築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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現在の中小ビルは、まだ100年以上使用利益を産む価値ある資産です

中小ビルは、適切に維持すればまだ100年以上使用利益を産む資産です。子孫には負債ではなく永続的に安定利益を産むビル資産を残しましょう。

要点

・日本の人口は60年後には半減し、不動産需要は増えないどころか減る一方
・昭和のビルが古くなればより大きなビルに建替えモデルは通用しない
・ビルは50年で老朽化寿命ではない。日本の中小ビルは経済的寿命
・ビルの本場ヨーロッパや世界では、中小ビルは100年200年それ以上使用するのが当たり前
・長持ちの理由は、ビル維持・ビル経営ではなく、ビル資産維持・ビル資産経営として利益を守るから
・日本の中小ビルも低予算低リスクの分散修繕で使用利益を守れる
・地域賃貸マーケティングに基づく安定ビル試案経営で安定経営を継続できる
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Ⅰ 建替え困難な時代の中小ビルはどうすべきか

日本は既に人口激増時代から人口激減時代に反転しています。つまり今までの「ビルが古くなればいずれ建替え」が通用しない時代です。この厳しい時代に築年数を重ねる中小ビルを、所有者はどうすればよいのか?ここで目を世界に広げると、「ビル資産維持」という実は普遍的な解決が見えてきます。

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1.1 時代が反転して日本も今までの「建替え常識」が通用しない

なぜ今、中小ビルの維持を考えなければいけないのか。それは日本は社会環境の変化で、もはや今までの「建替え常識」が通用しないからです。
1.11 60年後に人口が半減する
日本の人口は、60年後にはピークから半減する事が予測されています。しかも高齢者の割いが多く、100年後には江戸時代の人口水準に戻ると予測されています。昭和の人口激増時代からファンダメンタルな条件が反転しているのです。人口激増の昭和は不動産需要も右肩あがりに増えましたが、人口が激減すれば、当然に不動産需要も減少します。

1.12 日本の中小ビルの大多数が築40年前後に近づく
日本の中小ビル建設は、高度経済成長期に一般化して80年代バブル時代に多く建てられています。この80年代バブル築ビルが、そろそろ築40年になろうとしています。

1.13 昭和の再開発モデルはもう通用しない
日本では、ビルが築40年築50年になると、老朽化建替えが言われます。それも前より大きな建物に建替えて増えた保留床で建替え費用を賄うのが、お利巧と考えられています。けれどそれは人口が激増した昭和の再開発モデルです。人口が激減して需要も減少する令和に、昭和の再開発モデルはもう通用しません。
1.14 日本の街はスラムと廃墟の街になるのか?
人口が減少して需要も激減する中で、中小ビルは築年数を重ねます。需要がなければ、建替えもできません。一部地域では、大規模再開発で高層ビルや高層マンションを建てています。減少する需要がそこで取られれば、残りの地域にはより需要がなくなります。

大規模再開発地以外の土地の上に立つ中小ビルが、この建設費高騰時代に、無理に建替え投資をしてもペイが出来る保証がありません。かといって、建替えが出来ないまま、築50年築60年さらにと築年巣を重ねていずれ廃墟ビルになれば、後世代にも街にも迷惑をかけます。どうすれば良いのでしょうか?

日本の街は、手入れができずスラム街になるのでしょうか?廃ビルが建ち並ぶ、廃墟の街になるのでしょうか?そうすれば土地の価値も下がり、ビルのみならず土地の資産価値も失います。

1.2 築古ビルは何が問題か

一般に、ビルが築40年築50年となると、当然のように老朽化と言われますが、そもそもビルは築50年となると、何が問題になるのでしょうか?
1.21 ビルは築50年前後になると、あちこちが老朽化する
 ビルが築50年でもし適切な手入れをされてきていなければ、 見た目が、汚らしくなり清潔感が無くなります。建物設備もあちこちが、経年劣化してトラブルが多発します。 設備の事故や、外壁や看板落下、天井落下といった事故のリスクも高まります。
1.21 ビルは、建物設備や内装等の集合
ただ、鉄筋コンクリート造/鉄筋鉄骨コンクリート造(以下、SR造等という)のビルは、時に箱物と言われますが、現実には躯体に外壁・外壁保護機能、内装があり、電気、給排水等多くの建物設備があり、その集合体です。それぞれ経年劣化の速度が違います。

1.23 老朽化イコールビル寿命ではない
ビルの躯体は保護されている限り、そうそう経年劣化しません。鉄筋コンクリートは、外気に晒されていると寒暖差や風雨で劣化が進行しますが、ビルの外壁は塗装やタイルで保護されています。この保護機能は経年劣化しますが、何度でも修繕やリニューアルができます。内装リフォームをすれば、綺麗になり清潔感も復活します。 経年劣化した建物設備もリニューアルをすれば、問題なく機能します。

実際に、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国では、そうして築数百年や時に築数千年の古いビルや建造物が現役で使用され続けています。 日本でも、古い寺社や城、江戸時代の豪邸が、そうやって現在も存続しています。

