100年時代:築40年以上中小ビルの

分散修繕とは

   

1.分散修繕とは


分散修繕は、計算された計画的な建物設備機能の更新工事及び賃貸対策で、築40年を越えた中小ビルを、経済的に安定して維持する方法です。分散修繕では、ビル所有者が、自身で今後の予算と賃貸方針に合わせて建物設備更新等工事を設計できるようになります。だから経済的にビルの機能を維持し、自ビルの個性を生かして築年数に関係なく賃貸を成功できます。

   

分散修繕は、築100年築200年でまだまだ現役なヨーロッパや世界の中小ビルではごく一般的な手法です。ビルの躯体は長寿です。ビルの寿命は、経済合理的に建物設備機能の更新と賃貸維持ができるかどうか次第で決まりますが、それをビル所有者が自ビルの実情に合わせて見つけられるのが、分散修繕です。

分散修繕の特徴

・テナント使用は続けたまま
・経済的に無理なくできる
・ビルを危険な状態にしない
   

2. 分散修繕の取り組み方


分散修繕の取り組みは、難しくありません。ビル所有者は、数年後の次の建物設備更新工事を計画し、数年かけて資金を準備します。資金が準備でき、予定をしていた建物設備更新工事が終わると、次の建物設備もしくは機能の更新、賃貸対策等の予算と時期を計画します。そしてまた次の工事に向けて、資金を準備します。基本はこの繰り返しです。 分散修繕では原則として、借入金を作ってその後の返済負担を背負ったり、大規模な修繕改修工事のために多額を準備して相続税が高くなりすぎる事態を作りません。 /p>    

しかりこれは次の条件を満たしていることが必須です。築古ビルの状態は所有者の都合とは関係ないものです。実際には建物設備状態が悪く、重大事故が発生したり、空室にテナントが入居しなくなれば、絵に描いた餅にしかなりません。そのため設計と計画が重要なのです。

分散修繕の取り組みで抑えるべきポイント

・重大な事故を起こさない
・空室にテナントが入る
・予算は無理なく準備できる
   

3.重大な事故を起こさない


分散修繕の取り組みで抑えるべきポイントでまず重要なことが、重大な事故を起こさないことです。これが簡単そうで難しく、多くのビル所有者が築40年過ぎてビルを諦めています。 工事費をケチってトラブルや事故が多発し、テナントが怒って退去をしてしまったり、人に危害を与える重大事故を起こして困ることは誰でもわかります。とはいえ下手に業者の言うままに工事をしていてはいくらお金があっても足りません。 分散修繕では、何をすべきかの判断は、ビル所有者が行います。ビル所有者は、次の3つができるようになる必要があります。

ビル所有者に必要

・重大事故のリスクを客観的に評価する
・問題に合わせて適切な専門業者を選び相談ができる
・経済的に建物設備更新工事ができる

ちなみにいつどのような更新工事が望ましいかは、今後の賃貸方針及び予算によって異なります。うちのビルはテナントに一切迷惑をかけるべきでないと考えるか、賃料が安いのだから多少のトラブルは我慢してもらうしかないと考えるかは、各ビルの方針だからです。


重大事故のリスクを客観的に評価する

数百年に一度の大震災の激震地に当たった時のリスクを心配する前に、より早く確実に起こる可能性が高い建物設備機能劣化のリスクを心配すべきです。

   


問題に合わせて適切な専門業者を選び相談ができる

技工者であれば誰でもできる軽微な修繕工事と、様々な条件を考慮し限られた予算でビルの将来の設備機能のあり方を相談したい場合とでは、同じ設備業者でも相談すべき業者が違うのは当然です。

   


