要点
・日本の人口は60年後には半減し、不動産需要は増えないどころか減る一方
・昭和のビルが古くなればより大きなビルに建替えモデルは通用しない
・ビルは50年で老朽化寿命ではない。日本の中小ビルは経済的寿命
・ビルの本場ヨーロッパや世界では、中小ビルは100年200年それ以上使用するのが当たり前
・長持ちの理由は、ビル維持・ビル経営ではなく、ビル資産維持・ビル資産経営として利益を守るから
・日本の中小ビルも低予算低リスクの分散修繕で使用利益を守れる
・地域賃貸マーケティングに基づく安定ビル試案経営で安定経営を継続できる
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コンテンツ
Ⅰ 建替え困難な時代の中小ビルはどうすべきか
日本は既に人口激増時代から人口激減時代に反転しています。つまり今までの「ビルが古くなればいずれ建替え」が通用しない時代です。この厳しい時代に築年数を重ねる中小ビルを、所有者はどうすればよいのか?ここで目を世界に広げると、「ビル資産維持」という実は普遍的な解決が見えてきます。
築30年以上中小ビル分散修繕・安定ビル資産経営についてのご質問、ご相談、サービスのお問合せはお気軽にどうぞ。初回オンライン30分は無料です。一棟から十数棟ポートフォリオまで、幅広くご対応しています。
Ⅱ 30年分散修繕計画の作成は、まず考える
ここから、日本の中小ビル資産所有者が、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国同様に、現在ビルを安定利益を産む資産として100年以上維持するために必要な考え方を、ご紹介します。「ビルをいずれ寿命建替え・・」と考えたいた時代と同じには、いきません。
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Ⅲ 日本の中小ビル資産100年超利益時代へ:実践取り組み
日本の中小ビル資産所有者、経営者も、ビルの本場ヨーロッパや世界の他国の中小ビル資産所有者・経営者達が実践している、分散修繕と安定ビル資産経営を取り入れる事で、安定利益を守りながら、現在ビル資産を100年超維持経営続けられます。そのための注意点を確かめておきましょう。
3.1 日本の中小ビル資産100年超利益維持の取り組み
現在ビル資産を100年超維持経営続ける取り組みの要点を、改めて確かめます。
3.11 築30年を過ぎたら分散修繕と安定ビル資産経営
例え現在はビル維持も問題ない。賃貸も満室で苦労しないという場合でも、所有ビルが築30年を過ぎたら、分散修繕、安定ビル資産経営を考えておくべきです。
それだけで無駄な工事費用支出を減らせるのです。特に私達日本人は、古いビルの維持経営について、誰も知りません。ビルはいずれ老朽化建替えという価値観に浸かってきた先輩や管理会社や不動産社の助言が、適切とは限らないのです。
3.12 実際の問題対応はビル資産の3面性ビル資産経営の4面性の全てを見る
実際の管理、建物設備等工事、賃貸、税対策、所有問題、相続等・・ビル資産のあらゆる問題の対応では、
ビル資産の3面性
ビル資産経営の4面性
を理解して、全方面でリスクを高めないように、問題に対応します。各面分野で専門家/専門業者が違いますか、時には複数面の問題解決を組み合わせる必要があることもあります。
ビル資産の3面性/ビル資産経営の4面性のうち、権利・契約は、重要ですが、扱いが違います。分散修繕及び安定ビル試案経営は、ビル資産所有者/経営者として考えるべき残りの面を同時に検討するための、方法です。
3.13 最初は計画が必須
低予算低リスクの分散修繕にしろ、更に安定した賃貸経営を実現する安定ビル資産経営にしろ、最初の取り組みでは、計画が必須です。
例えば自ビルの適正分散修繕予算水準を見つける。自ビルの将来像を描く。自ビルの適切な予算水準を決める。自ビルの適正な工事水準を見つける・・・そして将来もリスクを高めないように何の工事をするか、どの程度の予算を見込むか・・・最初は自ビルのベストを試行錯誤して見つけなければいけません。
自ビルの在り方がわかり、慣れてくると自然に計画無しで、分散修繕や安定ビル試案経営の判断ができるようになります。