1.3 日本の中小ビルの問題

日本の建築技術は決して悪くないにも関わらず、世界中で、どうして日本人だけが、鉄筋コンクリート造等ビル・マンションを築40年築50年で老朽化=寿命=建替えと言うのでしょうか?
1.31 日本のビル寿命は経済的理由
日本では鉄筋コンクリート造ビル・マンションが築40年築50年で老朽化=寿命=建替えが必要と言われますが、実際にはビル・マンションの築40年築50年は、単に大きな修繕等工事が多数必要になる時期、でしかありません。

ところがこれを日本人は、「寿命」と言います。これは「経済的寿命」です。つまり、現在のビルは、経年劣化部分のリニューアル工事等を行えばまだ長く使えるけれど、現在のビルには維持費用を支払う価値がないと考え、「維持の費用を出さない」という経済的理由で、ビルを寿命と称するのです。そして実際に長く使用するための「維持の費用を出さない」事で、実際にビルを寿命にしてしまうのです。
1.32 昭和の開発モデルに囚われた日本人
なぜ日本人だけがそう考えるかといえば、日本の鉄筋コンクリート造等ビル・マンションの建築が、昭和の高度経済成長と人口激増時代に一般的になったからに他なりません。

昭和の後半から80年代バブルにかけては、高度経済成長と人口激増に加えて、生活レベルの向上でそれまでの木造建造物から、地方から都市部への人の流れ、鉄筋コンクリート造等ビル・マンションへ移る流れがありました。この時代は、鉄筋コンクリート造等ビル・マンションの需要は作る端から沸いて出ました。だからビル・マンションを建てて築40年超が経過し、大きな修繕工事の費用が嵩むようになると、需要が増えているのだから、壊してより大きなビル・マンションを建てて需要に応える方が、お得だという判断ができたのです。

この昭和の開発モデルが、あまりに上手くいったので、日本人はここに囚われてしまっています。
1.33 リノベーション・大規模改修工事の問題
もちろん日本でも、鉄筋コンクリート造等ビル・マンションを、維持しようという考えもあります。リノベーションや大規模改修工事が言われます。

しかし、建設業者が主導するリノベーションや大規模改修工事は、建替えに負けず劣らず高額です。時に建替えの7割近くの費用がかかります。であれば、建替えた方が良いのでは、と考えるのは当然です。
1.34 朽ちるまで使うの問題
現在のビルを、大きな工事はせずに「朽ちるまで使う」という築古ビル所有者は少なくありません。もう建替えもできないし、仕方がないと言う訳です。しかし木造家と違い、鉄筋コンクリート造のビルは朽ちません。需要が激増した時代であれば、古いビルが建つ土地を購入して古ビルを撤去して新しいビルを立て直して使用経営の利益を得ようという投資家はいたでしょう。けれども需要激減時代に、そこまで投資価値がある土地はどんどん限られてきます。

そうして朽ちるまで使ったビルと土地はどうなるのでしょうか?廃墟が建つ土地は、他の用途に使えません。需要がなければ、売却したくても買主がいません。せいぜい二束三文です。子孫にとって、負債にしかなりません。廃墟があれば、街の景観も治安も悪化して、地域の資産価値も下がります。廃墟で事故が起これば、所有者責任を問われます。廃墟の解体費用は、子孫の誰かが出さなければいけません。子孫にも街にも社会にも、迷惑でしかありません。
1.35 壊れたら直す式の問題
経験豊富なビル所有者・経営者であれば、リノベーションや大規模改修工事といった建設業者の超高額ソリューションに他やらなくても、壊れたら直す式で、どうしようもなく壊れたら交換をする事で、ビルを維持できる事を知っています。現在の建物設備等を壊れるまで使用して、壊れた部分だけを交換すれば、経済的です。

壊れたら直す式なら、ビルが経済的寿命に陥るリスクが低いかといえば、そうとは言えません。壊れたら直す式は、いつ工事が必要になるかわかりません。各工事にいくらかかるかもわかりません。都度工事業者の提案に合わせるため、実は必要性の低い工事や、過剰な内容の工事をしている必要があります。工事対応がランダムで、手をかけているけれど、冴えないビルになるのが、このタイプです。

壊れたら直す式は、コンセプトは妥当ですが、これだけでは足りないのです。
1.36 方法論がなければ負のサイクルに陥る
古いビルは老朽化だ、寿命だという割に、日本人は実際に古いビルがどうなるのか、イメージできる人は少ないようです。ビルは、急にある日建物設備が機能しなくなり、倒壊する訳ではありません。

