現在建物を価値ある資産として次世代に残す築35年超一棟マンション、中小ビル、他住宅等所有者ならびに街作り関係者向け
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古い建物を長く綺麗に使用する事が難しくない事は、英欧米の古い住宅や中小ビル、マンション等を見ればわかるでしょう。日本でも同様です。日本人は、日本が地震国だからと言いたがりますが、地震国も世界では日本だけではありません。日本の大半の地域では、巨大地震の激震地に当たるリスクは、高くはありません。旧耐震基準建築でさえ、かなりの耐震性があります。また、日本は、木造建築文化だからと言いたがる人もいますが、日本でも古い寺社や民家、町屋等長く使えている建物は沢山あります。現在の日本の、世界に並ぶ建築水準では、戸建て住宅にしろ、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の中小ビルやマンションであれば、問題なく数百年使用ができます。
ではどうして現在の日本人だけが、建物を築50年ともなると寿命と考えるかといえば、今まで建物の長く使用する資産価値や、そのための考え方を知らなかっただけなのです。ただ、どうして知る事ができないでいたかというと、そうした建物資産は、所有者側の問題です。でも日本では政策もあり、建物の事は、建築業界や不動産業界、デベロッパーが考えるもの、という価値観です。いや自分でやるといってDIYやセルフリノベーションに走る人もいますが、それは単なる工事業者の役割を自分でやっているだけです。誰でもできる事ではありません。日本では、建築業界や不動産業界、デベロッパーの利益ありきだから、「リフォーム工事」「リノベーション工事」「建物大規模改修工事」「建物再生工事」といった、建築業界の利益になる高額ソリューションばかりが言われます。これでは、多くの建物所有者が、古い建物にこんなにお金をかけられないと諦めるのはごく当然です。実際これらは、ハイコストハイリスクハイリターンのプロ向け投資手法です。なのだけれど、建築業界や不動産業界、デベロッパーが考えるもの、という価値観だから、ではどう工事に取り組めば、DIYやセルフ・リノベーションのように自分が苦労して手を動かすのではなく、もっと低予算で無理なく、建物の維持ができないのか?と考えるところにはいかないのです。
日本人の問題を客観的に見るのは、英欧米や世界の古いビル所有者達は、どのように古い建物を維持しているのか、と比べる事が一番早いでしょう。
英欧米や世界人達は、建物寿命を考えません。建物も資産と考えます。日本人は土地を資産と考えますが、土地はそれだけでは利益を産みません。市街地では土地の上の建物が使用利益を作ります。建物が使えなくなれば、土地も失います。建物という物は、確かに経年劣化していきますが、経年劣化部分をリニューアルすれば、いくらでも延命ができます。実際そうやって街中に築100年築200年それ以上の古い建物が多く存続しています。それは、英欧米や世界の古いビル所有者達は、建物を永遠でも使用利益を産む潜在価値を持つ資産と考える結果なのです。
建物という資産は、建物を永遠でも使用利益を産む潜在価値があります。ただ何もしなければ物は経年劣化して、やがて使用が出来なくなり廃墟化し、維持費や固定資産税、解体費用だけがかかる負債になります。ところが、建物工事にお金をかけすぎても、やはり負債を作ります。お金に余裕があれば、収支関係なく高額費用をかけられるでしょう。でもそうでなければ、建物を資産として生かし続けるには、どうやったら低予算でも建物を良い状態に維持できるか?が重要なのです。英欧米や世界の他国の人たちは、それを伝統的に追及していきています。資産の事は自己責任だから、追及するのは、建物資産の所有者です。建築士でも建築業者でも不動産屋でも学者でもありません。
そもそも、建物は1棟1軒といった単位で言われても、実際には一つの物ではありません。一人の人間が、骨格や臓器や血管皮膚等から成り立っているのと同じく、建物も建物躯体と、多くの建物設備機能、内装外壁から成り立っています。人が年齢を重ねるにつれ、体のあちこちに問題が出てくるように、建物を構成する建物設備機能や内装外壁も経年劣化していきますが、人間同様ある日突然全てが劣化して機能を停止する訳ではありません。人が心臓に問題が出れば心臓内科/外科、骨を折れば整形外科、皮膚を若返えらせるならば美容整形に相談するように、建物も建物設備機能及び内装外壁の問題は、それぞれ専門工事業者に相談をするのが、一番です。「リフォーム工事」「リノベーション工事」「建物大規模改修工事」「建物再生工事」といった全身麻酔をして全身の問題を一度に直す大手術は、必ずしも必要ではないのです。そして人間と建物との違いは、建物は人間と違って、劣化部分を新規交換続けていれば、永遠にでも生き続けられる事です。そして人間が、どう病気を認識して、どの医者に相談し、どの治療を選択するかが究極には自己責任であるように、建物も全く同じです。そして、そこに、英欧米や世界の他国では、伝統的に裏付けられ洗練された考え方があるのです。
