100年時代:築40年以上中小ビルの計画的な

分散修繕とは

中小ビルは分散修繕で責任の費用のバランスを取り、100年以上維持できます

中小ビル所有者にとって、分散修繕は今までとさほど変わりありません。計画と賃貸、工事のそれぞれに築古特有の問題に取り組むノウハウを取り入れるだけです。先になぜ分散修繕かをご紹介してから、分散修繕の要点をご紹介します。

なぜ分散修繕か


全世界の中小ビルが実践している分散修繕とは

中小ビルはいつまで使えるか?という質問を多く聞きます。もちろん100年以上、もっと長く使えます。ヨーロッパに行けば都市中心部の立派な築数百年ビルだけでなく、小さな街では1600年代や1700年代1800年代に建てられた普通の中小ビルが、普通に現役です。 欧米でもアジアや中南米やアフリカ諸国でも、1920 年代に建てられた鉄筋コンクリート造ビルやマンションは十分に問題なく現役です。なぜ全世界で1920年築建物が多いかといえば、1918年に第一次世界大戦が終結したからです。第二次世界大戦後の1960年代1970年代も多くのビルやマンションが建てられていますが、もちろん現役です。

築40年や50年でビルやマンションも寿命だからと、せっせと壊すのは全世界の中で日本人だけなのです。なぜでしょうか? 日本のビルだけ異常に建築技術が低いのでしょうか?そんなことはありませんね。地震国だからでしょうか?でも日本以上の地震国であるメキシコでも古いビルは存続しています。なぜでしょうか? 日本のビルやマンションは、修繕資金が足りないと言います。しかし日本と比べて経済状況がはるかに悪い国でも維持できています。なぜでしょうか?

なぜこのような違いがあるのでしょうか?日本は何が足りないのでしょうか?

その答えが、分散修繕です。


ビルの本質は長く使用収益できる建物

ビルは、丈夫な躯体を生かし、建物設備や内装を時代に合わせて更新しながら長く使用収益ができる建物、がビルの本質価値です。人間とは違い、血管や臓器の交換を繰り返して、長く生きることができるのです。
別の言い方をすればビルには、躯体寿命と建物使用寿命と賃貸寿命があります。ビルの建物躯体は長寿ですが、給排水管や設備、電気幹線や設備、ビルの安全、衛生、利便性を維持するための様々な設備機能は、築後40年50年経つと経年劣化します。そのままではビルの建物使用寿命と賃貸寿命が終わってしまいます。
だからビルを長く持ち続けている国はどこも、厳しい社会経済変動の波を乗り越えてビルの建物使用寿命と賃貸寿命を長く延ばすためのノウハウがあります。日本以外のほとんどん国は社会経済状況が不安定で賃料水準も高くありませんが、中小ビルは、分散修繕です。
一方、自然災害が多い日本は、従来自社豪邸等以外の一般建物は、長く使わないことを前提としてきたため、建物使用寿命を延ばす概念がありませんでした。明治維新以降、西洋建築技術を学び鉄筋コンクリート造ビルを建てる技術は発達したものの、戦後復興期から高度経済成長期からバブル時代にかけては、とにかく建てる事が優先でした。
そのため建てた後の鉄筋コンクリート造ビルが築後40年50年で各建物設備機能が経年劣化し賃貸も難しくなると、建物使用寿命や賃貸寿命をどう延ばせるかがわかりません。建築によるリノベーションは投資手法です。一般中小ビル所有者には難しくて当然です。ところがではどうする、のノウハウがないためビルの全てを諦めているのが、日本のビル寿命40年説の正体です。

分散修繕は、無理なく長く自ビルの建物使用寿命と賃貸寿命を延ばし続ける方法として、厳しい社会経済環境でもビル資産を100年200年維持してきているヨーロッパや全世界で長年の実績がある唯一の方法です。日本の中小ビル所有者も、分散修繕を知ることで、もちろん問題なく建物使用寿命と賃貸寿命を延ばすことができます。もはや建替え投資ができる安定右肩上がり時代ではなくなった今こそ、日本も分散修繕を学ぶ時代です。その分散修繕を詳しく見る前に、重要なビル所有者の責任について話しをします。


