築30年以上中小ビル賃貸経営者/後継者向け
.
昭和の需要激増地価右肩上がり時代は、収益ビルは古くなれば建替えオプションがありました。だから、築古ビル資産の経営を考える必要がなく、ビル経営=プロパティマネジメント(管理)で十分でした。けれども人口激減、需要激減時代には、ビル資産経営者は、自分で経営利益を守り資産を守らなければいけません。 逆に言えば、自分でビル資産経営を続けるだけで、収益ビルは利益を産み続け、社会環境の変動に関わらず、利益を産む価値ある資産であり続けるのです。
収益ビルは、分散修繕の建物長寿化プランを作成しても、賃貸が継続できなければ、経営が成り立たず建物の維持ができなくなります。だから単に建物の延命だけではなく、同時に賃貸で選ばれるビルであり続けるための賃貸効果目的の工事も必要になります。ところが賃貸効果目的工事は、費用をかければ比例して賃料効果が出る類のものではありません。 だから収益ビルの建物アセットマネジメントの資本的支出工事は、単に低予算では足りず、低予算かつ「高(賃料)効果」が、将来リスクを高めないために必要です。つまり分散修繕を単独では考える事ができず、賃貸と工事を一体で考えなければいけません。それが安定ビル資産経営です。そしてそれは、これから見ていく通り、さほど難しくありません。
日本では築古ビル経営は難しいと言われます。それは、ビル経営=プロパティマネジメント(管理)だったからです。古くなると賃貸が難しくなり賃料収入が減少、一方建物修繕費は増加、これでは経営が難しく感じるのは当然です。
1.11 従来ビル経営はプロパティマネジメント(管理)だった
日本のビル経営は、プロパティマネジメント(管理)です。プロパティマネジメントの目的は、PLの収益最大化です。建物が新しいうちは、建物が問題にならないので、プロパティマネジメント(管理)だけで十分でした。ところが建物が築古になると、問題が増えてきます。
1.12 何もしなければ賃料収入は減少する
古いビルだから選ばれない事はありませんが、古いビルが手入れをしなければ、見るからに古臭くなり美観や清潔感を失います。するとテナントに選ばれにくくなり、成約賃料が下がったり空室が長期化します。賃料収入減少は避けられません。
1.13 建物が古くなると工事費用が増大する
古い建物は、建物設備機能等のトラブルが増えて、修繕費やリニューアルの資本的支出工事費用が激増します。そこに加えて賃貸効果目的工事も必要になります。
1.14 従来日本のビル経営では、どう対応してよいかわからなかった
ところが日本のビル経営=プロパティマネジメント(管理)では、築古ビルに必要になる「高額工事」をどう扱ってよいか分かりません。
賃料が下がるなばバリューアップと、高額リフォーム工事・リノベーション工事が必要だと言われても、高額工事をどう判断してよいかわかりません。そこで何もしなければ、賃料収入が悪化します。勧められるままに高額工事をしても、負債を作ります。
1.14 そして築古ビル経営の負のサイクルに陥る
ビル経営も多少の問題で揺らぐほど「やわ」ではありませんが、賃料収入の悪化したり、高額工事での赤字負債を作れば、次に必要な工事も難しくなり、より悪化する負のサイクルに陥ります。そして経営が破綻します。
そこで建物を延命に必要な資本的支出工事を、低予算かつ将来のリスクを高めずに行うのが、分散修繕です。これはプロパティマネジメント(管理)ではなく、建物アセットマネジメントです。ただし収益ビルの建物アセットマネジメントは、賃貸も加わります。そしてビル資産経営として生まれる利益が、建物資産価値を作ります。(収益還元法)
1.21 築古ビルの長寿化には、資本的支出工事が必要
既に分散修繕で確かめた通り、ビルは、経年劣化した建物設備機能部分をリニューアル等する資本的支出工事を行い、建物寿命を延ばす事ができます。この資本的支出工事は高額になりがちですが、低予算かつ将来のリスクを高めない分散修繕で、建物を負債にせず、使用利益を産む資産として、長く長寿化する事ができます。
1.22 収益ビルの建物アセットマネジメント
プロパティマネジメント(管理)の目的は、PLの収益の最大化です。これに対して、建物アセットマネジメントの目的は、建物がプロパティマネジメント(管理)でベストな収益を産む資産であり続けるようにする事です。これを主に、BSのコントロールとして行います。
これがどういう事かは、会計的に理解をしましょう。
1.22 築古収益ビル資産の基本ビジネスモデルイメージ
収益ビル資産の基本ビジネスモデルイメージは次の通りです。
1.23築古収益ビル資産のビジネスモデルの基本
収益ビル資産経営では、BSの建物資産により、PLの賃料収入を得ます。そこから管理費、修繕費、減価償却費、火災保険、公租公課等を差し引いた残りが、利益となります。経営としては利益は、一部をBSの右側の、負債返済及び純資産に利益準備金として留保します。(BSの右側の利益準備金の分、左側の現金(内部留保)が増えます。)
