100年時代:築40年以上中小ビルの

分散修繕とは

これからの厳しい時代の中小ビルは築40年をすぎたら世界標準の「分散修繕」が、唯一の安定維持の方法です



全世界の中小ビルが実践している分散修繕とは

ここでご紹介する分散修繕は、全世界の中小ビル所有者が築50年築100年を過ぎてもビルを現役で維持しているノウハウを、ビルオが日本の中小ビル向けに開発した築40年以上ビルの持ち方です。 分散修繕は、単なる修繕の分割ではありません。分散修繕は、中小ビルが環境変化に適応して未来を作る方法でてです。 コロナ後の厳しい日本で築40年を過ぎた中小ビルにとって、選択肢はこのままビルを老朽化させて事故を起こすか廃ビルにしてしまうか、正しい分散修繕でビルの安定維持と経営を続けるか、の2択です。分散修繕は、ビルが築100年200年でも現役の欧州をはじめ全世界の中小ビルが当たり前に行って社会経済の変動を乗り越えているビル所有の方法です。



分散修繕が必要な理由


築古ビルは事故リスクが怖い

築古ビルが難しい理由が、重大事故リスクが高まることです。千年に一度の大震災に被災するリスクはビルによって異なりますが、ビルが築40年をすぎると、漏水の頻発でテナントに大きな損害を与える、漏電による火災や外壁・看板の落下で時に人命に関わる重大事故を起こし、巨額の損害賠償責任に加えて刑事責任を問われる恐れが高まります。

だから、築40年を過ぎたビル所有者がビルを長く持ち続けるためには、重大事故を起こすリスクがある建物設備機能の更新は、必ず必要なビル所有者の責任です。敷地内の自宅と異なり路面に面しているビルは街に対する責任があり、また賃貸であればテナントに対する責任があるのです。


築古ビルは経営難も怖い

ところが築40年を過ぎた中小ビルは、しばしばもう1つの重大な問題に直面します。それは経営難です。(もしくは経営難の恐れです。)築古物件の賃貸は難しいというのが、日本の「常識」です。実際築40年を過ぎて成約賃料が大きく下がり、空室が長期化し、不動産屋にも築古だから難しい、もっと賃料を下げるかリフォーム/リノベーションをと言われては、一体どうすれば良いのでしょうか。
このビルはいつまで使えるのか、こんなにお金がかかるビルをいつまでも持つべきか、根本的な不安が頭をもたげてきて当然です。そのような不安があるビルの建物設備の更新に、大きな工事費用の投下をすることは誰でも躊躇うのが、常識的な感覚です。


相談相手も協力者も見つからない

    

築40年を越した中小ビル所有者が、それでもどうにか経営悪化を乗り越えてビルを維持したいとと考えても、古いビル所有文化が根付いていない日本では、しばしば更なる困難にぶち当たります。困難があろうがなんだろうが、リスクが高まるビルに対するビル所有者の責任も待ったなしに高まりますから、難しく感じてしまうのです。

・よい相談相手がいない

よい相談相手とは築古ビルをどう維持できるかアドバイスをくれる人です。
ビルの相談は建設業者、金融機関と一般に言われますが、大変高額なリノベーションや大規模設備改修工事ばかりを言われても困ります。一方普段修繕をお願いしている街の水道業者や電気業者ではビルの基幹インフラ設備の更新工事を任せるのは不安です。そもそも建設業者だろうと金融機関だろうと設備業者であろうと管理会社であろうと、日本人は古いビルの付き合い方を知りません。そして平成の日本人は進歩する力がありません。だからといってどうやって実力ある建物設備機能業者を見つければよいのか、というとわからなければ、どうしようもないでしょう。・何度修繕工事をしても問題が解決しない

・何度修繕工事をしても問題が解決しない

これもよい相談相手がいないことと問題の根は同じですが、適切な専門業者を選び適切に相談ができないことで、問題の根本解決ができずに何度も問題と工事を繰り返す羽目になっている例は驚くほど少なくありません。建物を大切に考えて修繕をしているのに、なぜか問題が解決しない、ビルが冴えない結果が続くと、やはり古いビルを維持することが難しく感じてしまいます。