築40年に近づくころから、最初は少しづつ、あちこちで経年劣化のトラブルが出てきます。(たいていは経済的理由から)必要なリニューアル等対応工事をしないと、どんどんトラブルが増加します。そうして負のサイクルに陥ります。負のサイクルが怖い理由は、最初は分からない事です。でも一度負のサイクルに陥ると、ビルの状態を直すために、余計に費用が必要となって余計に対応が難しくなり、諦める事になります。負のサイクルが10年20年と進行します。ビルの衛生と安全が低下して使用経営の利益を得られなくなると、ビル管理を放棄して、電気や水道が止まり、スラムビル・廃墟ビルになります。そこから長い年月が経過して、鉄筋コンクリートの塊が剥離するようになるかもしれません。ただし軍艦島の1916年(大正5年)築日本で最初の鉄筋コンクリート造の集合住宅も、潮風に吹かれる悪条件にも関わらずまだ倒壊はしていませんから、そこまでに至るのは、100年200年という相当長い年月が経過した後でしょう。

1.4 ビルの本場ヨーロッパや世界では古いビルが現役で使用できている理由

一方でビルの本場ヨーロッパや日本以外の世界の他国では、築数百年のビルは珍しくありません。鉄筋コンクリート造ビル・マンションでも、築50年や築100年は、普通に現役で使用されています。誰も老朽化だから建替えとは言いません。
1.41 必要な工事を行うから維持できている
ビルの本場ヨーロッパや日本以外の世界の他国では、ビルが長く使用出来ているのは、何も日本だけ建築技術が低いからではありません。 どこの国でも、経年共に、ビルのあちこちが、経年劣化します。外壁や内装も汚くなり、清潔感を失います。電気や給排水を始め建物設備も経年劣化します。

ビルの本場ヨーロッパや日本以外の世界の他国では、中小ビルが長く使用出来ている理由は、経年劣化部分の修繕やリニューアル等、ビルの使用維持に必要な工事を適時行い続けているからに他なりません。

例えば日本人は、ヨーロッパは石造建造物だからと言いたがりますが、石造ビルは、冬季に石と石の隙間に雪や水が溜まり、夜間に凍って膨張して昼間に溶けるを繰り返して、石を削ります。だから頻繁な防水加工の手入れが欠かせません。けれどもそうして手入れを続けているから、現在も維持できているのです。
1.42 ビルは100年200年それ以上使用経営の利益を作り続ける事に価値がある資産
ビルの本場ヨーロッパや日本以外の世界の他国の中小ビル所有者達が、どうして原則所有ビルの維持に必要な工事を行うかといえば、それは、ビルは、適時修繕やリニューアル工事をする事で、100年200年それ以上使用経営の利益をり続ける事に価値がある資産と考えるからです。

ビルの建替え投資ができる機会は、滅多にないのです。日本のような高度経済成長と人口急増の時期が続いた国は、そうそうありません。景気や社会情勢には波があります。19世紀に建てられたパリのビルは、2つの戦争と前後の不景気を経験しています。今日は景気がよくても、明日はどうなるかわかりません。ただ一度土地の上に建てたビルは、確かに経年劣化していきますが、適時適切にビル使用に必要な工事を行えば、使用経営を続けてその利益を産み続ける事ができます。使用経営の利益を産み続ける限り、ビルは価値ある資産です。不動産需要は、景気の波に関わらず、一定数ありますから、現在使用されているビルを維持続ける限り、低リスクで利益を産み続けます。社会経済の波に関わらず、100年200年それ以上使用経営の利益を産み続ける資産が、他にあるでしょうか?

ビルは、適切に維持して100年200年それ以上使用経営の利益を作り続ける事に価値がある資産なのです。
1.43 使用経営の利益を維持できるように、低予算で必要な工事を行う
ビルが、適切に維持して100年200年それ以上使用経営の利益を作り続ける事に価値がある資産であれば、どうすれば使用経営の利益を増やす事ができるのか?

それは、ビル使用に必要な工事をなるべく最小限、かつ低予算で行う事です。

リノベーションや建替え投資のような高額投資も、個人ではまず手をだしません。ヨーロッパの中小ビル資産所有者の多くは、建設業者とは一生縁がないと考えています。もちろん大型ビルや商業施設は、集客や商業的目的で、リノベーションや建替え投資をしますが、それはリスクを取れる富裕層やプロが行う事です。一般の中小ビル資産所有者は、そんなリスクを取ろうとは考えません。

1.5 分散修繕と安定ビル資産経営

具体的にヨーロッパや世界のビル資産所有者経営者は、どのように古いビルを維持しているのでしょうか?その答えが分散修繕と安定ビル資産経営です。
1.51 低予算低リスクの分散修繕
ヨーロッパや世界のビル資産所有者は、基本建物設備や内装外壁等、工事が必要なタイミングを自分で判断して、適切な専門工事業者を選び、工事を依頼します。

