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Ⅰ 中小ビルは100年超使用する時代
1.1 人口激減、不動産需要激減時代
1.2 それでも増える再開発高層ビルの大型供給
1.3 もはや中小ビルの建て替えは無謀
1.4 ビルの本場欧州や世界の他国ではどうしているのか
1.5 日本の中小ビル資産を守る道は現在ビルを長く使用すること
1.6 ビル資産の投資思考と維持志向 Ⅱ 日本のビルが築50年程度で寿命と言われる理由
2.1 法定寿命は実寿命ではない
2.2 ビルの寿命とは何か?経済的寿命と物理的寿命
2.3 日本のビル寿命は投資思考の経済的寿命
2.4 昭和後半は需要増大の特別な投資適格時代だった
2.5 本質ではない「日本のビル寿命が短い理由」
2.6「投資思考」ではせいぜい延命しかできない Ⅲ 欧州や他国のビルは築100年200年超でも現役である理由
3.1 欧州や他国では築100年築200年以上の中小ビルが当たり前
3.2 欧州や他国中小ビル所有者は維持思考
3.3 ビルとは土地と一体で土地の価値を実現する資産
3.4 現在ビルの維持こそ低リスクで資産を守り高利益を得る方法
3.5 自分の資産をどうするか自己責任だからビル工事は所有者が決める
3.6 必要な工事はするがお金の無駄使いをしない
3.7 古いビル維持は文化を守る事 Ⅳ 日本の中小ビルを100年以上生かす維持思考を取り入れる
4.1 日本の中小ビルを100年以上生かすために必要な事
4.2 ビルは使い続ければ資産、朽ちさせれば負債と理解する
4.3 ビルを長く使うための技術はある事を理解する
4.4 地震リスクには現実的に向き合う
4.5 経済的なビル工事取り組みを追求する
4.6 自分で考え自分で工事を判断する
4.7 街から与えられるビルの価値・ビルを適切に維持し街を維持する責任 |
日本は木造建築文化だから | これは違います。日本にも世界最古の木造建造物、奈良の法隆寺を始め、寺社城豪邸等築数百年の建物は多数あります。欧州でも一般の街の古い建物は木の梁で歪みます。また石造建物も、冬は石の間に入った水が毎晩凍結して石を削ります。それでも手入れをするから維持できています。 |
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日本は地震国だから | これも決定理由として言われがちですが、巨大地震は環太平洋諸国共通の問題です。地震国は日本だけではありません。そして震災国では厳しい建築基準法があり、耐震対策のために建築コストも高いのです。50年に一度大地震に被災するメキシコ市でも地震国だからビルが築50年寿命とは誰も言いません。 |
旧耐震基準建築だから | 旧耐震基準建築全てのビルで耐震性がない訳ではりません。弱い部分がある場合でも、方向や一部に限定される場合がほとんどです。また倒壊以外の震災時災害である天井落下や窓ガラス・外壁・看板落下等事故は、旧耐震基準建築/新耐震基準建築といった躯体耐震性の問題ではなく、ビル維持管理の問題です。 |
コンクリート寿命だから | 他国と比べて日本のコンクリート品質はそんなに悪いでしょうか? 確かに鉄筋コンクリートは経年劣化しますが、一般ビルのコンクリート躯体は塗装・タイルなどで保護されています。直射日光に晒されないので劣化はそう進行しません。 |
設備更新がしやすい設計ではないから | ビルの寿命とは全く関係ありません。工夫次第で設備更新はできます。欧州の築数百年のビルの竣工時には電気も上下水道もなかったため後付けです。そのために建替えとは誰もいいません。 |
賃貸が悪化するから | これもビルの寿命とは全く関係がありません。確かに新築は新築プレミアム付き高額賃料でもテナントに選ばれますが、手入れが良い割安賃料の築古物件を好む人は大勢います。 |
ビルとは、丈夫な躯体を生かして、建物設備機能や内装等の更新を繰り返しながら、長く使うことができる、特別な価値がある資産 |