築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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安定ビル資産経営:賃貸経営の要諦

ビル資産経営者として、絶対に知っておきたい、不動産屋に依存しない賃貸経営の実務をご紹介します。

日本で一般に言われている賃貸経営ノウハウは、全て不動産屋/賃貸管理会社ビジネスありきです。 ここでは、日本のJ-REIT等不動産アセットマネージャ等プロが実践している、築古ビル資産経営者として、絶対に知っておきたい、不動産屋に依存せずに対等な立場で賃料収入を作り守る賃貸経営の実務をご紹介します。
なおビルオは、賃貸経営の全てのステージに豊富な経験があります。あらゆる賃貸問題を解決できます。空室でお困りの方、今後の賃貸がご不安な方、ビル資産経営者としての主体的な賃貸実務を身に付けたい方は、是非ご連絡をください。助言、コンサルティング等で一度プロの賃貸実務を経験してください。


コンテンツ

Ⅰ リーシング準備
Ⅱ リーシング
Ⅲ 賃料収入を守る

Ⅰ リーシング準備

通常テナントから退去予告が出てから、退去まで6ヶ月の準備期間があります。ここで地域賃貸マーケティング賃貸方針の再確認をしっかり行う事が、ベスト賃料での早期リーシング成功をもたらします。

1.1 退去通知が出たら

普通賃貸借の場合は解約予告期間が6ヶ月。定期借家契約の場合も、終了等意思表明は、1年前から6ヶ月。つまり空室となりリーシングが必要になる部屋は、6ヶ月前にわかります。
この6ヶ月が重要な準備期間です。

1.2 地域賃貸マーケティング

まず、地域賃貸マーケティングを徹底して行います。 地域の賃貸マーケットは活発なのか低調なのか、ライバル物件の募集賃料はどのあたりか、ライバル物件の「決まり」状況はどうか、徹底リサーチします。

1.3 賃貸効果目的工事を行うかどうか

賃貸経営方針を確かめます。 この際に工事をしておくことがあれば、具体内容を検討します。空調交換や内装工事、場合によっては給排水交換、トイレ給湯室のリニューアル工事を検討します。 例えば内装等に手を入れる場合、テナントの原状回復工事は不要になりますから、テナントと交渉をして、原状回復工事費用相当をお金でもらう(変換敷金から差し引く)事もあります。

1.4 募集賃料を決める

詳しくは、安定ビル資産経営計画の賃貸経営でも解説をしていますが、募集賃料は、「前と同じ賃料」と過去を見るのではなく、現在もしくは最近賃貸募集を行ったライバル物件の募集賃料/成約賃料と比較して、自ビルの賃料ポジションを決めます。

ただクセが強いのが賃貸マーケットです。
早く決めたければ募集賃料を低めに、賃料収入を重視するならば集賃料を高めに、設定します。
更に上級であれば、募集賃料はそのままに、敷金礼金等を減らしたり、フリーレントを導入して、なるべく高い賃料で早く次のテナントが決まるように工夫をします。
更に更に上級であれば、地域賃貸マーケットの動向を読んで、より高めに/より弱めに募集賃料を設定します。
ところがライバル物件も同じ事を考えていたり、または何も考えず前と同じ募集賃料で出していたりするから、見極めなければ、自ビルの適正な募集賃料が見つけられません。

クセはありますが、賃料収入を作りますから、築古ビル資産経営者は自分で自ビルの募集賃料くらい自分で決められる事を目指すべきです。


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気になりましたら、お気軽にお問合せ下さい。30年安定ビル資産経営計画のサンプルをお送りいたします。また初回オンラインでのお話は無料です。1棟ご所有者から十数棟~資産管理会社経営者まで、欧州中小ビル資産経営者達の例も含めて、HPではご紹介できない事例も多くご紹介できます。高額なコンサルティングをお勧めする事はありません。お気軽にどうぞ。

Ⅱ 賃貸効果目的工事の検討(必要があれば)

ビル資産経営者にとって、入居テナントを見つけるリーシングとは、適切な不動産屋を営業代理人として選び、ターゲットテナントに届くように適切に営業をしてもらう事です。ビル資産経営者は、チームリーダーとして、一緒に取り組む事で、早期テナント獲得が実現します。

