日本の中小ビルも100年維持できる

分散修繕とは

ご所有ビルは大切に長く持ちたいもの。けれどもビルが古くなると、老朽化による事故リスクや空室リスク、赤字リスクが高まります。分散修繕は、これらをどのように解決してビルを維持できるのでしょうか?




1.日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕とは | 2.ビルが古くなると何が問題か | 3. ビルを長く維持するには何が条件か? | 4. 従来ソリューションは何が問題だったか? | 5. 分散修繕の特徴 | 6. 築30年超中小ビル分散修繕の取り組み | 補足:日本は地震国だからビルを長く持てないのか? |



日本の中小ビルも、築30年を過ぎたら分散修繕で

築50年の壁を越えて築100年時代へ



1.日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕とは


ご所有のビルは大切に長く使いたいもの。でもビルが古くなると、ビルの重要な建物設備機能が経年劣化します。ビルの使用を続けるためには、様々な工事が必要になります。賃貸のためのリニューアルや改装も必要な場合があります。そのため築古ビル所有者にとって、こうした工事をするかしないか、いつ、いくら費用をかけるかが、ビルの維持と経営に関わる重要な決断になります。
分散修繕は、こうしたビル維持に必要な工事の取り組み方の1つです。その中で分散修繕は、特に中小ビル所有者に向いています。


分散修繕は、ビルを安定して長く賃貸を続けられるように、ビルの維持に必要な工事を分散して行う方法です。


分散修繕のオリジンは、築100年200年でも現役が当たり前の欧州や世界の中小ビル所有者が当たり前の実践している方法です。つまり分散修繕は、国や社会経済条件に関わらず、中小ビル所有者が社会経済の荒波を乗り越えて資産価値を守ることができる方法なのです。日本の中小ビルももちろん分散修繕で、欧州や世界の中小ビルと同様に築50年の壁を越えて100年以上長く持ち続けることができます。
なぜ分散修繕が中小ビル所有者に向いているのでしょうか?どのように取り組むことができるのでしょうか?ここで簡潔にご紹介をします。



2.ビルが古くなると何が問題か?

ビルの躯体は丈夫ですが、ビルの使用に欠かせない建物設備機能のほとんどは、築40年前後で法定寿命を迎えます。実際にはより長く使えるでしょう。けれど、遅かれ早かれ、経年劣化のリスクが高まります。さらに賃貸維持、経営維持リスクも高まり、築50年の壁として立ちはだかります。


1.1.建物設備の経年劣化

一般的な中小ビルでは

  • エレベータの更新を言われる
  • 水管からの漏水事故が度々起こるようになる
  • 給水タンクが経年劣化し、直結増圧式に変更したい
  • キュービクル内設備の老朽化や、波及事故リスクを指摘される
  • 電気容量が足りず事故リスクもあり電気幹線も更新する
  • 外壁の劣化箇所が見つかる、看板やサッシの老朽化が目立つ
  • 雨漏り箇所がある。
といった問題が出てきます。

また建物の内装、トイレやキッチン等設備や、エントランス、ポスト、共用部の全てが古臭くなり清潔感を失います。天井の高さや形状等が時代の要求に合わなくなる場合もあります。


1.2.高まる重大事故リスク

特に怖いのが、人命に関わる事故や大きな損害を与える事故が起きてしまうことです。


1.3.事故だけではない:中小ビル築50年の壁

古いビルが重大事故を避けるためには、経年劣化した建物設備の更新等の重要工事が必要になります。ところがビルが築40年を過ぎると、賃貸も悪化します。賃料収入が減少し、高額工事による赤字化・負債化のリスクも高まります。工事の判断は簡単ではありません。

築50年前後ではこうした複合的なリスクが築50年の壁として立ちはだかります。そのために重要工事の判断ができなくなり、ビルを諦めることになります。


1.4.怖いのは負のスパイラル

問題は、ビルの建物設備状態、賃貸、経営はいずれも関係していることです。いずれかが維持すると早かれ遅かれ他も悪化する負のスパイラルに陥ります。一度負のスパイラルに陥るともはや立て直しは簡単ではありません。だから負のスパイラルに陥らないよう正しい対応が必要です。



3.ビルを長く維持できる条件は何か?


そもそも、ビル所有者がビルの維持続けるために何の条件が必要なのでしょうか?

ビル所有者が重要工事の判断で間違えないためには、そもそも、ビルを維持続けるために何が必要なのかがわかっている必要があります。さもなければ、ビル所有者はビルを維持できるように重要工事の判断ができないからです。

中小ビル所有者が、ビルの所有と維持を続けるために、3つの重要な条件があります。それぞれご紹介します。


3.1.ビル所有者の3つの責任

 
なぜ建物設備が老朽化したら、更新工事が必要なのか?なぜ排水管の漏水が続くと放置ができないのか?なぜ外壁が経年劣化で剥離しそうになったら放置できないのか?それは外壁落下といったビルの建物設備の劣化が原因で、人に危害を与えたり、時に人命を損なうことになったりして、民事の損害賠償責任のみならず、刑事責任も負うことになるからです。漏水のためにテナント資産に損害を与えても、損害賠償責任が生じます。

