ld"> 安定ビル資産経営|100年超中小ビル資産維持経営のビルオ

築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け

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永続的に安定利益を作る中小ビルの安定ビル資産経営

自ビルの賃料収入から得られる利益の一部で、経済的、かつテナントに選ばれるように必要な工事を行い、賃貸を継続して利益を作り続けるエコシステムを作る方法

中小ビル経営にも未来を

古いビルはテナントが入らないから、維持しても無駄だとお考えですか?


古いビルの賃貸が難しくなる理由は、古いからではなく、経年と共に地域の需要や求められる条件が変わる事に、適切に応えられなくなるからです。必要なのはリフォームやリノベーション投資ではありません。地域賃貸マーケットで、そうした変化を理解する事です。

安定ビル資産経営を学ぶと、追加投資無しに、自ビルの賃料収入から得られる利益の一部で、テナントに選ばれるようにビル資産の維持や賃貸効果目的の工事を行い、賃貸を継続して利益を作り続けるエコシステムが出来ます。こんな楽で美味しい資産が、他にあるでしょうか?安定ビル資産経営を学んで、この価値を無駄にしないでください。


コンテンツ

Ⅰ 安定ビル資産経営とは
Ⅱ 地域賃貸マーケティング
Ⅲ 築古賃貸経営
Ⅳ 分散修繕
Ⅴ 30年安定ビル経営計画の作成

Ⅰ 安定ビル資産経営とは

賃料収入の一部でケチにビル資産の維持と賃貸維持に必要な工事を行い、賃貸も成功させて安定利益も維持続ける。

夢でもなんでもありません。これがビルの本場欧州や世界の中小ビル資産経営者の常識です。

これを実現するのが、安定ビル資産経営です。ビル資産を維持する分散修繕では、ビルの「物」と「数字」を考えましたが、収益ビルの賃貸経営を維持には、「営業」の思考面が加わります。営業の思考とは、宅地建物取引業主任者の仲介営業ではなく、自ビルが売れる(テナントに選ばれる)ビルであるために、どう商品(自物件)を準備し、どう値付け(募集賃料)を決めるかを考える事、です。

そこでまずここでは、中小ビル資産の安定ビル資産経営の全体を理解します。


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1.1 中小ビル資産の安定ビル資産経営とは

中小ビルの安定ビル資産経営は、賃料収入から管理費や公租公課等を支払い最後に残る利益の一部を、分散修繕工事予算として留保して、ビルの使用維持に必要な工事や賃貸効果目的工事を行い、その結果現在テナントが退去をしても次のテナントリーシングをベスト賃料で成功させ、維持できる賃料収入から得られる利益の一部をまた、工事予算として留保して次の必要な工事を行う。このサイクルを延々に繰り返すビル資産経営です。このサイクルが繰り返される間は、永久でもビル経営が維持できます。

分散修繕が、分散修繕サイクルでビルを寿命にさせないように、安定ビル資産経営も、安定ビル資産経営のサイクルで、安定利益を永続させます。

1.2 従来ビル経営の問題は変化への対応を知らなかっただけ

従来ビル経営では、ビルが古くなると経営が出来なくなると信じられてきました。

なぜ、ビルが古くなると経営が出来なくなると信じるのか、理由は分散修繕でも説明した通り、PL(損益計算書)いか見ないからですが、その根底には、「変化への対応を知らない」という原因があります。

1.21 従来ビル経営が難しかった理由は会計でも説明できる

分散修繕でも説明をしましたが、従来のビル経営が難しかった理由はPL(損益計算書)でしか考えないからです。

昭和平成のビル経営は、収益の最大化を目指します。PL(貸借対象表)の経営です。「賃料収入から管理費と公租公課等を支払い、残りの利益を最大に利益」で終わりです。一方で資産の部にあるビル資産は、経年とともに減価償却されて、減っていきます。同時に賃料も下がりPLで残る利益も減ります。そこでダメだ、となる訳です。

1.22 会計的に、分散修繕に+何が必要かが説明できる

一方、分散修繕は、PLで終わりません。その先にBSに加わる分散修繕の資本的支出(CAPEX)が加わります。つまりBSの資産価値を維持できるのです。

安定ビル資産経営では、この分散修繕の資本的支出(CAPEX)で、賃料収入効果を作りPL(賃借貸借表)の賃料収入を維持して利益も守ります。

1.23 従来ビル経営の問題は変化への対応を知らなかっただけ

1.22は、理論的には簡単ですが、実際に(ペイできる予算の)分散修繕の資本的支出(CAPEX)で、賃料収入効果を作りPL(賃借対象表)の賃料収入効果を作れるかどうかは、また別の問題です。

ここで、資本的支出(CAPEX)が少なすぎても、ビル資産が維持できなくなります。けれども多すぎても(もしくは費用対効果が悪すぎても)、ビル資産経営は維持できなくなります。そして負のサイクルに陥るのです。

今までのビル経営での資本的支出(CAPEX)といえば、まずリフォーム・リノベーション投資ですが、ここでどうやれば、費用対効果のある予算内で賃料収入効果を作る事ができるか、の考え方がわからなかったら、難しいのは当然でした。この問題に応えるのが、安定ビル資産経営です。

1.3 安定ビル資産経営の視点は物と数字と営業

安定ビル資産経営では、分散修繕の「物」と「数字」に加えて、「営業」が加わります。ここでの営業とは、単に不動産屋がリーシングをしてくれるという話ではなく、「「売れる(テナントに選ばれる)ビル」であり続ける事、売れる値段付け(賃料設定)を、賃貸経営計画として、決める事です。

1.31 営業の視点は地域賃貸マーケティング

営業面の視点のコアが、地域賃貸マーケティングです。 地域賃貸マーケティングとは、自ビルの地域賃貸マーケットを俯瞰して、その中での自物件の特徴と自物件の賃料ポジションを、地域賃貸マーケット内のライバル物件との比較で客観的に認識する事です。また将来の動向も読みます。