・借入金過多や共有・資産管理会社の問題

また借入金の返済負担が厳しく建物設備更新等大きな工事の予算を確保できない、共有や資産管理会社所有だが関係者の合意が取れないため建物設備更新等大きな工事ができない、といった理由もしばしば、経年劣化ビルの建物設備機能を更新してビルを長く持ち続けるための障害になります。借入金過多や共有・資産管理会社は一般に相続税対策の結果ですが、相続税を節約するために行った対策が、ビルを長く持つ際のネックになることは、皮肉です。


問題に個別に対応している限り解決はできない

いずれにしろ築40年を過ぎた中小ビルが適切に対応されなければ、遅かれ早かれビルが事故を起こすか、テナントが入らなくなり適切な管理もできなくなり、廃ビルになるしかありません。 従来これら問題をまとめて解決する方法として勧められたのがリノベーションです。しかし中小ビルには現実的ではありません。それに対して欧州や世界の中小ビルが実践している問題解決方法が、分散修繕です。



従来リノベーションの問題

鉄筋コンクリート造ビルには、3つの寿命があります。躯体寿命と建物使用寿命と賃貸寿命です。ビルの躯体寿命は長寿です。欠陥建築でない限り100年以上問題ありません。軍艦島の日本最古の鉄筋コンクリート造マンションもまだ建物躯体は倒壊していません。しかし既に述べた通りに、建物使用寿命と賃貸寿命はビルが築40年を過ぎると、厳しくなります。

リノベーションは、ビルの建物使用寿命と賃貸寿命を建設業者が再設計してゼロから作り直します。ビル所有者にとっては、安全かつ問題が一度に解決しますが、大変に高額です。その上多くの場合建物を一旦空にする必要があるため、一時的に経営も苦しくなります。リノベーションや大規模設備改修工事は、リターンを狙う不動産投資では好まれる手法です。不動産需要が右肩上がりで確実に高賃料テナントが入ることが見込める時代ならともかく、先行き不透明な時代には想定通りの賃料収入を得られないリスクが高く、中小ビル規模ではよほど賃料収入が良いか潤沢な資金がない限りは難しいのが現実です。



分散修繕とは

これに対して、欧州をはじめ全世界の築古中小ビルで実践されているのが、分散修繕です。
欧州をはじめ全世界の築古中小ビルは、社会経済状況が日本より悪く賃料収もずっと低い街が多いにも関わらず、無理なく古いビルを分散修繕で維持できています。

分散修繕では、問題解決を分散することで、ビル所有者が主導して経済的に無理なく問題解決ができるようになります。 と、ここでいくつかの疑問が頭に浮かんだかもしれません。例えば次の通りです。

・工事はまとめた方が経済的ではなかったか?
日本では一般に建設業者はどうせ工事をするならばまとめて行った方が得だという営業が横行していますが、現実には規模が大きな工事は工事監理費・管理費が嵩み、また過剰スペック機能や念のため工事が増加します。分散修繕は、逆に分散して工事規模を小さくすることで、過剰な費用を削減して適正内容工事を適正価格で行います。

・中小ビル所有者が主体といっても、建設業者のように専門知識を持たないのに何ができるのか?
工事に際して必要なのは、専門知識ではありません。専門知識は相談する専門業者が持っています。ビル所有者に必要なスキルは、専門業者から良い仕事を引き出す相談の仕方です。

・それでは、今までの修繕工事の通りで問題ないのでは?
今までの修繕工事は、おそらく問題の解決が目的でした。けれど分散修繕の工事は単に問題解決だけが目的ではないのです。分散修繕の建物使用寿命と賃貸寿命を延ばし、ビルを長く生かすことが目的です。ビルを長く保つためにはビルを長く維持できるための取り組み方、スキル、メソッドがあります。これらを身につけて正しく分散修繕ができるようになると、古いビル所有が難しくないことが腑に落ちてわかります。