建物は経年とともに経年劣化していきますが、BSの建物資産も原価償却で減っていきます。建物トラブルの修繕は、修繕費として費用から支払われます。
1.24 築古収益ビル資産のビジネスモデルのアセットマネジメント
建物が築古になると、建物の経年劣化が進行してトラブルが増えます。また古くさくなり、賃貸も悪化してきます。こうした問題を、BSの資本的支出工事で解消します。これを十分に利益が残る予算の範囲内で効果的に行う事で、建物は一定の賃料水準で賃貸を成功させて、一定水準の賃料収入を維持します。そうしてビルは築100年だろうが築200年だろうが、賃貸の利益を産み続けます。
1.25ビル資産経営の建物アセットマネジメントの論点
とはいえ、このビル資産経営のビジネスモデルの実現は、言葉で言うほどには簡単には、実現できません。なぜならば、賃貸は、賃貸目的のリフォーム・リノベーション工事に大金を投じたら、比例して賃料が上がる類のものではないからです。高額の資本的支出工事費用を投下しても、テナントに選ばれなければ目も当てられません。負のサイクル一直線です。
そうならないためには、収益ビルの建物アセットマネジメントは、賃貸も考えなければいけません。それをどう考えるのかは、次で見ていきます。
1.26 収益ビル資産の4面性
つまるところ収益ビル資産は、賃貸の成功が必須です。だから、収益ビル資産には、ビル資産の3面性「物」「数字」「権利」に、「営業」面が加わり、4面性があります。この「営業」面とは、自分が宅地建物取引主任者の資格を取って賃貸営業する事ではなく、自ビルを、賃貸マーケットで「テナントに選ばれる」(売れる)商品にして、賃貸を成功させる営業思考を必要とする側面をいいます。
1.27 収益ビルは、利益が続く限り資産価値がある
収益ビルの資産価値は、そのビルの賃料収入が産む利益で決まります。これを収益還元法といい、現在では日本の市街地の不動産は原則収益還元法で評価されます。これはつまり、建物の築年数に関係なく、そのビルが利益を産み続ける限り、その土地と建物には資産価値があるのです。
わたしたち中小ビル資産経営者が望むのは、単なる建物の長寿化ではなく、建物アセットマネジメントとして「低リスク」で安定した利益が長く継続する事です。つまり、自立した(他から資金が入らない)安定ビル資産経営です。これを実現するためには、低予算かつ将来リスクも高めない分散修繕に加えて、もう一つ非常に重要な事があります。
1.31 ビル資産経営で目指すのは「安定」と「自立」
一般の中小収益ビル資産の経営者のビル資産経営で重要なキーワードは、「安定」と「自立」です。賃料収入及び利益はなるべく安定が望ましい。変動は投資の世界では「ボラティリティ」と呼ばれ、回避すべきリスクです。
また「自立」とは外部資金を入れない事です。つまり、ビル資産経営の中で、利益の一部を資本的支出工事に回して、それだけでビル資産経営が続く状態です。
1.32 自立した安定ビル資産経営のビジネスモデル
自立した安定ビル資産経営のビジネスモデルは、次の通りです。
築古ビル経営では、負債は返済が終わり無くなっているのが、望ましい状態です。PLの利益は、一部を利益準備金としてBSの右側に留保します。BSの左側では現金が増えます。こうして利益準備金として貯めた現金で、必要に応じて、低予算かつ更に高(賃料)効果が出る事で、将来のリスクも高めない分散修繕により、資本的支出工事を行います。この資本的支出工事は、やはり減価償却の対象として、償却期間の間に費用化されていきます。資本的支出工事のレバレッジのお陰で建物は築年数を重ねても、賃貸リーシングに成功をして、一定水準の賃料収入を産み、利益を作り続けます。
1.33 自立した安定ビル資産経営のサイクル
これはまた、自ビルしたビル資産経営サイクルの輪が回り続ける状態と言えます。このサイクルが回り続ける限り、ビルは永遠にでも利益を産み続けます。
1.34 安定ビル資産経営の資本的支出工事は何が難しいか
ただこれを実現するには、分散修繕が低予算かつ将来のリスクを高めないだけでは足りません。低予算かつ高(賃料)効果でなければ、将来負のサイクルに陥るリスクが高まります。
従って、
収益ビルの場合、分散修繕の自ビル長寿化プランも作成したいところですが、まず30年安定ビル資産経営の作成が必須です。賃貸方針と分散修繕を一体で考えられるようにならなければいけないからです。
1.41 30年安定ビル資産経営計画で自ビルのベストな安定利益水準を見つける
30年安定ビル資産経営計画作成が必要な理由は、自ビルのベストな安定利益水準を見つけたいのです。
自ビルのベストな利益とは、目指す将来賃料水準と、その実現のために必要な資本的支出工事の予算のバランスがベストで、かつ実現度が高い事です。
例えば、30年の総賃料収入見込み合計から、30年の総費用合計及び総資本的支出工事予算の合計を差し引いた金額が、最大であれば良いかというと、「安定」と実現性も重要です。リスクを取れない時代は、「低リスク」こそが、美徳です。だからどうするのが、「安定」と実現性もある「ベスト」か、30年安定ビル資産経営計画を作成して、試行錯誤をしたいのです。