ビル所有者の責任について

築古ビル所有者は、責任の自覚が必要です。同時に責任が負える範囲の線引きができることも必要です。

平成の日本ではとかく目先の不動産投資ばかりが注目され、100%以上のローンでワンルームマンション投資や一棟マンション投資をした会社員が大きな顔をしがちでしたが、その後を語られる事はありませんね。不動産投資と、世代を超えて資産を維持する資産所有者とは、違います。世代の超えて長くビル資産を所有するビル所有者には、責任があります。 責任と向き合えることが、ただの不動産投資と違う長くビル資産を所有する所有者の資質です。ビル所有者は、ビル所有者としての責任を果たすことで、周囲からビル所有者として認められ、尊敬されます。 ビルは管理不十分で人命に関わる重大事故が起きれば、刑事責任を問われ巨額の損害賠償を請求されるリスクがあります。ビルを長く持ち続けるビル所有者は、ビル所有者としての責任の自覚がまず必要です。

一方で、どんなリスクも責任が取れるわけではありません。築古ビル所有者はなんでも責任を負える万能な存在ではないのです。経済的な理由からも、どこまで対応できるどこまで対応ができないかを決められなければいけません。 一番難しいのが旧耐震建築ビルの耐震についてではないでしょうか?
例えば数百年に一度の大震災や千年に一度の大震災の激震地に当たることを想定して、完璧な耐震補強が日本全国のすべてのビルに必要と言われても、それは無理で当然です。そもそも旧耐震基準建築のすべてが耐震性がないわけでもありません。もちろん個別に立地や構造のリスクがあれば対応は必要ですが、その場合でも耐震補強は出来ていたが外壁落下や漏電火災で死傷者が出た、では元も子もありません。 自覚して、経済的な線引きを引き、ドラマ性ではなく、より優先順位が高いリスクから確実に対応ができるよう漏れのない対象の把握と優先順位の判断が必要です。

中小ビルの分散修繕とは


分散修繕は、欧州や全世界の中小ビル所有者があたり前のように古い中小ビルの建物使用需要と賃貸寿命を伸ばし続けている方法です。 あまりに当たり前すぎて、実際にそのような名前があるわけではありません。つまり分散修繕は、今までも自力で賃貸や工事をしてきている中小ビル所有者にとって、何ら難しいものではありません。
築古ビルには特有の問題が増え、ビル所有者としての責任が果たせなくなるリスクが高まります。ビルが事故起こすと責任重大のため、この対応を間違えるわけにはいきません。 ビル所有者として、そうしたリスクを回避し、責任を持って安定してビルの建物使用寿命と賃貸寿命を延ばすためには、次の3つにコツがあります。


賃貸

多くの賃料収入によりビル維持経費及び諸税金支払いを賄っているビルにとって、ビルの賃貸を成功させて賃貸寿命を延ばすことは、ビル維持に欠かせない絶対条件です。築浅時代は築年数が新しいというだけで高賃料水準で入居を希望するテナントが現れましたが、築浅プレミアムがなくなった築古は、賃貸マーケティングを行い、ポジショニングやターゲティングを明確にした上で上手に不動産屋や賃貸仲介業者を活用することで、築年数に関係なく自ビルのテナントを獲得します。


工事

築古ビル所有者は、欠かせない建物設備の重要工事に対して、安かろう悪かろうの相見積りと違う、十分に話し合った上での経済的な建物設備機能更新等重要工事の手法を身につけることが欠かせません。賃料収入規模の小さな小規模ビルで給排水管更新に2000万円近くかかると思えば、建物使用寿命を延ばすことは不可能と感じられて当然です。 しかし建物設備を更新する際には、安かろう悪かろうも論外です。築古ビル所有者は、漏水箇所をすぐに塞ぐ、停電やエレベータ停止をすぐに解決してもらうといった修繕対応とは違う、経済的な経済的な建物設備機能更新等重要工事の力を育てることが重要なテーマです。


分散修繕計画

分散修繕には計画が必須です。この計画とは、ToDo計画ではなく、無理なく維持できる10年後数十年後のビルのあり方を見つけることが目的です。あらゆるビジネス同様、築古ビルの維持もゴールドリブンです。つまりビル所有者が今後維持できるビルのあり方を示すことで、不動産屋や管理会社や様々な工事業者は その実現のために仕事ができます。特に日本人は古いビル所有の伝統がないため、古いビル所有に関する勘と経験がありません。分散修繕を計画をすることで、抜かりのない対応ができるようになります。


分散修繕の取り組み

具体k的な分散修繕取り組みを以下の通りにご説明します。まず理想的な分散修繕を見てそれを実現するための計画の要点を3つご説明します。そして賃貸と管理の方法も説明します。これらがわかることで、畜古ビル を所有する本質的な不安

•いつまで、このビルを責任を持って維持できるのか?
•いつまで、このビルは負債化せず益を維持できるのか?