賃貸の地域賃貸マーケットは、常に変化します。だから地域賃貸マーケットを読まなければ、ビル資産経営は難しくなるのです。

1.32 地域賃貸マーケティングが賃貸経営と分散修繕を繋ぐ

先に説明した通り、安定ビル資産経営では、分散修繕の資本的支出(CAPEX)で、賃料収入効果を作りPL(賃借対象表)の賃料収入効果を作ります。

そのためには、地域賃貸マーケティングで、賃貸マーケットの変化を把握して、どのような賃貸方針で賃料収入を維持できるか、賃貸経営計画を明確にしなければいけません。 そして、分散修繕は、単にビル資産を維持するだけではなく、賃貸経営計画を実現するために行います。何をすれば効果があるのか、どうすれば費用対効果があるのか、その回答は地域賃貸マーケットにあります。他物件と比較してここに募集賃料を払ってよいと判断するのは、地域賃貸マーケットで部屋を探しているテナントだからです。

賃貸経営計画と分散修繕で同じ地域賃貸マーケットを見ていなければ、実現する事ができません。だから、それぞれ独立しているのではなく、1つの地域賃貸マーケティングが、賃貸経営と分散修繕を繋ぐのです。

1.33 物と営業と数字のストーリー

分散修繕では「物」のストーリーと「数字」のストーリーの合致でした。 「営業」が加わる安定ビル資産経営では、「営業」のストーリーが加わります。

それだけではなく、地域賃貸マーケティング)と「物」、「数字」と「営業」(地域賃貸マーケティング)のストーリーと重なって、安定利益を永続する安定ビル資産経営を実現します。

1.4 30年安定ビル資産経営計画を作成して物と数字と営業の視点を手に入れる

安定ビル資産経営には、分散修繕同様、全体を俯瞰する視点が必要です。それも「物」と「数字」の視点に加えて、「営業」が加わります。 この視点を手にいれる方法が、30年安定ビル資産経営計画の作成です。

1.41 安定ビル資産経営判断に必要な視点

つまり、安定利益を維持できる安定ビル資産経営判断ができるためには、ビル資産の「物」面「数字」面「営業」面について、

  1. 賃貸と工事を含めたビル資産経営の全体を把握できる
  2. 費用対効果がある予算で将来もどうテナントに選ばれ続けるか、見つけられる
  3. 賃貸を考えて分散修繕を判断、分散修繕を考えて賃貸経営を判断できる
視点が必要です。この視点を手に入れる方法が、30年安定ビル資産経営計画の作成です。

1.42 安定こそが利益永続の鍵

ところで30年安定ビル資産経営計画には、ストーリーが沢山あるから大変そうに見えますが、実際には「安定」していれば、自然に維持できます。「安定」こそが、ビル資産経営負のスパイラルに陥るリスクを避ける秘訣です。

「安定」の反対は変動です。変動は金融的にボラティリティと言われて警戒されます。例えばビルがぼろくなってから、高額リノベーション投資をして、一時的に賃料収入が上がったけれどまたすぐ下がった。では何かが狂えば即負のサイクルです。

だから30年安定ビル資産経営計画の作成では、常に「安定」を目指す事で、自然にストーリーがつながります。

1.43 30年安定ビル資産経営計画の作成

30年安定ビル資産経営計画の作成は、次の通りです。


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気になりましたら、お気軽にお問合せ下さい。30年安定ビル資産経営計画のサンプルをお送りいたします。また初回オンラインでのお話は無料です。1棟ご所有者から十数棟~資産管理会社経営者まで、欧州中小ビル資産経営者達の例も含めて、HPではご紹介できない事例も多くご紹介できます。高額なコンサルティングをお勧めする事はありません。お気軽にどうぞ。

Ⅱ 地域賃貸マーケティング

安定ビル資産経営に欠かせない、地域賃貸マーケティングは、変化する地域の賃貸マーケットを読む事です。

築古ビルの賃貸が難しくなる理由は、次の3つが変化するからです。

  • 経年と共に要求される建物設備機能が変化する。
  • 経年と共に地域の賃貸ニーズが変化する。
  • 経営の共にビルの賃料ポジションが変化する。

これを賃貸経営の観点から、読み解くのが、地域賃貸マーケティングです。無意識で理解している事も多いですから、さほど難しくありません。


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2.1 地域賃貸マーケットとは

賃貸は、部屋を貸したい貸主と、事業用に部屋を借りたいテナントが出会う事で成立します。その出会いの仲介として、不動産業者/賃貸仲介業者がいますが、決めるのは業者ではありません。テナントです。部屋を探すテナントは、こうした立地、この条件の物件でビジネスをしたいという希望があります。成約賃料は、テナントが、この物件なら条件がが合致するからこの賃料を支払ってよいと思う事で、決まります。

地域で物件を探しているテナントの集合が、地域賃貸マーケットです。地域賃貸マーケットは、物件の用途別に、存在します。同じ地域でも、オフィスを探している人と、住居を探している人は違う訳です。

2.11 地域賃貸マーケットで見るべき事

収益ビルの経営者がこの地域賃貸マーケットから知りたい情報は、

  • 募集賃料に関係する情報
  • 分散修繕の工事(特に賃貸効果目的工事)に必要な情報
です。そこに変化があれば、対応を考えなければいけなくなります。ただそこで見るべき変化には、2つの種類があります。

2.12 トレンドの変化

オフィス賃貸はさほど変化がないように見えますが、現在では和式便所はほとんどなくなり、給湯室も時々で流行りのデザインがあります。一時はOA床が言われましたが、現在はWIFIとインターネット電話のおかげで、中小ビルではさほど重要ではなくなっています。オフィス賃貸のトレンドも微妙に変化しています。

築古ビルの賃料が下落する原因は、単に古臭いからだけではなく、こうしたトレンドに合わなくなってくる事もです。短期流行にいちいち対応する必要はありませんが、費用対効果がある対応のアイデアが隠れています。

2.13 ファンダメンタルな変化

安定ビル資産経営で長く賃貸経営を続けると、もう2つ、賃料収入下落の原因となる変化の要因があります。

1つは、社会経済の波
もう1つは、街の衰退縮小

です。リーマンショック後の賃貸が難しかった時期を覚えている方もいると思いますが、オフィスや店舗賃料の相場は、景気の波の影響で、常に上下しています。困るのが下です。ただ景気の波であれば、いずれ回復が期待できますが、難しいのが、2つ目の街の衰退です。街に人が減って需要もなくなると、回復は期待できません。人口激減時代の日本では、この問題が今後あちこちで重大化していきます。

