中小ビル経営7つのスキル2

中小ビル経営7つのスキル その2

このビル経営スキル2は、「うまくいく経営判断」に欠かせないスキルです。スキル1と合わせてビル経営で上手くいく判断をするために欠かせない重要スキルです。

多少わかりにくいため、一般的なシチュエーションからこのスキルの意味を考えてみます。

現代は、先を予測して行動する。

現在の行動を決めるのは
最初に突然話が逸れますが、こういうシチュエーションは日常でよくありませんか?
「外出する前に天気予報を見たら、帰宅時間に雨予報だったから傘を持って出た。だから雨が降ったが濡れなかった。」天気予報がない時代であれば、濡れてしまったかもしれません。でも天気予報がある現代生活では、「過去」に外出の予定を立て、外出時点で「将来」の天気を予測し、傘を持っていくという「現在」の行動を判断しました。だから帰宅時という「将来」時点では、雨に濡れないと上手くいく結果になりました。
現在生活・ビジネスでは、現在の行動を決めるのは、先の結果を予測です。コンビニ経営だって、明日の客入りを予測してお弁当の発注数を決めます。将来に良い結果が出るように、現在の判断を行い、行動を決めます。その判断が当たり将来に良い結果が出ることが、経営が上手と言います。ビル経営も例外ではありません。

将来の結果を決めるのは
これを逆に見ると、将来の結果は、現在の行動で決まるわけです。外出時に傘を持たなかった、が現在の行動であれば、帰宅時という将来で雨に濡れます。傘を持って出た、が現在の行動であれば、帰宅時という将来、雨に濡れません。現在決めて行ったことが、将来を作るのです。人間の人生は、その積み重ねですよね。だから現在の行動を決める時は、先の結果をよく考えて決めなければいけないのです。もちろん問題は、何をどうやって考えるか?なのですが。

ビル経営も現在の選択が先を作る

空室をどうするか
ここでビル経営の実例で考えてみましょう。例えば築40年ビルで数日前の過去にあるテナントから退去届けが出ました。現在次のリーシングをどうするか、不動産屋と相談をしています。不動産屋は築古だから募集賃料を下げるべきと言います。自分は賃料を下げたくないと考えています。またリフォーム会社が、リフォームしたら賃料を上げられると言います。
選択の場面です。目の前の不動産屋は早く方針をもらって、帰りたいところでしょう。でも自分にとっては、どれを選択するかで、ビル経営の将来が違ってくる事は想像難くありません。じっくり考えたいところです。でも頭の中でグルグル思い巡らせているだけでは、答えはわかりません。どうやって考えれば良いのでしょうか? そもそも将来の結果の予測なんてできるのでしょうか?

将来のことはわからないが
将来の正確な予測は、誰にもできません。天気予報もしばしば外れます。けれども私たちはニュースの天気予報を「そこそこ」信頼し、現在の行動を決めます。台風がくるから外出を控えるようにと天気予報がいえば、わざわざ外で遊ぶ予定は立てないでしょう。それはニュースの天気予報が、ニュースキャスター個人が勘や占いで言っているものではなく、気象衛星等のデータを得て、データを元に天気の動向を分析するスキルを持った専門家が導き出した予報だから、一定の信頼ができる事を知っているからです。
私たちは将来の正確な予測、つまり予言はできません。けれども正しいデータと正しい理論を用いた精度の信頼ができる推論はできます。ビル経営スキルは、正しい推論パターンを得るための実践ガイドです。武道でいえば「型」です。まずビル経営スキルを何度も繰り返し実践することで、経験のない築古ビルの経営に向かっても、自己流の不完全な推論に陥るリスクを避けて、正しい推論パターンを磨き、正しいビル経営力を向上させることができるというものなのです。