基本的な取り組みは、分散修繕です。 分散修繕は、ビルの使用を続けて利益を維持しながら、計画的に「工事予算を準備して低予算で工事する」を繰り返し、低予算低リスクでビル維持に必要な工事を行います。
1.52 安定ビル資産経営
収益ビルでも安定経営を続けます。日本では古いビルはテナントに選ばれないと言われますが、それは古くてぼろくて賃料が高い場合です。古くても適切に維持されて賃料が割安であれば、好んで選ぶテナントの方が多いのです。 ただ賃貸効果のためにリフォーム工事等を行う場合、目的は、単に賃貸を成功させて賃料収入を得る事ではなく、ペイできるように賃貸効果目的工事を行い、安定利益を得る事です。 賃貸効果目的工事は先行投資ですから、なるべくお金をかけずにテナントに選ばれるよう、低予算高賃料効果に取り組みます。
1.53 ヨーロッパや世界のビル資産所有者は、「安定」利益を維持する
ヨーロッパや世界のビル資産所有者は、基本的に「安定」利益の維持を心がけます。変動はリスクだからです。投資の世界では、変動はボラティリティと呼ばれて警戒されます。

特に賃貸経営を考えれば分かりますが、全室満室で建物に大きなトラブルもない安定した状態が、とにかく一番楽で毎月安定した賃料収入が入ります。多少景気の変動があっても、関係ありません。時に1室のテナントが退去をしても、リーシングで次のテナントが決まれば、安定に戻ります。安心して資産を代々引き継げます。

一方で変動とは、今年は空室だらけで賃料収入が激減し、来年はリノベーション工事で賃料収入はゼロで高額工事支出。その後賃料収入はアップしたけれど、数年後にまた下がる。。. 。では、何かが狂うと、あっという間に破綻します。これでは安心して資産維持ができません。

1.6 日本の中小ビルも分散修繕と安定ビル資産経営で維持できる

では、日本の中小ビルも、ビルの本場ヨーロッパや世界の中小ビルと同じく分散修繕・安定ビル資産経営を取り入れれば、現在のビルを経済的寿命にする事なく、低予算で必要な工事を行い、使用の利益を産む価値あるビル資産として、維持続けられるのでしょうか?
1.61 地震国である事はビル寿命とは関係ない
日本では、日本はヨーロッパと違い地震国だから、ビルを維持できない。という人が大勢います。しかし、ヨーロッパもリスボン大地震がありイタリアも時々地震があります。という話は別にしても、世界中では地震国は日本だけではありません。メキシコ市は50年に一度大地震があり東京を上回る震災都市です。

日本でも、大震災は常に日本全国等しく発生しません。特にビルが倒壊するクラスとなると、限られた地域の限られた土地で1000年に一度程度です。大多数のビルは経験しません。

実際の大震災で、倒壊したり、火災を起こしたり、津波で流されるのは、木造建築です。揺れと地盤が悪く、鉄筋コンクリート造等ビルが倒壊する事もありますが、その場合は新耐震基準建築でも倒壊する事は、能登震災でも見ての通りです。

例え旧耐震基準建築であれ、耐震技術があります。耐震不安があれば、耐震工事があります。新耐震基準だから大丈夫でもありません。1000年に1度度ある震災を恐れるなら、そもそも高い建物は建てない事です。
1.62 技術的にも維持は全く問題ない
他の建築技術も問題ありません。
建設業者に、リノベーションや大規模改修工事を全てお任せで依頼しなくても、電気設備、給排水設備、外壁工事、エレベータ工事、消防設備工事・・その他専門工事業者に直接相談をすれば、はるかに経済的に必要な工事ができます。実際ビル経営者の方がであれば、今までもそうしてビルの各種トラブルを解決してきたでしょうから、ご存じの通りです。
1.63 必要なのは維持とどちらが利益かを知る事だけ
結局もう建替え投資が難しい時代の日本の中小ビル資産所有者にとって、建築費も高騰してペイができるかどうかわからないハ建替え投資か、朽ちるまで使って廃墟ビルにして後世代を苦しめるか、さもなければビルの本場ヨーロッパや世界の中小ビル資産所有者が実践しているビル資産維持のための分散修繕や安定ビル資産経営の考え方と方法論を取り入れて現在ビルを安定利益を維持する資産として、維持続けるか、の3択しかありません。

日本人は、「ビルの経年劣化に対して経済的に必要な工事を行う」方法と考え方を知らず、そうして現在ビルを100年200年使用経営して安定利益を積み上げるその資産価値に気が付いていないから、今まで古いビルに「修繕費を投下する価値はない」と考えて諦めてきました。そうではなく、日本の中小ビルも「低予算で必要な工事を行えば」、まだ100年200年使用経営して安定利益を積み上げる価値ある資産でいられるのです。

ここに気が付けば、建替えができない人口激減時代に、現在ビル資産を守る事は難しくありません。

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築30年以上中小ビル分散修繕・安定ビル資産経営についてのご質問、ご相談、サービスのお問合せはお気軽にどうぞ。初回オンライン30分は無料です。一棟から十数棟ポートフォリオまで、幅広くご対応しています。

Ⅱ 30年分散修繕計画の作成は、まず考える

ここから、日本の中小ビル資産所有者が、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国同様に、現在ビルを安定利益を産む資産として100年以上維持するために必要な考え方を、ご紹介します。「ビルをいずれ寿命建替え・・」と考えたいた時代と同じには、いきません。