に答えをみつけ、自信と責任を持って築年を重ねるビルを維持続けられます。


■中小ビルの理想的な分散修繕とは
■計画1 分散修繕の対象
■計画2分散修繕計画は総合計画
■計画3自立した分散修繕の輪を回すとは
■賃貸:築古のマーケhチング賃貸とは
■工事:経済的な建物設備機能等更新工事とは

中小ビルの理想的な分散修繕とは

最初に理想的な築40年以上中小ビルの分散修繕のあり方を見てみましょう。理想の分散修繕では、まず対象更新等工事を予定します。 そして無理のない定額予算を毎年積み立てます。無理のない予算とは、賃料収入から必要経費、諸税、もし借入金があれば借入金返済を支払い、必要取り分を取り分けた残りです。 工事資金が準備できたら、予定していた工事を実施します。終わったらその次の対象更新等工事を予定します。これが出来れば、例え現在修繕のための準備金の用意がなくとも、借金を作ることなく、建物使用寿命と賃貸寿命を延ばし続けることができます。

理想の分散修繕が望ましい理由は、これをまとめて工事しようとすると、以下のような問題を作るからです。

・先に状態が悪くなった建物設備機能が事故を起こすリスクが高まります。
・資金を内部留保で積み立ていてる間に相続事由が発生すると、相続税として半分を失ってしまいます。
・もし借入金を使うと、借入金返済リスクを作ってしまいます。
・大型工事は入居テナントに大きな負担を与えます。


とはいえ予算都合だけを考えて工事の計画ができるわけはありません。建設業者が作成する長期修繕計画は、工事時期が偏りがちです。

・勝手に工事予定を送らせて実際に必要なタイミングで必要な更新工事ができず、重大な事故やトラブルを起こしてしまえば、元も子もありません。
・計画はあっても賃料収入が減少して予算が準備できない恐れがあります。
・単に前と同じ設備機能のリプレイスをするだけでは、築年数の変化による使われ方の違いや時代のニーズとのズレに対応できず、必要ない設備機能の更新に高額費用をかけてしまう恐れと新しい時代のニーズに応えられずに賃貸競争力が高まらない恐れがあります。

専門業者に確認をしなければ判断ができないのは当然ですが、建物設備機能が一言経年劣化をしていると言っても、その程度には大きな幅があります。その中でどの程度まで大丈夫と言うかは、専門業者の考え方次第なのです。一般的に専門業者は、後でクレームを受けるリスクがあると考えると、万が一を考えて早めに更新を勧めます。

計画1 分散修繕の対象

分散修繕の中小ビル所有者は、まず事故リスクが高まる築40年年を過ぎたら、自ビルにある全建物設備機能を把握することが必須です。耐震対策を心配する前に、より直近の事故トラブルリスクが高まっている建物設備機能を確認することが先決であることは、疑いようがないでしょう。 気を付けるべきは、壁の裏の給排水管や電気幹線または外壁の剥離や看板やアンテナの落下等、重大トラブルリスクが高まるにも関わらず、法定点検等がないところを、見落とさないことです。

 

もう一つの注意をしたいのは、分散修繕は全ての工事が対象ではないことです。ここは一般の長期修繕計画とは違います。漏水事故がありすぐに漏水箇所を塞いだ。エレベータの扉が開きっぱなしになり、サービスが来て修理をした。 等のトラブル対応は、分散修繕の対象ではありません。計画するものではないからです。分散修繕の対象は、建物使用寿命と賃貸寿命を延ばす目的の工事です。トラブルが発生した旧排水管やエレベータを、ビルの今後を考えて、いつどのように更新すべきかを検討するのが分散修繕です。会計上も分散修繕の対象工事は資本的支出として扱い、減価償却ができます。通常工事が修繕費として費用扱いであるのとは違います。

計画2分散修繕計画は総合計画

分散修繕の対象を確認したら、どのように計画をすればよいのでしょうか?分散修繕の計画は、賃貸計画、資金計画、工事計画の3つを統合したビルを存続させる事業計画です。とりあえず30年を推奨します。 

分散修繕計画が総合計画でなければいけない理由は、建物設機能の更新や内装の手入れをどのくらいの予算でいつどのように行うべきかが、今後のビルにどのようなテナントが入居して、どのような設備機能や内装を必要とするかによって、決まるからです。古くても品格があり一定賃料水準を維持しているビルと、時々トラブルはあるが賃料が安いから文句jを言われない古ビルとでは、対応の考え方が違うことはわかると思います。