2.1 リーシングの全体像

リーシングの流れの全体像は次の通りです。

2.2 営業代理人を選ぶ

不動産業界のルールである元付客付は関係ありません。貸主としては、自ビルにあったターゲットテナントを早く見つけてもらうために、どのような不動産屋/賃貸仲介業者に依頼すべきかが問題です。

賃貸リーシングは営業者個人の力量で決まります。長い付き合いある不動産屋だから安心、ではなく、自物件を得意とするオフィス等仲介営業者を探し求める事が、賃貸経営実務の重要テーマです。彼らが、地域賃貸マーケット理解の情報源にもなります。

賃貸リーシングは、不動産屋/賃貸仲介業者であれば、万能な訳はありません。一人一人/一社一社、得意領域が細かく分かれてます。一人一人/一社一社、微妙な条件の違いで個性が現れます。また賃貸リーシングはトレンド変化も激しく、最新トレンドの不動産屋/賃貸仲介業者もいれば、昔ながらスタイルを良さとする不動産屋/賃貸仲介業者もいます。


得意物件タイプ:住居系とオフィス系、店舗系でそれぞれ違います。総合で対応する不動産屋もいれば、特化型の賃貸仲介業者もいます。
地域:地元の不動産屋といった町内特化型の不動産屋もあれば、エリアや都内主要地域、首都圏等広くカバーする不動産屋もあります。
ターゲットテナント:例えば駅前カウンター賃貸といった、学生や会社員相手に家賃やが安めの物件紹介を得意とする賃貸仲介業者もいれば、ハイエンドテナント相手に高級物件だけを紹介する賃貸仲介業者もいます。
営業スタイル:インターネット紹介に力をいれる業者もいれば、昔ながらの人的コネクション紹介を中心とする業者もいます。


ビル資産経営者としては、自物件のタイプに強く、自物件のターゲットテナントに強い不動産屋/賃貸仲介業者を、常に探し求めたいのです。少なくとも、「昔からの付き合いだから」という理由で、合わない不動産屋/賃貸仲介業者と無理に付き合って、自分が損する必要はありません。

最近は、普通の不動産屋/賃貸仲介業者であれば、インターネットで情報を出していますから、不動産屋/賃貸仲介業者も探しやすくなりました。他に(特定条件の)店舗仲介専門や、チェーン店の出店物件探しに特化した賃貸仲介業者もいます。

2.3 賃貸依頼方法のパターン(新しい不動産屋/賃貸仲介業者を開拓する)

かといって、不動産管理業界は長年抱え込みビジネスでしたから、不動産屋や賃貸管理会社が賃貸管理を行い、かつ空室のリーシングも行う等と言った場合、管理も関わりますから簡単に依頼する不動産屋/賃貸仲介業者を変えにくいのも事実です。そうでない場合も、新しい不動産屋/賃貸仲介業者との付き合いは、想定外トラブルが発生するリスクが伴います。

A は一社/一人の不動産屋にリーシングを依頼して、そこが元受けとなって情報をバラまくケースです 。もちろん元受けの顧客でテナントが決まれば手っ取り早いのですけれど、そうではない場合が普通なので、お客さんを持っている不動産屋・賃貸仲介業者に情報をばらまきます。不動産屋と親密な関係を築きやすいですけれど、その人のリーシング力が全てですから、合わない場合は空室が長期化します。

Bは、ビル資産経営者が自ら、複数の不動産屋に直接リーシングを依頼する方法です。各社が自社の顧客から探すか、他に情報をバラまきます。競争原理が働き、ビル資産経営者も、より良い不動産屋/賃貸仲介業を開拓しやすい方法です。 ただ一方で情報の 管理の手間がかかります。例えば1業者で有力テナント候補が見つかった。テナントが決まったといった情報は即周知しなければ、相手に迷惑がかかり次は頑張ってもらえなくなります。

Cは、元受けが賃貸管理もおこなっている等事情で、元受け不動産屋をすぐには変えられないけれど、リーシング営業は強化したい、という場合に、ビル資産経営者が直接不動産屋を回って、自ビルのテナントはいないかと、自ビルを売り込んでいく方法です。 売り込みの際に必ず形態を聞かれますから、元受けは別にいる事を説明します。 物件売り込みにルールはないのですが、手ぶらでお願いしにくければ、 1ヶ月の広告宣伝費を特別に出す事を約束します。気軽に多くの不動産屋/賃貸仲介業者と 話をして、地域賃貸マーケットの状況やライバル物件の噂等話を仕入れることもできます。 そこからの紹介で決まった場合、1ヶ月分の広告宣伝費を支払う事になりますが、 元受けのリーシング力が不安の場合、空室期間を1ヶ月以上短縮できれば元が取れると考えます。