経済的に建物設備更新工事ができる

重要な建物設備更新等の「経済的」な工事とは、次の3つを満たします。

1.工事監理費等中間費を除外する
2.過剰な機能・念の為工事は排除する
3.早過ぎない遅過ぎないタイミングで行う
   

経済的に建物設備更新工事ができれば、従来の十分の1の費用でビルが維持できます。    

4.空室にテナントが入る


築古物件賃貸は難しいというのが、一般的な認識ですが、実際の賃貸では、賃料が手頃な築古ビルは、適切に維持ができていれば、テナントに好まれます。 築年数という競走条件を持たない築古ビルは、自ビルの特徴を理解し、賃貸マーケット内でポジション及びターゲットテナントを明確にすることで、適正賃料でテナントが入るのみならず、リフォーム等の賃貸テコ入れを行う際にも、少ない費用で効果的に行うことができます。 どうしても需要が厳しく、貸会議室やコワーキングスペース等のオペレーションの導入や、用途変更を行う場合でも、同様に変更後の賃貸マーケット分析ができていることで、長期的に失敗のリスクを軽減することができます。

   

いずれにしても賃貸は継続です。目先の空室を埋めることはもちろん重要ですが、長期的な影響も考えることは重要です。空室に焦って賃料を下げ過ぎる。反社会的勢力等不適切なテナントを入れてしまう。高額なリフォームをしたが賃料が上げられなかった。用途変更をしたが結局決まらない。等では、長期的には自分で自分の首を絞めています。賃貸の検討では、30年先を考えて最も賃料収入が確実に得られるだろう方針を選択します。

   

5.予算を無理なく準備できる


分散修繕の計画のキモは、無理のない予算の範囲でベストな建物設備状態維持を、ビル所有者が設計できることです。これが従来の建設業者が作成する大規模修繕計画や、建設業者が程案するリノベーションや大規模修繕・改修の類では全くなかった分散修繕の圧倒的なメリットです。

築古ビル にとって、修繕予算の原資は賃料収入です。だから分散修繕では、将来の賃料収入見込みから維持管理必要経費を差し医引いた残りから捻出できる金額と、準備資金があればそれを加味した合計額が、今後30年の分散修繕予算の上限とし、 一方で現実の建物設備状態と今後の賃貸維持に欠かせないビルの水準目線を考慮して、どのように建物設備機能の更新工事及び賃貸維持対策を行えば、なるべく少ない分散修繕予算で、建物設備状態及び賃貸グレードを一定水準に維持できるか、を検討します。 これは、現在では30年の分散修繕計画をシミュレーションで実際のリスクなしに試行錯誤で見つけることができます。

   

もちろん現実には、想定外の空室長期化や、ある建物設備機能が予測より早く状態が悪くなることは当然あるため、 都度、臨機応変に計画を変更でこることも大切です。現実にベストな結果を出すためには、ビル所有スキルを築古向けにアップデートすることも必要です。

   

6.分散修繕の本質


これらを統合して1つの分散修繕計画をまとめるにあたって、欠かせないのが分散修繕の本質の理解です。

分散修繕の本質は、単なる設備修繕ではなく、資産価値の創造です。大きな投資でリスクを取り大きく価値創造を目指すのではなく、分散修繕は、小さな資金投下で価値を下げすぎずに一定水準を維持します。これを実現するのが、自立した分散修繕の輪の概念です。

   

各建物設備機能更新及び賃貸対策の時期と予算を考える際には、自立した分散修繕の輪を意識します。自立が維持できている間は、経済合理性がありビルが赤字負債にならずに、建物使用寿命と賃貸寿命が保たれているということです。    

7.ビル所有スキルのアップデートも必要


需要が高い時代の築浅ビルの所有維持と、需要が厳しい時代の築古ビルの所有維持とでは、基本的な考え方と取り組み方が違うのは当然です。

・賃貸、管理、建物設備機能工事、賃貸対策、の相互影響を考える
・目先の問題解決のみならず、長期的な影響を考えられる
・自ビルのテナント目線での価値が評価できる
・自ビルの募集賃料を決められる
・自ビルの建物設備状態・リスクを確認できる
・賃貸仲介業者に上手に依頼してテナントを確保できる
・適切な専門業者に適切に相談をして、建物設備等の問題解決ができる
   

 
 
    

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