1.42 30年安定ビル資産経営計画の作成
マイクロソフトエクセル等シートで
賃貸経営計画
(管理計画)
(資金計画)
分散修繕計画
が縦に並びます。30年分散修繕計画同様、分析用の計算式が埋め込まれている事が重要です。ビルオでご相談を頂きましたら、30年分散修繕計画のひな型をご提供します
1.43 30年安定ビル資産経営計画の作成
実際の作成の流れは次の通りです。
1.44 30年安定ビル資産経営計画の作成の考え方
30年安定ビル資産経営計画の作成の作成は、まず地域賃貸マーケティングから始まります。
地域賃貸マーケティングを元に、仮に賃貸方針を計画し、それに合わせて分散修繕計画も検討します。そして両方を調節しながら、より低予算かつ高効果で将来のリスクを高めない分散修繕での計画と、より安定してベストな利益が生まれる安定ビル資産経営を求めます。
一棟築古中小ビル(一棟所有マンションも含む)資産所有者・経営者・後継者の方、現在ビル資産の長寿化は、まずビルオにご相談ください。管理会社や建設業者とは違う、自分の土地と建物資産を守る建物アセットマネジメントの視点で、低予算かつ将来リスクも高めない分散修繕の工事取り組みによる100年長寿化プラン作成、更に高効果で賃貸も継続する安定ビル資産経営、その他建物アセットマネジメント観点での賃貸、管理、建物、所有の問題解決、ビル資産管理会社の経営の助言等を、リーズナブルな費用で行っています。まず無料オンライン相談でお話をしましょう。ご要請に応じてご相談前に守秘義務誓約書を差し入れします。
地域賃貸マーケティングは、地域の賃貸マーケット状況を把握して、そこから自ビルの賃貸方針及び募集賃料を決め、賃貸効果目的工事の内容、資本的支出工事を低予算低リスク高効果で行い、安定したビル資産経営を継続するために欠かせないものです。無意識で出来ている人も多いと思いますが、何の情報に着目すべきか、あらためて確認します。
まずエクセル表に向かう前に地域賃貸マーケティングを行います。地域賃貸マーケットは、いわゆる取引所がありませんから、自ビルの地域賃貸マーケットは、自分で見つけるしかないのです。地域賃貸マーケットの全体像は次の通りです。
賃貸はその時勝負ですが、築古ビル資産経営では、目指す将来賃料見込みが必要です。これがなければ、分散修繕の計画が立てられません。更に資本的支出工事で低予算に加えて「高(賃料)効果」を出すためには、地域賃貸マーケティングで自ビルの強みが生きる賃貸方針を決め、自ビルの強みを生かした上で、何をすれば効果的にライバル物件より選ばれるようになるか、賃貸方針として十分に研究をする必要があります。賃貸効果目的工事は、費用をかけてもテナントに選ばれない失敗リスクが高いものだけに、賃貸方針の検討は、例え現状のままでよいと思っている場合でも、手を抜く事はできません。 賃貸はその時勝負ですが、築古ビル資産経営では、将来の賃料収入を見込みがなければ、分散修繕の計画が立てられません。この賃料収入見込みは、いかに低予算低リスクで高効果な賃貸効果目的工事及び分散修繕で、見込む賃料でテナントに選ばれるかにかかっています。一方で賃貸効果目的工事は、想定する賃料効果が得られないと、赤字負債化リスクが高い先行投資です。
まず賃貸経営は、築古になるとなぜ難しくなるのか、その特徴と問題、対応の概要を理解しましょう。
3.11 賃貸経営の特徴は賃料収入の安定
築古ビルは、成約賃料が下がり賃貸が難しくなります。それは古いからダメではなく、経年劣化による美観・清潔感の欠落や機能不足・設備トラブルにより、地域賃貸マーケットの中での競争力を失っていくからです。
とはいえ、築古ビル経営の賃料収入は、毎年賃貸マーケット評価額に比例して変動はしません。(そういう賃貸借契約であれば別ですが)一度テナントと賃貸借契約を締結すると、テナントが入居続ける限り、賃料収入は変わりません。(減賃交渉を受け入れた場合は別ですが)地域賃貸マーケットの相場には波がありますが、相場が上がろうが下がろうが、入居中部屋の賃料収入は変わりません。この安定性が賃貸経営の魅力です。
3.12 築古ビルでは、テナント入れ替わりで突然賃料収入が下がるリスクがある
ところが長年入居したテナントが退去すると、その次の賃貸リーシングでは容赦なく地域賃貸マーケットのポジションで評価をされます。長年入居したテナントが、地域賃貸マーケット相場の悪い時に(そして大抵そうなるのですが)退去すると、募集賃料を劇的に下げなければいけなくなります。ここで困るのです。
3.13 築古経営には賃貸方針が必要
ここでビル資産経営者は、
賃貸方針の中でも、賃貸効果目的工事をどうするか、及び将来どの程度の賃料水準を維持したいかは、30年賃貸経営計画として、検討をします。賃貸経営計画は、分散修繕計画と深く関係しているため、最初に30年賃貸経営計画を作成した後、30年分散修繕計画の作成でも、何度も見直すことになります。その両方が噛み合って、30年安定ビル資産経営となります。
3.21 30年賃貸経営計画作成の目的