こうしたファンダメンタルな原因は、対応の考え方が違います。だから切り分けられなければいけません。


2.2 地域賃貸マーケットとは

地域賃貸マーケットから情報を読み取るために、地域賃貸マーケティングでは、まず次の点を把握します。

2.21 地域賃貸マーケットのセグメンティングとは

例えば地域のオフィスの賃貸マーケットでも、実際には多様な切り口があります。それをセグメントと呼びます。

例えば渋谷、新宿、大手町と一言で言っても、新築高層ビルと中小ビルとでは、入居するテナントは全く別です。だからセグメントが違います。また中小ビルでも、繁華性が高い地域の主要通り沿いと、少し駅から離れた裏通りとでは、やはり選ぶテナントが違います。

一棟のビルにとって、知るべきセグメントは、地域賃貸マーケット内で自ビルを選んでくれる可能性があるターゲットテナントが他に物件を探す範囲です。理解が深まるほど、範囲が具体的に狭まります。

ここから先、地域賃貸マーケットと言う場合には、「自ビルの用途で自ビルのセグメント」を意味する事にします。  

2.22 自物件の特徴
 

自物件の特徴とは、賃貸マーケットにおいて自物件が評価される要素です。この自物件の特徴には、固有の特徴(変えられない特徴)と変えられる特徴があります。

特徴は個性です。良い悪いはありません。ファッションと同じく、各テナントは自らの事業に合った物件を選びます。人間と同様、自己理解があると、より高い確立で自ビルに合ったテナントと出会えるようになります。なにより、下手なリフォーム工事で自ビルの特徴を潰すようなこともなくなり、低予算で高い効果を出せるようになります。

2.23 自物件を選ぶターゲットテナント

自物件の特徴を選んでくれるテナントタイプが、自ビルのターゲットテナントです。経営とは顧客の発見と言われる通りです。安定ビル資産経営も、このターゲットテナントを見つけて、理解する事が、賃貸の継続と工事費用削減の「要」です。

地域賃貸マーケットで物件を探すテナントは、事業規模や事業タイプによって、求める物件に特徴があります。例えば

  • 貸室の床面積は、部屋を使用する従業員数や事業規模と関係します。
  • また立地条件やビルグレードも、事業のタイプと関係します。
  • 来客型ビジネスは、駅に近い繁華街や主要通り沿いを好みます。逆に裏通りの静かな環境を好む会社も少なくありません。女性が主の会社に好まれやすいビルと、男性が主の会社に選ばれるビルとは、雰囲気が違います。
といった具合です。

一棟のビルにターゲットテナントは1タイプではなく多数あります。多数見つけている程、その時々でベストを選べて、より安心です。

2.24 自物件のポジショニング

自物件のポジショニングとは、地域賃貸マーケットの中で自物件の適正賃料のポジションです。地域賃貸マーケットの中の賃料ポジションは、次で紹介をするライバル物件との比較での賃料の上下で決まります。

自ビルのポジションは、次の方法で把握ができます。 次で紹介をするライバル物件の最近の募集賃料及び成約賃料を並べて、自ビルがどのビルには勝てて、どのビルには負けて、どのビルとなら同賃料で張り合えそうか、を比較する。

ただ留意点が2つあります。まず1つ目は、「最近」の賃料とでなければ、比較検討ができない事です。なぜならば、賃貸マーケット全体の相場そのものが、上がったり下がったりの波があるからです。次にもう1つは、ライバル物件が、常に合理的に募集賃料を出したり成約賃料が決まっている訳ではない事です。そうした疑いがある異常値は省くか補正しなければいけません。(例えば「前と同じ賃料」で募集しているだけだったり、強気の募集賃料で決まるビルもあれば、早くテナントを決めたいために相場より低い賃料で決めるビルもあります。)

2.25 自物件のライバル物件

自物件のライバル物件とは、自物件の地域賃貸マーケットで、自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントが物件探しの時に他に比較検討をする可能性があるビルの事です。通常は、貸床面積や立地条件をはじめ物件特徴が似通っている物件です。

賃貸は定価がないマーケットです。だから、テナントが「この物件をこの賃料で借りる」と言ってくれれば、決まります。なのですが、テナントも、なるべく安く良い物件を見つけたいと考えていますから、条件のあった物件をいくつか見て比較検討をして決めます。そうして比較検討される物件が、ライバル物件です。

地域賃貸マーケットの中で、比較検討されるライバル物件、つまり自ビルと条件が似たビルは、ある程度決まっています。

ライバル物件が特定できると、地域賃貸マーケットは、もはや「マーケット」という抽象的なものではなく、ライバル物件の集まりです。自物件の適正募集賃料も、ライバル物件との比較で、決められます。賃貸効果目的工事の際も、ライバル物件を研究すると、「この程度で効果がある」がわかるようになります。

2.26 地域賃貸マーケットの動向を読む

ある程度現在の地域賃貸マーケットが理解できてきたら、地域賃貸マーケットの将来の動向を読む訓練も始めます。安定ビル資産経営は、将来の安定ビル資産の利益を作るために、分散修繕で継続的に小さな工事投資を行いますから、将来のアンテナは欠かせません。

賃貸マーケットは、様々な社会経済事情の影響を強く受けます。

  • 地域の今後の人口減少が激しい
  • 近隣で再開発等があり人の流れが変わる
  • 学校や企業等の移転が予測されている
  • ターゲットテナントの事業環境の変化

最初は何もわかりませんが、長く続けると確実に確度が上がります。将来に大きな変化の恐れがあれば、早目に対応を考えられるようになります。


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Ⅲ 築古賃貸経営

さて、では地域賃貸マーケティングを使ってどう30年賃貸経営を考えるのか?

賃貸経営計画は、賃料収入の変化への対応策です。通常は下への変化への対応対策です。

普通借家契約であれ定期借家契約であれ、もしずっと同じ賃料が続く自信があれば、特別考える事もないのですが、現在築40年ビルの30年後は築70年です。普通の中小ビルは、賃料が下がる想定が当然です。

ではその変化にどう対応すべきか?を考えるのが賃貸経営計画です。


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3.1 賃貸方針を見つける

賃貸経営の全体像には賃貸リーシングや賃貸管理が含まれますが、最も重要なのが賃貸方針です。ここが「数字」を作るからです。

3.11 賃貸経営の全体像

収益ビル資産の安定ビル資産経営の賃貸経営の全体像は次の通りでう。

ビルが築浅の間は、リーシングと賃貸管理の実務を抑えれば十分でしたが、ビルが築年数を重ねて、変化が増えてくると、賃貸方針の見直しが重要になります。

3.12 賃貸方針とは

広義の賃貸方針は、次の構成です。通常は用途やマーケットを変える事がないので、ターゲットテナント以下の検討を賃貸方針と呼びます。

3.13 賃貸方針を考えない場合の30年賃貸経営計画

よほど特別な強みが無い限り、普通のビルは経年の共に成約賃料が下がり、賃料収入が下がります。留意すべき特徴は、景気の波にしろ、賃料ポジションの下落にしろ、ゆっくり徐々に進行しますが、実際には、入居テナントが入居を続ける間は、契約賃料が続くので、(減賃増賃交渉はここでは扱わない。)テナント退去で次のリーイングをする時点で、「ガツン」と下がります。つまり、階段状に下がるのです。