空室問題をどう検討するか
さてでは、先のビル経営の実例例に戻りましょう。空室予定の部屋の次の募集賃料を決めるために、賃料を下げるか、賃料据え置きで挑戦をしてみるか、リフォームをするか、何を選択するかという話です。
ビル経営スキル2は、賃貸、管理、建物設備リニューアル、賃貸維持対策の各判断において、長期的な経営全体への総合影響・・・つまり賃貸で現在の賃料を決めるにも、管理、建物設備リニューアル、賃貸維持対策への各影響、収益資産価値への長期的な影響を考えるように言っています。
これらの長期的な影響を考えることが、ビル経営においては、ビル経営の将来を考える、ということなのです。 当然ですが部屋の空室がどの期間続くか、いくらの賃料で決まるかによって、その後の賃料収入が変わります。毎年の賃料収入が違えば、その後建物設備リニューアル、賃貸維持対策の予算も違ってきます。またテナントタイプも変わり、管理方針も違ってくるかもしれません。こうした影響は、瞬間に起こるのではなく、徐々に変化していきます。だから長期的な影響を考えることが重要なのです。そして長期的には、ビルの収益資産価値そのものに差ができます。最もビルの収益資産価値が高い案を選択したいのが当然です。

ビル経営スキルで将来を考える

ビル経営スキル2の3つコツ
このスキルを使いこなすにあたっては、重要な留意点が3つあります。
1つはどのような将来の道筋を考えるべきか。
これはシナリオとも言いますが、やる事なす事全て想定通りに上手くいくと考えるのか、リスクを考えるのかで、将来の結果も全く違ってきます。このシナリオを現実的に考えられることが、ビル経営力があると言います。経験のない築50年以上ビル経営のシナリオを現実的に想定するには、経験のある分野に細分化すること及び経験または知見がある人間と話をすることの両方が必要です。前者だけでは、問題を見逃していても自分でわかることができません。
もう1つは、現在に近い将来の相互の影響を考える際の、具体的な根拠の必要性。
例えば現在や近い将来で、空室の募集賃料がどの程度強気でいけるかは、地域の賃貸需要がどの程度活発かによって決まります。地域の賃貸需要の状況は、希望的観測ではなく、具体的な事例や根拠に基づいたものでなければ意味がありません。そうした根拠をどれだけ具体的に考えられるかで、将来予測の精度が決まります。
最後は、シナリオ検討においては、リスクの境目を把握すること。
最悪のリスク、例えば賃料を下げ過ぎると、賃料収入が減り、建物設備リニューアルや賃貸維持対策の予算が捻出できなくなるかもしれない。募集賃料を下げないことで、物件の割高感のため空室状態が長く続き、賃料収入が減るかもしれない。リフォームで部屋を綺麗にしてテナントは入居したものの、高額リフォーム代が予算を食いつぶし、将来の建物設備リニューアルや賃貸維持対策の予算が捻出できなくなるかもしれない。こうしたリスクをただ恐れても仕方がありません。それよりどのような条件でこのリスクが実現するかを知っておけば、避けることができます。
例えばどこまで募集賃料を下げると、将来的に建物設備リニューアルや賃貸維持対策の予算捻出が難しくなるのか、どの程度の期間以上空室が続くと、同様に苦しくなるのか。各部屋のリフォームにどの程度以上かけて賃料水準がどの程度だと、将来的に建物設備リニューアル予算捻出が難しくなるのか、です。

ビル経営スキル2の効果

将来か現在のストレス解消か
7つのビル経営スキル全てに共通ですが、こうしたスキルは、頭でわかる、知っているレベルでは要な時に効果的に到底使えません。特に難しいのが、このスキル2です。
というのは「現在」の決断はビルの」将来」を作りますが、同時にそれは「過去」の問題に対する問題解決でもあるのです。現在には、過去の問題が作るストレスがあります。例えば募集賃料の決定では、空室が長期化するかもしれない、という現在のストレスが必ずあります。頭では将来の資産価値にとって望ましい方法をよく検討すべきとわかっていても、人間、現在に大きなストレスがあればまずストレス解消が優先されてしまうものです。
だからこのスキル2が活用できるためには、余裕がある時にシナリオを元にしたシミュレーションを行っておくことをお勧めします。スキル2の検討経験を増やすことで、信頼ができる推論の信頼精度が上がり、結果として必要な時に上手くいく経営判断ができるようになるのです。