3.2 低予算低リスクの分散修繕取り組み
築古ビルの維持に欠かせない、経年劣化した建物設備のリニューアル等工事を低予算低リスクで取り組む方法が、分散修繕です。ここでは簡単に概要をご紹介します。詳しくは、低予算低リスクの分散修繕でご紹介しています。
3.21 何の工事をするか、どう工事予算を削減するかは、ビル資産所有者が決める
分散修繕は、自ビル資産の使用経営維持に必要な、経年劣化した建物設備のリニューアル等工事について、
ビル資産所有者が決めます。もちろん好き勝手に決めるのではなく、今後もビルの使用経営を続けて安定利益を得る事が、ゴールです。そのために、
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必用な工事は行う
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過剰や優先度が低い工事は削減する
というメリハリを、自分で考えるのです。
3.22 元のビルに戻すのではなく将来のビル使用者がしようするビルへ向かう
について、工事業者が作成する長期修繕計画ではなく、分散修繕でビル資産所有者が考える理由は、ビル資産維持工事の目指す先が、元のビルに戻すのではなく、将来のビル使用者が使用するビルを作る事だからです。
将来のビル使用者にとって重要ではない設備機能やグレードの削減を判断できるのは、ビル資産所有者だけです。それが分散修繕が低予算でビル資産を維持できる理由です。
3.23 低予算低リスクとは
もう一つの分散修繕の特徴が、「低リスク」です。「物のリスク」と「数字のリスク」、トータルで「負のサイクルに陥るリスク」を全て高めません。
といっても、各リスクを高めないように分散修繕を考えるのは、ビル資産所有者の仕事です。といってもそう難しくはありません。
分散修繕の基本取り組みパターンは、簡単です。予算を準備して工事を行う。を繰り返せばよいのです。これで「数字のリスク」が軽減できます。ただ数字を優先をして必要な工事が必要なタイミングで出来ずに、重大トラブルが続発したり事故が起こっては元も子もありません。だから「物」の状態もよく考えて、分散のパターンを決めます。
これを確かめるために最初は30年分散修繕計画の作成をお勧めします。慣れると、自然に調整が出来るようになります。
より詳しくは、低予算低リスクの分散修繕にご紹介しています。
3.3 地域賃貸マーケティングに基づく安定ビル資産経営の取り組み
収益ビルは、分散修繕に加えて、賃貸を維持するための考え方と合わせて、安定ビル資産経営が必要です。こちらもここでは簡単に概要をご紹介します。詳しくは、安定ビル資産経営でご紹介しています。
3.31 賃貸経営は地域賃貸マーケティングありき
古いからといって、テナントに選ばれない訳ではありません。古くても手入れが良く賃料が割安であれば、逆に好んで選ばれます。ただ問題は
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どのように低予算高効果で「手入れ」をするか、
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どのように自ビルの適正募集賃料を見つけられるか、
です。
そこで地域賃貸マーケティングが必要になります。出来ている人は自然に出来ていますが、
賃貸は、地域賃貸マーケットで物件を探しているテナントに選ばれてナンボです。自ビルの成約賃料も、地域の賃料相場で決まります。だから、自ビルを取り巻く地域賃貸マーケットの様子を知る事で、先の2つの問題の答えを見つける事ができるという訳です。
3.32 分散修繕で、求める賃料ポジションでテナントに選ばれるビルを作る
収益ビルは、ビルの使用に必要な基本建物設備の経年劣化部分のリニューアル工事以外に、賃貸で選ばれるための賃貸効果目的工事が必要です。
賃貸効果目的工事は、一般にリフォーム工事やリノベーション工事、付加価値工事がありますが、ここで過剰投資をしては、利益が無くなります。資産維持が難しくなります。ここで、自ビルを選ぶ可能性が高いターゲットテナントが、求める賃料ポジションで自ビルを選ぶために、必要な工事だけを行い(貢献度が低い工事は削減する)、分散修繕を通して、自ビルを求める賃料ポジションでテナントに選ばれるビルへと、維持します。
