築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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中小ビル100年超時代:なぜ築古ビルを維持すべきか?

築古ビルは、負債、産業廃棄物。でも適切に維持を続ければ長く安定した使用経営の利益を産み続ける資産です。なぜ今や、築古中小ビルは維持すべき時代なのか?

要点


・日本は、古い建物にお金をかけても、負債化のリスクが高いと考えるから
・ヨーロッパや世界の他国では中小ビルは築数百年でも使用する
・理由は、低予算低リスクで必要な工事を行い、負債化させないから
・日本も人口激減で投資の時代ではなくなった
・欧州型の低予算低リスクでビルを価値ある資産として承継する事が子孫の利益


コンテンツ

1.なぜ、日本ではビルの老朽化が言われるのか?
2.なぜ、ヨーロッパや他国では中小ビルが長く使われるのか?
3 日本のビル観は人口激増経済成長投資適格時代のまま
4.なぜ今、日本の中小ビルも100年超使用へ変わるべきなのか?

1 なぜ、日本ではビルの老朽化が言われるのか?

これを理解するためには、まずビルの寿命が何かを丁寧に考えてから、日本でいわれる「ビルの老朽化」がどういう事かを確かめましょう。
1.1ビルの寿命とは
なぜ、日本ではビルの老朽化が言われるのか、ご存じでしょうか?

1.11 ビルとは躯体及び建物設備の集合
鉄筋コンクリート造/鉄筋鉄骨コンクリート造ビルと一言で言っても、実際のビルは躯体及び多数の建物設備機能の集合です。

確かにそれぞれの建物設備等は、経年とともに劣化します。「物」の運命です。ただ一度に全てが同時に経年劣化をするのではなく、それぞれの建物設備機能は、固有のタイムスケールで経年劣化をしていきます。
1.12 経年劣化部分のリニューアル続ければ寿命にならない
ビルは、ビルを構成する建物設備機能等が経年劣化をしても、それをリニューアル続ければ、寿命になりません。人間で言えば、臓器移植や血管等をいくらでも交換して生き続けられるのです。

コンクリート寿命が時々言われますが、ビルの外壁は塗装やタイルで保護されています。この保護機能をリニューアル続ければ、早々にはコンクリートの劣化は進行しません。 日本でも、江戸時代やそれ以前建築の建物は多数あります。木造より上部な鉄筋コンクリート造ビルは、潜在的に長く使用する事ができるのです。
1.13 旧耐震基準や地震国である事は、主の理由ではない
日本では、旧耐震基準建築である事が、しばしばイコール建替え必要と言われます。けれども旧耐震基準建築は、建築確認が甘かったというだけであって、全ての建物に耐震性がない訳ではありません。また、1,000年に一度の大震災の激震地にあたる確率や、実際の倒壊例では地盤の影響が大きいですが、そうした問題も日本全国一律にある訳ではありません。実際に大きな被害を出すのは、木造住宅の倒壊や木密地域の大火災です。津波で流されるのも木造住宅です。

耐震性は、建物寿命とは別の話です。そして問題があれば、耐震補強や制震等技術があります。

1.2日本の「ビルの老朽化」とは経済的寿命のこと
実際日本で言われる「ビルの老朽化」は、「物」の問題ではなく、経済的な問題です。
1.21 日本で言われるビル寿命は経済的寿命
日本で「ビルの老朽化」と言われる場合、それは、「ビル維持に必要な工事をすれば、ビルは維持できる。けれども、古いビルには、維持に必要な工事投資の価値がない」という経済的な問題を意味します。そして、維持に必要な工事をしないから、どんどん経年劣化が進み、ビルが古臭くなり老朽化が進行し、やがて本当に廃墟、産業廃棄物となる訳です。なぜ経済的な問題を考えるかといえば、次の2つの理由があります。
1.22 問題は、経年劣化リニューアルの費用
日本では、ビル維持というと一般的に、建設業者のソリューションである、リノベーションや大規模改修工事が言われます。いずれも新築建設に準じる高額です。これでは、この古いビルにこんな投資をする価値があるのか?と躊躇って当然です。
1.23 問題は、「古いビル=建替えられるべきもの」価値観
より本質的な問題は、「このビルはいつまで使用できるのか?」に確信がない事です。日本でも、寺社や江戸時代の豪邸町屋等、古い建物の存続はあります。ただ中小ビルに関しては、日本では街に中小ビルが建てられるようになったのは高度経済成長時代からら80年代バブル:つまり、人口激増、経済成長、生活水準の向上に伴うより良質建物への移行で需要激増、地価右肩上がりの時代です。この時代は、「古い建物=建替えられるべきもの」というスクラップアンドビルド思考でした。だから中小ビル維持の思考とノウハウが育っていません。自己流で維持している築古ビルも多くありますが、難しい例が多々あります。成功例が十分にないのです。だから不安しかありません。
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2なぜ、ヨーロッパや他国では中小ビルが長く使われるのか?