30年賃貸経営計画作成の目的は、目指す将来賃料見込みをつける事です。これは、分散修繕の予算原資として、分散修繕の計画に欠かせません。ところがその将来賃料見込みは、将来ビルが分散修繕の結果、見込み賃料でテナントに選ばれるビルである事で、実現します。当然に目指したいのは、いかに低予算賃貸効果目的工事で、高い賃料収入効果を出すか、ですが、賃貸効果目的工事と賃料収入効果の関係は、単純ではないので、いくつも案を比較検討しなければ、良いかどうかわからないのです。これを30年賃貸経営計画作成を通して行います。
そこでまず、30年賃貸経営計画作成の基本を見ていきます。
3.22 30年安定ビル資産経営の計画の作成基本
30年安定ビル資産経営の計画を作成する際に、最初の問題は、いつテナントが退去すると予測するかです。(定期借家契約ならば契約終了時ですが、早期退去リスクもあります。)
そして、テナント退去のタイミングで、賃貸方針(賃料水準をどう考えるか、賃貸効果目的工事をどうするか)を検討します。
3.23 テナント退去時期をどう想定するか:テナントサイクル
テナントの退去時期は、テナント回転のサイクルを決める事で見込みます。
自ビルに入居したテナントが、どの程度入居続けるかは、ある程度傾向があります。だから5年10年といったテナント回転の期間を見込み、その終了時をテナント退去・入れ替わり時期と想定します。
3.24 賃貸効果目的工事を行わない場合の賃料ポジション下落を想定
テナントサイクルで決めたテナント退去時期の時点で、最初に賃貸効果目的工事を行わない場合の賃料ポジション下落の割合を想定します。
現在と将来の賃料予測については、次の3.3 賃料はどう決まるのかで詳しくみます。インフレで賃料上昇もあり得ますが、需要激減の難しい時代には、下落圧力もありますから、ニュートラルに賃料ポジションとして考えておきましょう。賃料ポジションは、経年とともに下落します。
3.25 賃貸効果目的工事を行った場合の賃料ポジション
賃貸効果目的工事の考え方は、これも次の3.4 賃貸効果目的工事の考え方で見ていきます。賃貸効果目的工事は費用以上に中身が重要です。ただ30年賃貸経営計画作成時に、20年後30年後の賃貸トレンドなどわかるわけがありませんから、精緻に考える事も無意味です。
それでも、地域賃貸マーケットの中で、自ビルがどの程度の賃料ポジションを狙えるか、把握をしておく事は重要です。これは地域賃貸マーケット内のライバル物件との比較で決まります。築古ライバル物件は、さほど変わりませんから、自ビルの強みも考慮して、「この程度の賃貸効果目的工事で、自ビルはこのあたりのライバル物件と競争力が出せる。」は、ビル資産経営者として目途をつけておくべきです。
3.26 賃貸効果目的工事のやる/やらない判断
賃貸効果目的工事は、賃料効果があれば毎回出来るかというと、分散修繕としての予算の上限もあります。賃貸効果目的工事は先行投資です。期待通りの賃料効果が出るかどうかは、やってみなければわからないところもあるリスクの高い先行投資ですから、リスクの分散も必要です。
30年賃貸経営計画としては、まず30年分散修繕計画で、30年の賃貸効果目的工事に割り当てられる予算総額を決めます。そして30年の賃貸効果目的工事予算総額で、何回工事ができるかを検討します。(ここでも少額ずつ沢山行う場合や、必要部屋をしっかり改善できる予算を割り当てる等のバリエーションが検討できます。)
また実務的には、トリガーとなる賃料を決めておきます。つまり募集賃料が〇〇円を切ったら、「賃貸効果目的工事を行う」といった具合です。地域賃貸マーケット相場には波がありますから、そうすると地域賃貸マーケット相場が良い時期には、「賃貸効果目的工事をやらないで済む」事ができます。
3.27 30年安定ビル資産経営の将来賃料水準の想定
つまるところ、30年賃貸経営計画では、将来賃料水準は次のようなギザギザになります。
どう考えれば、なるべく少ない賃貸効果目的工事で、この下落をマイルドに出来るか、これを考えるのがビル資産経営者の仕事です。
3.28 賃貸マーケット相場が悪い時の代替え案も考えておく
ちなみに、現実の賃貸では、賃貸効果目的工事を決める際には、地域賃貸マーケット相場の悪化も無視できません。だから、賃貸方針の検討では、賃貸効果目的工事の方針として
「地域賃貸マーケット相場が極端に悪い時のやりすごし代替えプラン」も検討をしておきます。一般的には、こうした状況では下手な投資はせずに、激安賃料の短期定期借家契約でテナントを入れて、相場が回復してから改めてどうするかを検討します。
ここで皆さん知っているようで知らない、貸しビルの賃料がどう決まるのか、を理解します。 貸しビルの賃料は、次の2つの要素で決まります。
賃貸効果目的工事は、その時々のトレンドがあります。だから計画時に細部まで考える必要はありませんが、分散修繕として予算を確保するにも、将来の選ばれるビル像を想像するにも、ある程度これならいけるというイメージが必要です。
賃貸効果目的工事では、
「物」現在の物件の強みに何をするか?