2.4 ターゲットテナント向けに作戦を練る

不動産屋/賃貸仲介業者に客付けをお願いする際に、話し合うべきは、
  • 現在の地域賃貸マーケットの状況・動き
  • 売り込むべき自物件の特徴
  • 売り込むべきターゲットテナント像
です。ここでお互いの考えが全く違うと、上手く行きません。そして不動産屋/賃貸仲介業者に、 「現在このような地域賃貸マーケット状況だから」ターゲットテナント」にどのようにリーチをして、「自物件の特徴」を「ターゲットテナント」にどう売り込むか、 をストーリーだてて、説明してもらいます。

2.5 PDCAサイクルを回す

賃貸仲介は、わかりにく賃貸マーケットと気まぐれなテナント相手ですから、やってみないとわからない事も多々あります。賃貸仲介中は、2週間に1回は依頼している不動産屋/賃貸仲介業者に状況を確認して、細かく作戦を練り直します。 マイルストーンとしては
  1. 内覧希望者が現れる
  2. 確度の高い内覧希望者が複数現れる
  3. 入居申し込み検討者が現れる
  4. 入居申込書が入る
それぞれです。内覧希望者は、それだけでは他の「当て馬」(不動産屋が別の物件を押すために、比較条件として条件が悪い/高すぎる物件に内覧させる)に使われている事もありますから、確度の高さを求めます。

2.6 広告宣伝費増額は必要か

リーシングをしていると、お願いをしている不動産屋/賃貸仲介業者から広告宣伝費増額キャンペーンを提案されたり、不動産屋/賃貸仲介業者から広告宣伝費増額でテナントを見つけると飛び込み営業を受ける事があります。

業者の広告宣伝費増額提案は、まず必要ありません。テナントにメリットがないからです。合わないテナントを無理やり押し込まれても、そのようなテナントは直ぐに退去をしてしまいます。もしやるとしたら、「この人なら実力ある」と判断できる人に、この人に力を入れて欲しいという意図で、依頼側から持ち掛けます。

2.7 募集賃料下げ他キャンペーンは必要か

空室が長期化した場合、提案をされるが募集賃料を下げたりフリーレントを追加したり等特別キャンペーンです。

ネット情報時代の現在、募集条件の変更をすると、前の情報と混在して混乱しがちです。また、あの物件は賃貸に苦労している(から何か問題あるに違いない)・・というネガティブな印象も与えていまいます。

本来は、後からキャンペーンをしなくてよいように、最初に地域賃貸マーケティングを行っています。キャンペーンを検討する場合、その必要性と効果は、自分で地域賃貸マーケティングを行って判断できなければ、やるべきではありません。

2.8 候補テナント審査

入居申込書が入ったら、誰でも良いとするビル資産経営者はいないでしょう。

入居テナントの事業や経営状態、賃料支払い力及び反社ではない等の基本確認は、不動産屋/賃貸仲介業者に確認をしてもらいます。 ビル資産経営者としても、賃料収入だけではなく、その後のビル資産価値を損ねるリスクがないかの観点で、候補テナントを評価します。
  • 自ビルで長く事業をしてくれそうなターゲットテナントか
  • 他のテナントとの相性はどうか
  • 自ビルの品格やカラーに合ったテナントか 等です。

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Ⅲ 空室の賃貸リーシング

賃貸経営は、空室にテナントが決まったら終わりではなく、テナントに長期入居してもらい、安定賃料収入を維持できるよう、トラブルを避けるための配慮と工夫が必要です。 安定ビル資産経営を長く続けられるビル資産経営者は、そうした配慮工夫が出来ているのです。

3.1 賃貸借契約書を理解する

賃貸借契約書は、単に賃料等条件の約束書だけではありません。トラブルの際の対応マニュアルです。出来るビル資産経営者は、ここに、自ビル独自のルールや方針も記載します。