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2.1 日本の中小ビルも資産として100年超維持すべき理由

人口激減、経済縮小先行き不透明なこれからの日本で、中小ビル資産所有者が、ビルの本場ヨーロッパや世界の分散修繕・安定ビル資産経営を取り入れる事には、メリットしかありません。何よりスクラップアンドビルドから脱却した本物の「サステナビリティ」の実現です。
2.11 建替えプレッシャーが無くなり安定できる
現在ビルを、安定利益を産み続ける資産として維持できるようになると、いずれ「建替え」をしなければいけないというプレッシャーから解放されます。
自分だけではなく、子供の代もその先の代もです。社会経済情勢が悪ければ、建替えをする必要はないのです。低空飛行でも、安定利益が継続します。
そうして建替えが投資ができる機会をじっくり待って、建替え投資が出来る機会が到来した時に、建替え投資をすればよいのです。代々土地とビル資産を失いません。

2.12 街が衰退しない
需要が減少するなら、古いビルを維持しても無駄では、とお考えでしょうか?それは違います。建築投資を回収して、低予算の分散修繕で維持続ける築古中小ビルは、新築ビルよりずっと安い賃料でも十分に利益を得られます。だから築浅と同じ家賃で、はるかに広い面積を使ってもらえます。人が減れば、広い面積をゆったりと使う。ウサギ小屋からの脱却です。これは築古ビルならではの贅沢です。そうして使われる事で、人が減少しても街は衰退しません。

2.13 産業廃棄物を削減して地球に優しい
現在のビルを維持続ける事は、現在のビルを産業廃棄物にしない事です。

現在日本に建つ中小ビルを、その躯体だけでなく建物設備や内装設備等産業廃棄物にすれば、どれだけの産業廃棄物の山ができるのでしょうか?

ビルやマンションをたった築40年築50年で寿命建替えと考える考え方は、弱者にしわ寄せを押し付け利益を求める20世紀型スクラップアンドビルドの発想です。産業廃棄物は、地方や経済弱小国に押し付けられ、その地域の自然を破壊し、その地域の人たちの生活を蝕みます。環境悪化で人が住めない土地を作ります。

けれど、現在はSDGsの時代です。誰もが個人と社会と地球のサステナビリティを考えるべき時代です。現在のビルを産業廃棄物にするのは、止めましょう。現在のビル維持は、地球に最も優しい選択です。

2.2 ビル維持経営からビル資産の維持経営へ

日本の中小ビル所有者が、ヨーロッパのように現在のビルを100年以上でも200年以上でも安定した維持経営の利益を得るためには、方法論の前にまず、今までとは違う3つの価値観を理解する必要があります。その第1が、「ビルの維持経営から、ビル資産の維持経営へ」です。
2.21 ビル資産維持は利益維持
日本は従来「ビル維持」「ビル経営」を言われてきましたが、長く維持経営を続けるならば、「ビル資産の維持」「ビル資産の経営」です。

ビル維持は建物管理と修繕、ビル経営は、賃貸とPLですが、
ビル資産の維持とは、ビルの使用経営が生む利益を維持する事です。
ビル資産経営とは、ビルの賃貸経営が生む利益を維持する事です。 つまり資産は、利益を産んでこそ資産価値があるとして、その「利益」を第一に考えるのです。

2.22 ビル資産の3面性、ビル資産経営の4面性
ビルと違いビル資産は、多面があります。何かを決める時に、多面性を考えて判断しなければいけないのです。

ビル資産は、3面性があります。「物」と「数字」と「権利・契約」です。「権利・契約」は問題ある時は対応が必要ですが、問題がなければ通常の判断場面では問題になりません。通常の判断場面では、「物」と「数字」の両面を考えます。

ビル資産経営は、「物」と「数字」と「権利・契約」に加えて「営業」の4面性があります。やはり通常の判断場面では、「物」と「数字」と「営業」が複合的に関わります。

こうした多面性は、少し訓練をすれば身に付きます。

2.23 現在だけではなく将来の利益を作る
もう一つビル維持・経営とビル資産維持・経営の違いは、 ビル維持・経営が現在の収益の最大化を目出すのに対して、ビル資産の維持・経営は、「将来の利益を作る」事です。

ビルは先行投資です。ビルを建てるのも、その後の使用経営の利益を得るための先行投資です。ビルの経年劣化部分のリニューアル工事等を行うのも、その後の使用経営の利益を得るための先行投資です。

だから将来の安定利益が続くように考えて、ビルの経年劣化部分のリニューアル工事等を決めたり、賃貸効果目的工事等を判断します。

2.24 PMからPM+AMへ
ビルを適切に管理・修繕する。収益ビルであれば、更にリーシングを成功させて満室にする。そして収益の最大化を目指す。従来の日本のビル維持、ビル経営の考え方ですが、これは、管理(PM:プロパティマネジメント)の考え方です。