「数字」予算と費用対効果
「営業」テナントに選ばれる効果はあるか?
の3点セットの検討と検証が重要です。
3.41 賃貸効果目的工事の例
賃貸効果目的工事は、例えば次のような対象があります。
貸室やフロアで必要な工事は、数に注意します。
3.42 そもそもターゲットテナントにとって何が自物件の強みなのか?
なるべく低予算の賃貸効果目的工事で高効果を出すには、自物件を選ぶ可能性が高いターゲットテナントが、自物件を選ぶ理由として見ている自物件の強みを認識し、そこに更に強みを強化をする事です。
だからまず自物件の強みを、なるべく具体的に理解しましょう。
3.43 何が、より上のライバル物件との競争で負ける要因になっているのか?
強みを理解した上で、何が、より賃料が高いライバル物件との競争で負ける要因になっているかを、確かめます。ただ要因には、変えられる要因と変えられない要因があります。変えられない要因を嘆いても仕方がないので、変えられる要因を考えます。
検討の際の重要ポイントは、部屋・建物・物件情報の全体で考える事です。所有者はどうしても、自分が欠点と思うところに目が集中しがちですが、テナントは総合的に見ています。
3.44 具体的にどう改善すれば、賃料ポジションを守れるのか?
賃料ポジションを守るとは、何もしなければ賃料ポジションが下がった状態に対して、賃貸効果目的工事で見込む賃料のライバル物件との競争力を回復する事です。だから、見込む賃料のライバル物件との比較が鍵になります。
ターゲットテナントの選好性は、ターゲットテナントの価値観を反映します。中小ビルの場合、しばしば高額な豪華内装より、色や仕上り、些細な工夫やセンスといった、細部で評価される事が少なくありません。「神は細部に宿る」という通りです。古さの持つ肩に力の入らない自由な雰囲気が逆に評価される事もあります。ここは沢山の可能性があるのが普通です。しばしば賃貸管理者や不動産屋にも意見を聞きながら、時間をかけて検討をします。
3.45 予算上限の範囲内で案を絞る
賃貸効果目的工事は、次の3.45で計算する予算上限があります。予算上限よりなるべく少ない金額で、なるべく「効果見込み」が高いと感じられる案を絞ります。
どのみち最初は仮案です。分散修繕での工事予算削減次第でも、出来る内容が変わってきます。将来では、その時々でのトレンドもあります。あくまでも最初に、安定ビル資産経営が持続できる事を確かめるための、モデルケースとして、検討をします。
3.46 部屋・建物・物件情報全てのイメージを確かめる
予算上限内の候補案では、部屋・建物・物件情報全てを具体的にイメージして、ターゲットテナントが、目指す賃料のライバル物件ではなく、自物件を選ぶであろう事(負ける要素が大きく見当たらない事を)及びその「確度」を確かめます。
3.47 賃貸効果目的工事の予算上限(数字)
賃貸効果目的工事の中身は時間をかけて考えるとして、工事予算の上限は、30年安定ビル資産経営計画で決めておかなければいけません。過剰投資リスクが高いだけに、「予算上限」意識は非常に重要です。賃貸効果目的工事の予算上限は次の3つの数字の上限を検証して、うち一番低い数字を賃貸効果目的工事予算の上限とします。
①アップサイド賃料の上限
賃貸効果目的工事で工事をしなかった場合と比べてアップできる賃料は、地域賃貸マーケットの中で上限があります。築古中小ビルがどんなに頑張っても、新築Aクラスビルの賃料水準は無理です。上限は、地域賃貸マーケティングで調べておきます。
② 分散修繕工事の予算上限
分散修繕工事予算では、まず30年の総賃貸効果目的工事予算を決めます。
30年賃貸効果目的工事予算は、30年総工事予算から、先に建物使用に必用な必須工事予算を確保した後で、その残りです。
ここで非現実的な賃料アップを見込んで、多額予算を確保しても、見込み賃料収入を得られなかったら、負のサイクル一直線であることは言うまでもありません。それはさておき、総賃貸効果目的工事予算から該当工事にいくら配分できるかを、十分に検討します。ちなみに賃貸効果目的工事は、部屋毎に必要な工事は部屋の数、トイレ・給湯室はフロアの数、必要です。
③ 費用回収期間
ビル資産経営の観点からもう一つ重要なのが、費用回収期間です。
例えばテナントが10年程度で入れ替わるビルで、入替りの都度必要な工事で費用回収期間が10年を超しては、実質費用回収が出来ません。早期退去のリスクも考慮すれば、2-3年程度が理想です。ただし効果が続く場合はもちろん長く見る事もできます。
計算方法は次の通りです。
賃貸効果目的工事予算 /(月額目標賃料ー月額現在賃料)x12 = (年単位)