ただ多くのビル所有者にとっては、できる限り現状を維持したい。できる限り建物設備機能の更新や内装リフォームといった高額工事は避けたい。のが本音です。だから現状を続けるためには、現実的な予算でどのように建物使用寿命と賃貸寿命を延ばすことができるのか、難しい場合にはどうすることが次善策なのか、確かめなければわからないわけです。だから、賃貸計画、資金計画、工事計画の3つを統合したビルを存続させる事業計画として描き、描けるかどうかを確かめることが必要なのです。
もちろん最初は築古ビルで今後賃貸がいつまでできるかわからない、工事にいくらかかるかわからない、のが当然です。必要と思われる情報を収集し、とにかく分散修繕計画としてまとめてみる。これから紹介する築古のマーケティング賃貸や経済的な建物設備更新工事等をやってみて、その結果をまた計画に反映させて計画を練り直す。築古ビルの分散修繕は、ひたすらこの繰り替えしです。これを繰り返しながら築50年の壁を超え100年を超えて存続します。

そこで築古のマーケティング賃貸と経済的な建物設備更新工事をご紹介する前に、まず分散修繕計画としてまとめてみるために重要な概念を一つだけご紹介します。

計画3自立した分散修繕の輪を回すとは

自立した分散修繕の輪を回す」とは分散修繕を計画するときに念頭に置いておくと役に立つ概念です。築古ビルで難しいのは、なるべく支出は避けたいけれどもビル所有者として責任は保ちたいという相反する2つの考えで揺れ動くことです。このジレンマは、もう一段上の概念を理解できるようになると、対応が難しいものではなくなります。それが「自立した分散修繕の輪を回す」です。
「自立した」とは、外部資本を入れず賃料収入の中から必要管理経費や諸税支払い等のみならず、建物使用寿命と賃貸寿命を延ばすための費用も捻出することです。自分で賃料収入を稼ぎ、そのお金で自分の寿命を伸ばし続ける。これができるからビル資産は、世界中で特別な資産なのです。これは具体的に次のサイクルが成り立つことで、実現します。

また別の言い方をすれば、分散修繕はビルのどこかが経年劣化してビル全体の価値を下げる恐れが発生すると、酷く価値を下げる前に 建物使用寿命と賃貸寿命を延ばすための工事投資を行い、そのレバレッジでビルの価値を一定水準に引き揚げます。レバレッジは不動産投資で使われる言葉ですが、小さな投資で大きな資産価値を作ることを意味します。ビルの建物設備機能は、経年で全て一度に悪化するのではなく、あちこちが順次悪化していきますが、 都度建物資産価値に大きな影響を与える前に、レバレッジがかけられるように更新等の本質的な問題解決対応を行うことで、コマが水平に安定して回り続けるようにビルは安定して建物使用寿命と賃貸寿命を延ばし続けることができます。
分散修繕の輪は以下のような様々なダイメンションを持ちます。それぞれが独立して分散修繕の輪が回ることを確認します。

・賃料収入の安定
・収益の安定
・ビルのグレードの安定
・建物設備機能のリスク状態の安定
・ビルの収益資産価値の安定

実際の分散修繕計画では、これは賃貸、資金、工事の独立した横の計画と、年間収支の辻褄という毎年毎年の縦の流れとの整合性を確認します。

賃貸:築古のマーケティング賃貸とは

 

築浅築古に関係なく、新型コロナ以降空室が増えます。人口減少が加速する日本では部屋を探すテナントも減少します。 こうした局面では、実は元々賃料水準の低い築古の方が有利です。とはいえ1の部屋探しテナントに10室が競う状況で、賃料の安さで戦ってしまえば、賃料収入が激減するのは火を見るより明らかです。 築古ビルは、賃貸マーケットでの自物件のポジションが相対的に下がった時は募集賃料を下げなければいけませんが、そうでない限り、自物件の賃料収入を守ることはビル存続にかかる生命線です。 ではどうすれば選ばれるのか?これからの賃貸はマーケティングで決まります。詳しくは、別ページでご紹介します。

賃貸マーケット及びポジショニングついては、こちら (under construction )

工事:経済的な建物設備機能等更新工事とは

同じ排水管縦管の更新工事を、建設業者の設備改修プロジェクトとして行うと2千万円。いつもの業者が修繕のついでに200万円で部分交換をしたものの、また別の場所で漏水。 もしくは大きな建築案件も引き受ける実力と提案力ある設備専門業者に相談をした結果、建設業者の設備改修プロジェクトと同じレベルの工事を700万円で全交換ができたとします。これは架空ビルの例です。 どれを選びたいでしょうか?