年はわからない・・・では、ビルの将来が不安になります。安定が維持できなくなると、ビルを長く維持できなくなるのです。

 

また「安定」はビル資産の本質価値があることも見逃すわけにはいきません。 ビル資産の本質的な魅力は、最初に大きな「投資」を行うと、その後は100年でも200年でも社会経済情勢や環境・条件に関わらず責任を持って「安定」収益資産として収益を維持できることにあるのです。

ビル所有者には、「投資」と「安定」の二つの札があります。その時々の社会経済情勢や環境・条件に応じて「投資」と「安定」の二つの札を使い分けることで、永続的に資産を保ち、機を見て発展ができます。

この「安定」維持ができることは、分散修繕の強力なメリットです。「安定」維持ができることが、欧州や世界の中小ビル所有者が分散修繕でビル維持ができている理由なのです。




2.従来の日本のソリューションは何が問題だったか?


中小ビルを長く維持するために必要な責任と安全と安定を考えれば、従来の日本のソリューションがいずれもピンと来なかった理由は自明です。

建設業者の大規模修繕・大規模設備改修は、安定は維持できず赤字をつくり賃貸効果も不確かです。
建設業者と不動産業者がタッグを組むリノベーションは、これも赤字を作り、安定ではありません。リノベーションは投資によりバリューアップを狙う投資手法だからです。
業者が作る長期修繕計画表では、建物の責任は果たせますが賃貸効果は分からず赤字になるリスクも十分にあります。
かといって問題があったら対応するだけでは、見えないところで進行し突然起こる大事故(外壁落下や漏電火災等)を防げるかどうかが不確かです。全ての責任をどこまで維持できるか、安全と安定がどう維持できるか、出たところ勝負ではやはりリスクが高すぎます。

いずれも責任も安全も安定も維持できません。その結果一つの悪化がマイナスのスパイラルになります。そしてビル維持が難しくなっていくのです。




3. 分散修繕ではどのように責任と安全と安定を維持できるのか?


既に述べた通り分散修繕では、中小ビルが築50年どころか100年を過ぎても、責任と安全と安定を保ち、

  • 赤字にしない
  • 事故を起こさない
  • 賃貸を継続する

を維持できます。

分散修繕ではどのように責任と安全と安定を維持できるのでしょうか?この秘訣を確かめる前に、先に理想の分散修繕を見てみます。



3.1.理想の分散修繕のあり方

ビルの理想の分散修繕は、ある重要工事に向けて一定金額の資金を内部留保し、資金準備ができたところで工事をします。工事が終わると次の重要工事に向けて、一定金額の資金を内部留保し、資金準備ができたところで工事をします。このサイクルが続く限り、ビルは赤字になりません。


しかしわかると思いますが、実際にこれを行うためには多くのことを考慮する必要があります。

  • まず事故を起こさないためには、予算ありきではなく、建物設備機能の状態を見て遅過ぎないタイミングを判断する必要があります。
  • 予算は、賃料収入から安定して確保できる金額で納めなければいけません。確保できなければ絵に描いた餅です。
  • 同時に賃料収入から確保する予算は、ビルの建物及び建物設備機能維持に必要な工事ができるだけの十分な金額でなければいけません。これも足りなければ絵に描いた餅です。

普通に考えれば築古ビルは賃料収入が減少する一方で建物設備等工事費用は激増します。これを絵に描いた餅にせず「・赤字にしない・事故を起こさない・賃貸を継続する」を維持するために、分散修繕には次の3つの秘訣があるのです。

  • 減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルになる
  • シンプルビルにゆっくり向かう
  • 自立した分散修繕計画の輪を回す


3.2.減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルになる

築年とともに賃料収入減少が心配な中小ビルは、将来の減少する賃料水準に合ったシンプルビルになればよいのです。シンプルビルになるとは、現在あるビルの建物設備機能や装飾から過剰を排除することです。

賃料の安い築古ビルに新築同様の設備機能や高級内装を求めるテナントはいません。現在のビルをベースにシンプルビルに向かう分には、建設業者や建築士でなくても、ビル所有者でもどのようなテナントに選ばれるシンプルビルになれるかを考えることができます。


3.3.シンプルビルにゆっくり向かう

分散修繕の最大のメリットが、シンプルビルにゆっくり向かえることです。リノベーションのように大きく投資して大きな変化を作る手法では、後から過剰投資や期待したほど効果がなかったことに気がついても、後の祭りです。分散修繕は小さく工事をすることで、長期的な工事総額を激減できます。

高額の工事監理費を削減できるからです。分散修繕では単に赤字を作らないだけでなく、大きな変化を作らないため、経営は安定し、テナントへの影響も最小です。思わしくなければいつでも方針変更ができます。4つの安全と3つの安定の全てが実現できます。ちなみに分散修繕の対象工事は、会計上も資本的支出として減価償却ができます。