これに対してビル資産を守るのは、資産経営(AM:アセットマネジメント)の考え方です。アセットマネジメントは、「物」のビルという「アセット」だけではなく、「数字」であるBSの資産という「アセット」を維持する事を考えます。会計的には、資本的支出(CAPEX)を使います。これについては、後でもう少しご説明します。

これが、「2.21 ビル資産維持は利益維持」でいう、ビル資産維持・ビル資産経営なのです。

2.3 修繕とは違うビル資産維持工事取り組みの考え方

日本の中小ビル所有者が、ヨーロッパのように現在のビルを100年以上でも200年以上でも安定した維持経営の利益を得るためには、方法論の前にまず、今までとは違う3つの価値観を理解する必要があります。その第2が、「ビル資産維持工事の取り組みは、修繕とは考え方が違う」事です。
2.31 修繕工事とは違うビル資産維持工事
いわゆる修繕工事と、ビル資産維持の工事とは違います。

例えば排水管で漏水事故があれば、直ぐに修繕工事をします。これは修繕です。エレベータ部品が壊れても、部品交換の修繕工事をします。 一方でそうしたトラブルが増えると、排水管リニューアル、エレベータ・リニューアルをして問題を根本解決します。こうした修繕工事が必要になる問題を根本解決するビルの経年劣化部分のリニューアル等工事が、ビル資産維持の工事です。また今までなかったけれど、途中で必要になった建物設備機能を追加するのも、ビル資産維持の工事です。

2.32 工事の取り組み方が違う
いわゆる修繕工事と、ビル資産維持の工事とは、工事の判断と取り組み方が違います。

修繕工事は、即対応します。漏水があれば放置できません。修繕工事は、経験ある専門工事業者であれば、深く選びません。知り合いであったり、相見積もりで安いという理由で選びます。

一方で、ビル資産維持の工事、例えば漏水が頻発する排水管をリニューアルするかどうかは、簡単には決められません。古いビルにお金をかけても仕方がないと考えていては、工事をやりません。やるけれど、もう少し先延ばしにしようと考える場合もあります。決めるのはビル資産所有者です。他にも、そこそも今修繕をお願いしている業者でよいのか、どの程度工事をするか、ついでに何か修繕をするか、検討する事が色々あります。
2.33 会計の扱いも違う
いわゆる修繕工事と、ビル資産維持の工事とは、会計上の扱いも違います。

修繕はPLの費用です。つまり問題を解決して収益最大化を目指す管理の管轄です。従来は修繕の考え方だけだったから、古いビルは収入が減って費用が増加するから難しい、となります。 けれどもビル資産維持に必要な工事投資は、資本的支出です。ビルの寿命を延ばし、ビルの将来を作る工事だからです。BSに入り、減価償却されます。ビル資産維持では、適時適当な予算でこの資本的支出工事を行う事で、ベストなPLの利益を維持するのです。

2.4 工事は工事業者任せから、ビル資産所有者も決める事を決めるへ

日本の中小ビル所有者が、ヨーロッパのように現在のビルを100年以上でも200年以上でも安定した維持経営の利益を得るためには、方法論の前にまず、今までとは違う3つの価値観を理解する必要があります。その第3が、「工事取り組み」の姿勢です。
2.41 資産と利益を守るのはビル資産所有者
ビル資産維持の工事は、ビル資産所有者が判断する事が沢山あります。例えば排水管といった該当建物設備のリニューアル工事等を、どう成功させるかを考えるのは専門業者の仕事ですが、そうして資産と利益を守るのは、ビル資産所有者の仕事です。それも現在の資産と利益を守るだけではなく、将来の資産と利益を守る事を考えます。ビル資産維持の工事とは、将来のビルの利益を作りビル資産を維持するために行うものだからです。
2.42 工事業者は現在の問題解決を、ビル資産所有者は将来の安定利益を考える
もちろん、ビル資産所有者が、工事業者に工事の中身を指示する事はできません。見積書を読む事もできません。けれど、工事業者が考える事とビル資産所有者が考える事は、次の通りに違います。

2.43 ビル資産維持の工事取り組みはチームワーク
とはいえ、経験がないビル資産所有者が考えるべき事を考えるにも、しばしば管理者や専門工事業者の助言が必要です。専門工事業者の助言を得る事で、ビル資産所有者も考えるべき事を専門工事業者が納得できるように考える事ができるようになります。また、ビル資産所有者が考えるべき事を考えて、それを相談の際に伝えると、専門工事業者も、ビル資産所有者の方針に合わせた提案ができるようになります。そしてビル資産所有者と工事業者で協力し合って一緒に工事案をブラシュアップができます。

ビル資産維持の工事取り組みは、チームワークで取り組みます。これも「お任せ」でも構わない単なる修繕工事との違いです。

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Ⅲ 日本の中小ビル資産100年超利益時代へ:実践取り組み

日本の中小ビル資産所有者、経営者も、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国の中小ビル資産所有者・経営者達が実践している、分散修繕と安定ビル資産経営を取り入れる事で、安定利益を守りながら、現在ビル資産を100年超維持経営続けられます。そのための注意点を確かめておきましょう。