1 テナント入居期間=テナントサイクルはビルによって異なります。5年10年といった自ビルの傾向を見つけます。
2 どのくらいガツンと上がるかは、

  • ・地域賃貸マーケットポジションの下落
  • ・地域相場の下落
の2つの要因があります。

3.2 賃料収入を下げないために

賃料収入下落に対して、何が対応できるかは、賃料下落の原因によって違います。原因を特定して原因に合わせた賃貸方針対策が必要なのです。

3.21 賃料が下がる原因

賃貸経営全体で賃料が下がる原因は
・リーシングが上手くできない賃貸管理会社の営業に問題がある
・地域賃貸マーケットポジションが下がる需要に合わなくなった
トレンドに合わない
経年で清潔感や美観に欠ける
・地域賃貸マーケット全体の賃料水準が下がっている景気が悪く地域全体の賃料水準が下がっている
地域が縮小して需要が無くなりつつある(無くなった)

3.22 賃料下落への対応策

リーシングの問題は、リーシング戦略で対応します。こちらでご紹介します。

賃貸方針見直しのメインは、地域賃貸マーケットのポジションが下がった場合です。その場合の対応策は、次の2つです。

  1. ターゲットテナントを見直す
  2. 賃貸効果目的工事を行う
1は必須です。ターゲットテナントを見直すだけで、賃料を守れる場合もあります。それに賃貸効果目的工事の検討には、ターゲットテナントの特定が欠かせません。

地域賃貸マーケット全体の賃料水準が下がっている場合、下手な賃貸効果目的工事に手を出してもお金の無駄になる可能性が高いでしょう。景気の波や需要激減といった社会経済の力に、個人で対抗するのはまず無理です。(アイデアがあれば止めませんが)対応は最終手段です。最後に紹介をします。

3.23 ターゲットテナントを見直す

ターゲットテナントの見直しは、地味に効果がある方法です。

ターゲットテナントが同じでも、年月の経過とともにターゲットテナントの状況や選考ポイントが微妙に変わります。また地域で、部屋探しが活発なテナントも変わります。だから現実の賃貸場面では常にターゲットテナントの見直しが欠かせませんし、30賃貸計画作成でも、現在出来る限り検討して、将来を想定します。

ターゲットテナントについては、ビジネスの性質や規模、顧客タイプ、経営者タイプ、従業員の性別や年齢層はもちろん、何を選考で重視するのか、選好性はどこか、他にどのライバル物件を選ぶのか、研究します。

3.3 賃貸効果目的工事とは

賃貸効果目的工事は、賃料下落対策の定番ですが、費用回収ができず逆に経営を悪化させるリスクが高い先行投資です。だから決めるにあたっては、予算の上限と賃料効果を、十分に検証が必須です。

3.31 賃貸効果目的工事で考える事

賃貸効果目的工事は、お金をかければ比例して賃料が上がるものではありません。「数字」と「物」と「営業」をそれぞれ、しっかりした考えが必要です。 とにかく最初に「数字」で、予算の上限を決めます。確かめるのは、3つの数字です。

3.32 アップサイドの上限

アップサイドの上限とは、地域賃貸マーケット内での、賃料の上限です。上限以上を期待していくら費用をかけても、難しいのです。例えば築古中小ビルがどんなにお金をかけても、Sクラスビルの賃料には叶いません。割安感ある物件を好むターゲットテナントであれば、賃料高めポジションに手を出しません。

3.33 予算の上限

工事予算にも制約があります。賃貸効果目的工事の予算は、30年分散修繕予算の一部です。そこから建物の使用に必要な工事と予算を分け合います。賃貸アップサイドに上限がある通り、財源たる賃料収入には限界があります。だから予算配分にも限度があります。

3.34 費用回収期間の上限

もう一つ、費用回収期間の上限を先に決めておくことも忘れてはいけません。

たとえば5年、10年といった具合です。望ましい費用回収期間は、テナントサイクルと効果期待期間によっても異なります。例えばテナントサイクルが5年で、2回入れ替わり毎に必要な工事に対いて、費用回収期間13年では、ペイができるか怪しく感じるでしょう。

3.35 費用対効果の計算

賃貸目的工事の費用対効果の計算方法は、次の通りです。費用対効果の数字は、単独では意味がないことに注意をしてください。複数案を比較検討する時に、使います。

①費用対効果
費用対効果の計算は、

(月額目標賃料ー月額現在賃料)*12 /賃貸効果目的工事予算 

分母が「月額目標賃料」全額ではない事に留意をしてください。 費用対効果は、1つだけあっても意味がありませんが、比較用に使えます。

ビルとして費用対効果の目安を決めておくと、目安との比較で、選考基準になります。また複数案を比較する場合、やはり比較として使用する事でより費用対効果が高い方を選ぶ事ができます。

②費用回収期間
費用回収期間は、

賃貸効果目的工事予算 /(月額目標賃料ー月額現在賃料)x 12= (年単位) 

実際には、1/費用対効果で計算ができます。例えば5年程度でテナントが入れ替わる部屋に、費用回収期間20年の賃貸効果目的工事は、明らかに費用回収ができないリスクが高いと判断できます。どのくらいの費用回収期間を見込むかは、これもビル資産経営者が決める事です。

3.4 賃貸効果目的工事は費用対効果が命

賃貸効果目的工事では、何をすれば効果があるのか?「これだ」という答えがない永遠の課題です。だから常に多くの可能性を検討して、より費用対効果がありかつ実現性が高い案を選んでいきます。

3.41 賃貸効果目的工事は何が効果があるのか

これが分かったら、誰も苦労しないところですが、地道にターゲットテナントが物件選びで、何をプラスと考え、何をマイナスと考えるか、研究するしかありません。 基本は次の2つです。