3.48 賃貸効果目的工事案の比較検討(費用対効果の比較)
いわゆる費用対効果は、良く使われる言葉ですが、これは単体で使っても意味がません。将来の実現度を評価できないからです。使用する時は、複数案の数字面での比較検討要因として使用します。「営業」面では実現性も評価に加わります。
A案、B案、C案・・・に対して、「実現性」と「費用対効果」を比較検討して、「実現性が高く」かつ「費用対効果も良い」案を選びます。
■ 費用対効果の計算
費用対効果の計算は次の通りです。
ところでここでは、30年安定ビル資産経営計画を作成した後に、賃貸方針を実現するための、賃貸経営の要点をざっと見てみます。
3.51 賃貸経営の全体像
最初に賃貸経営の全体像は、次の通りです。
賃貸方針 (賃料収入を計画して物件を準備する)
賃貸リーシング (賃料収入を実現する)
賃貸管理 (賃料収入を守る)
築浅の時は、賃貸方針は問題になりませんでしたが、築古ビルでは、この3つで総合して賃料収入を守ります。例えばどんなに賃貸効果目的工事を行って良い賃料でテナントが入居しても、すぐに減賃交渉を受け入れていては、賃料収入は守れないのです。
3.52 実際のテナント退去時に検討する事
賃貸経営は、テナント入居中は楽ですが、問題は、実際のテナント退去場面です。定期借家契約の円満終了ではない限り、テナントの6ヶ月前退去予告通知は、突然やってきます。するとビル資産経営として、
最後に、地域の地域賃貸マーケットが消滅しそう・・という場合について、軽く触れておきます。人口激減縮小時代には、街が衰退する・・学校や大きな会社・スーパー・工場が移転する・・将来の地域賃貸マーケット見込みが厳しい地域が大多数です。AがダメでもBが大丈夫という簡単な話はまずありません。
用途変更やオペレーションが失敗すると、余計に負債を作り、確実に負のサイクル一直線です。これらをを検討する場合、徹底した調査と検討が必要です。
3.61 貸会議室・シェアオフィス・貸倉庫等
こうした空間ビジネスを入れる事をオペレーション導入といいます。(空間を)オペレーション(する)ビジネスが成功するかどうかは、ビジネス運営者(オペレーター)の手腕で決まります。立地や物件は関係ありません。そして長く生き残るのはわずかです。
これに手を出して良いのは、自分の広告宣伝集客力と運営力の自信があるか、さもなければ能力が高いオペレーターと組む場合だけです。
3.62 用途変更
オフィスがダメだから居住用に変更する。ホテルに変更する。といったソリューションもあります。用途変更は最終手段です。相応の投資を要し、しかも一方通行です。
オフィスから住居、ホテルへといった場合、マーケットが変わるだけではなく、建物にかかる建築基準法の適用も変わります。住居やホテルはオフィスとは比べ物にならない程水使用量が増え、給排水管の問題も増加するといった具合です。
3.63 それも見当たらない場合、地域での話合い
検討しても、思わしい案が見つからない・・・場合が実際にはほとんどです。ではどうすれば良いのか?
安易に結論を急がない事です。
もし想定が外れないようであれば、問題は近隣地域全体です。地域として、地域の街おこし/街の維持を話し合いを作りましょう。資本を投下する街作りではなく、地域賃貸マーケティング手法を街全体に適用して、古い建物が生きる街の特徴を、一棟一棟ではなく街全体で作るのです。
ビルオでは、包括的な助言も行っています。
安定ビル資産経営での分散修繕の目的は、30年賃貸経営計画で決めた将来の賃料水準で選ばれるビルとして、建物を維持する事です。分散修繕計画作成の考え方は、30年分散修繕計画の作成と同じです。ただし、安定ビル資産経営での分散修繕は、ビル資産経営として利益を出すために低予算はもちろんのこと、高(賃貸)効果で、将来リスクも高めない事を追求します。賃貸効果目的工事以外の建物インフラの機能性能グレードも、賃料相応の水準が必要です。
賃貸経営計画と分散修繕計画が出来たら、最後の30年安定ビル資産経営のサイクルを確認します。沢山ある30年安定ビル資産経営計画の可能性の1パターンの出来上がりです。建物長寿化プランは、基本インフラに関してだけでも、作成しておくとより安心です。実際のテナント退去も分散修繕対象資本的支出工事の必要時期や予算も、計画の通りには行きませんが、30年安定ビル資産経営のサイクルが意識できるようになると、自然に将来のリスクを避けた安定ビル資産経営が続くように判断ができるようになります・気が付いたら築100年を超えているでしょう。
30年の賃貸経営計画と30年分散修繕計画は、それぞれお互いを確かめながら作成しますが、どうしてもそれぞれの都合が優先してしまいます。だから30年分散修繕計画を作成した後に、仕上げてとして安定ビル資産経営が続く事、そして安定ビル資産経営のサイクルが出来る事を確かめます。