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3.1 日本の中小ビル資産100年超利益維持の取り組み

現在ビル資産を100年超維持経営続ける取り組みの要点を、改めて確かめます。
3.11 築30年を過ぎたら分散修繕と安定ビル資産経営
例え現在はビル維持も問題ない。賃貸も満室で苦労しないという場合でも、所有ビルが築30年を過ぎたら、分散修繕、安定ビル資産経営を考えておくべきです。

それだけで無駄な工事費用支出を減らせるのです。特に私達日本人は、古いビルの維持経営について、誰も知りません。ビルはいずれ老朽化建替えという価値観に浸かってきた先輩や管理会社や不動産社の助言が、適切とは限らないのです。
3.12 実際の問題対応はビル資産の3面性ビル資産経営の4面性の全てを見る
実際の管理、建物設備等工事、賃貸、税対策、所有問題、相続等・・ビル資産のあらゆる問題の対応では、
ビル資産の3面性
ビル資産経営の4面性
を理解して、全方面でリスクを高めないように、問題に対応します。各面分野で専門家/専門業者が違いますか、時には複数面の問題解決を組み合わせる必要があることもあります。

ビル資産の3面性/ビル資産経営の4面性のうち、権利・契約は、重要ですが、扱いが違います。分散修繕及び安定ビル試案経営は、ビル資産所有者/経営者として考えるべき残りの面を同時に検討するための、方法です。
3.13 最初は計画が必須
低予算低リスクの分散修繕にしろ、更に安定した賃貸経営を実現する安定ビル資産経営にしろ、最初の取り組みでは、計画が必須です。

例えば自ビルの適正分散修繕予算水準を見つける。自ビルの将来像を描く。自ビルの適切な予算水準を決める。自ビルの適正な工事水準を見つける・・・そして将来もリスクを高めないように何の工事をするか、どの程度の予算を見込むか・・・最初は自ビルのベストを試行錯誤して見つけなければいけません。

自ビルの在り方がわかり、慣れてくると自然に計画無しで、分散修繕や安定ビル試案経営の判断ができるようになります。

3.2 低予算低リスクの分散修繕取り組み

築古ビルの維持に欠かせない、経年劣化した建物設備のリニューアル等工事を低予算低リスクで取り組む方法が、分散修繕です。ここでは簡単に概要をご紹介します。詳しくは、低予算低リスクの分散修繕でご紹介しています。
3.21 何の工事をするか、どう工事予算を削減するかは、ビル資産所有者が決める
分散修繕は、自ビル資産の使用経営維持に必要な、経年劣化した建物設備のリニューアル等工事について、
  • 何工事をするか、
  • どう工事予算を削減するか、
ビル資産所有者が決めます。もちろん好き勝手に決めるのではなく、今後もビルの使用経営を続けて安定利益を得る事が、ゴールです。そのために、
  • 必用な工事は行う
  • 過剰や優先度が低い工事は削減する
というメリハリを、自分で考えるのです。
3.22 元のビルに戻すのではなく将来のビル使用者がしようするビルへ向かう
  • 何工事をするか、
  • どう工事予算を削減するか、
について、工事業者が作成する長期修繕計画ではなく、分散修繕でビル資産所有者が考える理由は、ビル資産維持工事の目指す先が、元のビルに戻すのではなく、将来のビル使用者が使用するビルを作る事だからです。 将来のビル使用者にとって重要ではない設備機能やグレードの削減を判断できるのは、ビル資産所有者だけです。それが分散修繕が低予算でビル資産を維持できる理由です。
3.23 低予算低リスクとは
もう一つの分散修繕の特徴が、「低リスク」です。「物のリスク」と「数字のリスク」、トータルで「負のサイクルに陥るリスク」を全て高めません。

といっても、各リスクを高めないように分散修繕を考えるのは、ビル資産所有者の仕事です。といってもそう難しくはありません。

分散修繕の基本取り組みパターンは、簡単です。予算を準備して工事を行う。を繰り返せばよいのです。これで「数字のリスク」が軽減できます。ただ数字を優先をして必要な工事が必要なタイミングで出来ずに、重大トラブルが続発したり事故が起こっては元も子もありません。だから「物」の状態もよく考えて、分散のパターンを決めます。