  • ・プラスの強みを強化する
  • ・マイナス点を改善する
一般的によくある改善検討箇所の例は次の通りです。

3.42 評価は実現性と費用対効果

答えがない賃貸効果目的工事は、1案で「これだ!」と決まる事はありません。複数案を検討して、良い案を採用します。この複数案の比較検討と採用を繰り返して、だんだん良い賃貸効果目的工事案が出来てきます。

比較検討のポイントは、実現性と費用対効果です。「数字」の費用対効果は分かりやすいですが、「物」と「営業」を考える実現性は、質の良い「想像力」が必要です。これを育てるためには、多少の訓練が必要でしょう。

3.43 より費用対効果が高く実現性がある案を追求する

貸効果目的工事案の追求は、

のエンドレスです。

ライバル物件の研究は、役に立ちます。例えば、ライバル物件より少しだけ良くして選ばれる戦略もあれば、ライバル物件より圧倒的に違うオンリーワンの特徴で選ばれる戦略もあります。

シンプルビル化の追求もお勧めです。いかにお金をかけずに賃料を維持するか、の追求です。

安定ビル資産経営として利益を残すためには、「何をすれば賃料効果があるのか」と同時に「やりすぎない」も重要です。経験が少ないと、つい不安でやりすぎます。次のいずれに入るかを常に意識します。

以前に、繁華街の雑居ビルで、所有者が医療テナントに入居して欲しいと、内装全体を真っ白綺麗にリフォームした、エレベータもバリアフリー対応にしたけれど、テナントが決まらないと嘆いていました。建物を訪れると、入り口で理由が一目判明でした。入り口に大きな段差があって、バリアフリーではないのです。テナント目線が足りていませんでした。

また中小オフィスビルで、トイレを高級ホテル並み高級内装にリニューアルするビルがあります。だからといって特別賃料は上がりません。確かにプラスαの選考要因になりますが、トイレが高級ホテル並みだから、高い賃料を支払ってよいと考えるテナントはいません。

3.5 地域賃貸マーケットが難しい場合

ここでは、通常のリフォーム等賃貸効果目的工事では対応ができない、ファンダメンタルな賃料下落想定への対応を、概要だけ確かめます。実際には個別事情を加味した方針を、個別に検討します。

3.51 用途の変更は最終手段

さて、ここからは話が変わりまして、3.3 ターゲットテナントを決めるで、指摘をした、用途や地域賃貸マーケットの変更を検討する場合について、軽く触れておきます。

例えば同じ立地のビルでも、居住用マンションとして貸すか、単身者向けか家族向けか、事務所ビルとして貸すか、ホテルなどにするか、で収益が違ってくるわけです。現在の用途で先行きが難しい場合、用途の変更やオペレーションの導入を検討します。

こうした検討では、費用対効果の比較は、まず現行用途と変更後とで費用対効果を比較します。けれど変更後のマーケットは知らないため、隠れているリスクを見落としがちで、現実的な想定が難しいからです。

だからあちらの方が多あ収入増えそうかな、程度ではお勧めしません。変更する必要があるのは、学校や企業等が移転したり、近隣で大型店舗が出来た/閉店したため人、人の流れが激減した、ターゲットテナント産業が衰退している等、単なる景気の波ではなく、地域賃貸マーケットやターゲットテナントが消滅した場合です。その場合、次の通りに検討をします。

3.52 オペレーション導入と用途変更の考え方

① オペレーションの導入を検討する
例えば貸会議室をオペレーターとする、シェアオフィスやコワーキングスペース・シェアハウスを自ら運営する、オペレーションの導入は、空室対策の切り札として一時期もてはやされ、営業も盛んです。ただ長く続けられるビルは、わずかです。オペレーション系は、地域で一番「集客を続ける商才がある」ところだけが生き残ります。つまり自分に、広告宣伝集客力と運営力があるか、さもなければ能力が高いオペレーターと組む事ができる場合だけ、手を出す事ができます。

② 用途変更を検討する
用途変更は最終手段です。人口激減の時代、こちらの賃貸マーケットがダメならあちらの新天地、はありません。それでも需要の可能性を求めるには、変更先の地域賃貸マーケットの規模と動向分析の徹底が必須です。

また例えばオフィスから住居、ホテルへといった場合、マーケットが変わるだけではなく、建物にかかる建築基準法の適用も変わります。住居やホテルはオフィスとは比べ物にならない程水使用量が増え、給排水管の問題も増加します。そうした新天地の特徴も事前に洗い出しが必要です。

そうした新しい賃貸マーケットを理解した上で、両方の30年安定ビル経営計画を作成して、実現性を検証した上で、決定します。

3.53 案が何もない場合

人口縮小時代には、色々検討をしてもどれも思わしくない、という場合が少なくないでしょう。どうすれば良いのか?

安易にダメだと結論して思考停止しない事です。想定したより状況が悪くない場合もあるし、想定していなかった新規流入がある場合もあります。地域賃貸マーケットが消滅するような事態では、地域全体で街おこし/街の再生を話し合うべきです。(ただし需要が激減する時代に大型再開発ありきはもはや無理です。)

3.6 30年賃貸経営計画作成の留意点

賃貸方針を検証する場合の30年賃貸経営計画作成の主要な留意点は次の通りです。


3.61 30年賃貸経営計画作成の留意点

30年安定ビル資産経営計画の中で、30年賃貸経営計画を作成する時には、各部屋テナントサイクルでテナント退去と入れ替わりを想定します。これを重ねます。留意点は、

・1年以上空室が続く可能性がある場合は、年間賃料収入0もあり得る

あまり細かく考えると大変なので、テナント入れ替わり時の空室期間は1年単位でざっくり考えれば十分です。細かく拘りすぎると後で修正が大変になります。

3.62 賃貸目的工事は分散修繕の計画に入る

もう一つ重要なのが、テナント入れ替わりで、賃貸効果目的工事を行う場合、その工事費用は分散修繕計画に入ります。そして分散修繕計画としての、予算とリスクの配分コントロールを受けます。だから分散修繕計画の予算配分の観点で、賃貸効果目的工事の時期をずららなければいけない場合は当然にあります。現実でもよくある事です。

3.63 バリエーションを沢山作る

30年安定ビル資産経営計画も、バリエーションを沢山作って下さい。 単なる賃貸効果目的工事の費用対効果追求だけではなく、地域の賃料相場が極端に下落したり、地域が衰退した場合を想定して、どう賃料収入と利益に影響するかを、多くシミュレーションするのです。その検討が、経験値となって、実際のビル資産経営判断の場面で、生きてきます。