ビル所有者は賃貸借契約書に基づき賃料をもらいますが、貸主として環境を維持する責任があります。損害といわずとも、しばしば停電が起こる、断水や漏水が起こる、安全や衛生レベルが悪化するといった問題が起こると、テナントは安心してビルを使えなくなります。 空室の増加や、高額工事のために赤字を垂れ流す負債化すれば、 もはやビルを持ち続けることはできません。大切なファミリー資産であるビルを維持する責任を果たせなくなります。この3つの責任は、ビル所有者が常に自覚すべき責任です。


3.2.ビル維持の4つの安全

ビル所有者が3つの責任を保ってビルを維持できると思えるためには、次の4つに対する広義な安全が必要です。

短期的に空室が増加したり、建物設備の不調が続いたり、赤字になったりすることは、あります。時に避けられない不慮の事故もあるかもしれません。そこで早期に安全が回復できることがわかっていれば、ビルの所有を続けられます。でも今後も安全の回復が見込めなければ、ビル所有者としての責任を保てるかが不安になります。それでビルの維持を続けられるでしょうか?

4つの安全を維持できること、時に悪化しても回復できることは、古いビル所有には欠かせません。


3.3.中小ビル維持に欠かせない3つの安定

中小ビルにとってもう一つ欠かせないのが、安定です。

築浅ビルは安定しています。しかしビルが築40年をすぎると、しばしば安定が脅かされます。例えばある年は満室。翌年は空ビル。テナントが入れば多額の賃料収入を得られけれど、いつテナントが入るかわからない。そんなストレスを続けられるでしょうか?ある時は廃墟ビルで、リノベーションや再生を経て新築同様になる。よほど資金に余裕があれば別ですが、一般の中小ビルにとっては、安定も重要な維持状件です。


「安定」はビル資産の本質価値です。ビル資産の本質的な魅力は、最初に大きな「投資」を行った後は、100年でも200年でも社会経済情勢や環境・条件に関わらず「安定」収益資産として維持できることにあります。

一般に言われる「不労所得」「左団扇」は一時的表面的なものであり、本質ではありません。土地資産とは違います。
ビルの維持には行うべきことは多数あります。けれども適切に対応することで所有者が自ら収益資産価値を世代を越えて安定維持できます。これが他の資産にはないビル資産の魅力です。


3.4.つまり、中小ビルを長く維持する条件とは何か?

中小ビルを維持には、常に次の4つの条件を全て満たしている必要があります。つまり中小ビルを長く維持する条件は、常に次の4つの条件を全て満たすように、重要工事の判断ができることなのです。



4.従来ソリューションは何が問題だったのか?


中小ビルを長く維持するための必要条件を考えれば、従来の日本の築古中小ビルのソリューションが、今ひとつだったのは自明でしょう。いずれも4つの条件を全て満たすことができていません。特にいずれも、いずれ赤字・負債化するリスクが高すぎます。これでは古いビルの維持が難しく感じて当然です。



5.分散修繕の特徴


分散修繕は、ビルを安定して長く賃貸を続けられるように、ビルの維持に必要な工事を分散して行う方法です。

例えば分散修繕の理想の形は次の通りです。

ある重要工事に向けて毎年一定金額を留保し、資金準備ができたところで工事をします。工事が終わると次の重要工事に向けて、一定金額を内部留保、資金準備ができたところで工事をします。このサイクルが続く限り、ビルは赤字になりません。


しかし赤字を作らないことだけを考えていては、結局工事時期が遅すぎて事故が起こったり、テナントが入らなくなったりするリスクは変わりません。予定時は大丈夫でもその後賃貸が悪化して予定していた資金確保ができなくなるリスクもあります。これでは従来の行き当たりばったりと変わりません。


5.1.分散修繕の目的はビルを安定して長く賃貸を続けること

分散修繕の目的は、単なる目先の赤字回避ではありません。分散修繕の目的は、ビルを安定して長く賃貸を続けることです。分散修繕の特徴は、中小ビルを長く維持するための4つの必要条件を全て満たすことができることです。この特徴を生かして分散修繕は、目的を達成します。ただしこれは、形を真似れば自動的に必要条件を満たすことができるものではありません。
自ビルの様々な問題に対して、何の更新等工事をするかしないか、するならいくら費用をかけるか、どのように工事を分散させるか。こうした問題をどのように考えれば、中小ビルを長く維持するための4つの必要条件を全て満たすことができるのでしょうか? ,/h5>


5.2.理想の分散修繕をするには何が必要か

分散修繕には計画が必要です。計画が必要な理由は、計画を通して次の3つのルールを考えることにあります。次の3つのルールを踏まえることで、4つの必要条件を全て満たすことができる工事の分散を見つけることができるからです。

  • 賃貸計画・資金計画と一体で考える
  • 減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルにゆっくり向かう
  • 自立した分散修繕計画の輪を回す