3.4.自立した分散修繕の輪を回す

こちらは少し概念的です。「自立した」とは外部資金を入れないことです。これは賃貸、資金、工事のいずれを考える時も、例えば賃貸であれば他の資金と工事の全てを考慮して、ビルが赤字を作らずに賃貸、資金、建物設備状態と収支のすべてを安定維持できることを確かめることです。

分散修繕の輪が回る間はマイナスのスパイラルに陥りません。




4. 分散修繕に取り組む


築30年を過ぎた中小ビルは、具体的にどのように分散修繕を始めればよいのでしょうか? 既に確認した分散修繕の3つの秘訣を考えるためには、分散修繕計画が必要です。分散修繕計画は賃貸計画、資金計画、工事計画の総合です。

特に重要になるのは、大きな工事やリニューアルをするタイミングです。けれども必要性とタイミングの判断や予算準備、その前に賃貸でしっかり賃料収入が取れているためには、大きな工事が必要になってから初めて考えるのではなく、築30年を過ぎたらなるべく早めに30年分散修繕計画の作成を始めることをお勧めします。

分散修繕計画の作成

    
安定シンプルビルに導く分散修繕計画
    
→→ビルオの30年分散修繕計画作成支援

分散修繕計画ができているビル所有者は、
  • 何の工事はやるか、何の工事をやらなくてもビルの将来に影響ないかを決められます
  • 次の工事をみこんで、時間をかけて資金と工事内容の準備ができます
  • 自ビルの適正な機能性能グレード等を決められます
  • 自ビルの将来のシンプルビルをイメージできます
また現実的な分散修繕計画を作成し、必要なタイミングで実現できるためには、

築古のマーケティング賃貸

    
築年数に依存しないマーケティング賃貸
    
→→ビルオのマーケティング賃貸支援

分散修繕のシンプル工事

    
分散修繕のシンプル工事メソッド
    
→→ビルオの分散修繕のシンプル工事支援

の合理的な賃貸と工事のメソッドがあります。詳しくはそれぞれのご紹介ページで見ることができます。




補足1:そもそも築30年超ビルには何の工事が必要なのか?

ビルの躯体は丈夫ですが建物設備の多くは30年〜50年前後で経年劣化してきます。
一般的な中小ビルでは
  • エレベータの更新を言われる
  • 水管からの漏水事故が度々起こるようになる
  • 給水タンクが経年劣化し、直結増圧式に変更したい
  • キュービクル内設備の老朽化や、波及事故リスクを指摘される
  • 電気容量が足りず事故リスクもあり電気幹線も更新する
  • 外壁の劣化箇所が見つかる、看板やサッシの老朽化が目立つ
  • 雨漏り箇所がある。
といった問題が出てきます。

また建物の内装、トイレやキッチン等設備や、エントランス、ポスト、共用部の全てが古臭くなり清潔感を失います。天井の高さや形状等が時代の要求に合わなくなる場合もあります。



補足2:日本は地震国だからビルを長く持てないのか?

日本は地震国だからと言われますが、地震国という環境とビル寿命とは別です。多くの地域は大震災には被災しません。大地震国は日本だけではありません。

地域リスクは一棟一棟の立地次第

ビルの駆体倒壊リスクに関しては、 環境リスクとして地域の大震災被災確率、立地の激震地確率、立地の土壌が弱い確率の3つがあります。ビルの耐震性能云々以前に、これらの状件が重要です。懸念があれば検討は必要です。ただ東京の商業地であれば建蔽率が100%でビルは密集して建っています。簡単に大きく左右に揺れて倒れることはありません。

旧耐震基準建築だから耐震性がないわけではない

ビルの耐震性に関しては、旧耐震基準建築では震度5強程度耐震性があることしか確認されていないので、耐震性がないと言われますが、確認されていないだけで耐震性がないわけではありません。東日本大震災時に東京23区においてもほぼ全ての区で震度5弱以上を観測しています。そこで体力壁の亀裂等の大きな問題が出なかったビルは新耐震基準相当の耐震性があると言えます。また耐震性は方向や内壁有無でも異なります。一般の耐震診断では信頼性が低いため、自ビルの形状や過去の大きな地震時の状況をみて判断をします。

部分経年劣化による落下リスクは分散修繕で対応

より問題は落下リスクです。軽微でも地震による天井落下、窓ガラスやサッシ落下で人命が失われるリスクは常にあります。これはビルの耐震性ではなく建物設備機能の経年劣化が原因です。程度を判断して経年劣化が認められれば、分散修繕で対応します。




日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