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Ⅳ 収益ビルの分散修繕

中小ビルのの分散修繕の基本的な考え方は、30年分散修繕計画の作成でご紹介の通りです。

ただ収益ビル資産の分散修繕工事には、「費用対効果」の考え方が非常に重要になります。

予算の原資は、賃貸経営計画で計画する将来の賃料収入です。工事対象は、ビルの使用維持に必要な工事に加えて、賃貸効果目的の工事が加わります。そして将来の賃料収入実現には、賃料「効果」が求められます。安定利益を残すには、「費用対効果」の考えが欠かせません。


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4.1 収益ビルの分散修繕で考える事

収益ビルの分散修繕で考える事は、一見簡単です。

収益ビルの分散修繕の予算原資は、賃貸経営計画で見込む将来の賃料収入です。
ビルを誰がどのように使うかは、ターゲットテナントがそのビジネスで使います。
将来のあるべきビルの姿は、見込んだ賃料でターゲットテナントに選ばれるビルです。ある程度は賃貸経営計画でも考えています。

一見簡単ですが、将来のあるべきビルの姿は、ターゲットテナントに選ばれるビルです。それも見込み賃料収入から得られる利益から確保できる分散修繕予算内で出来る工事で、ターゲットテナントが想定賃料ポジションでライバル物件より選んでくれるビルです。 ターゲットテナント理解に基づいて、賃貸効果目的工事対象部分だけではなく、空調の性能やセキュリティや消防設備、付加価値機能とその状態を含めて、ビル全体をトータルで考えます。

4.2 収益ビルの分散修繕の予定工事のを仮決めする

収益ビルの分散修繕も、工事予算を自分で決めて、自分で決めた工事予算を何の工事にどの程度配分するかを決めます。

4.21 収益ビルの分散修繕予算の仮決め

30年分散修繕計画の予算の基本は、次の計算です。 まず、賃貸経営計画で、今後30年の毎年の賃料収入を見込んでいます。そこから管理経費、公租公課等、借入金があれば借入金返済、所得税を支払い、自分の利益を確保します。いわゆるPLの予算計画です。そこから一部、分散修繕工事の予算を留保します。分散修繕絵工事の留保予算は通常、賃料収入の5~10%です。ビルの状態や状況によって、プラスマイナスを調整します。

「30年の毎年の収入見込み」は、「30年の分散修繕工事」の結果です。だから最初は、仮に収入を見込んで「30年の分散修繕工事」を計画して、30年の毎年の収入見込みが実現的かどうかを評価します。そして調整を繰り返します。

4.22 収益ビルの分散修繕工事の対象工事には賃貸効果目的工事も含まれる

収益ビルの分散修繕工事の洗い出しは、ビル資産の維持に必要な工事については、分散修繕で既にご説明した通りです。これに賃貸効果目的工事が加わります。

留意したいのは、それぞれ独立している訳ではない事です。ビル資産維持としては、最低限の機能性能グレードで構わないけれど、賃貸効果を作るためには、必要な機能性能グレード等があります。 例えば機能だけであれば、トイレは和式でも構いませんが、賃貸ビルであれば様式かつウォッシュレットは必須といった具合です。

対象工事に賃貸効果目的で必要な機能性能グレードがある場合は、それも最初からつけておきます。

また、賃貸効果目的工事は数に留意をします。全ての部屋に必要な工事や各フロア必要な工事がありますから、数も数えておきます。

4.23 頭が痛い優先順位付け

次は優先順位付けをします。分散修繕でご説明をした通り、4つのカテゴリに入れます。

ただ収益ビルの場合、ビル資産の維持に必要な工事VS賃貸効果目的工事でどちらを優先するかがしばしば頭のいたい問題です。もし優先順位付けが難しい場合は、それぞれのパターンで分散修繕計画を作成してみましょう。予算削減のアイデアが出てきます。またそれぞれで安定ビル資産経営計画を作成して「物」をイメージして比較検討をすると、より望ましいビルの在り方を考える事ができます。

4.3 分散修繕としての賃貸効果目的工事の注意点

分散修繕で賃貸効果目的工事のタイミングは、賃貸計画で決まります。ただテナントがいつ退去するか、現実には正確には予測できません。(定期借家契約でも、早期に6ヶ月前退去予告で退去される事があります。)他にも賃貸効果目的工事特有の注意点があります。

4.31 予算は最大可能予算を見込めばOK

賃貸効果目的工事で、どう工事するかは、賃貸経営計画として事前に考えておくことは重要ですが、実際30年後の賃貸トレンドなどわかりませんから、分散修繕計画としては、予算上限の最大を見込んでおくだけで十分です。

分散修繕計画上の賃貸効果目的工事のタイミングは、賃貸計画で決まりますが、実際にはより早期だったり、ずっと後だったりします。だから現実にも予算に余裕があるように、少し多めに見込んでおくのが、コツなのです。

4.32 数を忘れない

指摘をした通り、賃貸効果目的工事は数があります。例えば共用トイレのリニューアルを、1フロアづつ行うか、ビル全体で行うかで、見込む費用が大きく違います。

工事はテナントに迷惑をかけるから、なるべく一度で済ませると考えるか、少しづつやると考えるか、例えば一棟で1フロアだけトイレを綺麗にすると、気がついた他フロアのテナントが、自分のフロアも要求するようになったします。 一方で、工事単位を小さくすることは、分散修繕工事予算削減の、基本テクニックです。都度にすれば、30年退去しないテナントフロアの工事は、30年分散修繕計画で見込む必要がなくなります。

4.33 テナント退去時にししか出来ない工事も近辺で予定する

ビルによって、パイプスペースがテナント専用部からしかアクセスできなかったり、上階のパイプがスラブ貫通で下の階の天井裏を通っている等、ビル資産の維持に必要な工事だけれど、テナント退去時にしかできない工事がある場合があります。 そうした工事は、テナント退去見込み時期の少し前まとめて予定します。

4.4 収益資産ビルの分散修繕工事予算削減

収益資産ビルの分散修繕工事は、費用対効果を高めるほど、ビル資産の安定利益が増えます。 ただし目先の賃料収入だけみて、長期的に損失を作らないよう、安定ビル資産経営の視点で、長期の費用対効果を考える事が必須です。