5.2 安定ビル資産経営とは
安定ビル資産経営とは、「数字」「物」「賃貸」面が全て「安定」している状態です。
(ちなみに安定は一定とは違います。多少変動や下落等傾向があっても、長期傾向が見えているのが、安定状態です。)
安定ビル資産経営は、
・事故を起こさず 「物」
・賃貸を継続 「賃貸」
・負債を作らず 「数字:BS」
・利益を維持する 「数字:PL」
4つが満たされた状態です
安定ビル資産経営サイクルは、安定ビル資産経営のストーリーで確かめます。次の3つのストーリーに破綻が無い事が、安定ビル資産経営サイクルの要件です。
5.31「数字」のストーリー
30年安定ビル資産経営計画表は、数字「利益」のストーリーです。
賃料収入のストーリーと分散修繕がつながらなければいけません。つまり賃貸経営計画のテナントサイクル時期に合わせて、賃貸効果目的工事等が入ります。
その上で分散修繕の数字のストーリー、予算が準備できてから工事、も極力守られます。
5.32「物」のストーリー
「物」のストーリーは建物の状態です。築古ビルとして、建物設備や内装等の経年劣化があっても、全体として見込み賃料で選ばれるビルであり続けなければいけません。悪化場所のリニューアル工事等を行い、建物全体では一定水準を保つように、必要なタイミングで必要な工事が計画されているのが、「物」のストーリーです。
5.33「賃貸」のストーリー
「賃貸」のストーリーは、賃貸経営のストーリーです。
地域賃貸マーケットの中で、空室が出たら時価で/賃貸効果目的工事を行い、目指す想定賃料で次テナントが入る。このストーリーが、地域賃貸マーケットの動向や他のライバル物件との比較で、競争力ある状態に「物」の物件が準備できていなければいけません。
理想的なストーリーは、安定ビル資産経営のサイクルを作ります。
一度安定ビル資産経営のサイクルが出来ると、サイクルのモーメンタムで楽に安定ビル資産経営を維持できるようになります。AをしたらBの結果で・・と言えるほどビル資産経営は単純ではありませんが、大きな流れで安定ビル資産経営のサイクルがあります。安定ビル資産経営のサイクルがわかっていると、問題が発生した時には安定ビル資産経営のサイクルに戻るように問題対応をするだけで、安定ビル資産経営のサイクルは持続します。
5.41 沢山のストーリーを比較検討して、ストーリーを選ぶ
結局、ビル資産経営計画とは、「自ビルが賃貸を継続して利益を産み続けるストーリーです。
私達は、より少ない資本的支出工事投資で、よりベストでより確実に将来の安定賃料収入を生み続けられる安定ビル経営サイクルを作るストーリーを見つけたいのです。
多くのストーリーを検討するほど、より理想的なストーリーを選べるようになります。それは1回30年ビル資産経営計画を作成して終わりではなく、ビル資産の経営を通して、常にブラッシュアップをしていくものです。
分散修繕計画部分で、建物長寿化プランを作成しておくことも、お勧めします。
作成方法は、分散修繕で説明の通りです。30年安定ビル資産経営計画があれば、それでも十分ですが、より長期の展望ができると、より安心ができます。
一棟築古中小ビル(一棟所有マンションも含む)資産所有者・経営者・後継者の方、現在ビル資産の長寿化は、まずビルオにご相談ください。管理会社や建設業者とは違う、自分の土地と建物資産を守る建物アセットマネジメントの視点で、低予算かつ将来リスクも高めない分散修繕の工事取り組みによる100年長寿化プラン作成、更に高効果で賃貸も継続する安定ビル資産経営、その他建物アセットマネジメント観点での賃貸、管理、建物、所有の問題解決、ビル資産管理会社の経営の助言等を、リーズナブルな費用で行っています。まず無料オンライン相談でお話をしましょう。ご要請に応じてご相談前に守秘義務誓約書を差し入れします。
30年安定ビル資産経営計画はの実践として、賃貸リーシングの取り組み方をここでご紹介します。もちろん宅地宅建取引業者資格を取ればよいという話ではありません。
賃貸リーシングは、退去予告が出たところから始まります。普通賃貸借でもオフィス店舗は通常6ヶ月前予告です。その時点から6ヶ月間が、次のリーシングの準備期間です。
.11 退去予告が出たらまず地域賃貸マーケティング
現在テナントから退去予告が出たら、まず地域賃貸マーケティングを行います。
現在の地域の賃貸状況がどうか、知り合いの不動産屋に聞いたり、またはネットでライバル物件の募集賃料を調べて、自物件の次の募集賃料を推測します。
5.12 何か工事が必要か?