理想の分散修繕の形

最初に分散修繕の形をイメージするために、分散修繕の理想の形を見てみます。 分散修繕の理想の形は、分散修繕の対象工事について、数年後の1つの予定工事に向けて毎年賃料収入から必要な管理経費及び諸税を支払った残りから、定額の資金を積み立て資金を準備し、準備ができたら工事をする。その工事が終わると次の予定工事を決めて、その工事に向けて資金を積み立て準備する。この繰り替えしです。この繰り返しが続く限り、ビルの経営は赤字になりません。

ただこうした理想の形は、適切に考えて修繕を分散した結果です。実際に重大な事故が発生したり、また空室にテナントが入らなくなったりすればビル経営は終わりです。
分散修繕の目的は、単に経営計画で赤字を出さないことではないのです。分散修繕の目的は、建物使用寿命と賃貸寿命を延ばしてビルを長く使用収益続けることです。ここには注意が必要です。

建物使用寿命と賃貸寿命を延ばしてビルを長く使用収益続けるために分散修繕は、次の3つの全てを満たすことが原則です。 

・事故を起こさない
・赤字にしない
・安定させる
   更に安定には・賃貸の安定、経営の安定、建物状態の安定 の3つの安定を実現します。

築古中小ビルでこうした工事が必要になった時に、1. 分散修繕の原則を外れないよう、かつ2. できるだけ先の理想的な分散修繕の例のように分散して成功させるには、何が必要でしょうか?

1まず、築年数に依存しないマーケティング賃貸が必要です

  工事になぜ賃貸と思われるかもしれません。けれども最初に述べたように、賃貸できる見込みがなければ、そもそも工事の判断はできません。そして築古ビルがどの程度の予算でどの程度(グレード・機能・性能・スペック)に更新するかは、今後の賃貸でどの程度(グレード・機能・性能・スペック)が求められるかで決まるのです。だから分散修繕ではマーケティング賃貸は大変重要です。

2経済的かつ確かな建物設備機能の更新等重要工事のノウハウが必要です。

単なる修繕工事と違い、分散修繕の対象となる建物設備機能の更新工事では、安かろう悪かろうでは論外です。分散修繕では、ビル所有者が適切な専門業者を選び、しっかり相談をして工事を決断しなければいけません。そのためのノウハウは必須です。

3計画が必要です

計画の目的はTODOを決めることではなく、3つの原則のバランスがよい分散修繕を見つけ、10年後20年後30年後のビルのあり方を描くことです。リノベーションでは、建設業者がリノベーション後のビルの図面を描き、工事をします。分散修繕では、ビル所有者が10年後20年後30年後のあり方を分散修繕計画で描き、一つ一つの工事をそこに向けて工事をします。その積み重ねで、建物使用寿命と賃貸寿命が延びるのです。

賃貸と建物設備工事との関係について

 

ここでもう少し具体的に、設備工事と賃貸との関係を見てみましょう。

例としてビルの電気幹線の更新を考えるとします。工事検討に際して、ビルとしては

・いくらの予算が妥当かを考えなければいけません。

また

・どの程度のグレード・機能((電気容量及び1本でカバーするフロア範囲)を考えなければいけません。

もちろん電気業者から程案があります。電気業者は、通常過去の工事経験からビル所有者の要求を察して程案をします。とにかく安さを求めていると感じたら、安い工事を程案します。具体的には現在と同じ電気容量でかつ1本で全フロアを賄うでしょう。一方で費用に関係なく今後の長期的な安定と安全性を求めていると感じれば、今後の使用量増加を考えて電気容量を増加し、かつフロア1本等本数を増やして、1箇所の漏電が他フロアに波及しないように対策をするでしょう。いずれも間違いではありません。
一方でビル所有者としては、今後の賃料収入が確かでニーズがあれば、長期的な安定と安全性を優先したいのは当然です。けれども今後の賃料収入に対して、工事金額が大き過ぎて他の工事ができなくなるのも論外です。どの程度にするかは、今後の賃貸でどの程度のグレード・ニーズがあるかで決まります。つまり建物設備機能の工事の検討でも、必ず今後の賃貸を考えるのです(ビルが賃貸使用ではない場合でも、今後のビルの使用を考えます。)そしてこの関係は複雑です。だから計画で考えておきたいのです。



ビルオの分散修繕のご紹介