一方ご存じの通り、ヨーロッパや世界中の他国では、古い中小ビルが現役で使用され続けています。なにか特別な技術でもあるのでしょうか?
2.1 ヨーロッパや他国では中小ビルは築数百年でも現役
一方で、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国では、中小ビルは築100年築200年それ以上でも、現役で使用されています。 特別な建築技術がある訳ではありません。 日本では、日本は地震国だから、木造建造物文化だから、と言いたがりますが、地震国は日本だけではありません。メキシコ市は50年に一度大震災があり、大震災の度にたしかに倒壊するビルもありますが、それは個別に手抜き建築が指摘をされ、古いビルが全てダメだとは言われません。だからスペイン統治時代の古いビルも多数残っています。木造建造物文化も、同じです。 (ちなみにヨーロッパでも、都市部以外では古い建物には木造のハリが使われています。)
2.2 長く使用できる理由は必要な工事を行うから
ではどうして古い建物を長く使用できるかといえば、もちろん、経年劣化に対して必要な工事を行うからです。簡単な話です。古いビルの見た目が綺麗な理由は、定期的に塗り直しをしているからです。 そしてまた、ビルの維持に必要な工事を繰り返して中小ビルを長く使用する事が当たり前化しているから、ビルを負債化させないための、工事取り組みが発達しています。

それが、ビルの維持に必要な工事を厳選し、自分の予算かつ低予算低リスクで行うための分散修繕
更に地域賃貸マーケティングで高効果を追求する安定ビル資産経営です。
2.3 長く使用する理由は、その方が経済的にお得だから
ではヨーロッパや他国の中小ビル所有者が、どうして古い建物を必要な工事を行いながら長く使用するかといえば、その方が低リスクで安定利益が積み上がり、お得だからです。

社会経済は常に変動をしています。時に投資適格の良い時代もありますが、いつ時代が反転するかわかりません。もちろん投資の才覚があれば、「高リスク高リターン」を狙い建替え投資も出来るでしょう。けれども自分の予算かつ低予算低リスクでビル維持に必要な工事を行い、負債を作らずビルを負債化させず、「低リスク長期リターン」の選択があります。下手にリスクを取るより、現在ビルを維持して安定利益を守り積み上げる方がお得だと考えるのです。 何よりそうしてビルは100年200年それ以上維持すれば、ビル資産を承継する子供の代、孫の代、その先の代は、「大きなリスク無し長期安定リターン」を、生涯にわたって享受できるのです。これほど美味しい資産があるでしょうか?

この美味しさを知っているから、ヨーロッパや他国の中小ビル所有者は、築古ビルに必要な工事を行います。

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3 結局、日本のビル観は人口激増経済成長投資適格時代のまま

この日本とビルの本場ヨーロッパを始め世界の中小ビル所有者の考えとの違いを、整理をしてもう少し深く理解をしてみましょう。
3.1 ビルは物だか資産としてしか維持ができない
ビルは、建物躯体と建物設備機能等という「物」の集合です。 ただ同時にビルは、土地の価値を実現化し、使用の利益を産む「資産」でもあります。

「物」のビルは、そのままでは経年劣化し、産業廃棄物として負債化します。「物」のビルを維持する事が目的であれば、いくらでも費用を投下できます。ただ費用をかけすぎては、やはり「負債」となります。先にビルの経年劣化リニューアルの費用が維持のネックとなる事を確かめた通りです。 所有者にとっては、ビルは資産です。負債化させずに使用利益を維持できなければ、ビルの維持に必要な工事は出来ません。 従来日本には、「物」のビル維持の考え方しかありません。だから経済的寿命を感じます。 一方でヨーロッパや世界の他国の中小ビル所有者は、ビルを負債化させず使用利益を産む資産として維持します。だから維持ができるのです。
3.2 ビルには投資と資産の性質がある
もう一つ重要な事は、ビルには投資の対象と、資産の対象の2つの性質がある事です。
投資対象としてのビルには、キャピタルゲインとインカムゲインがあります。 投資としては、最初に大きなキャピタル(資本)を投下して新築/購入し、しばらくその使用利益(インカムゲイン)を享受して、適切な時期により最初の投下資本より高額で売却し、キャピタルゲインを得ます。(そこでマイナスの場合が、損切です。)現在の不動産価値は、収益還元法及びDCF法で、取得後の使用利益(インカムゲイン)を元にして計算されますから、実は不動産投資は使用利益(インカムゲイン)ありきです。
一方でビルを資産として維持する場合は、イグジットを考えずひたすら使用利益(インカムゲイン)を守る事に注力をします。つまり、ビルの本場ヨーロッパや世界中の中小ビル所有者は、ハイリスクの投資を考えずに、ビルを資産として維持する事に注力をしているのです。
3.3 人口激増経済成長投資適格時代のビル観は投資ありきだった
ビルという資産は、この投資と資産の両方を何時でも自由に切り替えられる事が魅力です。 投資と維持の違いは、
投資は高リスク高リターン
維持は低リスク安定リターン
です。日本は、昭和後半の人口激増経済成長で地価右肩上がりの時代、長く投資適格時代が続きました。だから投資思考があまりにも当たり前としてきました。投資思考では、ビルが古くなったら、建替え、再開発、売却、リノベーション、大規模改修工事等々、大きな資本(キャピタル)を使用して解決します。

一方で、だから低リスク安定リターンを維持する「維持」の考え方が育っていません。日本のビル観は人口激増経済成長投資適格時代のままなのです。
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4. なぜ今、日本の中小ビルも100年超使用へ変わるべきなのか?