4.41 賃貸効果を下げない事が予算削減判断の基準

収益ビルの分散修繕工事の予算削減では、

  • 工事サイクルを引き延ばす(リスクを高める)
  • 対象工事を減らす
  • 対象工事範囲を小さくする
  • 機能性能グレードを削減する
  • 相談する工事業者のサービスグレードを下げる
いずれにしろ、単なる「数字」調整ではなく、「物」と「営業」面を考えて、賃貸効果を下げない事が、判断のボトムラインです。

ただこの賃貸効果を下げないボトムラインをどう考えるかは、地域賃貸マーケットとターゲットテナント理解で変わります。だから沢山の検討が必要なのです。

4.42 効果を高めて予算を抑える

予算削減以上に意識をしたいのが、どうすれば効果が高まるか、です。言い換えれば、どうすればターゲットテナントにこの賃料を支払って良いと評価されるか、と言う事です。

  • あちこちお金をかければ、テナントが良いといってくれるのは当然ですが、それで他のライバル物件より高い賃料を支払って良いと思ってもらえるかは、全く別物です。
  • また目先の賃料効果を求める事と、長期にわたる賃料効果を求める事も、全く別物です。
  • テナントに答えを教えて貰おうとすることと、テナントへの洞察を深める事も、全く別物です。
  • 少ない予算で効果を高めるとは、細部にわたるテナントの選好性への洞察を高める事です。
目指すのは、 ターゲットテナントへの洞察を深め、費用をかけずに細部までの選好性を高めて、長期の賃料効果を高める、です。

4.43 目指すは少ない工事予算でテナントに選ばれるビル

経営に余裕があってもなくても、目指すのは少ない工事予算で、テナントに選ばれるビルでしょう。 利益がより多く残ります。

それを見つけるには、沢山の可能性を検討しては、比較検討で取捨選択を重ねるしかありません。

欧州の「ケチ」な資産家はの神髄が、「引き算思考」です。
・シンプルビル化
・アクセントビル


の2つは、収益ビルこそ、徹底的に検討して下さい。新築とは異なる、新築ではあり得ない唯一無二の個性で、テナントに愛される人気が高いビルは、多くあります。レトロビル、ヴィンテージビルとも呼ばれたりします。


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Ⅴ 30年安定ビル経営計画の作成

さて、地域賃貸マーケティングに基づいて30年賃貸経営計画と30年分散修繕計画を作成したら、それを合わせて30年ビル資産経営計画を作ります。

分散修繕同様に、ここで安定ビル資産経営を作るための、調整が必要です。「安定を作り維持する」ことと、「物と営業と数字のストーリーを繋げる」ことです。それぞれを見てから30年安定ビル資産経営の作成方法を確かめます。そしてビル資産の長期利益維持を実現するビル資産経営経営者に欠かせない、安定ビル資産経営のVISIONの考え方もご紹介します。


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5.1 安定を作る

安定ビル資産経営で安定利益を維持するために、安定を作る考え方とテクニックは必須です。


5.11 安定ビル資産経営4条件

改めて確かめますが、安定ビル資産経営の安定とは、次の4つを全部満たす状態です。

「物」のビル、「営業」の賃貸、「数字」ではBSの「負債」とPLの「利益」、それぞれが健全な状態です。

現実には安定に欠ける状態となる事は多々ありますが、安定ビル資産経営では、安定への早期復帰を目指します。


5.12 分散修繕工事の分散させる

30年安定ビル資産経営計画の中でも、分散修繕計画では、「リスク」と「予算」が適切に分散されている事が原則です。テナントが使用する収益ビルでは、賃料に見合う状態にビルを維持するのは、貸主の責任です。酷く汚くなり、設備トラブルが多発しては、テナントが退去してしまいます。

・「数字」として、一時期に工事が重なって予算のやりくりが難しくなる ・「物」として、建物設備や見た目の状態が、酷く悪くなる

がないように、工事時期を調節します。

5.13 安定ビル資産経営のサイクルを作る

安定ビル資産経営のサイクルは、次のサイクルです。

「こうしたああなる」という単純なものではありませんが、安定したビル資産経営では、 30年安定ビル資産経営計画の中に、物と営業と数字のストーリーで安定ビル資産経営のサイクルが回っている事を、確かめる事ができます。

5.2物と営業と数字のストーリーを繋げる

安定ビル資産経営のサイクルが回っているとは、物と営業と数字のストーリーが繋がっている状態です。問題があるビル資産経営計画では、どこかに「突然」の破綻があるのです。

5.21 物と営業のストーリー

「物」と「営業」のストーリーとは、つまり、 「賃料収入から得られる利益の一部で、この工事とあの工事をして、成約賃料(がこの程度下がるところを)この水準に守り、その賃料収入から得られる利益の一部で、またあの工事をして、次の成約賃料(がこの程度下がるところを)この水準で維持できている・・・」というストーリーが続く事です。

5.22 数字のストーリー:

「数字」のストーリーとは、30年安定ビル資産経営計画です。 時に空室減少があれども、「一定の安定した賃料収入が続き、安定利益を確保し、その一部を留保してビル資産の維持に必要な工事と賃貸効果目的工事を行い、全く/ほとんど赤字を作らない。」 数字のストーリーです。

5.23 数字のストーリーは、物と営業のストーリーを数字表現

30年安定ビル資産経営計画で最も重要な事は、この数字のストーリーと、物と営業のストーリーとが合致している事です。数字のストーリーでの変化とは、物と営業のストーリーで何かがある事を意味します。そもそも数字のストーリーと、物と営業のストーリーは、独立したものではなく、物と営業のストーリーを数字で表したものが、数字のストーリーなのです。

だからいずれかに不自然なところがあれば、それはまだ本物の30年安定ビル資産経営計画ではないと、わかります。

5.3 30年安定ビル資産経営計画の作成

30年安定ビル資産経営は、30年分散修繕計画と同様に、エクセル等表計算ソフトで作ります。適切な計算式を埋め込むと、必要な数字を入れるだけで、作成をする事ができます。しかも無限にコピーをして無限に多くの可能性をシミュレーションんして比較検討する事ができます。

5.31 30年安定ビル資産経営計画の作成

30年安定ビル経営計画は、
築古賃貸経営計画
(管理計画)
(資金計画)
分散修繕計画を一体に統合したものです。

これは現在では、マイクロソフトエクセル等表計算ソフトを使って、簡単に30年ビル資産経営計画を作成できます。横軸に、30年を取り、縦軸に上から、賃貸経営計画、管理計画、資金計画、自分の取り分、最後に分散修繕計画が並び、キャッシュフローの流れで繋がります。