5.3.賃貸計画・資金計画と一体で考える

分散修繕は、計画が必要です。分散修繕の計画は、賃貸計画、資金計画、工事計画の総合です。実際の検討ではもちろん管理計画も含まれます。

分散修繕計画は、単に年一定金額を留保し、資金準備ができたところで工事を計画するのではありません。賃貸計画で、地域賃貸マーケットの動向とその中での自物件ポジショニングの動向を、分析して、今後の賃料収入を予測します。また管理等も改善した上で、ビルのために安定して確保できる分散修繕予算を見込みます。工事計画は、ビルの建物設備の状態と予算及び賃貸効果を考慮した上で、更新等の何の工事をするかしないか、するならいつ頃か、いくら費用をかけるか、無理なく分散できるように計画することができます。


5.4.減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルにゆっくり向かう

しかしそれでは、今後の賃料収入見込みが厳しければ、賃料収入見込みからでは必要工事の費用が賄えず、ビルを維持することは無理では、と思われたかもしれません。分散修繕では、現在の工事は将来の賃貸で決まります。
築30年をすぎて将来の賃料水準が明らかに下がる日本の築古ビルの存続の秘訣は、減少する将来の賃料水準に合ったシンプルビルにゆっくり向かうことです。分散修繕では、分散された各工事毎にシンプルにすることで、賃貸等への影響を最小限に留め、安定を維持できます。これが実現できるのが、分散修繕の強みです。

賃料水準の低い築古ビルに、新築ビルと同程度の最新機能は求められません。いかに賃貸に影響がない程度に過剰な機能性能を断捨離できるか、過剰なスペック・グレードを下げられるか、が分散修繕では重要なテーマです。また実際の工事もシンプル工事で、工事費用を断捨離します。


5.5.自立した分散修繕計画の輪を回す

これは分散修繕の概念を表す言葉です。「自立した」とは外部資金を入れないことです。賃料収入の一部を建物設備機能維持と賃貸維持のための投資に回し、それにより賃貸を継続して生まれる賃料収入からまたその一部を、建物設備機能維持と賃貸維持のために投資する。この分散修繕の輪を意識して分散修繕を計画することで、ビルは安定を維持し赤字を作らず築50年の壁を越えて100年以上でも存続できるようになります。



6.分散修繕の実践


築30年を過ぎた中小ビルは、具体的にどのように分散修繕を始めればよいのでしょうか?
まず分散修繕計画を作成します。分散修繕計画は賃貸計画、資金計画、工事計画の総合です。管理計画も加わります。分散修繕計画は、ビルが赤字を作らず事故を起こさず安定して賃貸を継続できることを確認するための計画です。ToDo計画ではないので、厳密に作る必要はありません。

分散修繕計画の作成

    
安定シンプルビルに導く分散修繕計画
    
→→ビルオの30年分散修繕計画作成支援

また現実的な分散修繕計画を作成し、必要なタイミングで実現できるためには、合理的な賃貸、工事メソッドも欠かせません。

築古のマーケティング賃貸

    
築年数に依存しないマーケティング賃貸
    
→→ビルオのマーケティング賃貸支援

分散修繕のシンプル工事

    
分散修繕のシンプル工事メソッド
    
→→ビルオの分散修繕のシンプル工事支援


補足:日本は地震国だからビルを長く持てないのか?

古いビルは耐震性がない、日本は地震国だからビル維持は無理だと言われます。少し短絡的です。日本は地震国だからと言われますが、地震国は日本だけでありません。メキシコのような日本以上の大地震多発都市でも、古いビルは存続しています。また日本国内でも、ほとんどの地域は大地震の激震地に遭遇していません。

大地震に際して、ビルには、次の3つのリスクがあります。
  • 躯体が倒壊するリスク
  • ビルの一部が落下するリスク
  • エレベータ等の閉じ込めリスク
といった問題が出てきます。

躯体が倒壊するリスク

立地の環境リスクは、地域の大震災被災確率、立地の激震地確率、立地の土壌が弱い確率の3つの条件が関係します。

ただ一般に建蔽率が100%の商業地ではビルは密集して建っているため、簡単に大きく左右に揺れて倒れることはあまりありません。

ビル躯体の耐性に関しては、旧耐震基準建築は危ないと言われます。しかし旧耐震基準建築は震度5強程度耐震性があることしか確認されていないという意味です。実際の耐震性はより強い場合が大多数です。

日本大震災時には東京23区でもほぼ全ての区で震度5弱以上を観測しました。旧耐震基準建築でもこの時に倒壊・損壊していなければ、実際にはもう少し耐震性があります。

ビルの一部が落下するリスク

外壁落下、天井落下、窓ガラスやサッシ落下は、人命に関わる重大事故リスクです。経年劣化があると中程度の地震でも落下リスクが高まるため、これらの経年劣化対策は分散修繕計画に含めます。

閉じ込めリスク

エレベータ閉じ込めや、地震により戸や窓が開かなくなる閉じ込めリスクは、大震災で高まります。エレベータには付加機能として閉じ込め防止機能もありますが、どこまで対応するかは、地域の大震災激震地被災リスクと、ビル予算の余裕で決まります。



日本の中小ビルも100年維持できる中小ビルの分散修繕