3.33 賃貸効果目的工事は、低費用高賃料効果を追求する
当然ですが、ビル資産経営として、この賃貸効果目的工事が目指すのは、低予算で行い高賃料効果です。単にテナントが入れば良い、ではありません。賃貸効果目的工事を低予算高賃料効果で行うほど、より大きな利益が残ります。
この「賃料効果」は、「数字」だけを見ても「物」だけを見ても、わかりません。テナントが選ぶ事だからです。しばしば、内装の色やテイストと言ったお金とは関係のないところで決まります。
この追求は、ビル資産経営者の仕事です。地域賃貸マーケットでの自ビルの強み、自ビルを選ぶターゲットテナント、今後の地域賃貸マーケットで見込める賃料水準の分析は、工事業者にはわかりません。ビル資産所有者が行い、決める事です。
低予算低リスクの分散修繕でビルを維持し、低費用高効果の賃貸効果目的工事で一定賃料水準を守りながら賃貸ができるようになると、安定ビル資産経営は、永続さえできます。
より詳しくは、安定ビル資産経営でご紹介しています。
3.4 縮小時代の中小ビル100年時代のビル資産所有と相続
ところで、従来ビル維持経営の考え方から、ビル資産価値を100年超維持するビル資産維持経営の考え方に変わると、所有や相続の考え方も変わります。
3.41 所有は完全所有権が基本
ビル所有の基本は、土地と建物の完全所有権です。一番面倒がありません。
例えば英国は、原則長子が資産を全相続します。(だからハリー王子は、自分はspareだという本を書きました。)もちろん不公平がないように、金銭や多少の相続はありますが、主要資産は一子相続です。だから世代を重ねても、英国王室はあれだけ金持ちなのです。
土地が借地の場合には、ビルが滅失すれば土地の借地権も失います。だから借地の場合は、ビルの維持がより重要になります。
3.42 共有の場合は、ビル資産維持工事判断の取り決め
日本では、共有形態のビルが少なくありません。相続で兄弟間で共有をしたり、最初から隣人と共有ビルを建てる場合もあります。
残念ながら共有はトラブルの元です。ビルが古くなり、ビル維持に必要な工事を行う、建替るなら建替る、といった場面で共有者間の意見が合わなくなると、問題がスタックするからです。共有者と連絡が取れなくなり、同意が得られなくなるケースもあります。
最初は共有者間で上手くいっていても、世代交代があったり、共有者が共有権を売却してしまったりして、人間関係も変わります。ビルを数百年維持する事を考えると、各共有者が相続で更に共有持ち分を共有にしては、きりがありません。
共有の場合は、なるべく共有解消を目指すべきです。
利益を共有するなら、「不動産信託」「資産所有会社」「財団」等方法もあります。資産規模が大きければ海外SPCも手でしょう。
共有解消が難しい場合には、問題が起こる前に、共有者間で、ビル資産維持工事をどう行うかの取り決めや、お互い共有持ち分を売却するときには、事前に相談するといった取り決めを決め、取り決めの書面を交わしておく事をお勧めします。
3.43 相続対策に、ビル資産維持工事の予算も考慮する
相続対策の考え方も違ってきます。
例えば一人に古く手入れが悪いビルを相続させ、もう一人に現金を全て相続させると、古く手入れが悪いビルを相続した側は、高額な相続税も支払い、ビル資産維持に必要な工事予算の準備がなく、困る事になります。
ビル資産を相続させる場合には、相続前から分散修繕で維持に必要な工事を行い、ビルを悪い状態にしない事と同時に、当面の分散修繕の予算確保についても、相続対策の中で考えなければいけません。
これからの時代の、建替えは考えずに現在ビル資産を安定利益を産み続けるビル資産として相続させる時代の、相続対策です。
築30年以上中小ビル分散修繕・安定ビル資産経営についてのご質問、ご相談、サービスのお問合せはお気軽にどうぞ。初回オンライン30分は無料です。一棟から十数棟ポートフォリオまで、幅広くご対応しています。
計画作成・助言・コンサルティング
100年時代ビル資産維持経営の考え方