しかも建物としては目先の問題対応だけでは足りません。例えば、建物設備のトラブルに、今お金がないからと見送ったら重大事故が起こった、あわてて工事をしたら、その後でより重要な建物設備問題が発生して、お金が無い!という事態にならないように、よくよく考えなければいけないのです。問題はそこで、どう考えるか?なのです。
実は建物延命に必要な工事は「資本的支出工事」と言います。会計上では、資産価値を上げる=下落を食い止める工事を指します。通常の修繕工事は、PLの工事費用としてその年に全額費用化されますが、「資本的支出工事」はBSの資産の部に入り、その後年月をかけて減価償却で費用化されます。そのため「資本的支出工事」は単なる節税テクニックと指南する人も大勢いますが、本当の本質はそこではありません。資本的支出工事は、経年劣化していく建物が、使用利益を産む資産であり続けるように行う、追加投資なのです。結果を出すためには、考えるべき事が沢山あります。
この「資本的支出工事」をコントロールするのが、建物アセットマネジメントです。アセットマネジメントというと、不動産投資を思われるかもしれませんが、その説明は長くなるので別にお話しするとして、基本は「初期投資に対してベストなリターンを考えて実現する事」と認識してください。この「初期投資」とは建物を新築した時、もしくは購入した時です。建物資産所有者は、最初に大金を払って建物資産を手に入れています。投資として考えると、どこかでEXITとなりますが、建物資産の良い事は、必ずしもハイリスクの投資を続けなくとも、取得後は資産として長く安定したインカムゲインを積み上げられる事です。築古の単年度利益は地味でも、100年200年積み上がれば、バカにできません。英欧の貴族は、50年一回建替えたりせず、数百年使用利益を積み上げ続けているから、あれだけ富裕なのです。ところが既に確かめた通り、建物は何もしなければ、経年劣化して価値が無くなり負債になります。だからそうならなにように、築30年を過ぎると、意識的に「資本的支出工事」が必用になるのです。
ビルが永続資産になるとは、建物使用利益の一部を留保して、そのお金で必要なタイミングで必要な「資本的支出工事」を行い、それによって建物の収入が続く・・・というサイクルが回り続ける事です。建物資産所有者は、このサイクルを感覚的に見つける事で、所有する建物を永久資産にできます。
いわゆる管理(プロパティマネジメント)は、PLの利益のベストを考えます。それに対してPLとBSの両方を考えて、BSの建物資産が、ベストなPLの安定した利益を作る状態であり続けるよう、「資本的支出工事」の資金繰りやいつどのような内容の「資本的支出工事」投資を行うか、を考えるのが建物アセットマネジメントです。(ちなみに、自用のビルや自宅の場合は、その建物を賃貸した場合の賃料収入を想定してそこから利益を計算します。)
もちろん誰でも自分の利益はベストに確保したいですから、ここで建物アセットマネジメントとしては、
を考える事でもあります。なにしろこの建物の延命に必要な「資本的支出工事」は、同じ問題対応でも、工事の取り組み方で費用はピンキリです。また長く持つ場合、工事が早すぎても遅すぎても、問題が出てきます。一方で「資本的支出工事」は「資本的支出工事」と名のつく工事をすれば、収入効果が出る訳ではありません。費用に見合う効果がなければ、無駄金です。建物資産には、「物」の面と「数字」の面があります。目先の問題解消だけではなく、「物」と「数字」の両面で、建物全体の将来の事をよくよく考えなければ、決められない工事なのです。
こういうのは、言葉で説明させているものを読んでも、フーンで終わりでしょう。やはり自分で手を動かして考えてみなければ、よくよくは考えられません。ただ昔は長年の経験が必用と言われてきましたが、現在では、マイクロソフトのエクセル等スプレッドシートを使用して、自分で手を動かして考える事で、身に着ける事ができます。そのお手伝いをするのが、次のプログラムです。
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初めてのご相談: 初回オンラインご相談 無料
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