適切な式を埋め込んでおくと、1つ数字を変更すると、ビル資産経営の全体の将来に変更の結果が反映されます。例えばある時点で賃料予測を少し変わる事で、将来の賃料収入及び30年総工事予算がどう変わるか、シミュレーションができます。

ビルオでご相談を頂きますと、計算式の入った30年ビル資産経営計画表のひな型をご提供しています。

5.32 それで何が分かるのか

30年安定ビル経営計画を作る事で、
1 賃貸と工事を含めたビル資産経営の全体を把握できる
2 費用対効果がある予算で将来もどうテナントに選ばれ続けるか、見つけられる
3 賃貸を考えて分散修繕を判断、分散修繕を考えて賃貸経営を判断できる。


ようになります。例えば次にテナント退去したら、リフォームが必要だな・・・と考えていた場合、どの程度の予算であればペイできるのか、いくつかの可能性のうち、30年後も利益が多い のは、どの案かを、何となくではなく30年の数字を確かめて選ぶ事ができるようになります。

判断に「根拠」が出来るのです。それを人に説明できるようになるのです。

5.33 沢山作成する 何度も繰り返し作成する

ここまでも、賃貸方針でも分散修繕計画でも、たくさんの案を検討する事を強調してきましたが、更に30年ビル資産経営計画も沢山作成して比較検討をします。

どのみち1年後2年後に何が起こるかさえ、わかりません。わからないから考えない、ではなく、考えうる可能性を想定して、それぞれの場合で30年ビル資産経営計画を作成してみるのです。そうした予行演習が出来ている事で、どう転んでも適切な対応判断を選択できるようになる訳です。

想定外の大震災が来れば、建物が倒壊するかもしれない。けれども想定外の大震災が無かった場合、利益を維持続けられるようにビル資産経営が出来ていなければ、それは「杞憂」の語源の通りです。

またどうせビル資産経営の経験を積むにつれ、見える事も考え方も違ってきます。状況ももちろん変わります。だから時々は30年安定ビル資産経営計画の最作成も必要です。時々その時点から、30年安定ビル資産経営計画の作成を続ける事で、ビル資産の安定経営は、永遠にでも続きます。

5.3 30年安定ビル資産経営計画の作成

30年安定ビル資産経営は、30年分散修繕計画と同様に、エクセル等表計算ソフトで作ります。適切な計算式を埋め込むと、必要な数字を入れるだけで、作成をする事ができます。しかも無限にコピーをして無限に多くの可能性をシミュレーションんして比較検討する事ができます。

5.4 安定ビル資産経営のVISION

ビルの本場欧州や世界の中小ビル資産者が実践している安定ビル資産経営の目的は、ただ30年生き延びる事ではなく、永続的にでも利益を維持する事です。それは次のようなVISIONがあるからです。私たち日本人も同じVISIONが必要とされる時代です。

5.41 実際のビル資産経営での活用

実際のビル資産経営の場でも、30年安定ビル経営計画があると、ビル資産経営者としての判断の質が比べ物にならない程、高くなります。

例えばテナントから退去届がでたら・・、則地域賃貸マーケティングを行い、同時に30年安定ビル経営計画を取り出します。 現在の地域賃貸マーケット状況が想定より良ければ、何もせず現状もしくはそれ以上の賃料が確保できそうであれば、そのままGOです。 一方で募集賃料が下がりそうであれば、賃貸経営計画を修正して対応を考えます。必要に応じて分散修繕で賃貸効果目的の工事やビル資産維持に必要な工事を、見込み予算内で行います。 現在の賃貸マーケット状況が悪ければ、状況を分析して対応を検討します。定期借家契約で安い賃料でテナントを入居させて悪い時期をやり過ごし、同時に賃料収入の低下に合わせた分散修繕計画の見直しを行うといった具合です。

沢山計画を作っておくと、プランBプランCに切り替えです。

5.42 安定ビル資産経営のVISIOは、次の機会を待つ事

ビル資産経営の「基本vision」は、土地とビル資産を生かした子孫の繁栄です。

ただ投資拡大は、「機会」が必要です。日本の昭和後半から平成バブル時代は、またとない投資機会でしたが、現在は逆転の縮小時代です。そこで投資適格時代と同じ投資・・もはや投機をしていては、土地ごと資産を失う可能性が高まるだけです。

「土地とビル資産を生かした子孫の繁栄」という「基本vision」を達成するために、それは利口ではありません。「土地とビル資産を生かした子孫の繁栄」という「基本vision」を達成するためには、難しい時代は現在の資産と利益を守りながら、やり過ごす事です。

ビルの本場欧州や世界の中小ビル所有者達は、そうやって現在築50年築100年築200年それ以上のビルを維持続けているのです。 なにしろ近代社会歴史の中でも、社会経済の良い時が永遠に続く社会などありません。欧州も、近代産業革命で土地とビルを所有する層が増えましたが、その後に経済不況と第一次世界大戦と第二次世界大戦がありました。大英帝国を誇り世界大戦でも常に戦勝国側の英国も、長い英国病に苦しんだ通り、そうそう投資適格な社会はありません。そうした時代でも財を成す人もいますが、自信がなければ機会を待って維持を続ける選択肢もあるのです。そうして一人一人のビル資産経営者が適切に古いビルの維持経営を続けているから、現在の古くとも趣ある街並みがあるのです。

5.43 現在のビルを利益を産み続ける資産として維持し経営続けようではないですか

投資をしたければ、利益を元にその時々で機会を見つけて別の投資をして発展する事ができます。

人口縮小時代だからこそ、私たちは「土地とビル資産を生かした子孫の繁栄」を、昭和平成とは全く異なる考え方で、真剣に考えなければいけません。つまり日本も、ビルの本場欧州や世界の他国のビル資産経営者同様の、ビルを利益を産み続ける資産として維持し利益を守る考え方を身につけなければけないのです。

せっかくの昭和の繁栄で手に入れた現在ビル資産を、負債や産業廃棄物にせず、土地と一緒に価値ある資産として子孫代々引き継げるかどうかは、現在のあなたの判断にかかっています。 子供やその子供、更にその先の世代から、あの時あなたが適切のビル資産経営を導入してくれたから、今もビル資産を失わずに安定した利益を得ることができた。と感謝されようではないですか。


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