中小ビル経営7つのスキル3

中小ビル経営7つのスキル その3

さて築40年以上のビル経営の必須スキルの3のご紹介です。のビル経営スキル3から先は、より実用的なスキルになります。

収益資産価値の維持が重要テーマになる築40年以上ビルにとって、収益資産価値の維持には何をすべきかを教えてくれるのが、このスキルです。

日本の街はなぜごちゃごちゃ?

なぜ日本の街はごちゃごちゃか?
突然ですが、江本はしばしばなぜヨーロッパの街は素敵で日本の街はごちゃごちゃしているのか?と聞かれます。その答えが、収益資産価値理解の差です。 欧州の揃った街並みは、都市計画の徹底の賜物です。でも個人主義で自己主張が強いと言われる欧州人がどうして厳しい都市計画に従うのでしょうか?そこに、「収益資産価値の本質」理解があります。ビルを維持する所有者はもちろん、都市計画を作る役人、建築士から街の住民まで、多少の不便我慢があっても調和した街並みであることが、街の価値と個々ビルの価値を維持する事を知っているからなのです。別の言い方をすれば、このビル経営スキル3が当然にあるからです。

利用収益価値=テナント必須条件

ビルの収益資産価値とは
ではビルの収益資産価値とは何か?理論上は、賃料収益(NOI)を利回りで割った数字が、ビルの価値を評価する金額です。この式が示している1つ明らかな事は、賃料収入がゼロならゼロ。(実取引ではこの場合、期待値が使われますが)という事です。収益資産価値は、賃料収入で生まれる価値です。これはわかりやすいですね。
ではもう一歩進みましょう。この賃料収入とは、何でしょうか?
賃料収入は、入居テナントが貸し部屋を使用する対価として毎月支払ってくれる家賃です。この家賃の金額は、部屋が空室時に、所有者が募集賃料を決めて不動産屋が募集し、入居申込書を出したテナントと時に条件交渉を経て決まる数字です。

テナント側から見ると・・
一方で逆にこの家賃の決定プロセスを、部屋探しテナントの側から見るとどうでしょうか?ある事業者が、社員が増え事務所が手狭になり、より広い部屋を探して不動産業者に相談をしました。部屋を探すテナントは、事情に応じて固有の譲歩できない必須条件と、譲歩できる条件を持っています。譲歩できない必須条件の例は、ビジネス継続に欠かせないおよその立地条件、部屋の広さ、建物設備、事業の特徴に合わせた利用条件等。賃料は、譲歩できる条件の場合もあります。内覧で気に入ったから少し賃料が高いけれどここに決める!はままある事ですからね。部屋が綺麗、豪華、建物が新しい、設備が整っている等は、比べると譲歩できる条件になりがちです。
不動産業者はこうした条件をテナントから聞き出し、条件を満たす候補物件を紹介します。部屋探しテナントはここでまずざっと条件を見て内覧物件を決めます。そして内覧した部屋で条件や入居後のレイアウト、社員の反応他ビジネス効果を考え、支払う賃料に見合った利用価値を認めれば、入居申し込みを提出します

最小投資で自ビルを選ぶテナントは?

ビルは選ばれてなんぼ
テナント側から見た視点は、賃料収入と収益資産価値について、重要な示唆を示しています。既に気がつかれたと思いますが、空室に入居申し込みが入るまでに、2回の「選ばれ」ポイントがあります。1回目は、まず書類審査で検討候補物件として選ばれる事。2回目は面接/内覧を経て入居したい物件として選ばれる事です。つまり賃料収入は、この2回の「選ばれ」ポイントで部屋探しテナントに「選ばれ」て、初めて生じるものなのです。選択権はテナント側にあります。
賃料収入はだから、所有者が勝手に、うちのビルはこの賃料、こういう優良テナントでなければ、このような使われ方をしたい、と決めても、所有者の希望条件に合うテナントがビルを選ばない限り発生してくれません。どんなにテナントが好むだろうとリフォームにお金をかけても、検討するテナントの床面積や利用規約、賃料等の条件が合わなければ、テナントは選んでくれず、賃料収入は生まれません。
そうなのです。賃料収入を作る決定権は、実はテナントにあります。つまりビルの収益資産価値は、所有者が単独では決められないものなのです。