これを確かめるために最初は30年分散修繕計画の作成をお勧めします。慣れると、自然に調整が出来るようになります。

より詳しくは、低予算低リスクの分散修繕にご紹介しています。

3.3 地域賃貸マーケティングに基づく安定ビル資産経営の取り組み

収益ビルは、分散修繕に加えて、賃貸を維持するための考え方と合わせて、安定ビル資産経営が必要です。こちらもここでは簡単に概要をご紹介します。詳しくは、安定ビル資産経営でご紹介しています。
3.31 賃貸経営は地域賃貸マーケティングありき
古いからといって、テナントに選ばれない訳ではありません。古くても手入れが良く賃料が割安であれば、逆に好んで選ばれます。ただ問題は
  • どのように低予算高効果で「手入れ」をするか、
  • どのように自ビルの適正募集賃料を見つけられるか、
です。 そこで地域賃貸マーケティングが必要になります。出来ている人は自然に出来ていますが、 賃貸は、地域賃貸マーケットで物件を探しているテナントに選ばれてナンボです。自ビルの成約賃料も、地域の賃料相場で決まります。だから、自ビルを取り巻く地域賃貸マーケットの様子を知る事で、先の2つの問題の答えを見つける事ができるという訳です。
3.32 分散修繕で、求める賃料ポジションでテナントに選ばれるビルを作る
収益ビルは、ビルの使用に必要な基本建物設備の経年劣化部分のリニューアル工事以外に、賃貸で選ばれるための賃貸効果目的工事が必要です。

賃貸効果目的工事は、一般にリフォーム工事やリノベーション工事、付加価値工事がありますが、ここで過剰投資をしては、利益が無くなります。資産維持が難しくなります。ここで、自ビルを選ぶ可能性が高いターゲットテナントが、求める賃料ポジションで自ビルを選ぶために、必要な工事だけを行い(貢献度が低い工事は削減する)、分散修繕を通して、自ビルを求める賃料ポジションでテナントに選ばれるビルへと、維持します。
3.33 賃貸効果目的工事は、低費用高賃料効果を追求する
当然ですが、ビル資産経営として、この賃貸効果目的工事が目指すのは、低予算で行い高賃料効果です。単にテナントが入れば良い、ではありません。賃貸効果目的工事を低予算高賃料効果で行うほど、より大きな利益が残ります。

この「賃料効果」は、「数字」だけを見ても「物」だけを見ても、わかりません。テナントが選ぶ事だからです。しばしば、内装の色やテイストと言ったお金とは関係のないところで決まります。

この追求は、ビル資産経営者の仕事です。地域賃貸マーケットでの自ビルの強み、自ビルを選ぶターゲットテナント、今後の地域賃貸マーケットで見込める賃料水準の分析は、工事業者にはわかりません。ビル資産所有者が行い、決める事です。

低予算低リスクの分散修繕でビルを維持し、低費用高効果の賃貸効果目的工事で一定賃料水準を守りながら賃貸ができるようになると、安定ビル資産経営は、永続さえできます。

より詳しくは、安定ビル資産経営でご紹介しています。

3.4 縮小時代の中小ビル100年時代のビル資産所有と相続

ところで、従来ビル維持経営の考え方から、ビル資産価値を100年超維持するビル資産維持経営の考え方に変わると、所有や相続の考え方も変わります。
3.41 所有は完全所有権が基本
ビル所有の基本は、土地と建物の完全所有権です。一番面倒がありません。 例えば英国は、原則長子が資産を全相続します。(だからハリー王子は、自分はspareだという本を書きました。)もちろん不公平がないように、金銭や多少の相続はありますが、主要資産は一子相続です。だから世代を重ねても、英国王室はあれだけ金持ちなのです。 土地が借地の場合には、ビルが滅失すれば土地の借地権も失います。だから借地の場合は、ビルの維持がより重要になります。
3.42 共有の場合は、ビル資産維持工事判断の取り決め
日本では、共有形態のビルが少なくありません。相続で兄弟間で共有をしたり、最初から隣人と共有ビルを建てる場合もあります。

残念ながら共有はトラブルの元です。ビルが古くなり、ビル維持に必要な工事を行う、建替るなら建替る、といった場面で共有者間の意見が合わなくなると、問題がスタックするからです。共有者と連絡が取れなくなり、同意が得られなくなるケースもあります。

最初は共有者間で上手くいっていても、世代交代があったり、共有者が共有権を売却してしまったりして、人間関係も変わります。ビルを数百年維持する事を考えると、各共有者が相続で更に共有持ち分を共有にしては、きりがありません。

共有の場合は、なるべく共有解消を目指すべきです。
利益を共有するなら、「不動産信託」「資産所有会社」「財団」等方法もあります。資産規模が大きければ海外SPCも手でしょう。 共有解消が難しい場合には、問題が起こる前に、共有者間で、ビル資産維持工事をどう行うかの取り決めや、お互い共有持ち分を売却するときには、事前に相談するといった取り決めを決め、取り決めの書面を交わしておく事をお勧めします。
3.43 相続対策に、ビル資産維持工事の予算も考慮する
相続対策の考え方も違ってきます。

例えば一人に古く手入れが悪いビルを相続させ、もう一人に現金を全て相続させると、古く手入れが悪いビルを相続した側は、高額な相続税も支払い、ビル資産維持に必要な工事予算の準備がなく、困る事になります。

ビル資産を相続させる場合には、相続前から分散修繕で維持に必要な工事を行い、ビルを悪い状態にしない事と同時に、当面の分散修繕の予算確保についても、相続対策の中で考えなければいけません。

これからの時代の、建替えは考えずに現在ビル資産を安定利益を産み続けるビル資産として相続させる時代の、相続対策です。


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