オフィスの賃貸借契約で記載される内容は、

契約要綱 に記載される基本条件以外に、

解約のルール
賃料等改定のルール
遅延の場合の遅延損害金計算
貸室内模様替え他テナント内装工事のルール
貸主修繕のルール
契約解除になる場合
反社等禁止条件
原状回復工事時のルール
造作買取請求権について
他館規則等館内使用のルール
その他特約
等があります。
賃貸借契約書作成を不動産屋に任せていると、1棟のビルで賃貸借契約書条件がバラバラで訳が分からないと言う事になりますから、自ビルの条件を決めておいて、賃貸借契約書作成の際に、自ビルの条件を記載してもらいます。

とはいえ契約は相手ありきだから、貸主側が一方的に有利な内容では相手が承諾せず、話が流れます。「相手の権利と利益に配慮しつつ、自分の利益も守る」バランス感覚が必要です。

3.2 A工事B工事C工事を制覇する

店舗テナントやオフィスでも自社で特別な内装工事を行うテナントが入居する場合、工事区分を話し合う必要があります。いわゆるA工事B工事C工事というやつです。

該当があるビルでは、A工事B工事C工事をしっかり区別し、また原状回復時にどこまでテナントが工事するかについても、細かく決めます。例えば電気配線一つとっても、どこまでテナントが撤去し、どのような状態で残すかを決めておくのです。入居時と退去時のトラブルリスクを劇的に減らせます。逆にいえば、特に退去時の原状回復工事ではトラブルが多いのです。

こうした取り決めと図面作成は、店舗等物件に強い不動産屋/賃貸仲介業者であれば、図面を作成できる部門がありそこで作成してくれます。一方で知らない不動産屋/賃貸仲介業者も少なくありませんから、注意です。

また上級ビル資産経営者であれば、A工事B工事C工事線引きは、入居時の賃料交渉材料です。借り手強気マーケットでは、貸主が、BC工事該当分もA工事でサービスしてテナントを誘致します。賃料を下げる代わりにそうする場合もあります。貸し手強気マーケットでは、テナントが逆にA工事分もB工事でやります。と言う事になります。プロの交渉技術は必要です。

3.3 クレームが入る/クレームをする

テナントリレーションは、高度なコミュニケーションです。
新規テナントが入居をしたら、最初の1~2か月はこまめに声をかけて、問題はないか、思ったのと違う事はないか等、声をかけてテナントの性格を見極めておくことをお勧めします。

ただし不満や改善点をテナントに聞いて教えてもらおうしてはいけません。相手の要求は増えるばかりです。テナントからクレームが入った場合、逆にテナントクレームを入れたい場合(例えば共用部でタバコ吸う社員がいる・・等)、賃貸借契約書に対応ルールの記載があると、話がしやすいです。同パターンの問題が多い場合は、館内規則を作る事をお勧めします。

3.4 減賃交渉を受けたら

時にテナントから減賃の相談を受ける事があります。そこで現在の賃料がそもそも現在のマーケット賃料よりはるかに低い場合は、受けない選択もあります。ただ貸主として、テナント事業を応援する気持ちがあれば、時に厳しい時期を支えてテナントに長く入居を続けて欲しいと思うのも貸主心というものです。

減賃の相談を受けた場合、減賃が必要な事業上の理由を聞くと同時に、いつ頃どのように事業が回復する見込みがあるかを、詳しく聞きます。賃料を減額する場合、期間を定めて覚書を交わします。そして定めた期間満了時に再度テナントと話し合い、元の賃料に戻すか、必要があれば延長の覚書を交わします。そうしたビルが驚くほど多いですが、減額をして、そのまま下げっぱなしにしてはいけません。

3.5 テナント満足に配慮する

テナントが入居したら、「釣った魚には餌をやらない」ではなく、使用空間がビルの水準であり続けるように、配慮を続けます。例えば、30年前に入居したテナントの部屋が未だに、和式トイレ、ウォッシュレット無し、古いキッチン、蛍光灯、汚い壁紙・・・とはならないように、時々現在水準にアップデートをしましょう。そうする事で、インフレに合わせた賃料増額交渉もできるようになります。賃貸は常に先行投資ビジネスです。

3.6 ビルオのお手伝い

ビルオは、賃貸経営の全てのステージに豊富な経験があります。空室でお困りの方、今後の賃貸がご不安な方、ビル資産経営者としての主体的な賃貸実務を身に付けたい方は、是非ご連絡をください。助言、コンサルティング等で一度プロの賃貸実務を経験してください。


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