築古ビルを選ぶテナントはいるのか?
ここで、だから築古はテナントに選ばれないから困るのでしょう、と思われているかもしれません。日本の固定概念ではテナントは新しい物件を好むです。ところが実際に築古ビルで新規入居者が入るビルは多数ありますよね。 結論から言えば、テナントにとって築年数の数字は、必ずしも譲歩できない必須条件ではありません。中には新築や築浅を指定するテナントはもちろんいますが、それは一部です。多くのテナントにとって築年数は、部屋の広さや形、立地条件程にこだわる条件ではありません。
築年数そのものは建物の使用に関係のない数字です。しかし、築年数が古いビル・・、の特徴として一般にイメージされる、汚い、清潔感に欠けている、設備が古く設備トラブルが多い、設備機能が足りない、天井が低い、間取り等の使い勝手が悪い・・・・・、はいずれも積極的に選ばれにくい条件です。ただ最近はリノベーションでこれらマイナス要素を解消し逆にオシャレになった築古ビルは増えてきました。つまりこうしたマイナス要素を一部でも適切に解消できれば、築年数に関係なくテナントに選ばれます。とはいえ空室が出る度に高額のリノベーションをしていては、賃料収入は得られても支出も増えて収益が赤字、やはり収益資産価値がないどころかマイナスの負債となるのがオチです。そうならないように、極力リフォーム・リノベーションを避けて、安定賃料収益を維持し、経済的に収益資産価値を維持するためには何ができるのか、これを見つけるのがこのスキル3です。

うちのビルを選ぶテナントとは誰か?
経済合理性を考えれば、まず現在ビルが持つ条件でテナントが決まればそれに越したことがありません。選んでもらうために何か足りない条件がある場合、何が足りないか、どうすれば選ばれるかがわかれば、低リスクで賃貸維持対策ができます。これを実現するために欠かせないのが、自ビルを選ぶ可能性が高いテナント像を深く理解することです。
既存ビルは、既に多くの条件が固定されています。特に変えられない固有の条件;例えば 立地、全面道路、近隣、貸室の面積、形状、ビルグレード、基本建物設備等ですが、こうした条件が求める条件や譲歩できない条件と合わない部屋探しテナントは、どうやっても選んではくれません。1回目の選ばれポイントで落とされます。だから気にしても仕方がありません。 逆にビルの変えられない固有の条件が、テナントが求める譲歩できない条件と合う部屋探しテナントは、選んでくれる可能性があるため、他にどのような条件を求めているのか、何を決め手にする傾向があるのか、それは何故か、より詳しく調査をすべきです。このような自ビルを選ぶ可能性があるテナント像の切り口は、自ビルの変えられない固有の条件によって様々です。業界や業種の場合もあれば、社員数、営業時間、社員平均年齢や社長の性格の場合もあります。例えば部屋が30平米であれば社員数は数人から多くとも5名くらい。夜間施錠であれば、24時間稼働や深夜残業がないテナントが必須条件といった具合です。

ビル経営スキル3の効果

何をしたら良いかわかるようになる
自ビルを選ぶ可能性が高いテナント理解が進むと、もはや隣のビルが建替え新築にしようが、怖くはありません。新築で賃料が高い隣のビルを選ぶ部屋探しテナントと、自ビルを選ぶ部屋探しテナントとは競合しないからです。極力現在の条件で勝負し、必要があれば経済合理性のある範囲で、自ビルを選ぶ可能性が春部屋探しテナントの求める条件に応えるように改善を行うことで、テナントは決まります。
そしてこの理解を持つ本当の威力は、もし万が一自ビルを選ぶ可能性があるテナントが地域賃貸マーケットにいなくなった時に、客観的かつタイムリーに把握ができることです。存在しないテナントを待って空室が続くリスクを回避し、用途変更その他の対策を合理的に行うことができます。これも50年100年単位でビル資産を維持するためには欠かせないスキルです。