ここで検討に上がるのが、何か工事が必要か?です。
30年安定ビル資産経営計画を参考にしますが、地域賃貸マーケット相場が良いから必要ない場合もあれば、逆に相場が悪すぎて効果がないから必要なくなる場合もあります。予定をしていなかったけれど、低予算高効果が見込めるから行う場合もあります。30年安定ビル資産経営計画で将来のビル資産経営への影響をシミュレーションをして決めます。
5.13 工事を行う場合
ここで工事を行うと決めた場合は、工事可能になったら遅滞なく工事を行い、早く次の賃貸準備ができるように、段取りよく進める必要があります。速やかに相談ができるためには、前々から業者を探して選定しておきたいものです。
ここで重ねて工事の手間を省くために、原状回復工事を費用で精算する場合もあります。こうした交渉は、通常は元受不動産屋が間に入って調整をします。
5.14 現テナントの退去条件もしっかり確認する
ところで、現在テナントから退去予告が出たら、現在テナントとの賃貸借契約書も読み込み、退去時条件を確認します。たいてい
次の募集賃料の設定は、「前と同じ」ではなく、地域賃貸マーケティングで決めます。次の募集賃料の設定は地域賃貸マーケティングで決まります。
ただ地域賃貸マーケットが上向きなら強気(高め)、地域賃貸マーケットが下向きなら弱気(低め)に設定する。着地賃料に対して、わずかに高めに募集賃料を設定して、賃料交渉可幅を不動産屋に伝えておくといった、プラスαテクニックもあります。ご興味があれば、ビルオに教えて欲しいとご要請下さい。
5.21 普通借か定借か
一時、建替えの時にテナント退去が面倒だから「定借」が流行りましたが、建替えを考えない安定ビル資産経営では、普通借で十分です。通常は普通借と定借では、定借の方が賃料が下がります。
流行の波がある店舗等は、定借の方がコントロールしやすいでしょう。ただ日本の定借は解約不可条項をいれず、再契約交渉も可のため、あまり定借のメリットがありません。
5.22 募集条件戦略
募集賃料の設定以外に、賃貸リーシングを有利に進めるための募集条件の戦略もあります。
募集条件戦略:敷金、礼金更新料を減らす。フリーレントや段階賃料を導入する。通常BC工事をA工事として行う。等初期条件を抑えて借りやすくする
ただ効果があるように行わなければ効果がありません。元受け不動産屋に実力が必用です。こうした戦略は、有望テナント候補が出てきた場合の賃料交渉札としても使います。
空室が出ると、1日も早く次のテナントを決めたいのは、誰もが同じです。そこでただ不動産屋に毎日まだかまだかと催促をしても、ウザがられるだけです。必要なのは、チームとして一緒に賃貸リーシング強化に取り組む姿勢です。
5.31 賃貸リーシングの全体像
賃貸リーシングの全体像は次の通りです。
5.32 賃貸リーシングの強化
賃貸リーシングはやってみなければ分からないところもあります。元受け不動産屋とPDCAサイクルを回しながら、各ポイントそれぞれに、改善箇所を見つけて、改善をしていきます。
入居テナントが決まると、賃貸借契約書を作成します。不動産屋のひな型を使う事が多いと思います。自ビルのフォーマットがあればそれを使います。
>5.41 賃貸借契約書はトラブル防止マニュアル
賃貸借契約書作成でまず確かめるのは、賃料その他賃貸条件ですが、賃貸借契約書はトラブル防止マニュアルです。通常条文で次の事を約束します。
例えば次のような事を、賃貸借契約書で取り決めます。
また個別の特別な約束は、特約で特記します。
更に、店舗のようにテナントが内装工事をする場合は、内装だけではなく、電気、給排水、消防設備等を含めて
工事時のABC工事区分表とともに、原状回復工事でどの状態で返還されるかも、取り決めておきます。
こうした契約内容は、覚える必要はなく、必用な場面で賃貸借契約書を思い出して確かめるだけで十分です。ただ
貸主としては、条文の約束事項が全室同じ方が、当然に楽です。だから遠慮なく書き換えを要求します。ただ契約は相手もありきだから、相手の要望がある場合は、落としどころを見つける事になります。
5.42 建物使用規則も
中小ビルでも、建物使用規則を書面で作成して、同時に交付しておく事をお勧めします。
等々を記載しておきます。
5.43 減賃交渉を受けた場合のルール
入居テナントが減賃要請をしてくる場合があります。
ここで地域賃貸マーケット状況が良いと強気に、悪いと退去されないように・・と話をする事になりますが、経営状態が悪いと言う場合、それが改善されるのかどうか、改善計画を聞きましょう。
そして賃料を減額する場合は、減額期限を設けて、覚書を締結します。期限が到来しても難しいという場合は、改めて話合いをして、期限を延長します。入居テナントからの要請に応じて期限無しで恒久的に賃料減額をしていては、経営者失格です。
→ はじめに:日本もストックの時代:時代が、建物資産を守り引き継ぐ時代に反転した
→ 低予算で将来リスクも高めず日本の建物長寿化を実現する分散修繕
→ 建物を延命し賃貸も継続する安定ビル資産経営
→ 築古ビル資産問題解決に欠かせない2つの視点
一棟築古中小ビル(一棟所有マンションも含む)資産所有者・経営者・後継者の方、現在ビル資産の長寿化は、まずビルオにご相談ください。管理会社や建設業者とは違う、自分の土地と建物資産を守る建物アセットマネジメントの視点で、低予算かつ将来リスクも高めない分散修繕の工事取り組みによる100年長寿化プラン作成、更に高効果で賃貸も継続する安定ビル資産経営、その他建物アセットマネジメント観点での賃貸、管理、建物、所有の問題解決、ビル資産管理会社の経営の助言等を、リーズナブルな費用で行っています。まず無料オンライン相談でお話をしましょう。ご要請に応じてご相談前に守秘義務誓約書を差し入れします。