日本の状況は反転しています。私達日本人は、自分達が変わって資産を守るのか、社会の縮小と共に自分達も資産を失うのか、この2つしか選択肢がありません。
4.1 日本ももはや人口激減経済縮小需要激減時代
日本も、長く続いた人口増加と経済成長の時代はとっくに過ぎ去り、既に人口は半減に向かい、経済も縮小する時代です。建物需要は増えないどころか、激減します。もう建替えや再開発等投資解決ができる時代ではありません。

ここで「維持」を学ばなければ、遅かれ早かれ建物と建物が建つ土地の資産を失います。
4.2 必用なのは、個人資産と街のサステナビリティの在り方
社会背景が人口激減に向かう時代、だから古い建物維持にお金をかけても仕方がないと思う方は少なくありません。けれども、それは私達日本人が、社会背景として自然に地価が上昇をし、自分の土地の価値の上昇と自ビルの収益だけを考えていれば良かった時代の考え方です。

社会背景が人口激減に向かう時代とは、私達が社会として、今ある資産を守る事を考えなければいけない時代です。

実際に所有する古いビルを、「古いビルにお金をかけても無駄だから」と何もしなければ、建物は本当にスラム化廃墟化し、産業廃棄物になります。そんなスラム化廃墟化ビルが増えれば、街も廃れます。そして地価も更に下落をします。

けれども、例え新築時代よりは少ない使用収益価値であっても、ビルを低予算低リスクの分散修繕で適切に維持して使用経営の収益を守り続ける限り、街も廃れません。街が廃れないから地価も一定水準を守ります。自ビルの土地とビルの価値も失われません。個人の資産維持が街の維持になり、街の維持が個人の資産維持になるのです。

4.3 新築/建替えが無理でも、資産を失わずに使用利益を承継できる
ここで改めて整理をしましょう。
「物」のビルは、経年劣化に対して、適切な手立てを取れなければ、支出過剰の負債になるか、ビルが産業廃棄物化して負債化するかの、いずれかです。けれども自分の予算かつ低予算低リスクで必要な工事を行う分散修繕ならば、ビルは負債を作らず負債化せずに、使用利益を産む資産として維持ができます。 そして日本でも、ビルを使用利益を産む資産として、子供の代、孫の代、その先へと承継ができます。 人口激減経済縮小の難しい時代を生きる子供の代、孫の代、その先の代は、低リスクで使用利益を産むビル資産を手に入れる事ができます。そして低予算で維持続け、使用利益を享受続けられるのです。
4.4 人口激減時代でも低予算分散修繕で維持が出来る築古ビルは広い面積を使用できる
人口激減時代は、不動産需要も減少するのだから、古いビルを維持しても無駄だとお考えでしょうか?
実際には、賃料が手ごろで管理が良い築古ビルを、好んで選ぶ人は大勢います。 築浅ビルは建設投資費を回収するために一定水準賃料が必要ですが、建設投資回収が済んだ築古ビルは、賃料を下げても十分にペイができます。だから広い面積を使用してもらう事ができます。また自用であれば、2nd3rdとして使用ができます。

つまりいつまでもウサギ小屋でいる必要はないのです。ヨーロッパの多くの都市のようにゆったり空間を使用出来ます。そして2nd3rdを使い分けて、生活を充実できます。

4.5 産業廃棄物を激減させ、サステナビリティを実現できる
また現在のビルを維持する事は、現在のビルを産業廃棄物にしてしまわない事です。
現在のビルの維持は、産業廃棄物を激減させます。自然環境を守り、地方や弱小国の人たちを苦しめません。究極のSDGsソリューションです。

現在ビルの維持は縮小時代に3つのサステナビリティを実現します。

個人資産のサステナビリティ
街のサステナビリティ
環境のサステナビリティ

これが世界では普遍的なビルの建つ街と個人と自然環境のサステナビリティの在り方です。 縮小時代日本も、維持のサステナビリティで子供の代も孫の代も安心できます。取り組みましょう。ビルオが助言・指導をします。
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中小ビルは負債化させずに100年超維持時代へ。築30年以上中小ビル資産所有者、経営者、後継者の方向け、築古ビル維持のご相談はビルオへ、御質問。お問合せ、お気軽にどうぞ。、一棟ご所有者から、10数棟ポートフォリオそれ以上、幅広く対応できます。最初のお話は無料です。地方自治体他団体様向け街の築古ビル維持支援のセミナー・講習会も開催します。

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